7日夜のNTV「ヨーロッパの夜」は、世界の第一級ショーをおさめた記録映画として公開当時も話題になったが、ドメニコ・モドーニョやアンリ・サルバドールらの歌はいまきいても楽しい。だがどうにもごまかしきれないのが編曲の古さだ。音楽のなかでいちばんはやく腐っていくのが編曲の部分だといってもいいだろう。逆にいえば特殊なねらいをもつ場合をのぞいて、編曲はつねに新しい生命を求めなければならないのだが、どういうものかテレビの音楽番組は編曲が古い。
そのなかでは「ステージ101」(NHK)で毎週みせている東海林修の仕事に注目したい。たいへんな売れっ子アレンジャーだがこの番組がはじまってから、ほかの番組で彼の名前をみかけなくなった。この仕事に全力を傾注しているのではないかと想像されるが、もしそうだとしたらリッパな態度だといわなければなるまい。
東海林の編曲でいちばん重要なのは、オーケストレーションの域を完全に脱却している点であろう。むしろサウンド・クリエーターといったほうがふさわしく、「ステージ101」でもビッグ・バンドを使っていない。エレキを主体にシャープな現代のサウンドをつくりあげているのである。いまアメリカで評判になっているアイザック・ヘイズのサウンドをいちはやく採りいれたのも、おそらく彼が最初だったと思う。
「ステージ101」のメンバーに簡単な楽器を演奏させているのもいい。シンプルなテクニックで何かを感じさせるサウンドを志向するなら、どうしても即興(インプロビゼーション)の部分を拡大していく必要がある。メンバーに楽器演奏をさせているのもその含みがあるからだろう。出演者をはじめとするまわりの人間が、これからも東海林の仕事を理解しもり立ててほしいものだ。(河)