2000年版ISO9000は経営の手法に変身

 ISO9001:2000の実践と題したChad Kymal氏の論文からの抜粋を紹介する。

ISO9001:2000でのクオリティはマネージメントであり、大きな力を持った。ISO9001は、クオリティのツールであることからビジネスのツールに変身した。これをまともに実現するには、ISO8402で定義されていたクオリティである「合意された要求事項」ではなく、「顧客のニーズと期待の満足」であることを理解しなくてはならない。クオリティとはなんぞやということが、現代の認識を反映して劇的に変身している。この変身によって、文書の性質も変わり効果的に実践することも変えることが必要となった。(途中略)

ISO9001:2000は、1994年版のスコープからまったく変わってしまった。すなわち、「顧客の要求事項に適合させる」ことが「経営のクオリティ」に変わり、強調することが「生産工場」から「企業」へと変更された。新規格でクオリティという言葉を見つけたならば、顧客のニーズと期待を充足することがクオリティだと心がけるべきである。これ以外の重要な変更は「顧客のニーズと期待の明確化」、「品質目標」、「品質計画」、「プロセス・マネージメント」、そして「測定およびモニタリング」である。簡単にいうと、顧客のニーズと要求事項が企業目標を明らかにするために使われている。すなわち、まずはじめに顧客のニーズと期待がクオリティとビジネスの目標設定に使われ、目標が設定されるとさらに品質とビジネスの計画が作成され、最後にそれにもっとも適した業務プロセスが定められることになる。(訳者注:ここでは論文を意訳している。下図を参照。途中略)

品質に関わる部門は違った視点で見られることになり、そこで従事するスタッフはビジネス・プロセスを理解する必要がある。そこで出てくる一つの疑問は品質管理部長の資格についてである。品質管理部長は、経営の地位にありすべての部門を統括することが求められるであろう。

同じような考えはISO9001:2000の監査員にも当てはめられる。ISO9001の監査員は、ビジネスとビジネス・プロセスを監査することが必要となる。彼らがこのような機会を受け入れられるだろうか?彼らをどのように再教育するのだろうか?ISO9001:2000は、1994年版に比べ監査する日数を多くする必要もある。その結果、監査員は生産工場を監査することを減らしビジネス・プロセスをもっと深く監査せねばならないだろう。

 2000年初頭の講演で2000年版ISO9001は、経営に直結した品質マネージメント・システムであることを強調したところ「ISOが経営に関わることはいかがなものか」と批判されたことを思い出した。そして、セミナーでは「ISO担当部門長である管理責任者は会社でのNO.2が当たるべきである」と強調している。この主張が正しいかどうかの議論をするつもりはないが、アメリカで有名な研修機関の社長であるChad Kymal氏が同じことを述べていることには留意すべきかもしれない。いずれにしろ、同氏の論文は、ISO9001:2000のプロセス・アプローチを理解するに役立つ。


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