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文学・芸術など創作方面を中心に、国内外の歴史・時事問題も含めた文化評論weblog

ほんとにあった!呪いのビデオシリーズについて


 オカルトカテゴリではなく、サブカルカテゴリで失礼します。

「ほんとにあった!呪いのビデオ」シリーズ、作業のBGM代わりとして一気に観賞したため、もうどれがどれに収録されていたのか覚えていないくらいです。
 Xシリーズと、他にいくつかのシリーズ(10かな)を残しましたが、もうお腹一パイです。あんまり一気に見過ぎたせいで、自分が書く作品まで心霊が入ってきました。そりゃ執筆しながら見ているのですから、当然といえば当然なのですが、これは下手な呪いよりも厄介です。
 さて。恐らく、ほとんどの人が気になることは『これってウソなの、本当なの?』ということ。作品として面白ければどうだっていい――というのが本当なのですが、こういうのは気になって眠れない人もあるかもしれないので、一応言及してみます。ただし、もうDVD自体が手許に無いので、もしかすると内容と巻数を間違っているかもしれませんが、そのときはご容赦ください。

 なお、以下「ほんとにあった!呪いのビデオ」は「ほん呪」と略させて戴きます。

面白かった/怖かった作品

ほん呪1 ※yahooにて、無料配信中
 記念すべき第一弾。一つの心霊現象を詳細に検証しており、他のほん呪シリーズとはひと味違います。
 メインを張っているのは「テレビに映り込む女性の影」。最後にはオチがあって、スタッフが検証中に部屋の隅上方から見下ろす顔が映っているというものです。ここで脊筋に寒いものが走りました。やってくれます。
 やってくれたお返しに、私はその顔を画像にして保存、拡大・トーンカーブでくっきりと抽出。おお、美人じゃないか。(笑) そこでまじまじと観察してみたわけですが、霊といえばお定まりのように薄緑色をしています。
 しかしこの霊、うす緑色の霊なのに、テレビに映り込むときには、服は白だし、髪は黒なんです。あれれ? 半透明うす緑色の霊は、どうがんばっても半透明うす緑色のままじゃないのかな。それとも、テレビに映り込めば、生前の色が復活するんでしょうか?
 霊が“実在”するなら、必ず“物質”であるはずです。物質なのに壁抜けをする――と反論する方がいらっしゃるかもしれませんが、壁抜けなども、量子力学で説明がつきます。我々人類も、壁抜けできる可能性はゼロではなく、実は限りなく低いだけなのです。そこで、実体が希薄な幽霊であれば、壁抜けできる可能性も極めて高くなります。
 また、電気の塊は壁を貫通することが科学的に証明されており、もし霊の素材が電子であるなら、空中を漂ったり、壁抜けや瞬間移動、電気機器を狂わせるくらいのことはお手の物でしょう。
 しかし、人間の眼やビデオカメラに知覚できる“色”となるとそう簡単な問題ではありません。人間に色が識別可能となるには、被写体が発光するか、反射するかの二つに一つです。
 自身が発光する場合は、服の陰影や、髪の黒色は表現できないでしょう。もし緑色に発光しているのであれば、それはそれで説明がつきます。しかし、時と場合によって生前の色が出てくる――というのは、いかにも都合が良すぎます。
 生前の色と同じ色を反射するのであれば、それ相応の物質で構成されており、それ以上の存在にはなれないはずです。同じような色を影つきで発光することは不可能です。当然暗闇では見えませんし、壁抜けや瞬間移動もできません。
 この作品が持つ、最大の矛盾点です。テレビに映る影か、浮かび上がった顔か、どちらかがインチキ、もしくは見間違いということ。

 さて。ビデオに出演した前の住人の談話によると、この美人の幽霊さんが寝ている間に耳許で「うふふ」と囁いてくれるそうです。しかも、音響学の専門家によれば年齢は15歳〜20歳程度。完璧です。是非ともウチへどうぞ(笑)、というわけでさんざん画像解析を掛けたわけですが、結局霊は来てくれませんでした。残念。


ほん呪 The Movie 2「うしのにくだ」
 演出が完璧な作品です。完璧すぎて明瞭に“やらせ”と解ります。(笑) あくまで“やらせ”であって、再現ビデオのようなものかもしれない。投稿された心霊映像などがウソか本当かは判別がつきません。解析しようにも、あまりにおぼろげすぎ。
 筋書き、電話が掛かってくるタイミング、女の子の悲鳴etc...どれをとってもB級ホラーそのものです。また、女の子が非常に上質であることにも注意。恐らく、モデル志望か、演劇学校の生徒さんでしょう。
 ただし、内容はぶっちゃけ、面白いです。ほん呪は非常にテンポの悪いシリーズなのですが、この作品に関しては歯切れの良いテンポで進み、次々にやってくるどんでん返しが、飽きさせません。
 本物を求める人には向きませんが、面白ければいい! という人にはお勧めです。ドキュメンタリータッチなので、B級ホラー映画とは臨場感が違います。

・収録中に、突然鳴った投稿者の携帯電話。進行上、聞こえるはずのない携帯電話の音声がバッチリ収録されている(あらかじめマイク取り付けてたのか?)

・FAX音(ネゴレーション)が混じる心霊現象は、よく考えてみると不自然。FAXの“ような”音と投稿者は言っていたが、どう聞いても完全なネゴレーション。FAXではなく、昔のモデムかもしれない。パソコンで解析すると、恐らくバレバレではないかと。

ほん呪SP3
 最強の「中古ビデオ」映像が見られます。これは本当に危ない……。何んの変哲もない女性の顔といえば確かにそうなのですが、これは、夢に見ます。うなされます。心臓の弱い方にはオススメしません。後のSP5で「2003090909」としても紹介されていましたが、これはインターネット上で違法配信された画像を見た男性が精神をおかしくして、入院してしまったそうです。
 他の映像は大したことありません。「巨大団地」をメインにしているようですが、オカルトマニアの、変な女子中学生が出てくるだけ。
 「霊公園」はしょぼい。大袈裟な演技などが、いかにも作り物、と思わせる。「漂流する霊」「コンビニの噂」は見間違い。
 「人影」はアストラル体の人物の動きが素晴らしく、なかなかの大作。捏造にしても、ここまでやる経費(監視カメラ設置代に、恐らく数十万円)と手間(3Dで人物を作成してそれを実際の背景と重ね合わせる作業は並大抵の努力では済まない)を考えた場合、どう考えても割に合わないので本物かもしれない。
 しかし、本物だとしても悪霊ではないので、怖くはない。私は霊のいる世界の方が生き甲斐がある(生前義しく生きた結果酷い人生を送った人でも、死後報われる可能性がある)と思うので、いたらいいなぁ、とは思うのですがなかなか本物だと証明できる要素が見つかりません。

ほん呪SP5
 これまた最強映像といわれる「井戸」が収録されています。真偽については、問題部分の画面全体に掛かっているノイズが、いかにもAdobe Premierで加工しましたと言わんばかりの、美しい人工ノイズなので、あらかじめ部屋で撮影し、用意しておいた映像と、井戸を撮影した映像を組み合わせたものだと思います。井戸を夜間撮影しても面白いものが撮れなかったために、奇妙な映像でごまかしたのが、ばっちりヒットしたのでしょう。

 試しにフォトショップでそれっぽいノイズを、友人が昔住んでいたあやしい部屋の画像に加工してみました。ノイズ生成のパターンそのものはPremierと変わらないはずです。元の画像をキャプチャーし忘れたので(レンタルして来ないと、無いのです)比較できないのですが、機会があったら見比べてみてください(もちろん検索すれば、ものの1秒で動画に行き着きます。自己責任で)

idofuu.jpg


 しかし不自然なく挿入するテクニック、視聴者の度肝を抜く発想など、レベルは高いです。本物の確率はかなり低いですが、伝説に残る名作でしょう。作り手の勝利ですね。
 ――と、ここを執筆していると、部屋で異音が連続して鳴り響いたのですが……。パチ、パチ、という音の後、女の人のうめき声が背後で聞こえました。私、大丈夫でしょうか。しかも、今、眼の前をクラゲみたいなものが漂っていたように見えました。
 こういう異音の正体は“いつも鳴っている”のに、神経が昂ぶって気になるだけ。うめき声は、外を通りがかった酔っぱらい女。クラゲみたいなものは、今現在発熱と下痢で苦しんでいるので、疲労が眼に来ているせいだと思います。
 でも、用心のためにも、今度デジカメでも動画モードで設置してみましょうか。面白いものが撮れるかもしれません。いくら私でも、自分で見間違いとは思えないような“本物”を撮ってしまったら、信じますよ。

 さて。話をビデオに戻しますが、個人的には最後の「日本人形」が最も強烈でした。たまたま、この映像の日本人形の眼を思い切り見てしまったのですが、それ以来頭に焼き付いてしまいました……。
 その後、ほん呪14にて、スタッフルームでの異常の前、日本人形の白い影が出ていることが発見されましたが……。

 そういえば、近所で日本人形が打ち捨てられていたことがありましたが、後日髪の毛をむしり取られていました。いたずらなのか、そこだけ価値があるのか……。無惨。せめて人形供養してあげればいいのにね。しかし、人形供養の残骸もまた無惨で……。

「失踪!」は迫力があってびっくりするのですが、どうしても嘘っぽくて。(笑)


ほん呪15
 以前18巻と間違えて紹介してしまった15巻(すみませんでした)。これは全体的には今ひとつのビデオなのですが、とにかく「事故」が凄い。これは撮影者自身が事故に遭う場面が収録されている、衝撃の作品。これは心霊とは別の意味で怖い。
 「夜釣り」は肝心な部分が撮影されていない。被写体がアップすぎて、全体像が掴めない。映っていない場所に何か都合の悪いものがあるのかな? と思ってしまう。
 「ニューロシス」は廃遊園地にて、鏡の間を訪れると、子供を虐待する声が鳴り響く――という作品。こういう作品だと、もう捏造か、そうでないかの判別は不可能。音の作品は、音響が場面と合っていないことを発見しても、それも『霊のせいだから』とされてしまうため。初歩的なプチノイズが入っていればバレバレだが、音声の扱いは映像の合成などとは、根本的に違います。


酷かった/つまらなかった作品

 全体のうち、7割超の作品が酷いデキです。
 象徴的なのは学生映画に女性の影が映り込む――というもの。あれはどう見ても撮影スタッフの影です。メイキングビデオには映っていないと言い張っていましたが、そもそもカメラの角度と、照明のカメラへの影響がまるで違います。映画の宣伝ができて、ラッキー、程度の考えでしょう。
 ほん呪20「焼け残った怨霊」の廃病院で浮き上がる生首は、どう見ても糸で持ち上げただけ。女の霊にしか興味がないので、解析はしませんが。(笑)
 ほとんどが見間違いと、学生ビデオ、後は“再現”ビデオでしょう。

 全体の2割程度の作品は、面白いのですが、すぐに作り物だと解ってしまうもの。

 しかし、残りの1割ほどは、完全に真偽不明です。どうやっても説明できません。防犯監視カメラの人体欠損なんて、もう完璧です。本物かもしれませんが、本物だと証明するのは限りなく難しいですし、本物だったら一体何がどうなるのか、想像もつきません。本物でもいいのですが、呪いだけは勘弁――ですね。むしろ、監視カメラの映像を勝手に投稿して許されるのかどうかが問題ですが。
 あなたの見たビデオの中に、ほんのいくつか本物が混じっていたら――そのスリルも、投稿ビデオならではです。

Posted at 2006/08/29(Tue) 23:37:45

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