IndexDiary TopOld DaysPhoto Diary


Ab-St
───追憶のAbnormal Stripperによせて───


昔語りをしたいんだけど、何から話せばよいものか・・・。

 ある種の音楽を聴くと、ワーッとその頃の自分の気持ちとか情景が浮かぶことって、ありますよね?
わたしにとってその種の歌の一つにAbnormal Stripper(以下Ab-St)の歌があるのです。
 ナカノがまだ高校生で、百合のマークの入ったセーラー服(マニアには高く売れるらしい)を着ていた頃、音楽業界はちょっとしたバンドブームだった。
時代背景をわかりやすく言うと、小室哲也がTMネットワークでデビューしたあたり(年がバレますね)・・・その頃Ab-Stというバンドを知ったのです。
東京のライブハウスで活躍中で、函館在住高校生ナカノは気軽に見にいける筈もなく、お手紙を書いてテープを送ってもらったのです。
そして、そこには確固たるオリジナルな世界がありました。

「パレスチナの憤り」

ただれたような 火傷をしたような
太陽が砂漠に昇ってくる

ここはオリエント 太陽の国
国境線が ゆれ動く

歴史のトリックに つまづいた
難民達が 息をひそめる

キャタピラの音が遠くできこえる
今日も 兄弟が一人死んだ

 HEY!パレスチナ
 悪いのは ユダヤでは ないと
 知っては いるが
 HEY!HEY!HEY!HEY!パレスチナ
 帰るうちは どこなの?

カミナリの様な 耳鳴りが
俺の頭を かけめぐる
やつは銃をとり 砂漠にとび出す
やつは去ったが 視線は残った

いすわるつもりか イスラエル
いつわるつもりか 日本人

砂漠に散った パレスチナは
歴史にうずもれ 闇に咲く

 HEY!パレスチナ
 悪いのは ユダヤでは ないと
 知っては いるが
 HEY!HEY!HEY!HEY!パレスチナ
 帰るうちは どこなの?
 どこなの?
 どこにもない

(by Motohiro Kubo)

↑上記の代表作「パレスチナの憤り」はTechnical Music Planningというアルバムに収録されたりもしている代表作。
とにかくその詩の独得な世界観にやられ、バンドメンバーとは細々と手紙のやりとりが続いていたのですが、ナカノが東京に出、ライブに行けるようになって、楽屋でやっと再会を果たしたものの、しばらく経ってバンドが解散。(この時クボ氏はすでに脱退していた)

解散ライブは渋谷のLamamaでした。

 思えば、あれはナカノにとってもひとつの区切りになったのかもしれない。
その後Ab-Stのメンバーのうち2人が入った別のバンドのライブに行ったり(原宿クロコダイルだぞ!懐かしい!)しましたが、そのバンドも解散し、彼らとの縁もだんだん疎遠になって現在に至っていたのですが・・・。
先日フト「パレスチナの憤り」が口をついて出て、そういえばギターのサカタ氏はけっこう早くからパソコンネットを使っていたなと思いだし、彼のフルネームでgoogleに検索かけたところ、

いたいた〜!!!

その経歴を読むと、どっひゃあ!カナダ?バンクーバ?翻訳家ぁ?
というオドロキの変遷を遂げていらしたのでした。
さっそく本人のサイトへ行き、掲示板に書き込んだところお返事がきて、もうひとりのメンバーで初期Ab-Stのリーダー的存在だったクボ氏も自身のサイトを持ってることが判明。
さっそくこっちにもカキコして待つこと1日。
クボ氏はナカノと行き違いに北海道に帰ってしまった人で、会ったのはAb-Stメンバーのドラム・テラダヤ氏の結婚式2次会の1度きり。
思い出してもらうのにちょっと苦労(笑)したみたいですが、思いあたってくれたようでこちらのBBSにカキコしてくれました。

う、うれしいよ!じぃ〜ん。。。

 人の縁って不思議、そしてネットってすごい、泳いで泳いでやっと懐かしい島にたどり着いた気分。
5人のメンバーの内2人が自分のサイトを持ってるというのも、歌の代わりに違う方法で言葉(思い?)を伝えるということで、不思議なことでもないのかもしれない。
Ab-Stはもう無いけれど、Ab-Stの思想(のようなもの)はちょっとだけナカノの中に息づいている。

ココロや精神がやわやわな時に聴いた曲なので、深いところに核を残している。現在あるナカノのピースのひとつ。

 さらに、クボ氏はTKB 「2×8」(ツーエイト)というアルバムにコンセプト・ポエムを書いているそうで、まったく音楽の世界から離れているわけでもなさそう。
なんにせよ、各人がそれぞれの「らしい居場所」に落ち着き、生活していることを知ることができて、うれしい。

10年ぶりにネット邂逅をはたして、ちょっとおセンチになってしまいました。

では、最後にクボ氏の『失われたヒヤシンス』とサカタ氏がそれを英訳したモノで締めたいと思います。

(砕け散る夜のガラスの ひとつひとつに映る君と僕 / 血だらけで立ってる 38 度線 瓦礫の中で震えてる)
There you see, reflections of you and me
in every little broken window glass, in the dark
Here we stand right on the bloody 38th Parallel
Can't stop shivering in the rubble

(憎み合うバランス覚え 信じる勇気を失って / 冷たい壁にもたれながら 今君に出会った)
You know we fell into the balance of hostility
while losing the courage to believe anything
I lay on my back on the cold concrete wall
Oh what can I say, I finally got to see you here

(マシンガンに守られて 砂漠で見る夢は / 知らない谷間に咲いている 失われたヒヤシンス)
What kind of dream will I have
in the desert, guarded by machine guns
Oh you never know, you never know
I think I know it is the long lost hyacinth
in the far valley that I've never seen

・・・以上、昔語りでした。