5.3 品質方針
経営トップは、品質方針が以下であることを確実にすること。
a)組織の目的に適切であること
b)要求事項への適合、並びに品質マネジメントシステムの有効性を継続的に改善することへのコミットメントを含めること
c)品質目標を確立し、見直しをする枠組みを準備すること
d)方針が組織全体に伝達され理解されていること
e)方針が引き続き適切であるかどうかが見直されること
もちろんだが、品質方針は品質マニュアルに中に記載すること。多くの欧米企業は、品質マニュアルの表紙に品質方針を記載している。
5.4 計画作成
5.4.1 品質目標
経営トップは、製品に対する要求事項を充たすために必要な目標(7.1 a項を参照)を含めて、組織内のそれぞれの部門および階層で品質目標が設定されていることを確実にすること。品質目標は、測定可能であり、品質方針と矛盾していないこと。
部門やその下位の階層での品質目標を作れといっているのだが、大きな組織では実際に目標を作ることはそんなに容易ではない。しかも、地方や海外にも事業所があると、階層が増え目標の策定は困難になる。私たちが世界規模でこれを実際に行っていた時に使われた社内言葉は、「滝の流れ」だった。しかし、小規模企業ならば、「顧客苦情10件以下」などのような一つの品質目標をつくるだけでも何も問題はないので安心してほしい。
「製品に対する要求事項を充たすために必要な目標」は何ですかという質問もあろう。部品の製造なら、図面があり、それには製作精度、すなわち寸法の精度範囲は、プラスマイナス0.1ミリとなっているなら、それが「必要な目標」となる。日本ではそんなことは当然やっていることだから、規格の文言に何も気にする必要はない。
5.4.2 品質マネジメントシステムの計画作成
経営トップは、次の事項を確実にすること。
a)品質目標とともに4.1項に規定されている要求事項を充たすために品質マネジメントシステムの計画作成が実施されている。
b)品質マネジメントシステムへの変更が計画され、実施された時には、品質マネジメントシステムの完全な状態が維持されていること。