I teie nei e mea rahi no'ano'a

文学・芸術など創作方面を中心に、国内外の歴史・時事問題も含めた文化評論weblog

Y染色体の消滅により、新たな人類が生まれる可能性

ABC(au);Death of Y may spawn new human species

 男女を決める性染色体にX染色体、Y染色体が存在する。女性ならX染色体を二つ持ち、XX型。男性ならXとYの染色体を一つずつもち、XY型である。
 しかし、XX型の男性というのも稀にいる。変異したY染色体のかけらくっついて、男性化を決定づけるのだという。

 さて、記事によるとこのY染色体だが、全部で1,500万年には消滅するであろう――というのだそうだ。
Y染色体には“総合計”1,400個のうち45個の遺伝子しか残されない。それには多くの、機能しているかのように見えて実は機能していない“偽の遺伝子”も含まれる。しかし、それが最近現存しないのだという。
 他の連結された遺伝子と異なり、単体のY染色体が再び結合することができず、Y遺伝子の消滅の発生する可能性がある。
 
 オーストラリア国立大学のジェニー・グレイブス教授は、Y染色体のSRY遺伝子(男性を男性の状態にする鍵)の代わりを、他の染色体の遺伝子が行うように進んでいく可能性を、会議にて発表する予定である。
 そのような“新しい人類”を作ることは、本当に可能なことだという。
 Y染色体無しのヒトは、不能である可能性が非常に高いが、少ない数であれば繁殖し、かつてのチンパンジーと人間のように、いずれY遺伝子集団から分離するであろう、とグレイブス教授は話す。

 ただし、XX型男性およびY染色体無しで生まれる約150,000人もの男性について研究しているアンドリュー・シンクレール教授によると、新しい人類に関するグレイブス教授の理論は“理論上の方法”で意味をなすだろうが、現実にはありそうもない、とのこと。

参考:
wikipedia;性別

--------
 ううーん。眉唾な記事です。解りにくいし。wikipediaによれば、XX型の男性は第二次性徴がはじまることがあり、放置しておくと女性化していくそうです。記事のグレイブス教授は特定の個人的な病気を一般化して考えた――ということではないのでしょうか。

x51.org;少年の身体で月経が始まる インド
――この記事の少年もそうなのでしょうね。

 そういえば、日本人の生殖能力が落ちているとかいう記事が以前あったような。本当かどうかは怪しいですが……。まぁ、元々日本のように温暖で湿潤な恵まれた気候であれば、高い生殖能力など必要ないとも思えますが。

 それはともかく人類が進化して、次に地上を闊歩する人類がどのような生き物なのか、興味はあります。あるいは何かの病気が原因で、突然入れ替わるかもしれません。
 もちろん進化とは生物的進化を指し、技術の進歩のこととは区別されます。時々『人類は常に進化し続けている、それは年々更新されている世界記録を見れば明らかだ』などとお電波なことを言う人が時々いるので、一応書いておきます(コメント欄に例)。他にも、『子供の不登校は人類の進化が原因だ』(ソースは失念しましたが、新聞で不登校児を集めた“子供の家”の特集記事でした)――とか、そんなものまで進化のせいにされちゃ堪りません。(笑) 私はオカルトもトンデモ科学も好きですが、害無く愉しめるからこそ。ここまで酷いニセ科学は危険な存在だと思う。

 さて。世界記録が例示されるのが、まずお笑い。技術と生物学的進化とを同一視するのは、問題のすり替えに他ならない。近年の陸上競技ではステロイドなどの薬物使用が問題となっていますが、そのような“ズル”をすれば、世界記録はあっさり塗り替えられてしまうわけです。
 実際、ほんの二十年前と比較して、走法、靴などの道具、栄養管理、地面に使われる素材、いったいどれだけ新しいものが発見され、またどれほどの技術が進歩してきたでしょうか。現在も世界各地では戦争が行われていますが、それでも六十年前よりは遙かに平和になり、社会的にスポーツへ打ち込んでも許される環境が出来上がりました。日本では兵役さえ課されなくなった。
 現代人が大戦中と同じ技術、同じ食事、同じ道具で、現在と同じ動きができるか、といえばもちろんNOでしょう。むしろ、恵まれた環境に慣らされた現代人では、当時の人よりも記録が落ちる可能性もあります。技術という積み重ねられた工夫を無視してはいけません。
 また、アフリカにはトウモロコシの粉だけで、マラソン選手に匹敵する距離を走る未開部族がいるそうです。この部族の男性は、当然部族を出ない限りはこうした生活を送ることになります。それはいくつもの世代を越えて受け継がれている。もし進化であればこの部族の記録は年々伸びているはずですが、そんなことは全く無いそうです。時々脚の速い人、遅い人の生まれることはあるでしょうが、一般的な人物の平均を求めれば、数百年間、ほとんど変わっていないのです。

 知能においても、人間の脳容量はホモ・サピエンスの誕生以来全く変わっていない。ただしその使い方は少し変わった。昔のことを思い出したり、自己を意識したりする形で思考をするようになったのは近代のジャン=ジャック・ルソー以降といわれている(この説は、私には眉唾のようにも思えるが)。それまではそのような脳の使い方を、人類は知らなかったという。
 知能テストの点数の上昇だが、これはテスト問題に触れる機会が大幅に増えたことが原因。元来知能テストというものは、問題を全く見たことの無いことが前提ですので、もちろん一度しか行えない。
 しかし解答を変えただけの問題集が大量に発売され、小学校や幼稚園の受験問題とされている現在の状況では、もはやテストは意味をなしていない。暗記や予習をして取り組んではならないものなのに、それをやってしまう人、慣れた人が出てくるためです。

 芸術なども同じ。最近は誰も彼もアニメ調の絵が巧くなったと言われています。そこでCGコンクールをやるとして、他の人には最新型のパソコンを使うように指示された、しかしあなただけPC−88を使うように指示されたらどうでしょう? 全く太刀打ちできない。ひたすらドットを置いて、見る人の度肝を抜くくらいしか方法がありません。しかし当然のように、そんなことは過去の人もやっているのです。
 あるいは、光の取り入れ方や構図といった技法を、他の人には自由に認めているのに、あなただけルネサンス以前の技法以外を許可しない――と言われたら。どれだけ現代風の服、現代風のビルを描いたところで、もはや“過去の絵”しか描くことしかできないでしょう(それはそれで面白いが)

 既存の知識や技術を利用すれば、過去よりも良い結果を得られるようになる。しかし技術が失われることがあれば、全てを失う――それは決して生物的進化ではない。
 特に知性に関しては環境因子が大きい。不登校の原因も、単にぬるま湯に慣れて育っただけ。
 現代人が赤ん坊のまま石器時代の人間に育てられれば、それは石器時代の人間にしかならない(狼少女などは少し眉唾な話であり、社会隔離による精神異常が原因であることも考えられるため、URLは出しません)。知性の進化と呼んでいいのは、恐らく全く新しいロジックの生まれたときでしょう。しかし、その新しいロジックは恐らく現代人の我々には全く理解できないものに違いありません。我々人類が昆虫と会話をできないようなものです。そういうものでなければ、進化とは呼べないでしょう。現人類にも理解できるものなら進化ではなく、単に技術が進歩しただけのことです。
 個人的で、僅かな環境適応まで進化とは位置づけられない。進化とは、例えば肌の色や顔の特徴(生活域が風の多い地域か、温暖な地域か、寒冷な地域かによって特徴付けられる)、体格(小さな島では生き物は小型化する) これらは数万年、あるいは数十万年にも及ぶ長いタイムスパンによって獲得されたものであり、人の眼に見えて変化が感じられるような代物ではありません。

 コメントの方が長くなりました……。

Posted at 2006/08/11(Fri) 15:19:52

オカルト・心・科学 | コメント(0) | トラックバック(0) | この記事のURL

この記事のトラックバックURL ->

↑ページの先頭へ

この記事へのトラックバック

「Y染色体の消滅により、新たな人類が生まれる可能性」へのトラックバックのRSS