のぢしゃ工房 Novels

ネイディア

プロローグ

女が歩いていた。

ただ一人、歩いていた。

密林を。人無き道を。

その背には大剣が踊る。

その重さを感じさせない足どりで、女は歩いていた。

眼光鋭く、見据える先に、一体なにがあるといのか?

どれほど歩いたことだろう……。

ついに密林の果てる時が来た。

見下ろす女の眼前に広がるは、不毛の大地。すっかり荒れ果て、人の住む跡など見る影もない。

しかし、女の口許には満足げな笑みが浮かぶ。

遠く……遙か遠く、地平線の彼方に……霞のごとく立ち上る白い煙が見える。

女は両手を大きく広げて、顔を上を上げて……笑った。笑い続けた。

高らかに、軽やかに、そして、麗らかに。

その笑いはいつ果てるともなく、天空に向かって響き渡るのだった……。


……すべてが終わり、そして、すべてが始まった。





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