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かがり火のような星の瞬く空が今日はやけに高く感じられる。 そう思いながらアーネストは自分の思考回路を疑った。 オレは狂い始めている...。 焼けただれたビル群が地平線の向こうまで続いて見える。 星明かり以外に見渡す限り、明かりはない。 この一帯に文明を示すような痕跡はもう殆ど残ってはいない。 なのに自分はゴミ置き場のような、ガラクタに囲まれた屋根もない かろうじて部屋の外壁を保っているようなあばら屋に唯一人、 マホガニー製の暖炉を背をもたれにしながら、ぼんやりと物思いに耽っている。 あまりに長時間座り続けていたので、腰のあたりが疼くように痛い。 もう何日ここにこうして寝泊まりしているのか、思い出すのも億劫だ。 いやがおうにも見おろすと胸に盛り上がった無惨な傷跡につい目がいく。 埋め込まれたチップが剥ぎとられて穴が大きく開いている。 そろそろ新しい衣服を調達しなければ・・・。 傷口はもうすっかり乾燥している。命が助かったのが不思議なぐらいだが あの時生き長らえなかった方がましだったのかもしれない。 あの日あの瞬間から何もかもが変わってしまった。僕のチップス。 僕を完全体ならしめていた双子の機械が消えたあの時から....。 眠い、また睡魔が襲ってきた。眠っては駄目だ、今日こそはこの廃墟から 抜けだそうと決めたばかりじゃないか。 もうあたりには暗闇が迫っている。 こうして瓦礫の山、打ち捨てられた不要品にとり囲まれていると、 自分も又世界から排出されたゴミの塊に化していくような錯覚に陥る。 遠くに修復不能な壊れたラジオが転がっている。 あれは僕じゃあないかなと、ふと考える。 しっかりするんだ。この土地から抜け出せさえすればきっと。 アーネストはあらがえない敵と格闘するかのように 浅い眠りに落ち込んでいった。 世界と自分との隠された隠喩をまだ知るよしもなかった。 |