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米戸版ISO9001:2000(FDIS)



まえがき(DISのまま)

国際標準化機構(ISO)は、各国の国家規格団体(ISO加盟団体)の世界連盟である。国際規格の策定作業は、ISO技術委員会を通じて行われる。技術委員会が設置される目的となった案件に興味を持つ各加盟団体は、その委員会に代表となる権利を有する。国際機関、政府組織並びに非政府機関も、ISOとの連携を下、規格策定作業に参画できる。ISOは、電気技術標準化のすべての案件に関し国際電気技術評議会(IEC)と緊密に共同作業を行っている。

国際規格は、ISO/IEC一般指針、Part 3に記載されている規則にしたがって策定されている。

技術委員会によって採択された国際規格の草案は、投票のために加盟団体に回付される。国際規格としての発行には、投票を行った加盟団体の少なくとも75%の承認を必要とする。

本国際規格中のある要素は、特許権利の対象になり得る可能性があることに注意しなければならない。ISOは、いかなる、またはすべてのそのような特許権利について検証する責任を負うものではない。

国際規格ISO9001は、ISO/TC 176技術委員会、品質管理および品質保証、SC 2 品質システム分科委員会により策定された。

本ISO9001第三版は、技術面で改訂された第二版(ISO9001:1994)を廃止し、それに置き換わるものとなる。ISO9002:1994、およびISO9003:1994の規定条文は、本国際規格に適用されている。ISO9002:1994、およびISO9003:1994は、ISO9001:2000の発行を持って廃止される。過去においてISO9002:1994、およびISO9003:1994を採用した組織は、条項1.2にしたがって、ある要求事項を除外することによって本国際規格を使用することができる。

ISO9001の本版は、名称を改め、品質保証という用語をもはや使用しない。ISO9001の本版で規定されている品質マネージメント・システム要求事項には、製品の品質保証は顧客満足と同義であると認識していることを反映させている。

本国際規格の付属書A,およびBは、参考資料としてのみに供される。


序文


0.1 一般


品質マネージメント・システムの採用は、組織の戦略的な決断を必要とする。組織の品質マネージメント・システムの仕組みづくりとその実践は、様々なニーズ、個別の目的、提供する製品、および採用されているプロセスや特有の実行過程によって影響される。品質マネージメント・システムの構造面に於ける画一化並びに文書化の均一性を示唆することが本国際規格の目的ではない。

本国際規格に提示されている品質マネージメント・システムの要求事項は、製品の必要条件を補うものとして役立つことである。

本国際規格は、顧客。法規制並びに組織自身の要求事項を満たすための組織の能力を評価するために、認証機関を含む内外の団体により利用され得る。

本国際規格は、ISO9004:2000で述べられているように、品質マネージメント原則を考慮して策定された。

「参考」と印された情報は、関連要求事項を理解、ないしは明瞭にする際の指針である。


0.2 プロセス・モデル

本国際規格は、品質マネージメント・システムを策定し、実行し、その有効性を改善する時にプロセス・アプローチ手法の採用を推進する。

組織を効果的に機能させるためには、数多くのリンクされたプロセスを明確にし、管理しなければならない。インプットをアウトプットに変換させるためには経営資源を活用し、管理される活動が一つのプロセスとして考えられる。多くの場合、一つのプロセスからのアウトプットは、次のプロセスへ直結するインプットになるであろう。

それらのプロセスの明確化並びに相互作用、およびそれらのマネージメントと共に組織内でのシステムもしくはプロセスを利用することは「プロセス・アプローチ手法」に属すると考えられている。

プロセス・アプローチ手法の利点は、プロセスの組み合わせや相互作用と同様に、プロセスの集合したシステム内に存在する個別プロセス間の結びつき定常的に管理することができることである。この主たる目標は、顧客要求事項の充足によって顧客満足を獲得することである。

品質マネージメント・システムの中で使用された場合、プロセス・アプローチ手法は、以下のことが重要であると強調したい。すなわち、

 a) 要求事項の理解と充足
b) 付加価値の観点でプロセスを考慮することの必要性

c)プロセスの成果と有効性の結果を取得すること
d)目標の測定に基づいてプロセスの継続的改善



図1は、条項4から条項8までに表現されているプロセスの結びつきの概念を図示したものである。このモデルが示すように、顧客はインプットとして要求内容を明らかにする上で重要なる役割を果たしている。顧客満足を追跡調査することは、顧客要求内容が満たされているかどうかを評価し、検証するために必要となる。図1に示すモデルは、本国際規格のすべての要求事項を網羅しているが、詳細なプロセスを示していない。

参考:さらに、「Plan-Do-Check-Act」で知られる手法は、すべてのプロセスに適用されている。PDCAは、以下のように簡単に述べることができる。

  Plan:顧客要求事項と組織の方針にしたがって結果をもたらすために必要な目標とプロセスを確定する

  Do: プロセスを実行する

  Check:方針、目標、製品に対する要求事項に対するプロセスと製品をモニターし測定し、結果を報告する

  Act: プロセスの成果を継続的に改善するためのアクションを行う


0.3 ISO9004との関連性

ISO9001の本版は、ISO9004と共に一対の両立する品質マネージメント・システム規格の一部として策定された。この二つの国際規格は同時に用いられることを構想して作成されているが、単独に用いることもできる。この二つの国際規格は異なった適用範囲を持ってはいるが、使用上の容易性を考え類似した構造となっている。

ISO9001の本版は、組織による内部での利用,もしくは認証、もしくは契約上の目的に用いることができる品質マネージメント・システムに対する要求事項を規定している。ISO9001の焦点は、顧客要求事項を満たすための品質マネージメント・システムの有効性に対して向けられている。

ISO9004は、有効性と同等に効率も含め組織の全般的な業績を継続的に向上させるために品質マネージメント・システムの広範囲な目標に関する指針を提供する。ISO9004は、業績の継続的向を追求する上で、経営最高責任者がISO9001の要求事項を越えてゆくことを望むような組織に対する指針として推奨される。しかしながら、本国際規格は、認証、もしくは契約上の使途に利用されることは意図されていない。

0.4 他のマネージメント・システムとの両立性

本国際規格は、使用者側の利益のために二つの規格の両立性を強化する目的でISO14001:1996 と連携されている。

本国際規格は、特に環境マネージメント、作業安全・衛生マネージメント、財務マネージメント、あるいはリスクマネージメントにような他のマネージメント・システムで特定される要求事項を含まない。しかしながら、本国際規格は、組織が、関連するマネージメント・システム要求事項を自社の品質マネージメント・システムと連携、もしくは統合することができる。

本国際規格の要求事項を遵守する品質マネージメント・システムを確立するために、組織が、組織の既存のマネージメント・システム(複数)を適応させることは可能である。


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