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                         ステージ101

東海林先生とステージ101

   

NHKステージ101 音楽監督 1972年4月〜1973年9月

ステージ101は、1970年1月から1974年3月まで
NHK総合テレビで放送された音楽番組です
レギュラーのヤング101は、オリジナルソングや洋楽カバーの曲を
男性は長髪、女性は超ミニスカートという、
当時のNHKらしからぬスタイルで歌い踊り、話題になりました。



                             
   画像提供 東海林修先生

東海林修先生は、1972年4月から1973年9月まで音楽監督を務め、
もはやスタンダード・ナンバーとなった
「怪獣のバラード」をはじめとするオリジナルソングと
「10年進んでいる」と言われた洋楽アレンジで
お茶の間のヤングを魅了しました。


東海林先生からご提供いただいた雑誌と新聞の記事です



Billboard Japan MUSIC LABO 1972/12/11号

  (特集)72年の流行歌の底流をさぐる

  
   第1部=A.レコード会社の自主性と放送メディア
        B.風俗化したものに゛かかわり合った"
        C.72年の流行歌の特徴
        D.゛新しいもの"はなくなった
   第2部=グラフにみる今年上半期ヒット曲の動き
   第3部=梅干以外に日本のオリジナルを吉田拓郎ははじめて作った(東海林修)
 

東海林 修

「ステージ101」の
  音楽監督

 いまの若い人は、自分で詞をつくり、
フシをつくって、自分で歌ってしまう。
ぜんぶ自分でやってしまうんですね。
それが、すべてに反撥して出てきたのだから、
これはホンモノですよ。
 ぼくなんか、ながい間いくらフシをつくって
持っていっても、これは売れない、もっと
演歌っぽくしなきゃ、なんていわれつづけて、
とうとうこんなになっちゃった。
その頃は体制が強かったから、
それに合わせるより
仕方がなかったんです。
 それがいまや、自分の主張を歌にして、
売れる時代になった。
よく先輩の人が、いまの若いもんは女々しい
なんていうけど、じつは歴史のなかで、
もっとも勇気のある若者だと思うんです。
それを男だか女だかわからないと非難するのは、
やはり゛恍惚"化した現象ですね。
 今年あたりから、やっとホンモノとニセモノの
区別がはっきりしてきましたね。



グラフNHK 1972年8月15日号

東京新聞  1972年

テレビ評 *音楽*

東海林修の編曲の新鮮さ

 7日夜のNTV「ヨーロッパの夜」は、世界の第一級ショーをおさめた記録映画として公開当時も話題になったが、ドメニコ・モドーニョやアンリ・サルバドールらの歌はいまきいても楽しい。だがどうにもごまかしきれないのが編曲の古さだ。音楽のなかでいちばんはやく腐っていくのが編曲の部分だといってもいいだろう。逆にいえば特殊なねらいをもつ場合をのぞいて、編曲はつねに新しい生命を求めなければならないのだが、どういうものかテレビの音楽番組は編曲が古い。

 そのなかでは「ステージ101」(NHK)で毎週みせている東海林修の仕事に注目したい。たいへんな売れっ子アレンジャーだがこの番組がはじまってから、ほかの番組で彼の名前をみかけなくなった。この仕事に全力を傾注しているのではないかと想像されるが、もしそうだとしたらリッパな態度だといわなければなるまい。

 東海林の編曲でいちばん重要なのは、オーケストレーションの域を完全に脱却している点であろう。むしろサウンド・クリエーターといったほうがふさわしく、「ステージ101」でもビッグ・バンドを使っていない。エレキを主体にシャープな現代のサウンドをつくりあげているのである。いまアメリカで評判になっているアイザック・ヘイズのサウンドをいちはやく採りいれたのも、おそらく彼が最初だったと思う。

 「ステージ101」のメンバーに簡単な楽器を演奏させているのもいい。シンプルなテクニックで何かを感じさせるサウンドを志向するなら、どうしても即興(インプロビゼーション)の部分を拡大していく必要がある。メンバーに楽器演奏をさせているのもその含みがあるからだろう。出演者をはじめとするまわりの人間が、これからも東海林の仕事を理解しもり立ててほしいものだ。(河)

 

東京新聞 1973年9月29日

テレビ評 *音楽*

東海林修と前田武彦

 最も充実した仕事をみせてくれた音楽監督と、ながい間慣れ親しんできた司会者が去っていった。23日「ステージ101」(NHK)の東海林修と、24日「夜のヒットスタジオ」(フジ)の前田武彦。

 この日の「ステージ101」は“ヤング演歌”。バックで「こげよマイケル」や「ヘイ・ジュードー」をやりながら、これに「港町ブルース」や「恍惚のブルース」のソロを乗せるなど、ポップスと演歌の格差や接点を音楽的に実証するいっぽうで、“フォークやロックのなかに演歌はあるか”と吉田拓郎、あがた森魚などの作品をとりあげた。

 そこには演歌をもっと前向きにとらえようという意識があって、商業主義のなかで風化しかかっているいわゆる“演歌”に対する批判が内包されている。こういう鋭い視点が東海林の仕事を貴重なものにしていたといえるだろう。

 前武の「夜のヒットスタジオ」の司会は五年間になるという。当初の知的な切りこみが毒舌にかわり、そして徐々にわけ知りのオジサンになっていったが最終回はちょっとセンチメンタリズム過剰の趣向。それを極力サラリとかわしたあたりはやはりインテリ前武の本領をみせた。
 
 19日は最近カムバックをうわさされているフランク・シナトラのショーがあった(12チャンネル)。67年度の制作だが雨の音からいろんな音に移って、それがリズムを刻み出してネルソン・リドル・オーケストラのリズム・セクションにはいっていく導入部に感心した。そして自ら司会もやったシナトラの的確かつ柔軟なホストぶり。

 22日のNHK「教養特集・地方にいきる伝統芸能」は舞楽の地方分布を追って、芸能が生きるとは変わることだと、芸能伝承の基本形に触れていったのが興味ぶかかった。それから先週書くスペースがなかったが、15日の「題名のない音楽会」(NET)も“2・6抜きは買いか”というテーマで、近ごろの流行歌の音楽構造を平易に解説して面白かった。(河)

♪♪ 貴重な画像と資料とご提供くださいました 東海林修先生 ありがとうございました ♪♪