Thinkpad s30へのVineLinuxのインストール
2001年 7月15日
1.購入編
昨年の夏に購入し、普段持ち歩いて使っていたノートPCが突然故障してしまいました。ビデオの信号線に不具合が出たようで、起動しなかったり、起動してもブラックアウトしたりと、とても常用には耐えられない状態となってしまいました。
仕方ないので、次のマシンを物色。Libretto、
FIVA、Thinkpad s30の3機種に絞って情報収集。
Librettoは何といってもキーボードが大きく打ちやすいのが特徴。重さもまぁまぁ。
FIVAは軽さが特徴。この中で
は一番軽くて、持ち運びには便利。ただ、キーボードはともかくとして、ポイン
ティングデバイスが異様に小さくて使いにくいのが難点。
Thinkpad s30は3機種のなかでは一番重く値段も高いのが難点。但し、その分キーボードは大きいし、バッテリの持ちも一番。画面もXGA。
散々迷った挙げ句、Thinkpadを購入することに決定。やっぱりバッテリの持ちが一番なのと、IBMのサポートが一番手厚そうなのが決め手かな。
巷では、ミラージュブラックのiシリーズに話題が集中していますが、WinMeにはハナから興味なし。当然、Win2kモデルを入手。無線LANか有線LANか迷いましたが、お金もないし有線LANモデルの方にしました。(町田にあるヨドバシにて購入)
2.Linuxインストール編
いくらWin2kモデルとはいっても、Linuxのインストールは必須。手軽に安定した環境が構築できる
Vine Linux 2.1.5をインストールするこ
とにしました。
Thinkpad s30はFDDもCDROMも何もついていないので、そのままインストールするのは難しいです。いろいろ情報を集めた(例えばここ)のですが、最近暑いし、難しいことを考えるのが面倒くさくなったので、今回は贅沢路線で行くこととしました。
ということで、純正のFDD及びPartition Magic 6.0を追加購入。まぁ、ポイントも
たまってるし、それほどきつい出費ではありません。
ただし、問題が一点発生。ピカピカではないFDDが欲しかったのですが、在庫無し
とのことで、仕方なくミラージュブラックのFDDを購入。なんだかなぁ。(苦笑)
さて、まずはPartition Magicのインストール。母艦のCDROMにCDROMを入れ、ネッ
トワーク越しにインストールしました。まぁ、これは簡単。でも、母艦も無い人は
CDROMを買うしかないですね。
とにかく、インストールを終了しPartition Magicを起動。なんだか、D2Dの領域が
変なところ(HDDの後ろの方)にあるみたいなんだが、Cドライブ自身は特にデフラグ
も必要なさそうなので、思い切ってまずCドライブを縮小。取説を見ながら操作し
ましたが、それほど操作自身は難しくはない。
開いた領域にLinux用のパーティション(/、/home、/swap)とデータ交換用にFATの
パーティションを作成。作成後、勇気を出して書き込み。(笑)
再起動し、何やらHDDにアクセスしてごそごそやっているな、と見ていると、各パーティションのフォーマットまでやってくれているみたい。うーん、さすがは金を取るだけのことはある。(謎)
その後、無事Win2kが起動。あー、良かった。
さて、パーティションも切り終わり、ようやくLinuxのインストールだ。とりあえ
ず母艦にてインストール用のフロッピーを作成。
#dd if=bootnet.img of=/dev/fd0 bs=512 count=2
ThinkpadにFDDを繋ぎ、フロッピーを入れて再起動。おぉ、インストーラが起動し
ている。当たり前だろうけど。
今回は、ネットワークインストールなのでnfsでのインストールを選択。後は手慣
れたインストール手順で無事終了。今回は、NTローダを使ってデュアルブートさせる予定なのでLILOはMBRではなくLinuxパーティションに導入。
インストールを終了したところで、問題が発生。フロッピーがUSBなのでインストー
ル途中でブートディスクが作成できない。しかも、Win2kなのでDOSモードにして
loadlinを使うことも出来ない。まぁ、予測できたことではあるけど。
どうしようかと思ったが、物は試しと、PC-DOSのシステムディスクにvmlinuzとloadlinをコピーして起動させたら、あら不思議。USBのフロッピーからでもブートできるじゃん。
ということで、
#dd if=/dev/hda5 of=bootsect.lnx bs=512 count=1
で、Linuxのブートセクタをファイル化。ファイル交換用に作っておいたFATパーティ
ション経由で、C:\へコピー。当然、Win2kを起動してね。
C:\boot.iniを可視化して以下のような1行を追加。
C:\bootsect.lnx="Linux"
これで、再起動すれば起動したときにWin2kとLinuxを選択できるようになります。
"起動したVine Linuxの画面"
追加情報
このWebを公開した後、X11やサウンドに関して質問を受けましたので情報を追加
します。
まず、X11について
基本的に、インストール時のX11の設定(Xconfigulatorが動作)で認識してくれるは
ずなんですが、駄目な場合には一旦諦めて後ほどXconfigulatorまたはXF86Setupで
設定すればよいでしょう。
その際にパラメータとして、
ビデオカード:SMI Lynx 3DM(generic)
ビデオメモリ:4M
モニタ :Generic LCD Panel 1024x768
を選択すれば良いでしょう。
色数は、私は16bitで動かしています。24bitは問題が出ることが多いので、いつも
あえてフルカラーにはしていません。まぁ、16bitあれば困ることはないし。
私の使っているXF86Configはこちらからどうぞ。
サウンドについて
現在のカーネルに付いているOSSのドライバではうまく音が出ないようです。
そこでALSAのドライバ、特に最新のものが良いようなので、Vineの
FTPサイト
にあるVine Seed Plusから、
alsa-driver-0.5.11-0vl1.src.rpm
alsa-lib-0.5.10b-0vl1.src.rpm
alsa-utils-0.5.10-0vl2.src.rpm
の3つのファイルをダウンロード。また、Vine Plusから、
alsaconf-0.4.3b-0vl1.noarch.rpm
をダウンロード。
どうも順番が重要なようで、まずalsa-driverのソースを展開し、
rpm -bb alsa-driver.spec
で、コンパイルしRPMパッケージを作成。と、言いたいところですが、何やら
libtoolizeがないというエラーが出てる。調べるとこいつは、libtoolに含まれて
いるようなので、先にこちらをインストール。ようやく、パッケージが作成された。
で、できたパッケージをインストール。
次に、alsa-libのソースを展開しパッケージを作成。
rpm -bb alsa-lib.spec
できたパッケージをインストール。
こんどは、alsa-utilsを同様にソースからパッケージを作成し、インストール。と
思ったら、ncurses.hがないというエラー。
仕方なく、ncurses-devel-4.2-25vl1.i386.rpmをインストールして、再度パッケー
ジ作成し、インストール。
最後に、alsaconf-0.4.3b-0vl1.noarch.rpmをインストール。
以上、4つのパッケージのインストールが終わったら、
/sbin/snddevices
を実行し、デバイスファイルを作成。
そして、alsaconfを実行。Intelのドライバを選択する(frame sizeは全部128とし
た)。
次に、alsamixerを実行し、音量を設定。MasterとPCMを適当な音量に設定すればよ
いでしょう。音量を設定したら、Alt-QまたはEscで終了させます。
以上、設定が終わったら、ALSAのデーモン(alsasound)が動いていることを確認し
て、
aplay /usr/share/sndconfig/sample.au
を実行してみましょう。これで、男性の声が再生されればOKです。
ちなみに私の場合は、最初まったく音が出ず、alsasoundを何度もstopしたり
startさせたりしました。自動認識があまりうまくいかないみたいです。何度か繰
り返すうちに音が出るようになり、まぁ、いいか、って感じで使っています。
でも、s30はあんまり音は良くないですね。
最後に、USB Memory Key
先日、いきなりIBMからUSB Memory Keyが送られてきました。何でも、Club IBM入
会キャンペーンの抽選に当たったとのこと。
こいつは、容量が8MBしかない上にUSBなのであんまりLinux的にはおいしくないの
ですが、せっかくですから使ってみたいですよね。
で、調べると、こちらにしっか
りVineでの使い方が出ていますね。
rootになって、/etc/usbmgr/usbmgr.confに以下のような記述を追加します。
# Disk on Key [IBM]
vender 0x8ec product 0x10 module scsi_mod , sd_mod , usb-storage
ちなみに、#の行は単なるコメントです。
書き換えたら、
update_usbdb /etc/usbmgr/usbmgr.conf
を実行して、内容を反映させます。
で、おもむろにUSBポートにUSB Memory Keyを挿します。/var/log/messagesを確認
すると、どうやら、/dev/sda1として認識されているようです。
そこで、
mount -t msdos /dev/sda1 /mnt/key
のようにマウントしたところ、うまく使えているようです。
それにしても、USBに挿すと、LEDがなぜか蛍のように点滅するのは一体何なんでしょ
う。(苦笑)
さらに追加情報(USBマウス)
普段はトラックポイントを使っているので、特にマウスの必要性は感じていませ
んが、トラックポイントって少々反応がにぶいなぁ、って感じることがあります。
先日、某量販店に行ったとき、ロジクールからちょっと変わったマウスが発売に
なっていました。Mouse
Man Mobileというらしいのですが、なかなかお洒落って感じで思わず買っ
てしまいました。(笑)
まぁ、マウスなのでUSB接続でも問題ないだろうし、最悪W2kで使えればよいでしょ
う。念のため、Webで検索をしてUSB機器の接続方法を調査。結局、以下のような
方法でバッチリでした。
前提としては、usbmgrがインストールしてあることが必要です。まぁ、最近のディ
ストリビューションでは入っているでしょう。
まずは確認から。rootになって、
/sbin/dump_usbdev
を実行してみましょう。
class 0x9 subclass 0x0 protocol 0x0 module
てな感じの表示がでるはずです。この中の"class 0x9"というのがs30に内蔵され
ているUSBハブを示しているそうです。
では、USBマウスを装着し、再度
/sbin/dump_usbdev
を実行してみましょう。今度は、先ほどの表示に加えて、
vender 0x46d product 0xc00f module
の様な表示がされるはずです。これが接続されたUSBマウスのハードウェア情報
です。
では、この情報を元に、/etc/usbmgr/usbmgr.confに
vender 0x46d product 0xc00f module hid mousedev
という記述を追加しましょう。保存してから、
/sbin/update_usbdb /etc/usbmgr/usbmgr.conf
を実行し、設定を反映させればOK。めでたくUSBマウスが使えるようになります。
少し前だと、ホットプラグが出来ないなどと言われていたこともありますが、抜
き差しに関しては特段問題はありません。トラックポイントとの併用も問題なく
便利に使えています。
最初、XF86Configの書き換えが必要だな、と思っていたのですが、よくよく中を
見ると最初から設定されていたようです。Vineに限らず最近のディストリビュー
ションはそうなっているんでしょうね。
追加情報(無線LAN)
家の中を同軸ケーブルが走り回るのもなんとも見栄えが悪いので、話題の無線
LANを導入しました。いろいろセキュリティがらみで問題が指摘されていますが、
まぁ、SSIDとWEPを設定しておけばそれほど問題ないでしょう。それを破られる
のが問題だとすると、そもそも常時接続自体をやめた方がよいということになり
ますから。
今回購入したのは、メルコのAirStation WLS-L11GS-Lというもので、無線LANカー
ドが一枚付属してくる製品です。私のs30は有線LANモデルなので、PCMCIAカード
を用いなくてはならないもんでこうなりました。
ちょっと平凡すぎかもしれませんが、最初は定番の方がよいでしょう。なんか無
線LANはハマリやすいみたいですから。
#実際、思いっ切りハマったんですけどね。(苦笑)
とにかく大切なことは、必ず有線でプロバイダに接続できるように設定する、っ
てことです。最初から無線ですべてやるのはまず無理です。有線で確実に接続で
きるように設定されていれば、仮に無線で接続できなくても無線のところだけ集
中して調査すればよいわけですから対処が楽です。
はっきりいってメルコのAirStationの取説は問題にしようもないくらい不備が多
いです。ブラウザを使ってかなり詳細な設定ができるのですが、それに関しては
何の記述もされていません。結局、Web上を駆けずり回って情報をかき集めて初
めてうまくいったという具合でした。
#しかもブラウザを使うくせに窓マシンからでないと設定できない。(怒)
以下では、有線で接続を確認し、SSIDやWEPの設定を行ったという仮定の基に説
明します。
まずは、VinePlusからwireless-toolsをインストールしましょう。
次に、/etc/pcmcia/add.confに以下のような記述をします。
card "Melco AIRCONNECT WLI-PCM-L11"
manfid 0x0156, 0x0002
bind "wvlan_cs"
module "wvlan_cs" opt "port_type=NN network_name=XXXX"
ここで、port_typeには無線LANで使用するチャンネル(1から13まで)、
network_nameには設定したSSIDを指定します。
次にnetcfgにてeth1に無線LANの設定をします。ちなみに、eth0には付属の有線
LANの設定がなされています。
ここで、ひとつ分かれ道になるのですが、固定IPでやるのか、DHCPを使うのかで
す。
あちこちに持ち出して、いろいろなところで無線LANにつなぎたい人はDHCPを使
用するんでしょうね。もっぱらLANは家庭内だけ、外ではスタンドアローンかPPP
という人は固定にした方がよいでしょう。
DHCPは便利なんですが、DNSが引けなくなるので家庭内でほかのPCとのやり取り
が不便になってしまうんですよね。(良い解決方法はあるんでしょうか?)
まず、固定でやる場合。
netcfgを実行して、eth1を選択し、編集ボタンを押してIPアドレス、ネットマス
クを設定し、インターフェース設定プロトコルを"none"にします。
さらに、ブート時にインターフェースが活動しないように設定しておきましょう。
これをしておかないと、起動にすごく時間がかかってしまいます。
ついでにeth0の方もブート時に起動しないように設定しておきましょう。有線
LANはとりあえず使わないわけですからね。
つぎ、DHCP。
dhcpcdがインストールされているのが、前提です。(笑)
この場合は、IPをブランクにして、インターフェース設定プロトコルをdhcpにし
ます。やはりブート時にはネットワークが起動しないようにしておきます。
いずれの場合も、これでリブートさせればOK。
ところで、何で起動時にネットワークが起動しないようにしたかというと、どう
も無線LAN関係のドライバがまだ不完全だからです。
無線LANを(安全に)使うためには、チャンネル、SSID、WEPの3つを指定しなけ
ればならないのですが、wvlan_csを使う場合には、あらかじめチャンネルと、
SSIDしか設定できないのです。で、ドライバがロードされてから、iwconfigコマ
ンドで、WEPの指定をしなければなりません。
で、動かないものは最初から立ちあげない、っていうわけです。
さて、リブートしたら無線LANカードを差し込みます。ピッ、ピッと2回音がす
れば認識は成功。
おもむろに、
ifup eth1
とeth1を起動し、次に、
iwconfig eth1 key s:YYYY
と、WEPの設定をします。ここで、YYYYのところは設定したWEPの文字列です。
これで、無線LANカードのLEDが光ってくれれば、成功。無線LANが使えるように
なっているはずです。
Top
Last modified: Sun Jul 7 17:00:00 JST 2002