オモシロイ!マークはあくまで私の好みです。
■2010年
占い師ルイーズ(もちろん芸名)のもとにおとづれる人々と、ルイーズ本人のお話。
占いとは別のところで、問題が解決していくところと、ルイーズのお気楽な性格が心地よくて、気楽に読めました。
好きな世界観です。
こういう風に肩肘張らずに生きられたらなぁ、と思いました。
日常もみる角度によっては素晴らしいのです。
大人の目線ではわかりづらい子供の心境が「あ、そうだった!」という感じで書かれています。
たしかに子供の頃はこんな風に考えていたわ、と。
子供って大人が思っているより、ずっとクールなんですよね。
忘れてました。
以前読んだ本でした。
多聞(音楽プロデューサー)の関わったお話し。
不思議な世界観で、日本が舞台なのですがほんのちょっと軸のずれた感じなのです。
5股をかけていた男がそれぞれの女に別れを告げに行く、作者によると太宰治の未完の小説「グッド・バイ」から発想を得たそうです。
主人公のつきそいとして本書に出てくる繭美というキャラが強烈でした。
印象に残りすぎるくらい濃いキャラ。
口の悪い巨体の女という描写で、ずっとマツコ・デラックスをイメージして読んでいましたが、ぴったりでした。
主人公については最初「5股って!」と女性目線で敵と思っていたのですが、いつのまにか憎めなくなっていて、しまいには味方になって応援していました。
こういうところが、さすが伊坂作品・・・かな。
自動車ジャーナリスト徳大寺有恒氏が書いた猫エッセイ。
猫をみつめるあたたかい眼差しに、何度もじわっときました。
何気ない描写にチャオ(飼い猫)へのいとしさがあふれていました。
っていうか、あふれちゃうんだろうな、きっと。。。
政治のお話だったので、堅い内容かと思いきや、ユーモラスなドタバタ劇みたいなストーリィ。
でも、この軽さは実際に政治のことを調べ尽くしたからこそはしょれて、アレンジもできたんだなということがわかります。
難しい話を読者に興味を持たせて読ませる技。
「漢字の読めない総理」をこういうネタにできるなんて!です。
出だしから、これは愉快でハッピーなお話しではないなと思い、読み進めるにしたがって、不幸な方向へ向かいすぎる(中国やウイグルの生活や風景が活き活き描かれていておもしろいのですが)
と暗澹たる気分になったのですが、後半暗い中に光がさし、状態は悪くても芯となる部分は光って終わったという感じ。
心配していたより、ずっと爽快なラストでした。ー本文抜粋ー
もちろん、今の方が幸せだとは絶対に思わない。
だが、不幸の中にもモザイクのように
美しいものは織り込まれているのだ。
顔の整った若者2人が登場してタイトルには薔薇の文字。
あっち方面の話!?と思いましたが、ちがっていて、でも耽美なお話でした。
後半からぐいぐいとストーリィが動き、謎が明かされたラストやはり耽美でした。
余韻の残る幕切れ。
「しあわせのこみち」「チハラトーコの物語」「樹氷の街」の3編収録。
最初の2編があいかわらず登場人物がキツかった。イタかった。
そうなることがわかってるのに読むんだから、それだけストーリィには惹かれているのかも。
「チハラトーコの物語」「樹氷の街」は今まで読んだ作品とリンクしていて楽しめました。
40代の恋やあれこれを女性目線で。
いくつになっても女性は女性、ということがふわっと生臭くなく描かれている。
この生臭くないということが重要!
読んでいて重くない。
以前ちょっと「あれ?」と思った
生々しさが抜けていて読みやすかったので。
由起夫とと4人の父親をめぐる冒険。
この4人の父親達の個性的で楽しいこと!
いちばんの読みではそこといってもいいくらい。
由起夫と父親のからみを読んでいると、ほこほこしてきます。
4人も父親がいて、どこか達観し大人びた印象の由起夫が、事件を経て自分は子供だったと悟ったとき、いろいろなことを受け入れほんとうに大人に近づけたんですね。
ラスト映画みたいでした「Fin」の文字が浮かぶような小粋なラストでした。
丘の上に建つ家をめぐる物語(短編集)。
ホラーなのですが、不思議な空気感があり、ゾッとするとかはなくて、穏やかな温かみさえ感じる怖さ。
ホラーなのに!(↓以下本文抜粋)
デジャ・ビュって 実は幽霊のことなんじゃないかって
(中略)
普通の場所だって、沢山の記憶が積み重ねられている以上、その気配を感じるのも当然じゃないの?
土地の記憶、場所の記憶が内側に作用するか、外側に作用するか。
それがデジャ・ビュと幽霊の違いなんだわ。デジャ・ビュと幽霊、そして場所の持つ記憶・・・
ラストの短編も効いていました。
毎年恒例爽香シリーズです。37歳の事件。
いろんな問題を抱えがんばる爽香、カルチャースクールが舞台のメインになったので、また趣がかわりました。
でも、なんだかもう、伏線をちらばしすぎて収集できていない感も。
つぎに続いていく伏線なら良いのですが、ちょっと雑。
もっと出来事をシンプルにまとめて、爽香の人間関係をもっと描き込んだほうが読みであるなぁと。
あと、今回は殺し屋さんの出番がなくて残念!
キスのみで感染する死病の横行する近未来のお話。
これだけだとSFっぽいのですが、場所が全寮制の高校なので独特の雰囲気がある。
少女趣味あり、同性愛あり、そしてブラックな毒もありの不思議なミステリでした。
(あ、不思議とミステリって重複してる?)
3編ありましたが、どれもスゴイ!
表題になっている「イキルキス」がすべて読み終わった後ではいちばん好きでした。
他の2編はおもしろいのですが、激しすぎてちょっとしんどかったです。
「鼻クソご飯」は、読んでいるとみぞおちがキュゥとなる描写が多かったです。(男子ならきっともっとキュウとなるかと)
「パッキャラ魔導」はタイトルが絶妙。
(今後クラリネットこわしちゃったはこっちバージョンで聴こえそう)
マイジョウ作品は、私たちが思っているけど気づいていないこと、言いそうで言わないことをバチンと書く。
貴志祐介「狐火の家」ミステリらしいミステリ。
いろんな密室が出てきて「硝子のハンマー」に登場した防犯コンサルタント・榎本と弁護士・青砥が登場し解決します。
4編あるのですが、だんだんゆるくなっていくのがおもしろい。
さいごの「犬のみぞ知る」なんてかなりくだけてました。
かろうじて密室。
シリアス→スラップスティックになっていく過程を楽しみました。
地味だけど、細部にさりげなくもぐりこませたユーモアや、ちょっとした伏線が、あとからそういうことか!と膝を打つ感じで、楽しい読書でした。
都会的でしゃれたイメージの強い作者ですが、「葬儀屋」「商店街」「演歌」という題材もうまくいきていて、それでいて、この作者らしくこなしています。(脇役の桑田くん、いい味だしてました)本文より↓
リビング・ウィル。ふとそんな言葉が浮かんだ。
自分の死に際して実地される治療について、患者が判断力のあるうちに
文書化したものをそう呼ぶという。
「このときのウィルってのは意志のことなんだぞ。知ってたか?」
(中略)
「そのウィルが未来を表すってことは、だから、あれだ。
未来ってのは、いつだって意志と一緒にあるってことだな」本文のラストシーンとカチリとはまりました。
読み始めて、なんだか不思議な世界観だったので実は近未来?アンドロイドかなんか?
と思って読んでいたのですが、ちゃんとオチがありました。
うがち過ぎた★
無いものがあり、有るものがないのです。
初妹尾まいこさんでした。読むの初めて。
角川のハッケンくん(角川文庫のキャラクター)
ストラップ欲しさになんとなく買った文庫ですが、
読みやすくすきなタイプの本だった。
甘すぎない甘さが読んでいて心地よい。
他の作品もよんでみたくなりました。
きっかけをくれたハッケンくんに感謝!?
石田衣良「東京DOLL」
読み始めてすぐ後悔。
「眠れぬ真珠」と同じ感じの受けつけない世界。
エセトレンディドラマ(死語?)みたいな恋愛小説でした。
主人公が何故モテたのかわからないし、ヒロインの素敵さもよくわからない。
以前の石田さんなら、もっとゲーム会社内のチーム内情を重視した書き方をした気がする。
そっちの方が読みたかった。
後半若いディレクターとのやりとりはとても良かったので。
辻村深月「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ」
いつも感じる人を見下した部分は健在ですが、慣れたので、またかーと思いつつストーリィを楽しみました。
女同士の嫌な面が描きこまれてますねー・・・。
良い面より嫌な面に比重がきてしまうのが辛い。
現実にそうだとしても!ですよ。
女同士というのには娘と母という関係もあり、それもまたテーマのひとつとなっています。
合コン女子についての記述がやたら多かったけど、そこ大事なとこですよね?
三浦しおん「まほろ駅前番外地」
タイトルでもわかるとおり「まほろ駅多田便利軒」の番外編です。
その前作に登場した脇役たちを語り手にした短編7編。
印象に残ったのは、「岡夫人は観察する」。
何気ないんですが、じんとくる温かいものが通っていました。
「逃げる男」に登場した亜沙子さんは今後のキーパーソンにもなりそうで、ますますまほろ町から目が離せません。
また、続編出ますよね?
この人間関係をわすれないうちに読みたいです。待ち遠しいです。
よしもとばなな「大人の水ぼうそう」
エッセイを読むときは距離感を把握しないと。
作者の素に近いせいで、ちょっと納得できないことが書かれていると、反発してしまうから。
ばななさんはそれほど「あれ?」と思うことはないけど、でも、2冊続けて読み、ようやっと距離感をつかめて楽しんで読めるようになりました。
もともと負の書き込みが少ないので読後感は良いです。
年を重ねて、もうしたくないことをするためのガマンをしないという言葉(心情?)にわかるーと思いました。
よしもとばなな「はじめてのことがいっぱい」
2008年web日記をまとまたものです。
ときどきweb上で読んでいましたが、こうやってまとめて全体を通して読むとまた印象がかわりますね。
エッセイなので、その生活や思考に、心情的に賛否両論となえながら読んでますが、けっして不快にならない日記です。
そして、そこがばななさんらしいところ。
森博嗣や羽海野チカとの交流や、その感想とか
興味深く読ませていただきました。
怪談でおなじみの皿屋敷の物語。
序盤の展開がまったりしていて、半ばまで読むのに時間がかかりました。
が、後半からは駆け抜けるように読了。
ただ、ラストすっきりしない部分も。。。
けっきょくお菊の最後ってどうだったの!?
という重要な部分がはっきり描かれていないので、やや消化不良気味です。
が、伝聞と180度ちがうお菊像をもってきつつ、ここまでのストーリィにまとめ上げたのは、さすが!
児童向けのミステリーなので、明るくかわいらしいお話し。
事件と(副題の)ミルクティーのリンクがこの著者らしいなーと思いました。
児童文学好きなので、シリーズ化希望。
このキャラクターたちの活躍をまだまだ読み続けたいです。
グレイス&フェイヴァーシリーズ5作目。
その時代、その場所に、そういう暮らしがある、という雰囲気を感じながら読むのが楽しい。
とはいえ、いろいろ大変な時代です。
自宅にメイドがいるのに、自分たちは老人ホームでの仕事を頼まれ、肉体労働でハーハーしてたり。
そういう変な矛盾がある時代なのですね。
施設に手作りエレベーターをとりつけるシーンが楽しかったです。
グレイス&フェイヴァーシリーズ4作目。
1930年代の出来事が生々しく描かれている。
この時代の女性は大変だったんだなーと思いました。
兄妹で先生に挑戦しているのが見物です。
前作からそっと続いている、ジャックとメアリの仲も、今後気になるところです。
グレイス&フェイヴァーシリーズ3作目。
前2作からずいぶん経ってしまったので、やや記憶があやふやだったのですが、読んでるうちになじんでました。
1930年代当時の社会情勢がリアルに描かれていて興味をそそる。
回を重ねる毎に村の住人がなじみになってくるのも、こういうコージーミステリの楽しいところ。
兄のロバートがしっかりして頼もしくなってた。
GOTH シリーズ番外編。
半分は写真集の体裁なのですが、写真が良くないし、レイアウトもいまいちで文章も写真も活かされていない気がしました。
ずっと手元にあったのに読む気にならなかったくらい。
(本文の読みづらさとか写真のレイアウトの単調さとか)
見せ方をもっと工夫すればステキな本になりそうなのに・・・。
で、本文ですが森野が事件に巻き込まれかけるというもの。
後半の解決(?)の仕方が乙一氏っぽいです。
文庫をジャケ買いしました。(酒井駒子さんのイラスト)
雰囲気のある短編集。
好きだったのは「花畑」。
わかる!と思いながら読み終えました。
1章目を読んだらもうその後は一気読み。
ザッツ・エンターテインメント!
いろいろ言われてそうですが、私にはとてもおもしろかったです。
語り手が変わりながら、次々に前章の謎が明かされていくので、その都度、新鮮な視点から事件を眺めることができる。
共感できる登場人物はいないけど、だからこそブラックな要素もするりと入ってくる。
最後までブラックなままを貫いたのが小気味よかったです。
登場人物にも、世界観にも共感できず、なじめないトレンディドラマを結末だけが知りたいために観ている気分でした。
その気になる結末は、私の好きなハッパーエンドだったので、少しスッキリしました。
弱小球団仙醍キングスで活躍するために生まれてきた男の生涯。
全体としては「SOSの猿」につながる、少し不思議な世界を内包している。
主人公・王求(おうと)におまえと呼びかける本文の語り主が明かされるところがおもしろかった。
あと、「重力ピエロ」とはまた違う、父と子の関係。
新刊「オー・ファーザー」ではどんな父と子のアプローチを
みせてくれるのか?楽しみになってきました。
最近のノリツッコミのテンポ良い会話主体の文章が影をひそめ、普通の小説になっていました。
ノベルスじゃなくてハードカバー体裁だから?
ミステリですが、そのミステリ自体もいまいちでしたし、キャラもいまひとつ魅力がなく、物足りない感じでした。
この作者の異常な世界を期待しすぎていたのかな?
1Q84から1984へ。
その後どうなったのかは、大いに気になるところだけど、グランドフィナーレだと思います。
この先 BOOK4が出版されればもちろんうれしいし、読みますが、これはここでおしまいと言われても充分納得できます。
余韻をいつまでも楽しみたいような密度の濃い、雰囲気のある小説をひさしぶりに読んだ気がしました。
時々、月を見上げ、青豆と天吾二人のその後に思いをめぐらせることにします。
簡単にまとまると、ネットおなべとネットオカマの恋のお話。
が、著者の手にかかると小粋でオシャレであたたかいお話に思えるから不思議。
主人公たちの周囲の人達のやさしいおせっかいが、読んでいて楽しい場面でした。
女性パートのがおもしろかったです。
男性パートは、この人なんでもててるのかなーと謎でした。
宗教、暴力、殺人、善と悪、NHK、家族、SEX・・・。
著者が疑問に思いひっかかったことを、追求し、調査し、考え、まとめあげた、その答えがこのストーリィなのかなという感じがしました。
でも、これは現在の村上春樹氏の到達点であって、きっとまた数年後には違う答えを出すのでしょうけど、それもまた楽しみです。
すでに大ベストセラーですが、おなじベストセラーの「ノルウェイの森」より私はこっちのほうがずっと好きです。
改行がすくなく文字量の多い文章と、語り手がバトンすることで、読み始めはなかなかその世界に入っていけなかったけど、中盤からぐいぐいと引き込まれました。
本文中にちりばめられたいろいろなものごとに、村上春樹氏の今までの軌跡を感じた。
特に思ったのは「アンダーグラウンド」という本を書いたことが、ちょっとした転機になったのでは?ということ。
サリン事件の関係者にインタビュアーとして直接触れたことがこういう形になってでてきたのかなと。
「四畳半神話体系」より読みやすかった。女子パートも安らげたし。
羽海野チカの解説(イラスト入り)もかわいい。
読んでいると、独特の文章のリズムが癖になってくる。自分よ自分よなにゆえ不毛にご活躍。
「潤肺露(ジュンパイロ)」をひとなめしたいです。
そして、おともだちパンチは親指をこぶしの中に!
なむなむ。
「スロウハイツの神様」に出てきたチヨダ・コーキのデビュー作、という設定でかかれているので、既存の辻村作品とはずいぶん印象がちがいます。
“中学生に人気”のチヨダブランドらしいラノベ風。
マーダーライセンスという制度があり、合法的に殺人を許された、ティー(男性)とアール(女性)の物語。
・・・ですが、私にはアールの行動の真意がいまひとつつかみきれませんでした。
どこかがずれていてそのせいでしっくりこない。
そもそも彼らの別れた理由もあいまいで、そのせいで基本的なところがあいまいなまま終わってしまった感があった。
けど、そういう不完全さも含めたチヨダ・コーキのデビュー作なのかな?
法月親子の出てこない短編集でした。
本格ミステリコレクションの名にふさわしい粒揃いのストーリィ。
印象に残ったのは他作品と趣の異なる「猫の巡礼」。
不思議な雰囲気を持った作品でした。
他に、「盗まれた手紙」も好きな作品。
モーリス・ルブランやチェスタトンが好きだった私には、なんとも懐かしいタイプのミステリです。
「トゥ・オブ・アス」には法月林太郎が出てきます。
デビュー前の習作だとか。
あとがきでの著者による各作品の補足情報も興味深いです。
ブッチーシリーズ3作目。
時期が2作目とかぶるので、ザッピングしてる感じで読めます。
速見先生が格好良すぎ。
あと、噂の姫宮さんの活躍がみられたのがよかった。
ということなので、2作目と3作目はなるべく間をおかずに読むと良いですね。
直木賞候補作品。
ゼネコンの談合をめぐる物語、と堅い内容ですが、人間がしっかり描かれているので、ただ堅いだけじゃない。
主人公・平太とその恋人・萌の恋愛の行方も気を揉ませるが、それよりさらに上司・尾形や談合のフィクサー役・三橋という大人たちが重厚で魅力的。
そして先輩・西田が飄々としつつもかなりのやり手で、今までいそうでいなかったタイプ。
そいいう個性のしっかりした脇役に固められ、堅いストーリィにもかかわらずサクサクと読めた。
が、それだけにラストにもうちょっと後日談が欲しかったところ。
映画を先に観て真相はしっていたけど、充分楽しめた。
真相を知ってるからこその楽しみもあったかも。
映画は叙情的な感じで、石神の行為が切なかったけど、小説の方は湯川の苦悩が切なかった。
そして淡々とした語り口だっただけに、ラストが(映画よりも)腑に落ちた。
あれはあれでよかった。あーするしかないなと。
映画だと視点が石神よりなので、そこんとこ客観的になれなかったんですね。
でも、どちらも良い出来で、好きな作品です!
「厭な小説」に続き、読むのがしんどい小説でした。
といっても、つまらないお話というわけではなく、辛いお話だからということで。
「十万年」の、宇宙人と遭遇できない説は目からウロコでした。
京極氏っぽいくだりだな、とも思いました。
そしてラストに収録された「こわいもの」。
こわいということの境界の曖昧さ、不思議さについて考えさせられる。
(しかし、屁理屈こねですよね?)
3人の女友達をメインすえ、語り手をバトンタッチしながらオムニバス式に描かれたお話。
1章目ですでに未来に良くないことが起こりそうなしんとした雰囲気があり、これは悲しい結末で終わるお話しなのだな、と思った。
読んでみて、たしかに事実はそうであったけれども、、物語世界の空気が穏やかでやさしく、
人が人を思いやる心にあふれ、読後感まで悲しくなることはありませんでした。人が生きていく時、力になるのは何かっていうと、
《自分が生きていることを切実に願う誰かが、いるかどうか》
人間は風船みたいで、そういう願いがやっと自分を地上に
繋ぎ止めている。(本文抜粋)
ブッチー&白鳥シリーズ2弾。があんまり二人の活躍は少なく、小夜さんという看護師をめぐるお話しでした。
その小夜さんの歌をめぐるエピソードがすごい!
アクロバティックというか・・・けっこう強引で、この作者の新たなひきだしを発見!というところか。
これだけ柔軟なストーリィが組めるのなら、これからの作品も先が読めなく、楽しめそうです。
マンガ家槇村さとるが、ショッピングやファッションや健康について語ったエッセイ。
試行錯誤して得た自分のスタイルを、こうやって自信を持って発表できるって、良い年齢の重ね方をしたんだなーと思います。
再読してみたのですが、今読むとなかなか時代の古さを感じます。
FAXで受注のやり取りとか、OLさん(これも死語?)の環境も大きくかわったなーと。
でも、そんな古き良き時代の社内風景がノスタルジー。
ヒロイン陶子のライバル(?)谷さんが気になりました。
ソフトボールの回がおもしろかったです。
・・・どうもピンと来なかった。
チエちゃんの素敵さが、うまく伝わらなかったからだと思う。
さりげなく伝えようとしすぎて、そこが必死っぽくなって浮いてしまったように感じました。
逆に暗いものを隠して自分に言い聞かせているような、そんな重い感じがしてしまったのでした。
「正義のミカタ」とはまったく印象のちがう文体&内容。
シリアスなミステリーです。
「毒」「死までの猶予時間」という共通点をもった3人はどこでつながっているのか?
最初提示した答えをひっくりかえすラスト、気持ちよい裏切りでした。
正義は各人の中にそれぞれ存在していて、名称としてひとくくりに「正義」と呼んではいるが、ひとつとして同じものはなく、人の数だけの正義が存在するということ。
中盤からの展開が一筋縄でいかなくて興味深かった。
それにしても、本多孝好ってこういう文章かいてたっけ?という軽妙な語り口がおもしろかった。
読みながら2回ほど噴き出しました。
綺麗事すぎず、格好良すぎもせず、ダメ過ぎでもない、これは好きな本です。「ダッセェ」
呟きに目を向けると小学生の男の子が僕を見上げていた。
僕はエヘヘと笑った。
ださい。よかった。それなら僕のやり方だ。間違っていない。
(↑本文抜粋)
どんな理由があっても、過失でも、人1人の命を奪った代償は大きいということ。。。
「英雄の書」もそういう傾向だったが、けして許されない罪があるということを甘やかすことなく、しっかりと見据えている。
とはいえ、DP3人3様は明るい未来を手に入れたように思う。
シェンの母ローズが本当はどういう人か気になります。
5作目でいろいろ明かされる・・・かな?
いつか語り継がれるかもしれないお話。
短命家系男子とチケットというキーワードを意識して読むと更におもしろくなりそうです。
オムニバス短編ですが、そんな風につながってます。
ラストの「懐かしき川べりの町の物語せよ」が印象に残る。
「コンステレーション」「布置」という言葉が出てきます。
偶然と思われる事柄も離れて大きな視点から俯瞰して見ると、何か大きな意味がある、そういった巡り合わせのこと。
意味のある偶然・・・偶然のつらなりを読み解く楽しさ、読者に許された神の視点。
「SOSを出してる人を救いたい」そう思ってくよくよ考えるだけでも良いように、
日常の細々とした出来事がどこにつながっていくかは、その時その当人にはわからないかもしれない、けど、なにか大きなことに繋がっているかもしれない、その手助けをしたかもしれない、と考えるのは楽しいですね。
後味が悪くてまいったなーと思った。
この一連のストーリィで何をいいたかったのだろうかと。
まっすぐ育っていたゆーちゃんだったのに、あんなつまづき方をするなんて女の子って切ないな。
それまでは、好意的な大人に囲まれていたのに、落ちてゆくときはあっという間、
やっと自ら決断したことがあんな結果になり、怖いことです。
とってもかわいらしいお話しでした。
読んでいて、ほこほこと微笑んでしまうようなお話です。
なんだかんだ文句言いつつ面倒見の良いガンバリ屋なくーちゃんがかわいく魅力的。そしてそのお母さんも。
いじわる役のイライザも嫌味じゃない悪キャラっぷりがよかった。
これ、ハードカバーじゃなく、もっと手にとってもらいやすいノベルス版なら良かったのに。
それか、ハードカバーにするならカバーのデザインを変えた方が・・・
もったいないなーと思いました。
残業の文字通り、時間外に活動する腕貫さん。
といっても出番はすくなく、女子大生のユリエさんがメインで活躍し、腕貫さんは最後の方で引っ張り出されるというかんじ。
腕貫さんがなかなかグルメだったり、楽しい発見もありました。
読み出したら一気に読めてしまっておもしろかった!
・・・はずなんだけど、私の心には響きませんでした。
なにかが足りない?
お料理はおいしそうだし、お母さんとの確執とか、エルメスのこととか響きそうなものなのに。
あえて言えば、先が読めてしまったからかも。
櫃洗市でちょっとした不思議に出会った人々の目に留まるのが「市民サーヴィス課臨時出張所」の張り紙。
腕貫をはめたいかにもお役所からきたその男の前で、もやもやをうち明けると問題は解決の方向へ。
いわるゆる、安楽椅子探偵物です。
同じ市の中の出来事なので、相談を持ちかけた人々がリンクしていくところがちょっとした読みどころ。
この時代にあって、不自由な部分もあれど、
英子がこんなに凛としていられるのは、やっぱりお嬢様という金銭的に安定した場があるから・・・と思っていたのですが、中盤でのベッキーさんとのやりとり、英子が、学校の先生の《願えば必ずかなうものです》という言葉を
無責任だと言ったときのベッキーさんの言葉、
英子にかなり目上の先生だということを確認してから
「でしたら、様々なことを見ていらっしゃいます。《この世では、あれもこれも思いのままにならぬ》と知り尽くしていらっしゃるのでは?」
「別宮には、そのお言葉が多くの悲しみに支えられたものに思えます。お若いうちは、そのような言葉が、うるさく、時には忌まわしくさえ感じられるかもしれません、ですけれど、誰が言ったか、その内にどのような思いが隠れているか、そういうことを考えるのもよろしいかと思います」というところを読んでベッキーさんが英子を育て導いていたのだなと思いました。
後半の展開は・・・歴史に詳しければもっと楽しめたかも。
語り口は乱暴だけど、真実あるいは本質的なものがそこにあると感じられた。
『人間のゼロは骨なのだ。そこに肉と物語をまとっていく』
そんな人間のありようや、恋愛の不思議やどうにもならなさなんかが、マイジョウらしい言葉で綴られている。
家族の問題とかいろいろあるけど、やっぱり恋愛とヒロイン香緒里の成長物語、ですね。
あと、くだらないパターンってものにちょっとは抗えよ。
工夫しろ!自分を見つめて考え直せ!本を読め!
何が陳腐で薄っぺらいのか
物語を読まない人間には判らない。↑てとこ、気持ちよい言い切りだなーと。
離婚する両親とその娘である双葉の最後の家族旅行。
家族というより、母と娘の物語でした。
母に愛されていないのではないかと疑いつつも「大丈夫」と自分にいいきかせる、その「大丈夫」をきくたびに「ああ、大丈夫じゃないんだな」と思って読みました。
が、ようやくラストになっていろんなことを吐きし、また認めることによって、皆が解放された。
家族の解散ではなく、解放にむかったのがよかった。
この人の描く死後の世界観が好きだ。
本文を抜粋します。永遠の別れになるはずが、また冥界で合うことができた。
軌跡だ。アンビリーバブルだ。なのにまた別れが迫ってくる。
今度は死ではなく生が私たちを引き離す。
おばさんはまた生なおすために私から離れていく。
生きていようと、死んでいようと、人と人との間に永遠はない。明るく切なく、おとぎ話風でありつつも妙に現実的。
そして、救いがある。
今回のレーンという設定も面白かった。
途中からゆるめのスポ根になるところも、意外なバランス。
主人公もまた個性的。
暗いところでのツッコミがうまくて深刻すぎない雰囲気になる。
そんな主人公の一人称文体と、不思議な世界がマッチして味のあるお話になっていた。
あと脇役の、真知栄子さんのキャラおもしろかった。
逆転裁判のおばちゃんを思い出しました。w
執筆者が次の執筆者に“お題”を手渡すリレー形式の短編集。
内容は繋がっていなかったけど、ところどころにリンクがあったり、そのさじ加減もその作家らしさが出ていておもしろい。
『くしゅん』北村薫→『まよい猫』法月綸太郎→『キラキラコウモリ』殊能将之→『ブラックジョーク』鳥飼否宇→『バッド・テイスト』麻耶雄嵩→『依存のお茶会』竹本健治→『帳尻』貫井徳郎→『母ちゃん、おれだよ、おれおれ』歌野晶午→『さくら日和』辻村深月。
粒ぞろいの作家陣です。
後書きはまた逆の順にリレー方式でかかれていておもしろい。
こういうアイデア、北村氏が好きそうですね。
読み始めて、そういえばこういう考えのキャラをかく人だった、と、思い出した。
自分(だけ)は(いろんなことが)みえてるみたいな少しイタイ感じのキャラ。
でも、読んじゃう!w
今回は女性の一人称オムニバス形式だったので、今までの作品より生っぽくちょっと苦手でした。
大人になるって大変ですよね。。。
金融庁検査で分類(マズイ状況)されそうなホテルを急遽受け持つもとになった半沢。
信念は「基本は性善説、でもやられたら倍返し」。
執拗に攻め込んでくる金融庁の黒崎をかわし、行内の問題にもとりかかり、やたら大変そうです。
狐と狸の化かし合いのすごいの・・・みたいな。
こういう厳しい職場環境をのぞいちゃうと、自分がいかにお気楽な会社員だったかと、身の縮む思いがします。
多田と行天のかみあっていないようでかみあっているみたいなやりとりが読みどころ。
メインだけじゃなく脇役も良くて、善とか悪とかはっきり言い切れないはざまの人達の魅力がいっぱい。
台詞にもハッとするものがいろいろあった。
「不幸だけど満足ってことはあっても、
後悔しながら幸福だということはない」
「すべては元通りとはいかなくても、修復することはできる」
続編が出たようなので、是非読んでみたいです。
作中、ほんとうに厭だな〜ということばかり起き、気分が滅入り、読むのがしんどくなりました。
が、時にはこういう厭ものを読んで心を強くするトレーニングもアリかもしれない。
章トビラにも蚊のつぶれた写真が印刷されていたりして、もう隅から隅まで厭な本でしたよ?
本物の偽物のお話。
上巻がアレで今回はこうきたか!という気持ち良い裏切り。
正義の定義って難しいです。
「悪にも事情があり、悪にも家族がいる(本文抜粋)」
このシリーズでは神原駿河と真宵ちゃんが好きなんですけど、この本を読んで火憐ちゃんも好きになりました。
すがすがしいバカって気持ちいい!
あと、ミスド行きたくなります。
ゴールデンチョコよりダブルチョコが好きです!
┃Index┃