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文学・芸術など創作方面を中心に、国内外の歴史・時事問題も含めた文化評論weblog

菅野よう子特集;光栄 信長の野望

 まだ光栄と称していたKOEI時代の菅野よう子の楽曲の中で、信長の野望だけをチョイス。ネットでCDの情報を調べていると、肝心の情報が欠けていたり、信者による盲信ばかりが書き連ねられていてうんざり。

1st 全国版
2nd 戦国群雄伝(未所持)
3rd 武将風雲録
4th 覇王伝
5th 天翔記


1st 全国版
ゲームの発売日は1986年。
私が購入したものは1993年発売のPCEへの移植版。
サントラCDは三國志とのカップリングで、戦国群雄伝(1988)以降に発売された。

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【PCエンジン版SuperCD-ROM2より。DA音源なので、音楽トラックの内容はサウンドウェアと全く同じ。普通のCDプレイヤーでも3トラック目から遜色なく再生出来る。一般CDの相場は高騰しているので、単に聴きたいだけならこれでOK。相場は500〜600円程度。もちろん、三國志の音楽は聴けないが】



1.OVERTURE〜信長の野望〜
2.現世夢幻
3.天下攻防
4.比叡山燃ゆ
5.賛歌
6.蒼い朝*
 歌:佐野公美 作詞:霜月智恵子 作曲/編曲:菅野よう子

 はじめて聞いた菅野サウンド。ファミコン版のBGMだったが、残念ながらやり込んでいなかったので、当時は特に印象は無かった。ひたすら忍者を使うゲームだったと記憶(誤解)
「蒼い朝」は名曲。
「天下攻防」「比叡山燃ゆ」はテレビで一度は聴いたことがあるはず。特に専属の音楽家を起用していない歴史番組などで流れることがある。それだけ使いやすいってことだろう。

 初期の菅野サウンドの特徴は、シンプルながらも聴かせるスタイルだった。弄りすぎ感のある最近のスタイルとはちょっと違う。
 因みに、この頃は『てつ100%』の活動時期と重なるはず。『てつ100%』最後のCDは1989年発売。


3rd 武将風雲録
サウンドウェア付版、1990年発売

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【MSX版武将風雲録に付属してきたサウンドウェア(を市販ケースに移し替えたもの)

1.風雅
2.狼煙
3.天魔鬼神 上の巻
4.天魔鬼神 下の巻
5.甲斐の虎 上の巻
6.甲斐の虎 下の巻
7.毘の旗幟 上の巻
8.毘の旗幟 下の巻
9.遥かなる山河
10.戦陣の炎
11.虎口の城
12.陰影
13.心
14.天壌無窮
15.陽炎*
 歌詞・歌:杉原徹 作曲/編曲:菅野よう子

 これはMSX版でやり込んだ。渋い音楽で格好イイ! ゲーム中、何度手を休めて音楽に聴き入ったことか。一番のお気に入りは「今川・足利のテーマ」だが、残念ながらサウンドウェアには収録されていない。因みにMSX版の打ち込みは少しおかしかった気がする。SFC版を録音して今でも時々聴いていたりする。

「風雅」
 武将風雲録のテーマに沿った、文化的サウンド。
尺八の音に合わせて鬼面が現れる様子は当時圧巻だった。
「狼煙」
 ちょっと格好良すぎてダサイ。しかし菅野サウンドではよくあること。
「甲斐の虎 上下」
 特に上の怪しい雰囲気が好きという人が多い模様。
「毘の旗幟 上下」
 菅野さんのピアノが炸裂する一曲。鮮やか。あまりの迫力に、オーケストラなんか要らないな、と。これは演奏と潔さの勝利か。
「遙かなる山河」
 FM音源+PSG音源打ち込みアレンジ版の方が好きだった。サウンドウェア版はちょっとイージーリスニングとしてのアレンジが強すぎて、薬臭い。好きなことに変わりないのだが。
「陽炎」
 てつ100%の杉原徹がボーカルとして参加。てつ100%と違って歌詞がウケ狙いではないので(笑)、てつ100%名義のどんな名曲よりも、いい曲だと思う。
 杉原徹のボーカルは結構、心に響く。戦国時代のイメージとも意外と合っている。

 この時期の菅野よう子は、世界観に合わせることを大事にしていたと思う。未だ戦国時代らしいがっちりした/優雅な曲が多い。しかしそれが功を奏してか、変に凝りすぎないナマの音を聴かせてくれた。これ以降の菅野さんのCDでは聴けないような音楽が詰まっている。このCDは一番私のお気に入り。

 これ以降、次第に菅野色が強くなり、BGMとしてちょっと弄りすぎな感も出てくる。



4th 覇王伝
サウンドウェア付版、1992年発売

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1.覇王序章
2.臥龍
3.青い波頭
4.慶雲の彼方
5.雄偉の将
6.陰雨蕭々
7.破軍
8.陽光の頃
9.昴の集い
10.暁鐘
11.ほうき星*
 歌:新井昭乃 作詞:梶野秀樹 作曲/編曲:菅野よう子
12.臥龍(リプライズ)

 覇王伝はプレイしたことがない。
 無理に壮大に聴かせようとして、ちょっとクドい編曲になっているのが気になるところ。アニメ『天空のエスカフローネ』の制作時期からはだいぶ前のはずだが、作曲・編曲とも、技術的に似通った曲が多い。
 恐らく全く事情を知らない人に、エスカフローネのサントラを聴かせた後、このCDを聴かせても、同じ作品のサントラだと思うことだろう。
 そういう意味では、エスカフローネのサントラが好きだった人には、お奨めのCDになる。最近ではあの雰囲気は聴かれなったので、貴重。

「臥龍」
 パンフルートが美しい、抽象的な音楽。前作までの、戦国時代らしいがっちりした音とは実に対照的。
「青い波頭」
 チェロがいい。全体的に溝口肇っぽくって、聴きやすい。
「慶雲の彼方」
 エスカフローネでも似たようなフレイズが聴ける。逆に最近の曲では聴けない音運びなので、90年代初期〜中盤で一つの区切りが出来るのかもしれない。
「雄偉の将」
 これもエスカフローネに似たアレンジ・音運びの曲。
「陰雨蕭々」【いんう・しょうしょう】と読む。
 私は読めなかった。
 意味は、いつまでも続く雨が、物寂しく降る様子のこと。
 これは信長らしい曲。
「陽光の頃」
 信長とはとても思えないbossa novaのさわやかな曲。
「昴の集い」
 またマニアックな。エスカフローネにもこんな曲があった。こういうのは、オルタナティブと言えばいいのかな。
「暁鐘」
 これもテレビでよく聴く音楽。歴史物ではなく、感動の生物ドキュメンタリーで。
「ほうき星」
 信長らしからぬ曲その2。「voices」など新井昭乃+菅野よう子のコンビが好きな人は多い。しかし、どう聴いても信長の世界観と合っているとは思えない。(笑)
「臥龍(リプライズ)」
 repriseは音楽用語で反復や再現という意味だが……内容はピアノソロ。同じ曲が入っている場合にリプライズと付けたりするようだ。



5th 天翔記
サウンドウェア付版、1994年発売

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1.乱世の舞
2.遠野
3.湖上の弓月 チェロ:溝口肇
4.夏疾風
5.春濤
6.覇王組曲〜Warsaw Edition〜
7.雲の路
8.風蘭
9.花菜風 チェロ:溝口肇
10.月下の陣
11.暉映の戦場
12.無幻の彼方
13.遠い青色*
 作詞・歌:新居昭乃 作曲/編曲:菅野よう子

 ゲーム自体は人様の家でちょっとだけプレイしたが、やること多すぎ。複雑すぎてついていけなかった。武将風雲録がゲームとしてもちょうど良いスケールだったのかもしれない。
 信長の野望シリーズ最後の音楽担当だそうな。
 ちょうど、アニメ『天空のエスカフローネ』の制作時期よりも少し前に、このソフトが発売となったと思う。「覇王伝」の頃はまだ日本戦国時代の名残があったのだが、こちらは完全に菅野よう子ワールド。また、前作以上にエスカフローネと似通った音楽に仕上がっている。
 この頃の菅野よう子は三十代にして脂が乗りきっていた。最近は仕事の数こそ物凄いが、あんまり変なアニメやゲームの音楽はやって欲しくないなぁ、と思う……。

「乱世の舞」
 オープニングでいきなりプレイヤーを圧倒してくる。KOEIが光栄だった頃には、これがあった……
「湖上の弓月」
 既に溝口肇とのコンビが出来ている。プライベートなことは関係ないとはいえ、このころから既にご夫婦だったのかどうか気になってしまう。
「春濤」
 このCDで唯一信長らしさを放つ曲。しかし、決して和風ではない。
「覇王組曲」
 覇王伝メドレーだそうな。その後の光栄の戦国・信長系サウンドの方向性を、決定づけたような。
「遠い青色」
 菅野よう子+新井昭乃のコンビ。やはり世界観がぶっ飛んでいる。(笑) 新井昭乃の声色が戦国時代のイメージと懸け離れ過ぎていて。


 実はCD本体は知人に貸してしまっているのだが、貸す前に覇王伝と天翔記のCDの発売年月をメモするのをすっかり忘れてしまっていた。それについては戻ってきてから確認します。

Posted at 2006/04/20(Thd) 12:47:29

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