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      品質マネージメント原理および適用のための指針(1997)

1.0 序文  

本文書は、ISO9000ファミリー規格と指針の使用者に対し経営を成功させることができる品質マネージメント原理の理解に役
立てるためのものである。品質マネージメント原理は改訂されるISO9004に取り入れられる。また、改訂されるISO9000ファ
ミリー規格は、この品質マネージメント原理に基づいて策定されるであろう。

世界規模での競争が進む中、質の高い経営はすべての組織のリーダーシップとマネージメントととってますます重要となって
いる。品質マネージメント原理は、すべてのユーザーに普遍的に適用できる。本文書は、上級経営者のニーズに焦点を当てて
いる。品質マネージメント原理は、他のユーザーグループのニーズを満たすために新規、もしくは現有の文書に取り入れるこ
とができるであろう。

以降で述べる八つの品質マネージメント原理を適用することによって、組織は、顧客、所有者、従業員、供給者、地域社会と
社会全体に恩恵を与えることになるであろう。

2.0 品質マネージメント原理  

品質マネージメント原理は、組織を指揮し、運営するための広範囲で基本的なルール、もしくは考え方であり、顧
客に焦点を当てて、そしてすべての他の利害関係者のニーズを重視しながら長期に亘って企業業績を継続的に向上
させる目的を持っている。

原理1-顧客志向の組織  

組織は、顧客に依存し、それが故に現在並びに将来の顧客ニーズを理解し、顧客要件を満たし、顧客の期待を越え
ることに専念しなければならない


顧客志向の組織の原理を適用するならば以下のような行動へ結びつく。

●製品、引渡し、価格、信頼性などに関する顧客のニーズと期待をすべての範囲で理解する。
●顧客およびその他の利害関係者(所有者、従業員、供給者、地域社会と社会全体)のニーズと期待をバランスをとってアプロ
ーチする。
●これらのニーズと期待を組織全体に伝達する。
●顧客満足を測定し、結果について行動を起こす、そして
●顧客との関係を管理する。

この原理を適用する際の有益なることには以下のことが含まれる。

方針と戦略策定のために   組織全体で顧客およびその他の利害関係者のニーズと期待を理解させる。
ゴールと目標の設定のために 関連部署のゴールと目標が直接顧客のニーズと期待に結びつけられる。
業務管理のために顧客のニーズを満たすために 組織の実績を向上できる。
人的資源の管理のために 組織の顧客を満足させるために必要となる知識と技能を従業員に持たせる。

原理2-リーダーシップ  

リーダーは、組織の目的と方向の調和を図らなければならい。リーダーは、組織の目的を達成する上で従業員が全
面的に参画することができる内部環境を創造し、維持しなければならない。


リーダーシップの原理を適用するならば以下のような行動へ結びつく。

●積極的であり、事例をもって指導する
●外部環境を理解し、対応する
●顧客、所有者、従業員、供給者、地域社会と社会全体を含むすべての利害関係者のニーズを考慮する
●明白な組織の将来ビジョンを確立する
●組織のすべてのレベルで共有する価値および倫理規則のモデルを確立する
●信頼を築き恐怖感を除く
●職責と説明責任をもって行動するために必要な資源と自由度を従業員に与える
●従業員を奮い立たせ、勇気づけ、彼らの功績を認知する
●開放的で正直なコミュニケーションを推進する
●従業員を教育し、訓練し、コーチする
●やればできるゴールと目標を設定する
●これらのゴールと目標を達成するための戦略を実践する

この原理を適用する際の有益なることには以下のことが含まれる。

方針と戦略策定のために   明白な組織の将来ビジョンを確立し、伝達する
ゴールと目標の設定のために 組織のビジョンを計測可能なゴールと目標に変換する
業務管理のために      力強い積極的に参画する従業員は組織の目的を達成する
人的資源の管理のために   力強い、意欲の高い、十分に知らしめられた、安定した働くチームを作れる

原理3-従業員の参画  

すべてのレベルの従業員は、組織のかなめであり、彼らの全面的な参画によって組織の便益のためにその力を発揮
する


従業員の参画の原理を適用するならば以下のような行動へ結びつく。

●問題解決に自己責任を受け入れる
●改善・向上のための機会を積極的に探す
●自身の能力、知識、経験を強化する機会を積極的に求める
●チームやグループの中で知識や経験を自由に共有する
●顧客のための価値創造に焦点を当てる
●組織の目的を促進する上で改革的で創造性を発揮する
●顧客、地域社会、社会全体に対して組織のよき代表者として振る舞う
●自身の仕事から満足を引き出す
●組織の一員であることに情熱を示し、誇りにしている

この原理を適用する際の有益なることには以下のことが含まれる。

方針と戦略策定のために 組織の方針と戦略の改善に対し従業員は効果的に貢献する
ゴールと目標の設定のために 従業員は組織のゴールに自己責任を共有する
業務管理のために 従業員は適切な決断とプロセスの改善に身を入れている
人的資源の管理のために 従業員は自信の仕事により満足し、組織の便益のために自己の成長と開発に積極的である

原理4-プロセス指向  

関連する経営資源と業務が一つのプロセスとして管理された場合には、望ましい結果がより効果的に達成される。

プロセス指向のアプローチの原理を適用するならば以下のような行動へ結びつく。

●望まれた結果を達成するためのプロセスを明らかとする
●プロセスのインプットとアウトプットを確定し、計測する
●組織の部門とのプロセスの接点を確定する
●顧客、供給者、および利害関係者に関わるプロセスのリスク、結末、影響を評価する
●プロセスを管理するための責務、権限、説明責任を明らかとし、確立する
●プロセスの社内と社外の顧客、供給者、利害関係者を確定する
●設計のプロセスでは、望ましい結果を達成するためのプロセスの段階、活動、流れ、管理項目、教育のニーズ、装置、手
法、情報、材料、その他の経営資源に対し考慮する

この原理を適用する際の有益なることには以下のことが含まれる。

方針と戦略策定のために 組織全体の亘るプロセスを適用するならば、より予測可能な結果、経営資源のより優れた利
用、サイクルタイムの短縮、低コストを獲得できる
ゴールと目標の設定のために プロセスの能力を理解するならば、到達可能なゴールと目標を策定できる
業務管理のために      すべての業務にプロセス・アプローチを採用するならば、より低いコスト、エラーの防止、ば   らつきの管理、より短いサイクルタイム、より予測可能な結果を生む
人的資源の管理のために 採用、教育、訓練のような人的資源の管理にコスト効率のよいプロセスを確立すると、組織の
ニーズとこれらのプロセスを連携させ、より能力の高い従業員を生み出す

 

原理5-システム・アプローチの経営

与えられた目標に対する関連するプロセスのシステムを特定し、理解し、運営することは、組織の効果および効率を改善する。    

システム指向の原理を適用するならば以下のような行動へ結びつく。

この原理を適用する際の有益なることには以下のことが含まれる。

方針と戦略策定のために 高度に発達した、やり遂げたい計画の創造

ゴールと目標の設定のために 個々のプロセスのゴールと目標は、組織の重要な目的の連携している。

業務管理のために プロセスの効果について広く全体を見渡すことは、問題の原因を理解し、時期を得た改善活動を行える。

人的資源の管理のために 共通した目標を達成するための役割と責任をよりよく理解できることは、部門間の壁を取り除
             き、チームワークを育てる。

 

原理6-継続的改善

継続的改善は、組織の永久的目標でなければならない。

継続的改善の原理を適用するならば以下のような行動へ結びつく。

    Plan-Do-Check-Actのサイクル
     問題解決法
    プロセス・リエンジアリング
プロセス変革

この原理を適用する際の有益なることには以下のことが含まれる。

方針と戦略策定のために 継続的改善と共に戦略と経営計画を統合することを通じてより競争力のある経営計画を創造し、
             達成できる。

ゴールと目標の設定のために 現実的であり、かつより高い改善目標を設定し、それを勝ち取るための経営資源を提供する。

業務管理のために 組織の人々をプロセスの継続的改善に参画させる。

人的資源の管理のために 組織のすべての人々に継続的改善のための手法と道具を提供する。

 

原理7-事実に基づく意志決定

データと情報分析に基づく効果的な意志決定

事実に基づく意志決定の原理を適用するならば以下のような行動へ結びつく。

この原理を適用する際の有益なることには以下のことが含まれる。

方針と戦略策定のために 関連するデータと情報に基づく戦略はより現実的であり、達成される可能性が高い。

ゴールと目標の設定のために 現実的であり、かつ挑戦的なゴールと目標を設定するために、関連する比較データと
               情報を用いる。

業務管理のために データと情報は、プロセスとシステムの両方を理解する基本であり、改善を導き、将来の問題を
予防するために役立つ。

人的資源の管理のために 人的資源の方針を作り上げるために社員意識調査、提案、グループへ焦点を当てるなど
情報源から得たデータと情報を分析する。

 

原理8-供給者との相互互恵関係

組織と供給者とは相互依存関係にあり、相互互恵関係は、企業価値創造のための両者の能力を高める。

供給者との相互互恵関係の原理を適用するならば以下のような行動へ結びつく。

この原理を適用する際の有益なることには以下のことが含まれる。

方針と戦略策定のために 供給者と戦略的連携、もしくはパートナーシップを築き上げることによって優位な競争力を
創造する。

ゴールと目標の設定のために 供給者の早期介入と参画によってより挑戦的なゴールと目標を確立する。

業務管理のために 供給者の信頼できる、いつも定時に、不良品ゼロの納入を確保するために供給者との関係を確立し、
運営する。

人的資源の管理のために 供給者を訓練し、共同改善努力を通じて供給者の能力を高め、成長させる。

 

                        以上


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