8.4 改善のためのデータ分析
組織は、計画並びに達成目標に対する成果を評価し、改善の領域を明らかとするためにいろいろな情報源からのデータを分析すべきである。組織は、プロセスの成果を評価、管理、改善する面で助けとなりうるデータの分析のための統計的手法の利用についての計画を作成すべきである。
データ分析は、問題の原因を決める助けとなり、故に効果的な是正並びに予防処置を導き出すことができる。このことは、関連するプロセス、作業、品質記録の分析と同様に、製品の仕様の分析を必要とすることになりうる。
組織のすべての部門からの情報並びにデータは、組織の全体としての成果を評価するために統合され、分析されるべきである。この全体としての成果は、異なる階層の経営陣に適した形式で発表されるべきである。
分析結果は、以下のことを決めるために使用され得る。
8.5 改善
8.5.1 一般
組織は、改善の機会を示す問題を待つよりもプロセスの改善を絶え間なく追求すべきである。潜在的な改善は、継続的な活動から長期的な改善プロジェクトまで及ぶ範囲は広い。組織は、改善プロジェクトを明らかにし、管理するためのプロセスを適切に持つべきである。
プロセスの効率と有効性は、処置が実施された時に、強調されるべきである。これらの処置は、望ましい目標が達成されていることを確実にするためにモニターされねばならない。逸脱の原因を明確にすることは、製品、プロセス、品質マネージメント・システムの改訂さえも、変更する結果に終わることもあろう。
8.5.2 是正処置
組織は、是正処置を行うためのプロセスを計画し、確立すべきである。是正処置の計画することには、品質に影響を与える問題の重要性の評価を含むべきである。この評価は、操業コスト、不適合のコスト、成果、確実性、安全並びに顧客満足のような側面に関して潜在的な影響という観点から行うべきである。是正処置のプロセスには、適切な部門の参加があるべきである。
組織は、情報源を明確とし、情報を収集し、必要な是正処置を定めるべきである。定められた是正処置は、再発を回避するために不適合並びに欠陥の原因を除去することに焦点を合わせるべきである。
情報源の事例には以下のものが含まれる。
是正処置のプロセスには以下のことが含まれるべきである。
プロセスの効率と有効性は、処置が実施された時に、強調され、そしてこの活動は、望ましい目標が達成されていることを確実にするためにモニターされねばならない。
是正処置をマネージメント・レビューのプロセスに包含することを考慮すべきである。たとえば、財務面への影響が大きい是正処置、あるいは顧客満足に顕著な潜在的影響があるものは考慮されるべきである。
根本原因分析の結果は、有効な是正処置を定めるために、適切なる場合、試験によって検証されるべきである。
8.5.3 予防処置
組織は、潜在的な不適合の原因を明らかにするために予防方法を採用すべきである。このような予防方法としての事例には、リスク分析、傾向分析、統計的工程管理、故障の木解析、並びに故障モードと影響解析がある。
予防処置には、適切な組織の代表者が参加すべきである。
組織は、予防処置を計画し、優先順位付けを行うための情報源を明確にすべきである。
情報源の事例には以下がある。
予防処置をマネージメント・レビューのプロセスに包含することを考慮すべきである。財務面への影響が大きい予防処置、あるいは顧客並びに他の利害関係者の満足に顕著な潜在的影響があるものについては特に正しいことである。
8.5.4 改善のためのプロセス
前節で述べられている改善の活動に加えて、組織は、すべてのプロセス並びに活動に適用であるプロセスの改善方法を定め、実行すべきである。このような標準的なプロセスの改善方法は、顧客並びに他の利害関係者の満足の改善と同時に、内部の有効性並びに効率を向上させる一つの道具となり得る。
改善のプロセスへのインプットの事例には以下のモノが含まれる。
組織は、人々の参画を通じて継続的改善を維持するために、小さなステップの改善活動を日常の業務の中に組み込むことを実践するべきである。さらに、特定の目標を達成するためにブレークスルー・プロジェクト(訳者注:今まで行われていないような革新的な方法を見つけること。)に対する改善も計画されるべきである。
組織によって実践されるためのプロセス改善の方法を付属書Bに記述する。