※この感想はblogからの転載になります。 |
■VANTAGE POINT〜バンテージ・ポイント |
アメリカ大統領暗殺を目撃した8人の視点から描いたアクションサスペンス映画、『VANTAGE POINT』を観に行って来ました。いや〜、上映時間90分だけあって、怒涛の展開が連続するジェットコースタームービーで見応えがありました! 大統領を警護するシークレットサービス役に『The Day After Tomorrow』のDennis Quaidと、大人気TVドラマ『Lost』のMatthew Foxが演じ、たまたまハンディカメラを撮っていた観光客役に『The Last King of Scotland』でアカデミー賞主演男優賞を獲ったForest Whitaker、大統領演説の模様を生中継していたテレビ局のプロデューサ役に『Alien』シリーズのSigourney Weaver、そしてアメリカ大統領役に『A.I.』や『A History of Violence』など出演していたWilliam Hurt…と、渋いながらも何気に実力派を揃えていてキャスト陣が豪華。 物語の舞台はスペインのサラマンカ。この地で、アメリカの大統領を中心に五大陸のリーダーたちが集まり、テロ撲滅を目指す構想を話し合う為の歴史的な首脳 会議が開催されようとしていた。それに先立って、マヨール広場で大統領のスピーチが開催されることになり、その歴史的場面を一目見ようと数多くの市民や観 光客が集まっていた。もちろん、その模様は全米に生中継されていた。しかし、壇上で大統領がスピーチを始めようとした矢先、彼は何者かに狙撃されたのだっ た。しかも、その後に広場の外で爆発が起こり、人々がパニックに陥る中で更に大きな爆発が広場の中でも起こり、犠牲者が多数出る大惨事になってしまった。 …という話で、大統領を狙撃したのは誰か、爆発を起こさせたのは誰か、その先に隠れた真相は何なのかを、この事件に関わる8人の異なる視点から描いています。 アメリカ大統領暗殺事件が起きるまでの23分間、この事件に関わることになるシークレットサービスや、TVプロデューサ、観光客など…8人の登場人物の視 点が次々と描写されていきます。つまり、同じ場面が何度も繰り返されるわけですが、当然それぞれの立場が違うので同じ事件の目撃者でも視点が違うので、 「同じシーンを何度も見せられている」という感じはありません。 映画のタイトルである『Vantage Point』は、「見晴らしの良い場所」、「情報の集まる場所」みたいな意味合いがあり、8人の異なった視点が全て合わっていくことで、最初の方は見えて いなかった真相がどんどん判っていくので、緊張感がどんどん上がっていき最後まで飽きずに楽しめました。 8人の視点が事件に関わるというのに、上映時間を90分でまとめているところも凄い!普通にテレビ局でこの映画が放送された場合、通常の2時間枠でもノー カットで放送できちゃう!その分、本当に最初から最後まで怒涛の展開の連続でノンストップアクションという表現をしてもおかしくないので、観ている方も気 が休まりません(笑)。 後半はいかにもハリウッドのアクション映画らしい展開なんですが、事件に関わる人達の緊張感などがリアルに伝わってきて、鑑賞後に疲労感を味わうことがでいる作品だと思います。 【注意】以下、ネタバレを含んだ感想になります。 この作品は、「大統領を狙った犯人は誰なのか?」と推理も楽しめますが、シークレットサービスの一人である主人公のThomas Barnesを現場復帰させた人物が怪しいというのは直ぐに判ったんですが、まさか次から次へと事件に関わった犯人が出てきて、テロ組織の巧妙さと恐ろし さを痛感しました。 あと、脅迫を懸念した大統領側が「替え玉」を使うっていうことにも単純者だったのでビックリしました。しかも、その事を「読んでいた」テロ組織側も凄い…。 短時間の中で怒涛の展開をしておきながらも、人物描写が丁寧に描かれていたので、キャラクターの心情が判り易くて良かったです。 特に冒頭に登場した、現場を中継する女子アナ(『Pirates of the Caribbean』のAnamaria役を演じたZoe Saldanaだった!)が、アメリカ大統領がスペインの国民にどう思われているのかをアドリブで喋っちゃって怒られても、「事実を伝えただけよ」と男前 だったのが、大統領狙撃を目の当たりにして動揺してしまい、涙ぐみながらもプロデューサに励まされ気丈にリポートしようとした矢先に爆発で犠牲になったし まった展開は悲しかった。これが無差別テロなんだな…とも痛感しました。 それに比べて主人公のThomas Barnesは凄かったですね。前半こそ、過去のトラウマがあってノイローゼ気味の少し頼りないシークレットサービスでしたが、真犯人を突き止めて追い詰 める後半の活躍ぶりったら凄かったですね。物凄いカーチェイスはもちろん、大破した車から自力で出て更に犯人を追っていく執念ぶりとタフさはハリウッド映 画ならではでした。 しかし、アメリカ大統領がテロに好戦的で無駄な血を流させていると思われ、地元の人々には批判されていると いうのを描写していたのはリアルでしたね。何故「犯人」が大統領を狙うのかも判るし、「裏切り者」が出るのも判る気がしました。現実は無いだろうけど、 シークレットサービスから「主犯格」が出たら終わりですよね。 |