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            2000年版ISO9001の自己評価

2000年版ISO9004の付属書には、品質システムの成熟度を測るための自己評価が提唱されている。以下の自己評価も同じ手法であるが、すでに認証を取得し、品質システムを運営している企業が2000年版ISO9000に移行するに当たって、どの程度新規格の要求事項に適合しているかに焦点を合わせた評価ができるような評価項目を作成した。また、この評価項目にスコア(例えば、10点満点として)をつけ、その結果を継続的に追跡するならば、品質マネージメント・システムの継続的改善につなげられる。すなわち、規格要求事項の一つ「継続的改善の計画作成」に用いると効果的である。

             自社の品質システムの評価項目           

経営者の責任


5a  クオリティと改善に対して経営者のコミットメントがなされ,以下のことによって
  組織全体に認知されている。

  1)品質方針を発表し、
  2)社員の誰もが 自分の業務がこの品質方針にいかに関わっているかを理解し、
  3)品質方針の実現に対し責任のある経営者の立場にある人たちの責任と権限が明確とされ、
   その任に当たらせている。

5b 経営者は、品質方針の達成を助け、促進することができる測定可能な 品質目標を設定し、
  組織全体を通じて関係する部署とレベルにその目標を展開している。これらの目標の中には
  改善に関する目標であり、製品やサービスの性能もしくは実績に関連している。

5c  経営者は、旧規格における品質管理責任者に等しい「経営者の代行者」を任命し、
  1)品質システムを確立し、維持し、2)その成果を経営者に報告し、
  3)顧客要求内容の認識を高める責任を与えている。

5c2  経営者、もしくはその代行者は、品質マニュアルに記載された品質システムのプロセス
   並びにその効果に関して種々のレベルおよび部門に内部的コミュニケーションを効果的に
   行っている。 

5d  経営者は、改善目標を含む品質目標を達成するために必要な経営資源の配分が
   計画的に実行され、その計画内容は文書化されている。(項目7aも参照)

5e  自社の品質システムを適切に記述した品質マニュアルが現存する。

5f  クオリティに影響を与えるプロセスの実績は、1)適切な文書(例えば、手順書、作業指示書、
  図面など) 、もしくは2)規定されたトレーニングによって強化された措定の実行方法、
  もしくは3)これらの両者を組み合わせたものによって裏づけされている。

5g  文書並びに記録を管理する仕組みは、以下のことを確保することができる。
  1)正確な文書(たとえば、図面、手順書など)は、いつでもどこでも必要なときに使用できる
  2)有効でない古い文書は廃棄されるか、さもなくば不用意に使用されないように禁じられている
  3)実績や性能を示す品質記録は必要なるときにいつでも引き出せる。

5h  文書化された手順書、指示書、図面などは、改訂を含め、体系的に審査、見直しされ、
  使用する前にその適切性が承認されている。

5i  計画された間隔で、経営者は、 1)組織並びに顧客のニーズを満たす面において品質システムを
  継続的に使用できるかどうか、その適切性と効果を見直す。また2)見直しの結果が示すならば、
  適切なる処置を講じるよう方向付けを行う。

5j  この経営者の見直しに対するインプットとしては、品質監査の結果、顧客からのフィードバック、
   品質目標に対する実績、是正および予防処置、そして品質システムに影響を与える環境の変化がある。

 

経営資源の管理

6a 経営陣の中には少なくとも一名は、品質保証の経験もしくはトレーニング
  (すなわち、品質管理責任者、品質管理部長、品質管理技術者) を持っている。

6b クオリティ関連の責任者として任命された人は、高度な知識、トレーニング、職能、
  もしくは経験に基づく高い能力がある。

6c  品質システム並びにその実践によって、1)クオリティに影響を与える業務を行う人たち
  すべてに対し求められる能力面でのニーズが明確になっている、2)これらのニーズを満たす
  トレーニングが行われている、そして3)人材育成、経験、トレーニング、資格認定の記録が
  残されている。

6d  トレーニングの効果が評価されている。

6e  すべての社員は、自分自身の仕事の重要性と他の部署との関連性を自覚し、品質目標
  を達成するためにどのように貢献するかを認識するように何らかの方法をとっている。

6f  製品を生産し、あるいはサービスを提供するに必要となる施設(職場、設備、
  ハードウエア、並びに支援サービス) は明確にされ、それらが提供され、維持されている。I

6g  製品を生産し、サービスを提供するために必要となる職場環境(すなわち人間工学的、
  並びに物理的)はどうなるべきかが明確にされ、管理されている。

製品の具現化

7a 製品を生産し、サービスを提供するために必要となるプロセス並びにサブ・プロセスを組み立てる。
  この組み立て計画には、適切なる場合、以下のことを考慮する。すなわち、
  a)製品、プロジェクト、もしくは契約の目的
  b)人的資源と資格
  c)手法、設備、機械、機器、材料
  d)合否判定基準、および検証並びに妥当性確認の手法
  e)製品・プロセスの適合性を実証するために必要となる記録

7b 1)顧客要求、この場合顧客によって特定されてはいないが意図されている、
  もしくは特定された用途に対し必要となる要求を含める、および2)製品とサービス
  に関連する法規並びに規制上の要求事項を明確にする。
    

7c  要求事項を満たすことができることを確認するために、受託する前に新規注文並びに変更を
   レビューする。

7d 要求事項を明らかにするために、もしくは注文の受託前に両者の理解が異なることのないように
  必要に応じて常時顧客と接触する。
    

7e  顧客のフィードバックを要請し、顧客の苦情・不満を処理する。

7f 個々の新規設計、もしくは開発プロジェクトに対しプロジェクト計画並びにスケジュールを
  整える。

7g 設計を進める前に要求事項を明確とし、レビューする。

7h 設計が要求事項を充足していることを証明するために適切な設計段階で分析、調査、詳細検討、
  試験を実施する。
     
7i  設計のアウトプットが当初の設計目標を満たす製品を生み出すことを確実とするために
  そのアウトプットに関する文書(図面など)をレビューする。

7j 定期的に設計のレビューを行う。

7k 設計・製作されたように製品が要求事項を満たしていることの妥当性を確認するために
  適切な試験、あるいは実地テストを行う。

7l  設計または開発の変更を明確都市、文書化し、管理する。必要に応じて、変更を行う前に
  検証または妥当性の確認を行う。  

7m ニーズを満たすための新規供給者の能力を評価し、また現在の供給者についても実績を再評価する。

7n 購買品が要求事項に適合していることを検証する。(注:規格は強制していないし、
                         どの程度行うかの限度を定めていない。)

7o 生産とサービス活動を以下に基づいて管理する。
  1)作業指示がなされていることを確保する。
  2)適切な設備の使用と維持
  3)適切な測定とモニタリング器具の使用と維持
  4)モニタリング活動の実施
  5)製品の払い出し、製品・サービスの引き渡し、並びに出荷後の活動に関するプロセス
   を規定すること。

7b  製造のすべての段階においてすべての材料、構成部品、製品そのものを明らかに定める。

7q 顧客の所有する物品を明確化し、検証し、所有されている間保護し、維持する。
  これには、知的所有物、すなわち、秘守義務のある情報、を含む。
    
7r 特殊な取り扱い、保管、包装、配送についての要求事項を明確とし、実行する。

7s 期待された結果を生み出す職能を掲示する特殊工程の妥当性を確認する。この妥当性確認
  には、該当する場合、a)プロセス、装置、要員の認定、b)定められた手段・方法、c)記録の
  必要性、およびd)妥当性確認を含む。

7t 測定能力が測定上の必要性に合致していることを確保するために測定およびモニタリング機器
  を管理された条件下に置いて維持する。該当する場合、これらの機器は、1)記録された校正された
  条件下に保持される、2)許可されていない調整が行われないように保護される、また3)取り扱い、
  保存、使用中に損傷もしくは劣化がおこらないよう防御される。

7u 測定およびモニタリング機器が校正はずれであることが判明した時には、前回校正以降実施された
  測定の妥当性を評価し、適切なる是正処置を実施する。

7v 使用前に測定およびモニタリング機器に使用されているソフトウエアの妥当性を確認する。

 

測定、分析、および改善

8a 製品とサービスの適合性を評価し、さらに統計的手法の必要性並びに使用の決定を
  含む改善の度合いを測定するために測定並びにモニタリング活動を定め、計画し、実施する。 

8b 顧客満足度もしくは不満足度に関する情報をモニターする。

8c 品質システムの規格に対する適合性、およびその効果を決めるために内部品質監査を実施する。

8d 監査により明らかとなった欠陥については是正処置を適時に行い、取られた処置の効果を検証する。

8e 意図された目的を満たすためのプロセスの能力が持続可能であるかどうかを測定
   並びにモニタリングする目的として適切な手法の適用する。

8f 要求事項が満たされていることを検証刷るために製品性能・特性を測定し、モニターし、記録する。

8g すべての必要なる活動が満足に完了するまでは、製品やサービスの払い出しが進められない
  ことを確実にする。

8h 不適合品を明確にし、隔離し、廃棄する。

8i 出荷後ないしは使用後不適合が発見された時には、不適合の「成り行き」(consequence)について
  適切なる処置がとられる。

8k 以下のものを含む実績・成果のデータを収集し、分析する。
  1)顧客満足もしくは不満足
  2)顧客要求への適合度合い、プロセスの特性、製品並びにその傾向
  3)供給者

8l 継続的改善のためのプロセスを策定し、運営管理する。

8m 不適合の原因を明らかにすることと再発を防止することのために是正処置を講じる。

8n 潜在的不適合の原因を取り除くために予防処置を明確にする。

             


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