ISO 9000ユーザーによる改定版規格の試行
規格文書が最終案として決定される前に、ISO 9000ユーザーの国際代表者が、改定された2000年版品質システム規格をテスト的に実施し、規格の試行によりビジネスに好結果をもたらすかどうかを国際標準化機構(ISO)に報告することになった。 現在進められている2000年版ISO 9001、およびISO 9004の改定作業を終わり、2000年末には国際規格として策定し、発行する予定である。このために、規格案をテスト的に実施し、ISO 9000ユーザーが正確で、具体的なインプットをISOに対し報告する。この試行は、改定作業プロジェクトの最終段階に入ることを意味する。 1987年に制定されて以来、今日ISO 9000規格は、120カ国に於いて大規模企業から小規模企業で導入され、その数は200,000もの多数になっている。導入した組織の属する分野も広く、製造およびサービス、公的機関および私的企業に亘っている。このことは、世界中で何千もの組織でISO 9000が採用されていることを暗示している。したがって、ISO は、現在のユーザーが円滑に新しい改訂版に移行できることを確実にし、21世紀の夜明けに改定版規格がビジネス上の要求を満たすことができるように努めることを決めた。 現在、すべての分野での技術を網羅するISO 規格は、11,500を超え、定期的に見直しが行われている。これらの規格は、必要に応じて最新のものに改定されている。ISO 9000シリーズは、1994年に小幅だが改定されたが、国際的な品質システムの導入と実施の経験を考慮に入れて、2000年版の改定はもっと大がかりで、複雑なものになるであろう。 通常、ユーザーからのインプットは、メンバーである国家機関(AFNOR for France, ANSI for the USA, ICONTEC for Colombiaなど)を通じて行われる。横断的分野の利害関係者グループから派遣されたエキスパートが、ISO 技術委員会に参加し、ドラフト文書を作成する。そのドラフトが、コメントを付けたり投票する目的でISO メンバーに回覧される手順をとる。 今回ISO は、多くの利点を付加したISO 9000の改定のために大きな賭をすることを決定した。そこで、多くの期待を満たすことができる改定版規格を目指し、ユーザーからのインプットを改定版作成のプロセスに反映さることにした。ISO 9000に責任を負う技術委員会ISO/TC 176は、革新的な挑戦に立ち向かうことになる。 すでに、ユーザーの要望調査を行い、40ヶ国から1120通の回答を得た。これらは、市場の要求をくみ取った2000年版規格の作成の助けとなる。 さらに野心的な試みが現在進行中で、TC176の「検証作業グループ」は改定版ISO 9001とISO 9004に関するユーザーからのフィードバックを収集、分析を行っている。まず第一段階として、異なる国の100組織と連絡をとり、彼らは規格策定のためのパイロット・プロジェクトへの参加を決めた。 このプロジェクトは、質問状を広く配布し、世界中から幾千もの回答を期待し、この作業グループが分析、検証する目的を持っている。この作業グループは、オーストリア、ブラジル、フランス、ドイツ、アイルランド、日本、メキシコ、ロシア、スロベニア、スイスのエキスパートにより構成されている。 この結果は、規格策定プロセスにフィードバックされ、さらに熟成度の高い文書作成を支援する。1999年には、選ばれたユーザーが規格のドラフトを用いて実施する機会を持ち、1999年10月/11月までに、この改訂版規格がビジネスの結果を向上させることに役だったかどうかをTC176に報告する この革新的な手段を通じて、ISOは、新しい規格作成にユーザーの協力を得ながら行っている。一方、組織は、ISO 9000が、2000年以降市場から要求される業務を進めるために適切であることを確認することになる。 |