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5 経営者の責任

5.1 一般的指針

5.1.1 序文

最高経営責任者は、組織の目的と一致する方針と戦略的目標を確立しなければならない。最高経営責任者のリーダーシップ、意思表明、参画は、すべての利害関係者の恩恵を勝ち取るために効果的で効率的な品質マネージメント・システムをづくり上げ、維持するためには不可欠なことである。

利害関係者の利便を達成するために重要なことは、顧客の満足を持続させ、向上させることである。この目的を達成するための方新展開と計画の実践は、経営者の責任である。経営者は、れらの活動に組織内のすべての人たちと共に参画しなければならない。

最高経営責任者の責任には以下のものが含まれる。

 ●品質方針と品質目標を設定し、組織をリードする
 ●組織の構造と経営資源を供給すること
 ●現在の業績を維持し、そして
 ●継続的な改善を達成すること  

最高経営責任者は、戦略的目標が達成されることを検証するために組織の事業業績を計測するためのアプローチを明確にしなければならない。

このアプローチには、以下のことが含まれる。

 財務上の尺度を用いる
 プロセスの成果の尺度を用いる
 顧客と利害関係者の満足度レベルの評価する  

この業績に関する情報は、継続的改善が組織上の改革に対する動機付けになることが確実に行われるよう経営者の見直しへのインプットとして用いられるなければならない。  

5.1.2 考慮されなければならない問題点

組織の品質マネージメント・システムを構築し、実行し、管理する際に考慮されなければならない問題点には、条項4.3 に概要が示されている品質マネージメントの原理の利用を含む。

これらの原理に基づき、以下のような事項を考慮しなければならない。

 従業員の関心・意識、動機付け、参画を促すために品質方針と品質目標を振興する
 組織の価値を高める具現化プロセスを確定する
 組織の将来と変革の経営に対する計画を作成する
 利害関係者の満足達成に関する方向付けを設定し、伝達する

品質マネージメント・システムは、組織の規模と構造に適切でなければならない。また、それは組織の品質目標の達成に焦点が当てられていなくてなならない。

最高経営責任者は、継続的改善と劇的な変革の両者を通して事業業績の向上へのアプローチを考慮しなくてはならない。また、品質マネージメント・システムが組織の構造変化にしたがって維持され、開発されることが確実に行われるように経営資源とコミュニケーションを考慮しなければならない。

最高経営責任者は、組織の成功に直接関わっているので、組織の具現化プロセスを確定しなければならない。また、最高経営責任者は、具現化プロセスの効率、もしくは他の利害関係者のニーズに影響を及ぼす支援プロセスをも確定しなくてはならない。

すべてのプロセスが効率的なネットワークとして働くように、組織は、すべてのプロセス間で相互にどのように作用するかを分析しなければならない。

考慮されなくてならないのは、

 ●予期したよい結果を達成するために、プロセスの連鎖と相互作用を設計されることを確実に行うこと
 ●インプット、活動およびアウトプットが確定され、管理されることは確実とされること  ●リスク発生とその機会を管理すること
 ●個々のプロセスが効果的かつ効率的にリンクされ、運営されていることを検証するためのインプットとアウトプットを監視すること
 ●すべてのプロセスを横断して継続的改善を容易にするデータ分析手法を確立すること

個々のプロセスを管理し、プロセスの目的を達成するための完全な責任と権限を持ったプロセス責任者を明確とすることは有効である。

5.2 利害関係者のニーズと期待

5.2.1 一般

組織それぞれは、いくつかに分類される利害関係者を有し、それぞれにニーズと期待がある。品質マネージメントの目標には以下の利害関係者が含まれる。

 顧客と最終使用者
 組織内の人々
 組織に特別な興味を注ぐ株主、個人もしくは公共団体を含むグループを含む所有者又は投資家
 供給者並びにパートナー、そして
 組織によって影響を受ける地域に関わる社会と公衆  

全体的な利害関係者のニーズと期待を満たす目的で、組織は、以下のことを考慮しなければならない。

 すべての利害関係者のニーズと期待の明確化
 利害関係者のニーズと期待へのバランスのとれた対応を維持すること
 これらのニーズと期待を要求事項として変換させること
 これらの要求事項を組織全体にコミュニケーションすること
 この利害関係者に対する価値を創造するすべてのプロセスを改善すること  

  5.2.2 ニーズと期待

組織の成功は、顧客(最終使用者を含む)および利害関係者の現在並びに将来のニーズと期待を理解し、満足させることに大きく左右される。経営者はすべての利害関係者の期待を越えるよう努力しなければならない。

顧客および最終使用者が製品に対し関心を示すものには以下がある。

 適合性
 信頼性
 入手容易性
 配送(が早い)
 具現化後の活動、そして
 価格とライフサイクルのコスト  

顧客および最終使用者のニーズと期待を明らかにするために、組織が行わなくてはならないことは、

 将来顧客を含め組織の顧客を確定すること
 顧客および最終使用者のためになる重要な製品の特性を定めること
 市場に於ける競争力を確定し、評価する
 (参入の)機会、弱点、および将来の競争上の利点  

また、組織は、(個々の貢献に対する)認知、仕事上の満足、能力並びに知識の発展・開発のために従業員のニーズと期待を確定しなければならない。このように関心を寄せることは、従業員の参画と動機付けを可能な限り強めることに役立つ。さらに、組織は、所有者もしくは投資者の確定されたニーズと期待を満たす財務上およびその他の結果を明らかにしなければならない。

経営陣は、双方の価値を創造するために組織への供給者とのパートナーシップを確立することによる潜在的な恩恵を考慮しなければならない。パートナーシップは、リスク、利益、知識の共有しながら共同で作られる戦略の明確化に基づくものであるべきである。

パートナーシップを構築する場合、組織は、以下のことを行わねばならない。

 潜在的パートナーとして主要な供給者、下請け企業、物流関係者を確定すること
 顧客のニーズと期待の明白な理解を共同で作り上げること
 パートナーのニーズと期待の明白な理解を共同で作り上げること
 継続するパートナーシップをもてる機会づくりを確保する目標を策定すること  

社会との関係を考慮する際には、組織は、以下のことを行わねばならない。

 健康と安全に対する責任を強く表明すること
 エネルギーと天然資源の保護を含み環境への影響を考慮すること
 適用される法令および規制の要求事項を確定すること
 製品、プロセスおよび活動による、現在および将来に亘る一般的には社会に与える影響、特に留意すべきは地域社会への影響を確定すること
 これらの分野での改善・改良を行うニーズと行動内容を明らかとすること  

5.2.3 法令および規制の要求事項

経営陣は、組織が製品、プロセスおよび活動に適用される法令並びに規制上の要求に関する知識を有することを確実としなければならない。関連する法令並びに規制上の要求へ応答することにより、組織が品質方針を満たすことができないようなことをしてならない。

考慮すべきことは、以下のようなことである。

 厳しい遵守による利害関係者への恩恵
 社会的利害の保護における組織の役割
 現時点および想定される要求事項の倫理的な解釈並びに効果的な遵守を促進させること


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