7 製品の具現化
7.1 一般的指針
7.1.1 序
品質要求事項の定義は、ある活動がいかに行われるかに関連しているが、品質目標はプロセスのアウトプットもしくは達成したことによって計測される。このことは組織がプロセス並びに活動の集合体として認識することに役立つ。プロセスの相互依存性は複雑になり、一つのネットワークを生む結果になる。すべてのプロセスが効果的なシステムとして運営・稼働するように、組織は、プロセスがどのように相互に関係しあっているかの解析を行うこと。この解析が、一つのプロセスのアウトプットが他のもう一つのプロセスのインプットになることがしばしばであることを認識させることになる。プロセス・マネージメントの原則は、すべての活動に適用されること。一つのプロセスに対する基本的なコンセプトは、三つの要素、すなわちインプット、活動、アウトプットから成り立っている。
具現化のプロセスは、組織に付加価値を与える組織の製品を生み出す。マネージメント・プロセスを含む支援プロセスは、必要ではあるが価値を付加することはない。具現化および支援プロセスはサブ・プロセスのネットワークを含みうる。
7.1.2 配慮すべき問題点
一つのプロセスは、活動のフローとして表すことができる。この考え方は、インプットを明らかとし、資源並びに活動を特定し、望ましいアウトプットを達成する助けとなりうる。さらに、プロセスの妥当性確認とアウトプットの検証による結果は、組織全体に亘る継続的な改善および卓越性の促進を成し遂げる目的ために、あるプロセスのインプットとして考えられべきである。これらのプロセスの改良は、品質マネージメント・システムおよび組織そのものを向上させる。付属書Bは、一つのプロセス・フローとして活動を認識し、プロセスの継続的改善を成し遂げることに役立つプロセス改善手法の一つを述べている。
プロセスに関連する文書は、以下のことを立証しなければならない。
プロセスの範囲内にいる人々の役割は、以下の目的で評価されること。
継続的改善を押し進めるには、プロセスの改善によって有益な結果が達成されるということに焦点を当てるべきである。利益の増加、顧客満足の向上、無駄の削減は、プロセスのより高い効果と効率によって勝ち得られる計測可能な結果の好例である。
7.1.3 プロセスの運営
7.1.3.1 一般
組織は、顧客、並びに他の利害関係者の要求を満たすために製品の具現化に求められるプロセスを明確にしなければならない。製品の具現化を確実にするために考慮に入れなければならないことは、望ましいアウトプット、プロセスのステップ、活動、管理手段、訓練の必要性、設備、手法、情報、材料、並びに他の経営資源である。
プロセスを管理運営するために、以下のことを含む(運営)計画を定めなければならない。
さらに、支援プロセス並びにサブシステムとして組織内部での生産並びにサービス業務が存在し、利害関係者の満足をより高めることを達成するためには、これらをも考慮されなければならない。
組織内部での生産活動には以下の事例が含まれる。
7.1.3.2 プロセスのインプット、アウトプット並びにレビュー
プロセスのインプットは、アウトプットの検証並びに妥当性確認に用いられる要求内容を形成する基盤を提供することを目的に定め、記録されるべきである。インプットは、組織の内部並びに外部のものがあり得る。
製品またはサービスに対して重要なインプットの要求内容は、適切な責任と経営資源を与えるために明確にされなければならない。
不明瞭な、あるいは矛盾するインプットの要求内容を解決するには、影響を受ける内・外部の関係者と相談・支援をすることもあり得る。まだ完全には評価を終えていない活動からもたらされたインプットは、後で行うレビュー、検証並びに妥当性確認を通じての評価によっては変えられること。
組織は、プロセス内の活動を管理し、モニターするための計画を作成するために、製品並びにプロセスの顕著な、もしくは重大な特性を明確とするべきである。
考慮しなければならない事例には以下のことが含まれる。
プロセスのアウトプットは、顧客並びに利害関係者の要求を満たすために、インプットとしての要求事項および合否判定基準への適合性に対して検証されべきである。すなわち、検証の目的のために、アウトプットは文書化され、インプットとしての要求事項および合否判定基準への適合性に対し評価されねばならない。この評価では、プロセスの効率面で必要な是正処置、予防処置、あるいは潜在的な改善があるかどうかを明確にすべきである。製品の検証は、プロセスの変動要因を特定するために作業が稼働している間に行われるべきである。
組織は、プロセスが稼働予定に沿ってきちんと行われるように、プロセスの実績・成果(パフォーマンス)について定期的な見直しを行うべきである。
考慮に入れる課題・問題の事例には以下のものがある。
7.1.3.3 プロセスの妥当性確認および変更
製品の妥当性確認では、製品が顧客のニーズと期待を満たし、その他の利害関係者を充足させることを確実とされねばならない。妥当性確認の活動として、モデル制作、シュミレーション、試作、さらにその他の利害関係者が関わるレビューが含まれる。
考慮に入れるべき課題には以下のモノが含まれる。
妥当性確認は、プロセスへ影響を与える変更・変化へのタイムリーな対応を確実に行うために適切な感覚で実施されるべきである。
以下のような事態に対しプロセスの妥当性確認として特別な注意が払われるべきである。
組織は、変更することが組織に利益をもたらし利害関係者のニーズと期待を満たすことを確実にするために、変更を管理するプロセスを実行すべきである。変更は、他のプロセスへの影響並びに顧客および他の利害関係者のニーズと期待に応じて、明確とし、記録し、評価し、見直し、管理すべきである。
製品の特性に与えるいかなる変更も、製品の完全性を維持し、改善のための情報を提供する目的を果たすために、記録し、伝達されるべきである。変更を開始するための権限は、管理を維持するために定められるべきである。
一つの製品、あるいはプロセスは、実施された変更が望ましい影響をもたらすことを確実とするために、いかなる変更であれ行われた後には検証されるべきである。
シュミレーション技法を用いることは、プロセス内の故障を予防を意図するために考慮に入れることができる。
リスク評価は、プロセス内の起こりうる故障の可能性、並びにその影響を評価する目的で実施されるべきである。この結果は、特定されたリスクを緩和するための予防的アクションを特定し、実施する目的に用いられるべきである。
リスク評価のための手段としての事例には以下のモノがある。