5.5 運用管理
5.5.1 一般
経営者は、組織が利害関係者のニーズと期待を満たすことができる自信が持てるように品質マネージメント・システムを確定し、運営すること。当該品質マネージメント・システムは、組織の規模、風土、製品に整合性を保つこと。
品質マネージメント・システムを構築するために、経営責任者は以下のことに留意すること。
5.5.2 責任と権限
最高経営責任者は、品質マネージメント・システムを効果的かつ効率的に運営するために責任と権限を定め、伝達すること。
すべての要員が品質目標の達成に支援することができるように彼らに権限と責任が与えられること。権限と責任を任命することは、組織全体に亘って人々の参画と目標を確立することに役立つ。
5.5.3 管理責任者
管理責任者(複数も可)は、品質マネージメント・システムのプロセスを運営し、監視し、評価し、調整を行うために経営者によって任命され、権限と責任が与えられること。この任命に対する目標は、効果的かつ効率的な品質マネージメント・システムの運営を強化することであるべきである。
管理責任者(複数も可)は、品質マネージメント・システムの関わる案件に関し最高経営責任者に報告することとともに、顧客並びに他の利害関係者とコミュニケーションをとること。
5.5.4 コミュニケーション
経営責任者は、品質要求、目標、その達成度に関してのコミュニケーションを行うプロセスを定め、実行すること。この情報提供は、改善のための源となり、品質目標を達成する上で人々の参画を促すことになる。
コミュニケーション・ツールの事例には以下のものが含まれる。
5.5.5 文書と記録
経営責任者は、品質マネージメント・システムを支援するために必要となる文書を定めること。文書の性格やその大きさは、組織の必要性を支持すること。策定された文書は、システムの実践、維持、改善に役立つこと。
文書には、典型的なものとして以下のものが含まれる。
品質関連文書の第一義の目的は、品質方針を表現し、品質マネージメント・システムの記述することである。この文書は、システムの実行と維持の基盤として役立てることである。適切なる文書は、品質マネージメント・システムの効果的な運営を成し遂げるためにいつでも入手可能であること。文書管理は、文書が正しく用いられるように明確に定められ実行されること。効力の失ったすべての古い文書は、発行と使用場所のすべてから速やかに撤去されるか、さもなくば意図されない使用を防止すること。
保存されるべき文書、および品質実績の記録は、管理、維持、保護されること。組織は、要求事項への適合性を強く表現すること、並びに品質マネージメント・システムの効果的運営を証拠づけるために、十分なる記録が維持されることを確保すること。また、これらの記録は、品質マネージメント・システムの維持・改善のための知識を提供することができる。
品質記録は、是正並びに予防処置のためのインプットを提供し、プロセスの改善に役立てるために分析されること。また、記録分析は、品質マネージメント・システムの改良面での用途としての情報を提供することもあり得る。
5.6 経営者の見直し
5.6.1 一般
最高経営責任者は、品質マネージメント・システムを定期的にある間隔をもって見直し、その効果と効率を評価し、品質方針と目標が満足のいく状況にあることを実証するプロセスを確立すること。さらに、経営者の見直しに関するプロセスでは、現在の活動を解析することが求められ、品質マネージメント・システムの変更が求められたり、その改善を行える機会に配慮することになるかも知れない。
5.6.2 見直しのインプット
経営者の見直しに対するインプットしては以下のことが含まれること。
初回時に於ける仮定における変化(例えば、新技術、研究・開発のアウトプット、クオリティの概念、財務、社会面、 環境条件およびそれに関連する法規や規制の変更から生じる変化)
さらに、配慮しなければならないインプットには以下のことが含まれる。
5.6.3 見直しのアウトプット
経営者の見直しの活動は、組織の戦略計画のサイクルに合わせて設定されること。これを実施することによって、品質目標と要求を組織全般に亘る目標と要求に統合させることに役立つ。
経営者の見直しの結果は例えば以下のようなものであること。
観察事項、提案事項、結論、および行動への決断は、進捗状況を監視できるように記録され、次回に行われる見直しに対してのインプットとして使用されること。
経営者の見直しプロセスは効果的であるかどうかを評価し、必要なる場合には改善されること。