PCEngine発売5000日突破記念

- 開発中止品の知られざる世界 -

■ パワーコンソールについて、お聞かせください
・パワーコンソール開発中止で狂喜乱舞

パワーコンソールはですねぇ、あのハンドルが とりあえず だめ です。

 「こう右に…」 バキッ 「何?」
 「左に…」 バキッ! 「何々?」

大きい割にヤワな部品構成だったんでよく壊れてました。 樹脂んとこが。
でもあれを大きさなりに頑丈に作ると値段と重さが とんでもない事になるので どうしてくれようかと大苦戦。
そりゃ開発中止決定でみんな万歳です。

なお、開発中止のアナウンス直後、開発部署では丁寧にバラされ、 部品類は即効で廃棄処分になりました。

コミケット53でオークションに出た物は、開発部門からこっそり出ていった物とは考えにくく、 恐らく貸し出した試作機をご丁寧にとっておいた所が 放出した物と思われます。

・パワーコンソールじゃないといやだ

「月刊PCEngine」の読者プレゼントで

 「発売予定のパワーコンソールをプレゼント」

ってのをやっていたようです。 既に当選者が確定した状態で開発中止になり、 運悪く当選してしまった方々には 他の物に変更して下さいーって打診をしたらしいのですが、1人

 「絶対パワーコンソールっ」

と言い張って譲らない人がいたそうです。 その後どうなったのか不明です。いやいや。
江口団長、あれはどうなったんでしょうか?

■ 通信ブースター(PCEモデム)について、お聞かせください
・量産寸前までいったのに…

コア構想の一環として「通信ブースター」の名で開発が行われてサンプル品がPC-VANのPCエンジンクラブで モニタ募集され、実際にモニタリングまで実施されました(数十台)。
(サンプル品である本体+専用ソフトは無償提供)
ちなみに、PCEngine本体では電源がまかないきれない為、コアグラ等と同じACアダプタが別途必要です。

しかしながら、

・ゲーム機で通信という概念が当時は無かったため売上が見込まれない
(当時モデムはかなり高価(2400bpsで2〜4万)だったので販売されていたら、かなり高値になった)
・開発から量産にこぎつける期間が長すぎて仕様が古くなってしまった
(1200bpsモデムでしたが、いざ量産しようかという時期に世間では 既に2400bpsモデムが一般化していた)

という理由であえなくお蔵入りとなりました。
モニタリング品は回収されなかったので今でも所有している人は居るはずです。

モデムは、本当に量産寸前まで行きました。100台程度を実際の量産予定場所で テスト的に量産しています。
これはモニタリング募集の後だったので この時のお試し量産品は行き先もなく、ゴミになりました…

■ 通信ブースターのソフトについて、お聞かせください
「通信TooL」(容量は2Mbit)という名称で、以下の事が出来ます。
  1. 無手順接続による通信
    オートログインも可能です。
    ホストから送られてきた特定の文字列を検知し、 こちらからどういう文字列を返すかの設定が出来るという 当時よくあった方法でこれによってIDとパスワードを 自動送信する事が出来ます。
    PC-VAN限定という事はなく、300bpsか1200bpsの無手順接続に 対応しているBBSならどこにでも接続可能です。
  2. BASIC (公では一応インタプリタ型言語という事になっています)による プログラミング
  3. プログラムで使用する背景やスプライトデータの編集
  4. その他
    ・JIS第一水準漢字ROMフォント内蔵
    ・単漢字変換
    ・バイナリ転送はXMODEM
    ・表示は横40×縦16文字
     ただし全角文字の場合は横20文字(縦は変わらず)
    ・文字入力はパッドでのソフトウェアキーボードで行います。
     そのため文字を打ち込むのが大変です。
     専用キーボードを接続すれば普通にタイピングが可能となる予定でした。
ある程度のゲームは作成可能です。

PC-VAN限定と言われていたのはこれらの支援ツールや実際の プログラム等がPC-VANのSIGで公開されていたためだと思われます。

通信TooLは単なるHuCARDのソフトになる予定でRAMなんぞは搭載されていなかったので オートログインのデータやプログラム等は通信ブースター内蔵のSRAM(32KByte)に保存され、 電源を切っても通信ブースター内蔵のNi-Cdバッテリーでその内容は保存されます。

(注:通信ツール 表示画面も、あわせてご覧下さい。)

■ 欠番PI-TG2って、どんなものだったんでしょうか?
これは、シャトルを計画していた時の型番です。

シャトルって廉価版PCEngineって位置付けじゃないですか。 だったら添付品も減らして激安にしようって話になって、

 「じゃあ本体だけ、他 別売り」 (この時点で何か間違ってる)

ちょっとやりすぎじゃない?と思ったのは僕だけではなかったようです。 偉い人たちもそう思ったみたいです。
このままでは初代FM-TOWNSの二の足です〜。 しかしストップがかかるのが遅かった…。
結局、本体と添付品セットが入る大きい箱を新たに作り、 型番を変え、既につくっちゃった分はやりなおし。
よって欠番となりました。

 「色違い(ブルー)のシャトル」

も当初ありました。 単品売りなら色違いってのもいいだろうという安易な理由で発案されたものです。 (これもこの時点で何か間違ってる)
とりあえず5個だけサンプルということでその色の樹脂で筐体が作られ、 実際に基板を入れて動く様にしたのはそのうち2台ということで猛烈に幻のモデルとなりました。

参考:シャトル別売り時の予定型番 (全て発売中止)

PI-TG2
PI-TG2-B
PI-AD10
PCEngineShuttle
PCEngineShuttle (コバルトブルー)
PCEngineShuttle AccessoryKit (ACアダプタ、AVケーブル、パッドの3点セット品)
かなり後日、ATARIのジャガーを目撃した時にシャトルのOEM品ではないかと本気で疑った人が 多分僕以外にも居ると思われます。

(注:もし実在すればこんな感じかな? ってことで PI-TG2-B 想像図 )
(注:初代FM-TOWNSは、「キーボード別売」という凄いパソコンだった)

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