※この感想はblogからの転載になります。

相棒−劇場版−絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン

 やっとこさ、テレビ朝日の人気ドラマシリーズの映画版、『相棒-劇場版- 絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン』を観て来ました。レディースデイということもあってか、公開から約一ヶ月経つというのに満席に近い入りでしたね。

  都内で猟奇的な殺人事件が発生し、現場に残されたあるモノから警察庁の特命課の杉下右京(水谷豊)は連続殺人事件と推測する。そして、相棒の亀山薫(寺脇 康文)と共に、この連続殺人事件を仕掛けている犯人を追跡していくが、そのなかで5年前に起きたある事件が関係していると気付き、犯人の最終目的が東京シ ティマラソンの数万人にも及ぶ参加者と観覧者であることを突き止めたのだった。

 …という内容で、リアリティを交えた設定に、シリアスなシーンの中にユーモアを交えた会話が、変にドラマチックに演出した展開も無く淡々と2時間展開していくわけですが、そこになんとも言えない"濃さ"というか"奥深さ"あり、最後まで飽きずに惹き込まれていきました。

 映画版ということでエンターテイメント性を高くしたせいか、テレビシリーズに比べて登場人物の深層心理などの描写が浅く、後半の展開には強引さと矛盾さも感じましたが、その辺は実力派の役者さん達の底力で、「魅せる映画」に仕上げていたと思います。

  右京さんの推理力と亀山の野生的なカンと行動力で犯人を追い詰めていくわけですが、犯人の動機というかその後の展開には非常に考えさせられました。人間は 様々な物事を忘れてしまうこともできるし、いつまでも覚えていることもできる。しかし、同じ物事を必ずしも全ての人間が覚えていたり忘れていたりするわけ ではないので、その認識の違いによって様々な"歪み"を生んでいくもんなんですよね。

 ラストの展開なんて、私も犯人と同じ立場だったら 許されない行動であろうと同じような行動をしていたかもしれないな…という、気持ちになりました。人間、ちょっとしたことで被害者にも加害者にもなってし まうんですよね。匿名の世界での人間の悪意の軽率さや、恐ろしさと愚かさを痛感しました。非常に身近な問題でもあるからこそ、鑑賞後に何とも言えない後味 の重さが残るんだと思います。

 あと、緊迫した展開を淡々と見せていく演出法や、出演者方…主演の水谷さんや寺脇さんはもちろんですが、 おじさま方の渋い演技は最高でしたね。どの方々も一癖も二癖もあるような方ですから、ちょっとした言動に"裏"が見え隠れしていて、非常に見応えがありま した。特に西田敏行さんは素晴らしかったな。久しぶりに西田さんのシリアスな演技を観た気がします。

 実力派の役者さんがちょこっとした役で出たりしていて、なんとも贅沢な起用の仕方をしているなぁって感じましたよ。テレビシリーズからの準レギュラーの方はもちろん、友情出演された某役者さんの登場シーンにはウケました。




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