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かつてのスターリンとエイゼンシュテインとの関係を思わせる中国

cnn.co.jp;中国当局が「天安門」描いた監督処分、カンヌに無許可出品と


北京──中国国家ラジオ・映画・テレビ総局が、今年5月のカンヌ国際映画祭に無許可で映画作品を出品したとして、中国の若手ロウ・イエ監督に対し、今後5年間の映画製作を禁止する処分を下した。中国国営・新華社通信が4日、伝えた。

 セックスと“天安門”という政治問題が絡んでいるための処分だそうだ。

 かつてソビエトにはエイゼンシュテインという天才映画監督がいた。独特のモンタージュ理論で、映画のあり方を大きく変えた人である。代表作は「戦艦ポチョムキン」「イワン雷帝」など。
 しかしどんな天才であれ、封建的共産主義国家による絶対支配の下では満足な制作ができなかった。エイゼンシュテインは常々スターリンに脅かされ、最期は心臓発作で亡くなる。
 彼の最期は単なる心臓発作ではなく“仕事による自殺”と言われている。彼にとっては、命を賭けた抗議の形だったのである。

 エイゼンシュテインとスターリンとは、見事な対決の構図である。まるでツヴァイクが描きそうなほど見事な対照をなし、そして両者ともあまりに巨大な人物だが、現在の中国には、それに匹敵するほどの人間はいない。
 映画監督の方は知らないが、少なくとも中共の党中央には大物が一人もいない。実はそれだけ厄介なことで、強力な才能を発揮しない代わりに、誰かが倒れたくらいでは決して崩壊しないのである。
 中国の民衆及び支配されている民族が政治に不満を抱いても、それを特定の誰かに絞ることができない。彼らには党というおぼろげな輪郭しか見えない。そのため、容易に反日というスケープゴートが成立してしまう。
 百年後の歴史小説家が、この時代をどう描くのかは解らないが、恐らく相当につまらない読み物しかできないだろう。

Posted at 2006/09/06(Wed) 10:44:37

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