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ISOとIAFは円滑なISO9000移行を目指して協議を開始

 国際標準化機構(ISO)と国際適合性フォーラム(IAF)は、商業および産業界で2000年版ISO9000への移行が円滑に進められるように共同プログラムを開始した。

 『新規ISO9000ファミリー規格の導入に当たっては規格の開発者たち、認証機関、そして適合性協会との間で調整作業が行われることを産業界は期待している。』その趣旨をふまえ、二つの組織によって構成された共同作業グループ(JWG)は、初回会議に関するコミュニケを発表した。この会議の目的は、『新規規格への円滑なる移行を確保するために』一般的、かつ首尾一貫したメッセージを確立することである。

 JWGによる初回合意は以下に見られる。コミュニケ全文は、ISOのWeb Site (www.iso.ch)、およびIAFの (www.iaf.nu)である。1999年9月26日にオーストリア、ウイーンで開催されたISO/IAF JWGの初回会議で合意された内容である。この会議には、品質システム、もしくは監査適合性協会を代表する国際グループ、およびISO9000の使用者たちが出席した。

 ウイーン会議は共同協議会であり、SO/TC 176、ISO9000を担当するISO技術委員会、適合性評価に関するISO委員会であるISO/CASCO、およびIAFの代表者が討議を行った。IAFは、30ヶ国以上の国家適合性協会、経済界、もしくは地域代表で構成されている。IAFのメンバーには、審査機関および産業界の代表も含まれ、数人の代表がウイーン会議に出席した。

 会議で合意に達した内容は以下の通りである。

 1.新規ISO9001の公式に認可された認証は、ISO9001:2000が国際規格として発刊されるまで交付されない。  
 ISO9001:2000は、1994年版ISO9001,ISO9002,およびISO9003を交替する。ISO9001の国際規格案(DIS)は1999年11月末ー12月に発表されることになっている。現在の予定では、最終規格案の回覧は、2000年の第三四半期、国際規格としての新規ISO9001の発刊は2000年第四四半期である。

 2.審査登録機関による新規規格の最新規格案に対する審査は、ISO9001:2000国際規格の発刊前に開始できる。  

 審査登録機関は、国際規格の発刊以前に最新ISO9001:2000案(DIS,もしくはFDIS)に対する適合性を審査することができる。これは組織が準備や必要な対策をとることができるからである。コストを最小化する目的で、現在認定された組織は、現行認証に対する定期審査、もしくは再審査の一部として最新規格案に対する審査を受けるという有利性を考慮できる。しかしながら、DIS,もしくはFDISに対する認証は取得できない。公式に認可された認証は。国際規格に対してのみ発行され、ISOによる発刊後のみである。

 3.1994年版ISO9001,ISO9002,およびISO9003に対して発行された認証は、ISO9001:2000発刊日から最長3年間の有効期間がある。

 1994年版ISO9001,ISO9002,およびISO9003の認定を受けている組織は、できうる限り早期にISO9001:2000へ移行さえることを勧める。しかし、ISO9001:2000は1994年版シリーズとは根本的に異なったアプローチがなされていることを認識しなければならない。審査機関は、ISO9001:2000の発刊日より三年間は1994年版規格で審査できる。しかしながら、審査機関は、1994年版ISO9001,ISO9002,およびISO9003の認定・認証に対する有効期間が切れる前までにはISO9001:2000への移行が完了するように組織に強く求めることになる。

 4.ISO9001:2000は審査員、およびその他関連する審査機関に属する要員が新しい資格を証明できることを要求している。

 ISO9001:2000の発刊により審査機関に要求されることは、移行期間を問題なく運用・管理したことを証明することである。IAFメンバーの適合性認定機関は、かれらが認定した審査機関に対し(合意された既定の文書で)、ISO/DIS9001:2000のISOによる発刊以降の(審査機関に対する)認定定期審査によって、各審査機関が審査・認定作業によりいかにうまくこの変更を促したかに集中することを通達する。特に、認定定期審査は、審査機関の監査員、およびその他の要員の資格・能力が、1994年版ISO9001,ISO9002,およびISO9003の認定・認証に必要とされることとは異なっているISO/DIS 9001:2000に対応できているかどうかに焦点を当てることになる。適合性認定機関は、審査機関のプログラムを評価し、その監査員やその他の要員が以下のような知識や理解ができているかどうかを確かめる。すなわち、

 改訂版規格の基礎となっている八つの品質マネージメント原則(コミュニケの 付属書としてISO Web Siteに掲載されている)
 ISO9001:2000の最新版規格案の要求事項、および
 ISO 9000:2000の最新版規格案に記載されている用語、および概念  

さらに、適合性認定機関は、新規格に対する認定・認証を与えるために必要となる手続き上の変更についての審査機関の支援要員の能力に関して評価する。

 5.審査機関は、ISO9001:2000に対して発行される認証の適用範囲を明確にすること、また除外された規格の要求事項が許される範囲であるかどうかに特に注意を払う必要がある。

 1994年版ISO9001,ISO9002,およびISO9003が単一の要求規格(ISO9001:2000)に置き換えられることによって、認証登録のプロセスに含まれる組織の活動内容を非常に明白で、簡潔に記述することが求められる。規格案にある要求事項、すなわち、組織は、顧客要求および適用される法規制を満たす製品を提供する上で組織の実行能力に影響せず、企業責任から免除されることのない品質マネージメント・システム要求事項のみを除外できるということに留意しなければならない。

 以上がコミュニケの内容であるが、取得企業がいまから何をしなければならないか、審査機関と監査員が2000年版ISO9000規格の内容を修得することが早急に求めれたということが明らかとなった。コミュニケ全文に記載されている「八つの品質マネージメント原則」に関しては、屈著「実用ISO9000」で解説しているので参照されたい。

 規格がISO9001に統一されることによって、ISO9002の認証取得企業は、「設計・開発」の品質システムを組み入れないならば、その除外理由を明確にしなければならない。上記のように、除外条項は漠然とした表現であるから、なんとでも解釈できるようだが、無理に除外しないですんなりと開発・設計を取り組むことが一番の解決策と指摘しておきたい。    


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