サウンドカード(ART-838)のデジタル・入出力改造
(第一弾) 04/01/99

まずは、このChipが乗っているサウンドカードはこんな顔をしている。

なんとまあ、すっきりした顔立ちでしょうか。すでに、S/PDIFの同軸出力は、このカードに用意されている。入力は?というと基板上に入力用のピンが出ているだけで、そこにS/PDIF信号線を接続しろ、ということだ。



改造第一弾は、光(TOSLINK)と同軸(RCA)の2入力自動切換えおよび光、同軸出力。






入出力用のTOSLINK2つと同軸入力用のRCAジャックを、どうやって組上げようか考えた末、基板上に配置されている、MICジャックとGAME/MIDIコネクタを取り外し、そこに配置することにした。MIC入力は今まで、使ったことが無いので、多分この先も使わないだろう、ということ。
まずは、ばらしたところ。


プレートにRCAジャックを取付け、基板には、GAME/MIDIコネクタ用の穴を利用してそこにTOSLINKを配置した。TOSLINKには固定用のネジを取付ける部分があるが、邪魔になるので、その部分をカットした。ニッパーで簡単に切断できる。

仕上がりは、こんな感じ。同軸入力部分は、74HCU04の、いわゆるC−MOSアンプで受けた。配線は、極力短くして2本(信号線とGND線)を撚って配線した。単線や長さが長いとノイズを拾う。TOSLINKからの信号との切り替えは74LS00で行った。 基板のパターンを追いかけていくと、ChipのS/PDIF入力ピンの部分にCとRが付いている。Rは+5Vから直列にGNDに向けて挿入されているので、どうやら+5Vを分圧して+2.5VバイアスをChipの入力端子に加えているようだ。LS00の出力がTTLレベルなので、+2.5Vのバイアスを加える必要が無いのでこのCとRを取ってしまう。



デジタル出力は、同軸用に74HCU04を3つパラ接続しコンデンサでDC成分をカットして基板にあらかじめ付いているRCAジャックに接続。(出力用のRCAジャックからパターンを追いかけていくと、基板上のジャンパ・ピンにぶつかるが、ここにチップ抵抗があるので、これを外す必要あり) また、TOSLINK用には、あまった74HCU04のインバーター経由で接続。
出来上がりは、こんな感じ。

これで、準備よし。 が、しかし、動作させると問題多発!!!
同軸からの入力だと、音がバリバリになる。TOSLINKからだと問題無い。なんだこれは?音源(ポータブルCDやPCMプロセッサー)を変えると、今度は同軸の音は問題無いが、TOSLINKからの入力がバリバリになる。どうやら、このChipは入力の選り好みをしているようだ。ためしに音がバリバリの場合、74HCU04のインバーターを1段追加するとバリバリは無くなる。このChip、入力の位相がChipに合っていないと正しくS/PDIF信号を復調できないようだ。本来S/PDIFの信号は位相に無関係のはずなのだが・・・

ここでの、結論:音がバリバリになる場合はインバーターで位相を反転すればOKとなる。


バリバリが無くなったところで、次なる問題発生!
同軸入力の音が、非周期的に途切れる。TOSLINK入力だと問題無い。ノイズの影響か?と思いきや原因は、TOSLINK(TORX-178)にあった。今回の改造では、同軸とTOSLINKの自動切換えをやっているが、その前提は「同軸とTOSLINKの同時接続はしない。どちらか片方への接続。」である。同軸へ接続している場合は、TOSLINK側(こちらには接続していない)の出力が「Hレベルである」、という前提でいたためだ。このTOSLINK(TORX-178)のデータシートをよく読むと、「出力は交流結合のため、入力が無い場合は、出力が不安定になる」と書いてある。まさしくそのとおりだった。TOSLINKの出力をオシロで見ていると、非周期的に、一瞬HからLへレベルが落ちる。このとき、切り替え用の74LS00がTOSLINK側を選択していたのだ。これでは、使い物にならないので、他のTOSLINKのデータシートを眺めていたら、TORX-178以外は、OKだ。よって、TORX-176に変更して、問題解決!

さて、デジタル出力の方はどうかというと、これまた、楽しませてくれる。
音がまともに出ない。オシロで出力をみると、きちんと信号が出ているのに、受け側のDAC(SONY DCS-703ES)の、Lock/Unlockの表示と、サンプリング周波数を表示する44.1KHzのランプが共に点滅している。
バッファーを追加したり、信号レベルを調整したりしたが、手のほどこしようがない。WAVファイルを再生させての、自己ループバックでは、まともにS/PDIF伝送が出来ているので、どうやらベースとなる伝送周波数が若干ずれているような気がする。現在のところ、お手上げだ!


改造第二弾へ続く!