|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||
製品あるいはプロセスの継続的改善は要求事項ではない? 海外のMLでの討議を閲覧することが日課となっている。その中で興味ある発言があったので紹介しよう。
「マネージメント・システムの継続的改善」を要求していることは、もしシステムを継続的改善すればプロセスを改善する機会を見つけられるだろうと暗示している。もしもプロセスを改善する機会に対応し措置を講じていれば、マネージメント・システムの継続的改善の客観的証拠を示すことになる。製品の改善は、ISO9001:2000のもう一つの要求事項である顧客の声に答えて行きながらプロセスを改善していくことで自然に行える。 規格は、製品を改善する余地のない企業(もしこんな企業があるならば!)を含めて全ての企業に適用できる。したがって、製品の改善を要求することは、規格で対処できることを越えている。 ところが、「製造プロセスはシステムだ。プロセスの無いQMSを持つことがどうして出来るか教えてくれ。出来るはずがないではないか。」と反応され、今現在も論争中である。さて、みなさんはどう反応されますか? 審査機関の立場から継続的改善が行われていることをどのような客観的証拠をもって判断するのだろうか。英国LRQA審査マネジャーが掲示板で正式回答をしている。見てみよう。 しかしながら、・・・・ 審査を通じて品質マネージメント・システムの継続的改善を証明する作業は困難であり、かつその証明は主観的意見ではなく客観的証拠をもって行われなくてはならない。審査員が企業によって展開されている目標とその進捗度を単純に見る、また定期審査で記録された進捗度が改善されていることをもって改善の証拠とするのは、一見して簡単そうに見える。このような過度に単純化した見方は、以下の二つの企業の事例であるように失敗することになる。 1.(詳細は省略。)英国の自動車会社で顧客満足度の数字を見ると、スコアは長年変わっていないが事業は大きく改善されている。 2. 収穫逓増の法則(The law of diminishing returns)。ビジネスの全ての側面を改善するには単純にコストを効果的にするだけでなく、ベストの改善を得るために優先順位を付けて努力すべきである。これは、実績が良好なビジネスのある側面ではある期間は改善を行わず、その他の分野で改善を展開することを意味する。(訳者の注:改善活動を何もかもに対して行うということは必ずしも現実的でないと言う意味) このことから、LRQAは、継続的改善に積極的に取り組んでいることとシステムを運営していることを確かめるための審査を行う。上記の理由からプロセスのやり方を単純に検査することで企業はよい方向に向かっているはいるが証明できているとはしないという意味である。 継続的改善は、単にプロセスや製品の改善をやっていると言うことでは無いことだけは確かなこととなった。もっとわかりやすい表現をすれば、ビジネスモデルの改革を目指しているかどうかが問われているとも言える。しかし、規格がそこまでを要求することは無理がある。だから、企業が顧客満足の向上を目指して何を改善しているかを証明できればISO9001:2000の要求事項は充たしていると判断すべきであると個人的に提唱している。
|トップペ-ジ| |