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「雫」

はじめに

 今回のネタは、リーフのビジュアルノベルシリーズの第一弾「雫」です。先回取り上げた「痕」が傑作だということは既に述べたとおりですが、では、その元祖とでも言うべき本作はどうなのだろう、というのが今回の主旨です。

解説

 さすが元祖になっただけのことはあります。主人公(高校生)がいきなり暗い(^^;。相当鬱屈してらっしゃるようで、妄想癖があるというか、狂ってしまいたいなどとおっしゃるくらい、かなりキテます(^^;。その彼の目の前でいきなり狂い出す女子生徒。さすが18禁ゲームらしく(^^;、しゃべる台詞がまーなんというか(^^;;。で、その生徒が狂った原因を探るというのがゲームも目的なわけですな。
 この手のゲームにしては登場人物は少ないです。元のゲームがDOS版から始まったくらいですから、容量的な問題があったのでしょう。余分なキャラが居ません。ヒロインは3人だけ。後の作品とは違って、ヒロイン毎にストーリーが別れているわけではあまりなく、一本道だと言えます。「痕」と比較すると、こぢんまりとした印象がありますね。
 で、主人公はそのうちの一人と一緒に調査をします。といっても大して選択肢があるわけじゃなくて、ゲーム的にはあっさりと終わってしまいます。生徒が狂った原因は「毒電波」(笑)のせいで、それを使ってた奴を退治することで物語は終わるのです。巷でよく聞く「毒電波」。同人業界では「雫」が発生元なんでしょうかね?電波云々というのは、精神的にアレな人達の中ではメジャーらしいですが(^^;
 さて「雫」といえば、やはり瑠璃子さんの存在を忘れるわけにはいきません(^^;。あれはまだ『The TOWER』を作ることなんかこれっぽっちも考えていなかった大昔、チャット中に飛んできたURLの先にあった画像……そこには「雫」のワンシーンが描かれていたのでした。校舎の屋上で両手をついてうなだれる主人公を慰める瑠璃子さん……そのあまりの美しさに見とれたものです(^^)。それから何年たったのか……ようやく瑠璃子さんに出会えたわけですが、名セリフ「長瀬ちゃん、電波届いた?」を見たときは感動しましたね(^^;。この物語のヒロインは文句無しに彼女です。まあ、電波の元だったわけで当然と言えば当然なのですが、兄との関係や主人公に対する想いなど、物悲しさ一杯で泣けますなぁ(;_;)。それに比べると、他の女の子の印象が薄いのでした。

まとめ

 そんなわけで、「痕」程のインパクトは無かったのですが、ちょっとねじくれた白シナリオに、毒電波の強烈性が印象に残った作品でした。現在のリーフからは失われてしまった「なにか」を感じさせてくれるとい点で、非常に価値のある作品なのかも知れません。


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