裂画の制作手順


裂画も創作の一種ですから決まった手順があるわけではありません。ここでは一般的な6段階の手順を選びましたが、必ずしもこの手順どうりにしなければならないことはなく、いろいろ応用していただければよいと思います。花をモチーフにした制作を写真で示しながら、各段階を説明します。
第一段階では裂画に表現したいモチーフを選ぶことになります。物体だけでなく、昔の懐かしい思い出、本を読んだ後の感動、旅先でのスナップ写真などもモチーフとなります。個人の発想が求められる段階と言えます。

第二段階は布きれ選びです。集めた布きれの中からモチーフのイメージに合った布きれを何種類か選び出します。ところが、手持ちの布きれではイメージどうりものが全て揃うとは限りません。そのときにはイメージに近い布きれを選び出しておきます。布きれの意外性が発揮されることもありますから、あまりこだわらない方がよいでしょう。

第三段階では背景の布きれを台紙にノリ貼りします。まず集めた布きれの中から背景になる布を選び出し、ボール紙に貼ります。ペンキぬりに使うハケや筆を使って素早く滑らかに貼ります。貼り終わると2-3時間自然乾燥させます。

第四段階は布きれの中からモチーフに合った部分をハサミで切りとり、背景台紙の上に置いて、画面を構成して行きます。絵画のデッサンに等しい作業になります。切り出した素材を台紙に置いてみます。気に入らなければ取り外し、別の素材を切り出し置き換えて、自分で納得のゆくまで時間をかけて、いろいろ表現を変えてみてください。この作業で注意していただきたい事があります。単なるハリ絵にならないようにプリント柄をそのまま使わないことです。例えば、葉っぱのプリントを葉っぱに使うことはしなでください。なお、この作業はあくまでデッサンですから、画面構成の主素材のみで行い、細部の素材は後から付け加えればよいと心がけて下さい。 納得できれば素材を背景台紙に貼り始めます。一旦貼った後で修正したくなったら絵具の筆に水を浸け、素材に水を吸い込ませると5-6分で簡単にはがせますので、失敗を恐れず気楽にノリ貼り作業をしてください。細かな部分を貼る時には竹クシを使うと便利でしょう

第五段階は自分の作品にサインを貼るだけの簡単な作業です。自分の名前の頭文字など気に入った一文字をサインにするとよいでしょう。ボールペンで一文字を綿の布に書き入れハサミで丁寧に切り抜くのが一般的方法です。

第六段階は作品をマットに納める最終作業です。マットは作品の大きさ、色、絵柄などによって選びます。マットに納めた作品は一層その美しさをひきたさせます。作品の寸法に合わせてマットを切り抜くのは自分でも出来ますが、画材店でお願いするのが無難です。自分の作品の出来ばえに驚くのもこのときです。


さて、創作の方法は理解出来ても裂画を始めることには勇気がいります。そこで助言。難しいモチーフでなく簡単な絵柄、例えばイチゴ、ナスなどから始めると楽しく創作にとりつけるのではないでしょうか。

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