■Lemony Snicket’s A Series of Unfortunate Events 〜レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語 |
本国アメリカでは大ベストセラーな児童小説『世にも不幸なできごと」シリーズを映画化した作品で、ジャンル的には冒険ファンタジーになるそうだ。個人的に子供が主演の作品て苦手だったりするんだけど、ジム・キャリーが悪役で出演していると知れば観ないわけにはいかないっ!…で、実際に観てみたら、久々にジム・キャリーの怪演っぷりが観れたし、主演の子役3人が良いんだわっ♪特に長女ヴァイオレット役のエミリー・ブラウニングがクラシカルな佇まいの中にキュートさあって良かったよぅ。いや、ホントに観て良かった。 作品の内容は、富豪の家庭に生まれた個性的な3姉弟達(長女=発明家、長男=読書の虫、次女=最強の噛み癖)は毎日平和に暮らしていたけど、ある日、謎の火災で豪邸と両親を失い孤児になってしまう。そして、遠〜過ぎる親戚(?)であるオラフ伯爵が後見人を名乗り彼の元で生活していくことになるが、彼の目的は子供達の遺産が目当てだった。その為、子供達は次から次へと不幸や災難が降ってくるのだが…という話で、タイトルからも察しできる通り決して楽しい内容の作品ではないのだけど、子供達は力を合わせてオラフ伯爵の陰謀に立ち向かって行く姿が爽快で、決して陰湿な作品ではありません。 ファンタジーのせいか、全体的に昔のヨーロッパを思わせるような風景でちょっと奇妙な光景もあったりで、個人的にはティム・バートン作品と雰囲気が少し被りました。 3人の子供達はオラフ伯爵の目的を知り命まで狙われるハメになりますが、ピンチの度にお互い力を合わせて乗り越えて行きます。特に、ヴァイオレットは発明家で何か閃くとリボンで髪を結ぶ癖があり、彼女が髪を結びはじめると「おおっ!」とワクワクするようになっちゃいます。あと、次女のサニーは2歳になったばかりで言葉はまだ喋られませんが(彼女独自の言葉は確立している)、と〜っても賢い上に最強の6本の歯を持っているので時には上2人よりも活躍することがあり、見ていてと〜っても頼もしい。長男のクラウスは一見パッとしないけど、一度読んだ本は暗記してしまい、知識は豊富で暗号やらを解読するのが得意。だから、意外に最強なトリオの子供達がどこか抜けているオラフ伯爵にどう対抗するか、無意識に期待していってしまうのです。 そして、子供達に何度も逃げられてしまっても、次から次へと(時には変装して)執拗に追いかけて来るオラフ伯爵のクレイジーぶりは見物。たぶん、まともな登場の仕方は一度もない(笑)。本当に「こんな奴に遺産狙われているなんて可笑しいけど不幸っ!」と思ってしまう。 また、両親を亡くした火災の原因も物語の鍵になっていて、ただ孤児になってしまったが為に遺産を狙われるようになった…という展開にはしていない。児童小説だけあって、家族の絆はちゃんと描かれているしね。 ただ、これだけ奇想天外な展開でいった割にはラストがちんまりとまとまり過ぎという印象が残りました。最後の最後にもう一つオチが来るのかな〜?なんて期待しちゃったので、あっさり終わってしまってちょっと拍子抜けでした。ただ、続編があってもおかしくない終わり方だかったから、続編を意識してあっさり終わらせたのかな?個人的には、最後にブラックジョークの効いたオチが欲しかったけどね。だから、気分的には評価は★2つ。だけど、ジム・キャリーの怪演ぷりの1つ追加でトータルで★3つになったのだ。 最後の最後といえば、エンドクレジットが紙芝居のようになっていて凝っていました。3人の子供達がオラフ伯爵から逃げている様が表現されているんだけど、そのデザインといいスタッフロールの出し方といい、非常にユニークでした。だから、最後の最後まで楽しく観られました。 そうそう、この作品は出演者が豪華で、語り手のレモニー・スニケット役はジュード・ロウなんだけどシルエットだけの登場で一度も顔が映らないという贅沢さっ。また、おばさん役にメリル・ストリープが扮していて、極度の心配性でかな〜り個性的な演技が楽しめました。あと、ダスティン・ホフマンがあるシーンでカメオ出演していてビックリした。 児童小説だから子供向け作品かなと思ったんだけど、大人も十分に楽しめるファンタジー作品でした。むしろ、オラフ伯爵のズル賢さや悪っぷりは大人だからこそ楽しめる部分も多いと思います。続編に期待したいな〜。 …で、本来だと、こっからミーハー語り。 先にも書いたけど、とにかくオラフ伯爵役のジム・キャリーが凄いんだわ。台詞のほとんどが彼の即興だったらしいんだけど、伯爵でありながら職業は「謎多き役者」という設定なので、変に芝居がかった動作がハマッていました。ただ、顔など少し特殊メイクが入っているので、初めて劇場でトレイラーを観た時はジム・キャリーが出ているって気付かなかったんだよね。それぐらい、本来のジム・キャリーの姿はありません。『エターナル・サンシャイン』でのジムの面影は微塵もありません。なんか、ますます「ハリウッドはもっとジム・キャリーの演技を評価すべきだっ」って思ってしまいました。 あと、かなりインパクトのある風貌なんだけど、役者という設定だけあって衣装が奇天烈なんだけどカッコよくて、ジム・キャリーてやっぱスタイル良いんだなぁ〜とか思ってしまった。それから、大袈裟なジェスチャーしている時の方が普通に見えるところも凄かったわ(笑)。やっぱ好きだわ〜♪ ヴァイオレット役のエミリーはホントにキュート。正統派美人てわけではないんだけど、数年後には個性的な美人女優さんになっていそうです。クラシカルな服装が似合っていたから、古典劇でもいけそうだよなぁ。非常に将来が楽しみです。 将来が楽しみといえば、これがデビュー作品になるサニー役を演じたカラ&シェリー・ホフマン(双子で一人の役を演じていたのかな?)。あどげない笑顔の奥に、大人独特のズル賢さも垣間見れて末恐ろしさを感じました。オルセン姉妹のようになるか? クラウス役のリアム・エイケンは姉妹に比べて頼りない姿(読書ばかりしている男の子)を見事に体現していて、クライマックスでサニーを助けに行くシーンなんて、「君で大丈夫か?」と思ってしまったほどだった。 正直言って、この3人は似ているとは言えないんだけど、3人共通してクラシカルな雰囲気が似合っているから、姉弟という設定にまるで違和感がない。むしろ、3人揃っていないと違和感を覚えてしまうくらい、3人の息がピッタリ合っていた。 凄い豪華だな〜っと思ったのが、ジム・キャリーとメリル・ストリープとのシーン。一見真面目なやり取りに見えるんだけど、言っていることはしょーもない騙し合いでお互いがクレイジーなキャラだから可笑しいのなんの。特にメリルなんてオスカーも受賞した実力派の名優なのに、クレイジーぶりはジムに負けていませんでしたよっ。いや〜、最期はヒルにやられちゃって残念だったわ。 両親と家を失って子供達は不幸のどん底に落ちてしまったけど、前向きに生き抜いていこうって姿が観ていて爽快感がありました。それに、「迷子の手紙」のエピソードにはちょっとジーンときました。そのエピソードがラストにも活かされ、両親を失った後に子供達の元に再び両親から「迷子になっていた手紙」が届いたってラストは、本当にハッピーエンドだったわ。 でもさ、あのオラフ伯爵は周囲と欺いてまんまと姿をくらましちゃったわけだから、ま〜た子供達を追って来る可能性は大なんだよね?ね?つまり、続編てこと?子供達が成長し過ぎる前に続編やって欲しいなぁ。別キャストになっちゃうのも、ちょっと寂しいし。 |