緑のスィートピー

第一話 コトの起こり
第二話 機種選定
第三話 購入まで
第四話 通関手続き
第五話 ボイラーテスト
第六話 デビューならず
第一話 コトの起こり
今年(2000年)2月に、某工作機械販売店のホームページで中古の5インチD51がインターネットオークションに出品されました。
この際(金銭的に)いつ完成するか予測もつかないC12は中断して、この際D51を買ってしまおうという気になって、
実物を見に行ったりして、本気で落札しようと頑張ったのですが、オークション主催者側の諸事情により結局落札できませんでした。
その後、同じオークションでイギリス型の中古機関車が出品されたのですが、イギリスの中古機関車市場に詳しい人に聞くと、
希望入札価格とイギリスでの相場にかなり隔たりがあると言うことで、
それならいっそイギリスから5インチの中古機関車を買ってしまおうと思ったのがコトの始まりでした。



第二話 機種選定
イギリスから中古機関車を買おうと思っても、私には全くアテがなかったので、同じ市川蒸気鉄道クラブのメンバーであるH氏が、
イギリスの模型屋に友人がおりちょうどゴールデンウィークに訪英する予定との事だったので、手頃な機関車が売りに出ているかどうか
現地情報を教えてもらうことにしました。 H氏の帰国後資料をもらい、値段的に手頃・日本では他に走っているのを見たことがない(イギリスでは非常にポピュラーなのですが) ・外観の状態は良かったというH氏の感想などもあり、コンパスハウスという模型屋からSweetPeaという機関車を購入することにしました。
この機関車はバグナル社製機関車がモデルらしく、
サドル式水タンクなどナローゲージでよく見られる小型機関車の一般的な形態のイメージになっています。
また、図面や素材鋳物の他、機械加工済みパーツや完成ボイラーなども、FAX等で日本から簡単にオーダーして手に入れることのできるので、
キット感覚で組み立てることもできる機関車です。



第三話 購入まで
さて、購入機種が決まったので、早速イギリスの模型店に注文することにしました。
手順としてはFAXで注文書を送り、値段(本体・荷造り送料)と振込先銀行を確認した後、
送金すれば日本に送ってくれると言うだけの、言葉で書けば非常に簡単なことです。
が、向こうは割とのんびりしてて、日本のように何かアクションを起こせば翌日には対応されるというようなスピーディーさはありません。
先方の都合でボイラーテスト・荷造り・発送等を行うので、私の場合5月17日に注文して、イギリスから発送されたのは6月30日でした。



第四話 通関手続き
注文した機関車が日本に届くと、輸送業者もしくは通関業者から「荷物が届いた」という連絡が入ります。(ということになってるそうです)
しかし、今回はこちらの住所の町名が宛先から漏れていたため連絡が付かず、こちらから通関業者に「届いてないか?」と問い合わせ、
機関車の到着を確認することが出来ました。
通常はここで通関業者に通関代行を依頼するのですが、依頼した場合と自分で通関した場合かなり費用が異なる(当然依頼した方が高い)と聞いていたので、
今回は自分で通関手続きを行うことにしました。
成田に到着する貨物は千葉県船橋市の原木と言うところにある東京エアカーゴターミナル(TACT)に保管されるので、そこまで出かけていきます。
今回はユニトランス鰍ニいう通関業者の原木営業所に行きインヴォイス等の必要書類を受け取ります。
個人通関手続きは初めてと言ったところ、通関の手順や場所などを案内してくれて非常に親切でした。
教えられたとおり、まず売店で輸入申告書を購入し、東京税関の出張所(TACTの敷地内にある)窓口(個人輸入は1階の8番窓口)へ行ったところ、
ここでも「初めて」ということで担当官がどこに何を書けばいいか丁寧に教えてくれました。
本当は輸入品目の詳細などを記入した後、分厚い関税率表を調べて該当関税や消費税等を計算して記入するところまで自分でやらなくてはならないのですが、
「次回からは全部1人で書いてくださいね」と釘を差されながらも、ほとんど担当官の言うがままに記入している状態でした。
申告書の記入が終わると保税倉庫に行って、担当官立ち会いの下、輸入物品の確認が行われます。
申告書には模型機関車と書いたので、もっと小さなモノを想像していたらしく、担当官が5インチゲージの機関車の大きさに驚いていました。
物品の確認が済み担当官の輸入許可がおりると、東京税関出張所内にある銀行で関税・消費税等を納付し、保管料を払って荷物の受け渡し依頼をします。
指定場所に行って荷物を引き取ってくると通関手続きは終わりです。
通常はあちこちでかなり待たされるらしいのですが、今回はどこでもすんなり待たされずに処理してもらえ、2時間ほどで全ての手続きが完了しました。



第五話 ボイラーテスト
さて、首尾良く機関車を入手できたわけですが、実際に運客を行うためには、クラブで自主的に行っている、
ボイラーテストに合格しなければなりません。
これは、機関車のボイラーを水で満たし、常用圧力(通常5s/平方センチメートル)をかけて、ボイラーや配管等から水漏れしないことを
確認するテストです。
このテストはボイラーについてる安全弁(規定以上の圧力がかかると蒸機を大気中に逃がす装置)に検査器具をつけるのですが、
私のスィートピーはこの安全弁のネジサイズがインチサイズで特殊なため、そのままでは検査器具をつけられないことが判明しました。
そこで工具屋さんにダイス(ネジを切る工具)を買いにいったのですが、どこでもそんな特殊なサイズは扱ってないばかりか、
メーカーでもそんなサイズ作ってないので取り寄せられないとの返事です。
かくなるうえは、イギリスからさらに工具まで輸入しなくてはならないかとも考えたのですが、幸い今回の輸入に関してお世話になったクラブのH氏が、
そのサイズのダイスを持っていると言うことで、借りて無事にアダプタを作り、ボイラーテストを行うことが出来ました。
ヤード・ポンド法の国で作られた機関車は、メートル法の国ではメンテナンスにもなかなか手の掛かるものだということが分かりました。



第六話 デビューならず
ボイラーテストも終わり、行徳のホームレイアウトで試運転でも無事動いたので、いよいよ次は運客デビューです。
デビューの場所は淡路島の花博会場。私の所属するクラブが「淡路花博ミニSL大会」というイベントに参加することになったので、
そこに持ち込んで運客運転を行うということになりました。
ところが会場の都合で線路の設置場所に急カーブの勾配があり、他のBタンク(動輪が2軸の機関車)が運転に非常に苦労したため、
「たぶんスィートピーもこの勾配は客車牽いては登れないよ」ということで結局展示だけになってしまい、
デビューは9月の行徳駅前公園での定例運転会に持ち越されてしまいました。



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