シアトル発の珈琲チェーン店は日本を席巻している。苦くてどろっとしたという程度しか知られていなかったエスプレッソコーヒーをメジャーなものにし、珈琲を雰囲気で飲ませるスタイルを確立した功績は大きい。スタバマニアなる研究本が出版されているのもここ最近の潮流に乗っている。
何と言っても店内が完全禁煙であることがありがたい。当初、店内を禁煙にすることに疑問の声があった。禁煙後進国の日本では受け入れられないと。しかしこれだけ流行っているところを見ると、いよいよ日本でも禁煙の店が歓迎される時代が来たのかもしれない。
しかし、その割に店内に席が少ないのは何故なのか。珈琲は持ち帰って飲むもの、あるいは立って飲むものとでも言うように、店内でくつろげる席は少ない。持って帰って家で飲むなら家で自分で淹れるわいというひねくれ者がここにいる。
メニュー構成もはっきり言って分かりにくい。初めて店に入ってラテとカプチーノの違いを瞬時に判断できたら尊敬する。困ったときはバリスタと呼ばれる店員に聞けば丁寧に教えてくれる。しかしただでさえ客さばきが下手な店なのに、いちいち客が注文の時にメニューの中身を尋ねていたらどうなるのか分かっているのだろうか。ちなみにラテとカプチーノはミルクと泡の比率が違うのです。ミルクが多いのをラテ、泡が多いのをカプチーノと呼んでいるらしい。
エスプレッソ珈琲の店の割に、エスプレッソを頼むと量が少ないがよろしいかといちいち聞くのは何故だろう。よくよく観察していると、エスプレッソを頼む人はほとんどいないようだ。店のお勧めも人気も牛乳をたっぷり混ぜたラテが一番らしい。つまりスターバックスは珈琲屋ではなく、珈琲味のホットミルク屋と呼んでもいいのではないか。カウンターの中を覗くとエスプレッソ珈琲は抽出時間まで決められて、きっちり決まった量を淹れる。しかしミルクの量は実に適当なのには驚いた。
食べ物のメニューは充実してきた。小腹が空いたときに助かるクッキーからサンドイッチまで揃っている。でも高くないか?珈琲の値段も安いとは言えないが。
マニュアルの行き届いた店員の応対は総じて好ましい。多少のわがままな注文も受けてくれる位の柔軟性も持っている。でもこれだけ店舗が増えると、次第に店員の教育が追いつかなくなってくるのも仕方がない。特に新規店舗の店員には寛容の心を持って接することをお勧めする。