結果の測定と分析
われわれ退職者の大先輩である銀行経営者が言っていた。外資系に買収された政府系銀行だが、年に一度財務的な指標を討議するだけでまるで「闇夜に鉄砲」のような経営をしていたそうだ。そこで、彼はすべてのコンピュータシステムを作りかえ、翌月5日には前月の実績を見ることができるようにした。今はこのような経営が通常だと思うが、以下の評価の結果はいかがだろうか。

レベル5 
持続可能
  • 組織は、組織に対してすべての持続可能性を維持する上で制約や障害になるものについての指標を保持している。そして、それらの指標は、誰にでもわかるように目立たせ強調されている。
  • 組織が採用している指標は、利害関係者に関係する組織の重要な側面をすべて網羅している。
  • 組織の持続可能性を維持する上で重大な事柄は、企業の方針と戦略の基本となっている。だから、これらを監視し、企業の持続可能性に影響がないように制約や障害を軽減・削除するように設計された戦略の中にきちんと組み込まれている。


  • レベル4
    革新的
  • 組織の方針、ゴールおよびビジョンは、組織を構成する部門と業務プロセスに展開されている。この展開は、組織のすべての重大な事柄を網羅し、方針、ゴールおよびビジョンに結びつけられ、実績(パフォーマンス)の尺度とプロセス指標とは矛盾していない。
  • これらの指標は、すべての重要な財務面、運営面にわたる組織のレベルに階層化されているのみならず、利害関係者(たとえば、社員の満足度)に関連した全面的な側面にわたる指標となっている。
  • 主たる運営上の指標は、公式の報告書(たとえば、株主など利害関係者への手紙)をもって報告されている。
  • ほとんどの主たる組織の指標は、参考となる情報と比較して自社の競争力がどの程度であるかを示している。これらの結果は、将来の目標設定に考慮されている。


  • レベル3 
    適応性あり
  • 経営者の意思決定はデータに基づいて行われている。組織は、重要な目標を業績の指標に関連を説明している。新規の計画は、尺度や指標にしたがって策定されている。
  • 部門の管理者は、基本的な統計的分析手法について訓練され、技能をもっている。必要なる場合には、彼らはデータ分析の専門家に支援を求めることができる。これによりデータ分析によって意味のある結論を引き出すことができる。
  • 正式の品質マネジメントシステムのレビューに加えて、データ分析の報告書が毎月、もしくは各週にも発行される。この報告書は、部門の管理者によって有効な「ナビゲーション・コンパス」として考えれている。
  • データの正確性は審査されている。
  • ラジオ&レコード解析(R&R studies)は実行されている。とくにデータが判断や意見などによってもたらされているときに行われる。
  • 統計的分析は、意思決定を助けるために実行されている。データは、根本原因を明らかにし、処置を決めるために深く分析されている。
  • 組織は、状況の変化によって要求されると「データを掘削する」ための種々のビジネス情報収集手段を有している。
  • 新たで重要なプロセスの能力(すなわち、可変性)は、体系的に解析され、変動要因は何かを理解している。「ロボーストデザイン(Taguchi Method)」のような適切で最新の進歩した統計的技術が利用されている。


  • レベル2 
    能動的
  • 定期的に開催される品質マネジメントレビュー会議では、定性的なゴール、定量的な目標、主要なプロセスの実績、製品品質の 指標および顧客満足の測定結果が討議されている。
  • ゴールと実績指標との間に明確なリンクがない。
  • 指標を作り上げたデータの正確性は、どの程度正しいかわからない。データ分析は、非常に基礎的である。
  • 主要な実現プロセスの能力に関する検討は実行されているが、ほとんどが顧客要求事項に基づているし、結論の利用は限定されたている。


     
  • レベル1 
    初歩的
  • ある種の基礎的な非財務的な指標(定時納品率、顧客苦情の数値、基礎的な顧客満足調査のような)と組み合わせて、財務的指標のみが使用されている。

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