7.5 製造およびサービス提供
7.5.1 製造およびサービス提供の管理
当社の管理者並びに社員には、適切な生産工程を構築し、以下のような管理された状況下で生産業務が実行されることが求められる。
・ 許容されている作業あるいは製品品質、製品の識別、安全と取り扱い上の要件、著しい環境側面に関する運用を含む環境保全に関する運用上の要件、検査、包装、ラベルおよびその他の関連情報を記載した作業指示書が配備されている。
・ 参照される規格、特別な指示、規制および手順に対して遵守できる。
・ 測定並びにモニタリング機器の選択、入手先、使用方法が配備されている。
当社は、従業員の健康と安全に配慮し法的規制上の要件を満たす作業環境の下で適切な設備と機器を提供する。機器は、維持管理される。維持管理指示書は、管理された文書であり、性能面の特性を明示するために記録として保管される。
生産工程は、生産部長によって管理され、その妥当性が確認される。すべての工程へのインプットおよび材料などのコンポーネントは、コスト削減、工程能力向上、環境改善、労働安全衛生リスクの低減、信頼性向上並びにサイクルタイムの改善のために、アウトプットが品質を維持している間、定期的にモニターされる。
工程管理は、以下の手順によって確保される。
・ 生産工程は、作業指示書並びに必要な検査ポイントを記述した工程フロー図に要約されている。
・ 品質管理部長によって定められた製品の許容基準と、環境管理部長によって定められた環境基準は、必要なる測定並びにモニタリング器具と共に作業場に備えられている。
・ 生産工程で使用される顧客の所有物および技術は、当社の所有物と同等の扱いをする。
機器操作、倉庫内作業、サービス要員に必要な技能や訓練を含む作業基準や作業結果は、手順書もしくは作業指示書に記載されている。
可能なる場合、統計的プロセス管理、統計的品質管理手法が利用される。
安定した作業を維持するための以下の情報を入手可能とし、作業手順書もしくは作業指示書に記載される。
・ 許容されない製品品質を生み出す可能性のある管理状態
・ 環境基準を逸脱する可能性のある管理状態
・ 生産を維持するための通常時および緊急時の操作方法
・ 緊急時の環境影響を予防し緩和するための方法(定期的なテスト・評価の指示を含む)
もしも事故を含む緊急事態が発生した場合、この方法をレビューし必要に応じて改訂する。
・ 下請け業者並びに一時契約作業者によって提供される材料およびサービスの管理方法
作業指示書が欠落していることによって製品品質および環境保全に影響を与える可能性がある生産作業には、作業指示書が用意される。熟練した、あるいは資格認定された従業員によって行われる生産作業には、作業指示書を必ずしも必要としない。
契約の一部として付帯的な維持管理並びにサポートを提供することを顧客に確約して製品が販売された場合には、サービス業務を適用する。サービス業務は、当社の顧客注文の通常要件ではないが、適切な指示がなされた場合には必要となる。
7.5.2 製造およびサービス提供に関する妥当性確認
あるプロセスのアウトプットが通常のモニタリング、検査、もしくは非破壊試験によって検証できない場合には、その作業そのものが定められた製品の許容基準内で常に生産できることを検証しなければならない。そのような作業に対して、当社は以下の手順に従って特殊プロセスの妥当性確認を行う。作業員は、承認された管理手順、もしくは作業指示書に従って作業を行えるように資格認定されなければならない。
特殊プロセスの妥当性確認のために、生産部長は、以下のことを実施する。
a) 結果を非破壊検査もしくは試験によって完全に検証できないプロセスを明らかにする。このようなプロセスを特殊プロセスと称す。
b) 作業指示書には、特殊プロセスの妥当性がいかに確認されるか、並びに作業員に必要な訓練が記述される。
c) 実施される前にこれらのプロセスが必要なアウトプットを生産できる能力を有することを再確認するためにその妥当性を確認する。
d) 特殊プロセスの装置および資格認定された作業員のリストを管理すべき記録として維持管理する。
7.5.3 識別およびトレーサビリティ
当社は、製品並びにサービスの識別およびトレーサビリティに関するシステムを有する。適切なる場合、材料、部品、包装並びに関連する資材は、保管もしくは使用までの待機中、生産もしくは配送プロセス全般で識別される。また再販売される購買品は、さらに加工される/されないに関わらず、もっとも適切なる方法で識別される。製品に使用された、あるいは組み込まれた部品、およびプロセスを記録した情報およびデータは、契約、規制、もしくは業界の慣行によって要求されているように維持管理される。
加工中の製品に対する測定およびモニタリングの状況は、顧客に出荷されるまで、品目、バッチ、もしくはロットに明瞭に表示される。顧客の要求事項として出荷後のトレーサビリティを確保するために必要なる場合、バッチおよびロット番号は製品の容器および包装の上に表示される。バッチ番号は、作業指示書に記載されたようにバーコードが使用される。記録は、トレーサビリティを確保するために品質管理部によって維持管理される。
7.5.4 顧客の所有物
顧客所有物は、当社の製品に組み込まれるため、もしくは追加加工されるために提供されることがある。顧客所有物には、知的所有物を含み、また発注あるいはプロジェクトのために秘密取り扱いの必要な情報を含む。生産工程で使用される顧客の所有物および技術、および秘密情報とデータを含む顧客の所有物は、当社の所有物と同等の扱いとし、紛失、損傷、劣化、腐食等が発生しないように適切な手段で保管する。顧客所有物は適切に識別される。
顧客所有物もしくは資材が、紛失、損傷した場合、あるいは受領時に使用に適さないと判断された場合には、顧客に通知される。顧客所有物の処分に関しては必ず顧客の指示に従う。顧客への通知および処分に関する記録は、生産部長により管理すべき記録として保管・管理される。
7.5.5 製品の保存
当社は、加工中の製品から顧客の指定する納入場所に搬入するまで製品を適切に管理する責任を有する。加工中の製品並びに材料の取り扱い、製品の保管並びに納入に関わる責任は、生産部長にあり、以下の管理業務を行う。
a) 材料、加工中の製品、部品の損傷または劣化を防止するため、取り扱いは注意して行う。作業員は、運搬時に適切な器具を用いる。
b) 加工待ちの材料、半製品、製品は、損傷もしくは破壊を防止するために工場内の指定された保管場所に保管する。また、腐食、風雨による損傷を防止するため、保護あるいは回避の対策を行う。
c) ラック、木枠、およびその他の保管用の容器は、適切な識別方法で表示される。特別なマークが求められている場合には、指示書が発行される。
d) 製品または部品の輸送および顧客への引き渡しまでの損傷または劣化を防止するために定められた容器仕様に従って収納を行う。
e) 包装および保管のための作業指示書には、輸送用トラックに資材を積み込むために許容される方法が記載される。製品を保護するために指定された容器形態で、契約をした輸送業者により顧客に納入される。
7.6 監視機器および測定機器の管理
当社の製品が要求事項を満たしていること、および環境管理の必要性が明らかにされた活動(著しい環境側面など)が運用基準を満たしていることを確認するために使用される監視機器および測定機器は、一貫した性能を確保するために管理され、校正され、維持管理される。
当社の測定機器の管理に関する手順は、以下の通りである。
a) 品質管理部長は、特定された要求事項に対し製品の適合性を確保するに必要な監視機器および測定機器を選定する責任を有する。
b) 生産作業員は、これらの機器を適切に使用し、注意深く取り扱う責任を有すると共に、測定結果およびプロセス能力を測定するために使われているプロセス監視機器が確実に管理され、校正されるように管理する責任をも有する。
c) 品質管理部長は、生産作業員が管理された条件のもとに測定および監視機器を使用できるように訓練計画を策定し、実施する。
d) 確定された校正対象機器は、適用製品規格(機器のJIS規格など)によって要求される精度を維持するため、校正の周期、校正の頻度、校正環境、校正の合否判定基準、校正はずれの時にとるべきアクションを定めた校正手順に従って、校正が行われる。
e) 校正は、国家検定機関により検定され、検定結果証明書がある一次基準器(ブロックゲージなど)を用いて行うことを原則とする。ただし便宜上、機器メーカー等に依頼し、国家原器と照合されている基準機を用いて校正を代行させることもある。
f) 校正記録には、機器の型式、機器識別番号、校正者名、校正の結果と合否判定、校正日および使用した基準器の識別番号が含まれる。自社での校正記録および他社依頼の校正記録は品質管理部によっていつでも閲覧できるように保管される。
g) 主要計測機器の既校正実施日、次回実施予定日、校正計測値などを機器別に「測定・監視機器管理台帳」に記入する。
h) 定期精度チェックが二次標準機(ブロックゲージなど)を用いて検査機器管理手順に定められた計測機器に行われる。定期精度チェックの頻度は機器によって異なるが、定められた期間ごとにチェックする。定期精度チェックの結果はxbar-R管理図にプロットされ、精度が許容範囲にあることを確認する。精度が許容範囲外であることが判明した場合には、有効期限内であっても校正を行う。校正対象外の計測器も、かならず作業前に点検および手入れを行う。
i) 使用する校正対象計測機器が、校正で不合格となった場合は、機器を破棄ないしは補修のため機器メーカーに送付し、使用しない。さらに、直前の有効な校正以降、過去に遡ってその機器によって得られた検査結果の有効性を評価し、記録に残す。
j) コンピューター・ソフトウェアを組み入れた機器の場合には、導入時もしくは必要に応じて供給者が指示する操作方法に基づきソフトウェアの適切性を管理する。
当社のプロセス機器の管理に関する手順は、以下の通りである。
a) プロセスを管理し、品質と環境管理活動を検証するために用いられているプロセス・メーター、ゲージおよび機器は管理される。
b) 製造またはプロセス機器としてのゲージ、温度計、電子制御機器は、機器の維持管理を行う際に許容誤差内であることが確認される。
c) コンピューター・ソフトウェアを組み入れた機器の場合には、導入時、もしくは必要に応じて供給者が指示する操作方法に基づきソフトウェアの適切性を管理する。
関連文書
QMS-005 検査機器管理手順