規格は、「組織の種々の階層および部門間での内部コミュニケーシヨン」と「外部の利害関係者からの関連するコミュニケーシヨンついて受付け、文書化し及び対応すること」のための手順を確立しなければならないとしている。さらに重要なことは、「著しい環境側面について外部コミュニケーシヨンのための」手段の検討を求めている。すなわち、社内のみではなく社外の株主や地域住民などを対象にした情報伝達の手段と手続きを構築する必要がある。かつて、公害問題などで企業は社内情報を公開する立場に追いやられ、いやいや企業はそれに対応していたのが実状だった。環境マネージメントシステムは、積極的に利害関係者に情報公開する仕組みつくりを要求している。すなわち、世界標準と言われるシステムであるとはっきりとわきまえる経営者の意識改革がここでももとめられている。
また、ISO14004にはコミュニケーシヨンに関して忘れてはならない重要なことして、「双方向のコミュニケーシヨン、理解しやすく、計測に基づく検証ができるだけでなく正確な達成状況を提示でき、しかも一貫していること」だとしている。そこで、このような環境情報を伝える方法として、年次報告、法規上の届出、業界団体の刊行物、報道機関や有料の広告などを挙げている。苦情や問い合わせを受け付けるための電話番号の公表も併せて考慮することとしている。また、内部に対しては、掲示板、社内新聞、会議報告、電子メールを通じて行うのがよいとしている。ここまで解説されているので、コミュニケーシヨンに関する仕組みつくりは理解しやすい。
中小企業の場合には、一般に経営者と株主とは同一のことが多いので、外部とは地域住民を念頭に置けばすむ。多くの企業では、すでに地域住民には何らかの対策や処置を講じていることだろう。でなくば、いままで操業を続けることは出来なかったはずだ。よって、その内容を考慮して文書化すればすむ。一方、内部、すなわち社員に対しては、何らかの追加的処置が求められることになるのではなかろうか。なぜなら、中小企業にとっては社内事情を社員にあからさまにすることは慣習とはなっていない場合が多いと考えるからだ。いずれにしろ、マニュアルはどうなるのだろうか。
情報伝達
環境への影響ならびにその管理に関する社内外からの情報を受入れ記録し、環境目的・目標に反映させる。すなわち、地域住民からの環境情報及び社員からの環境上の情報を記録し、分析し、対策を立案し、適切に処置する。その業務の詳細を「環境情報管理規定」(規定1−2)に定める。その概要は下記のとうりである。
社内での情報
1.環境上の問題が発生・発見された場合、あるいは社員の意見として報告された
環境情報があれば、それを正確に記録する。
2.環境管理責任者は、速やかに環境上の影響を評価、分析、対策の立案を行う。
3.情報提供者には、口頭もしくは文書で対策実施内容、ないしは対策案を回答する。
4.これらの行為を適切に記録する。
社外からの情報
1.環境に関わる情報が地域住民など外部から提供・提示された場合には、内容の如
何にかかわらず受け入れる。
2.環境管理責任者は、速やかに環境上の影響を評価、分析、対策の立案を行う。
3.情報提供者には、口頭もしくは文書で対策実施内容、ないしは対策案を回答する。
4.これらの行為を適切に記録する。
上記の記録を「経営者の見直し」会議で環境目的・目標の改訂の必要性を討議し、環境目的・目標に反映させる。必要な場合には、その内容を文書で地域住民ないしは社員に伝達する。 |