SHARK TALE〜シャーク・テイル

 実は『ローレライ』を観たかったんだけど時間が合わず、前日にTVKの『saku saku』で話題にしていたから観たという不純な理由でこの作品を選びました(笑)。アニメ映画を劇場で観るのはすごい久しぶりでいしたが、映像の美しさには圧倒されましたね。なんか、時代に取り残された感じ。

 『シャーク・テイル』というタイトルなので、「サメの話なんだ」と直訳していましたが、「Shark」という言葉には「詐欺師」という意味のあるんだと映画を観終わってから知りました。つまり、この映画はお調子モンのジャック(嘘をついて成り上がるので詐欺師?)と、ベジタリアンに悩むサメのレニーの2匹の話を軸に展開していくっていう話でした。

 この作品は、アニメ『シュレック』シリーズで有名なドリーム・ワークス製作で、魚のアニメというと2003年に大ヒットしたディズニーアニメの『ファインディング・ニモ』を思い浮かべるし、『〜ニモ』には「ベジタリアンを目指すサメ」が登場したけど、この「シャーク・テイル」には「ベジタリアンのサメ」が登場するなど、かなり『〜ニモ』を意識した作りになっていると感じました。ただ、設定そのものは全然違います。海の中をリアルに再現した『〜ニモ』と違い、『シャーク・テイル』の海の世界は人間世界がそのまま反映されていて、上で泳ぐ魚は上流階級、地底に近いところで泳ぐほど下流階級などという縦社会が存在し、魚たちはそれぞれ家(高級マンションまである!)や店なども持っているという設定。また、声を担当した役者の顔と魚の顔を似せているというのもユニークなところ。その魚が出て来ただけで、「あ、この魚の声はあの人だ!」と判るくらい。だって、ロバート・デニーロが担当するサメの親分の顔にはしっかりホクロまであるのだ。ウィル・スミスが担当する主人公のオスカーだって、気分が良くなればラップを歌い出したりして可笑しい。彼らじゃないと声が似合わないという感じになっているだけに、吹替え版で観ちゃうと違和感があるかもしれない珍しいアニメかも。
 また、ドリームワークスといえばスピルバーグ監督が立ち上げた会社、スピルバーグ監督と言えば『ジョーズ』。同じサメを扱う映画でも全然違う上に、『シャーク・テイル』では『ジョーズ』のテーマソングを口ずさんだり、映画のシーンをパロッたりと遊びたい放題。しかも、サメが街のマフィアという存在になっていて、『ゴット・ファーザー』のパロディもあったりで映画好きにはたまらないし、成り上がりスターとなったオスカーは色んなCMや雑誌にも引っ張りダコになるんだけど、それがすべて実在する企業をパロッているから笑える。アニメでありながら、大人の遊び心が多く盛り込まれた作品だと思います。

 話は、雑魚のオスカーはいつか有名になって大金持ちになることを夢見ているが、上司への借金ばかりが山積みになり命も危ない状況。しかし、ある日サメに追いかけられ逃げ惑っていると海の上から錨が落ちてきてサメは死亡。その場に居合わせたクラゲ達がオスカーが倒したと勘違いし、オスカーもサメを倒したのは自分だと名乗り、サメ殺しのオスカーと一気にスターにまで昇りつめる。しかし、マフィア(サメ)のボスのドン・リノが息子を殺した魚の復讐を誓っていることを知り、焦ったオスカーは偶然にも自分がベジタリアンだからマフィアから抜けたいと悩んでいるレニーにというサメに出会い、二人(二魚?)は奇妙な友情で結ばれ一芝居うつことにするが…というもの。

 先に書いたけど、映画パロやらキャラクターが声優に似せていたりと、遊び心がメインになっている感じで話そのものは意外にありきたりです。後半のオスカー達vsマフィアの展開はこれといった意外性もなく、ラストのサメの親子の和解の展開もほのぼので「ふ〜ん、こんな感じか」という程度。面白かったけど、映画の話そのものが面白かったのではなく、パロディやキャラの個性が面白かったという印象でした。余計なものに凝り過ぎて、肝心の話が陳腐なものになってしまった…というのかな。映像が綺麗だっただけに勿体無い。




 …で、本来だと、こっからミーハー語りをするんだけど、ミーハー語りをする内容でもない(笑)。OPのサメのレニーが『ジョーズ』のテーマソングを口ずさみながら登場して、自分の姿を見て気を失うミミズを助けてあげるシーンは面白かったんだけど、その後にオスカーが登場してラップを歌いながら今の状況を紹介していくシーンから退屈で…。アニメ用のPVをずーっと見せられているような感じで、「まだ話は進まないのか?」と思ってしまったほど。むしろ、レニーが登場しているシーンの方が話しが進み面白かったり、ちょっとバランスの悪さも感じたな。お子様が見るには少し大人びた設定だし、大人が見るには遊びが過ぎていて退屈。だけど話が進めば面白い。なかなか複雑な作品です。

 正直、一番面白かったのは、この作品が始まる前の次回作の予告でした(笑)。ドリームワークス製作のアニメ『マダガスカス』という作品で、動物園の動物たちが「野生に帰ろう!」と脱走を試みる話らしい。通常だと、可愛らしいキャラに描かれるペンギンが妙に性格悪く描写されているし、キリンがあっちこっちこ首を突っ込んで抜けなくなっているし、すごく面白そうでした。
 …て、こんな感想はなし?

 


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