女が歩いていた。
ただ一人、歩いていた。
密林を。人無き道を。
その背には大剣が踊る。
その重さを感じさせない足どりで、女は歩いていた。
眼光鋭く、見据える先に、一体なにがあるといのか?
どれほど歩いたことだろう……。
ついに密林の果てる時が来た。
見下ろす女の眼前に広がるは、不毛の大地。すっかり荒れ果て、人の住む跡など見る影もない。
しかし、女の口許には満足げな笑みが浮かぶ。
遠く……遙か遠く、地平線の彼方に……霞のごとく立ち上る白い煙が見える。
女は両手を大きく広げて、顔を上を上げて……笑った。笑い続けた。
高らかに、軽やかに、そして、麗らかに。
その笑いはいつ果てるともなく、天空に向かって響き渡るのだった……。
……すべてが終わり、そして、すべてが始まった。