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side 1 |
序曲〜パルチザンの戦士たち |
りん・たろう氏の意図に従い序曲は開幕からややしばらく展開される迫力ある銃撃戦の後に演奏される。
パルチザンは、私の好きな題材の一つであるから、勿論楽しみながらの創作である。
展開されるストーリーへの期待をメインテーマの断片を使いソロトランペットで暗示する。
鉄郎と老パルチザンとのやりとり、家族の肖像写真や椅子の足の浮く赤茶けた水溜り、
等々映像に、進行するラップにも忠実に同期させながら音楽として独立する様配慮する。
ハーモニカのテーマは廃虚で焚き火を囲むパルチザン達のつかの間の団欒と
老パルチザンの過ぎ去りし青春の光と影。
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若者に未来を託して |
プロメシュームのシンボリックな神話の、世界への予感。リリシズムを少し抑えた。
パルチザンの逞しさの表現に演奏家達が最大級の迫力で協力してくれた。6分近い力作。
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メインテーマ〜新しい旅へ〜 |
崩れ落ちて行く架橋、捩れ壊れて行く線路をものともせず上昇する999号、
すべての、楽器がそうであるが、弦セクションの表現力の豊かさを改めて見直す。
後半宇宙へ向かって驀進する999の前方に太陽が現われ、展望車から見る地球の場面になるが、
楽想をその都度変化させた。
ホルンは宇宙空間を充分に感じさせる。美しいバイオリンは地球への愛情である。
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謎の幽霊列車 |
死体が氷漬けになっている冥王星の全貌からスタートする、大氷原の上空を行く999号、
゛私はメーテル、鉄郎スリーナインに乗りなさい・・・"とメーテルの声がはるか宇宙空間に谺(こだま)する。
やがてシーンは太陽全貌から不気味な汽笛が近づき黒い幽霊列車のライトが
鉄郎達にダブり、追い抜いて行く。
かなりの難球を投じたが、オーケストラはよく応えてくれた、感激!
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side 2 |
メーテルの故郷、ラーメタル |
ヘビーメルダーの衛星ラーメタルのシーン。雲海から緑の樹海を驀進する999号、
懸命に作曲した部分である。
999号の逞しさを表現するためメインテーマが常に形を変え、現われては消えていく。
やがて峡谷に架けられたカタパルトレールを通過、ラーメタル駅に入って行く。
そしてシーンは機械化兵の駐屯している駅前広場。機械化兵に発見された鉄郎の戦闘場面、
水しぶきを上げて地下水道を走り抜け外界へ脱出、河へ飛び下りる。
夜になって岩山にあるアジトの古城に、途中命を救ってくれたミャウダーと共にたどりつく、
゛湖の見える夜のテラス"は印象派の手法で。
突然鳴るオルゴールは、ミャウダーの父の形見の銀時計、
ミャウダーの悲しい身の上話はオーボエとソロバイオリンで。
次いでミャウダーにメーテルの秘密を知らされ愕然となる鉄郎に大広間のフレスコ画が、
追い撃ちをかける。
999号の出発時間が、迫ったのを知り再び山岳戦を突破する。
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再会〜LOVE
THEME〜 |
メーテルと鉄郎との物悲しさと感動の入り混じった再会との指定でロマンチックにピアノを使うことにした。
副主題で通常解決するべき和声を二度解決せずに不安定にしたので、
第2主題が効果的に浮き彫りにされると云う好結果が得られた。
さすがのプロミュージシャン達で2回目の演奏がすばらしかったのでOKにしたが、
このアルバムの中でも屈指の佳曲になったと、私は大変満足している。
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黒騎士ファウスト |
プロメシュームのショッキングなレリーフが悲劇の始まりを暗示する。
次いで暗闇の中の赤い眼(黒騎士)との対決のサスペンス、
プラズマが走りコントロールセンターから、ステーション内部へ、そして上昇する999号と、
刻々変化するシーンに合わせたオーケストレーション、各楽器が段々とその輝きを増してくる。
アクションも衝撃的だが音楽も、勝るとも劣らない出来上がりだ。
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過去の時間への旅 |
鉄郎の母と過ごした幼年時代の回想場面、あまりにトラジックな印象なので競合脱線を避けて
音楽の方は少し感情を抑えて置く。
以前フランスやイタリア映画で好んで使われた手法だが前後に戦闘場面の描写が多いので
B面の終りの曲としては最適であるし、リスナーも小休止と云うところか。
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side 3 |
青春の幻影 |
霧のモザイク星そして夜中の一停車駅と云う設定は実に絵画的で制作意欲をそそる。
12/8のリズムに長い単調なフレーズを用いてロマンチックなムードが浮かび上がる様設計した。
副主題は特に良く出来たと自負している。
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大宇宙の涯へ〜光と影のオブジェ〜 |
この映画の作曲を依頼された折り、全曲をシンセサイザーで、と申し出たのだが予想外に快諾を得、
逆に私自信若し万が一・・との危惧から1曲だけ効果的に、と云うことにし、制作したのがこの曲である。
東映動画からのイメージの説明とそこに併記されたラップタイムをもとに作曲した。
アニメを描かれる方は、出来上がったサウンドを聞いて制作に入られるとの事で
私としては身に余る光栄と感激している。
コルグで作った、999の発信音がオートパンポットで大へん効果的にタッチを加える。
今後この曲を数多くの機会耳にしたい、と云うのが私の願いである。
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惑星大アンドロメダ |
いよいよクライマックスへ、と云う感じ、導入部はミステリックに、そして地下宮殿へのエレベータータワー、
血管内部の様な、或るいは人骨を思わせる柱の屹立するタワー内部、一段と制作意欲をかき立たせる。
そして、メーテルの母プロメシュームとの運命的遭遇。演奏は私の期待以上の仕上がりである。
ミキシングの飯田氏の腕が冴えわたる。
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生命の火 |
低音の弦セクションとバスクラリネットのハーモニーの上にオクターブで奏されるホルンのメロディーで
寺院の塔を表現。
メーテル即ち女王陛下はチェロから始まるフーガ。
次第に寺院の内部゛生命の火抜き取り工場"へとシーンが変わる、と共に音楽も激しさを加える。
転がってくるオルゴール時計でミャウダーもカプセルにされたことを知った鉄郎が絶叫する。
悲劇の表現も交響楽で一層の深みが加わる。オーケストラは困難な楽句の連続にもめげずよく鳴っている。
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崩壊する大寺院 |
この辺りがクライマックスである。新聞雑誌との合同記者会見席上、
絵コンテの厚み(電話帳大)に負けないスコアの量を披露し、カメラのフラッシュを浴びた。
特に後半は最大の難関で、良くだまって演奏してくれたものだ、と後になってスタッフと話し合った位だ。
冒頭から1分位で現われるコールアングレーのメロディーは特に気に入っている。
メーテルと鉄郎との会話のバックであり、秘められた鉄郎の決意である。
曲は段々エスカレートし、メーテルの母プロメシュームとの対決、黒騎士の登場、
クイーンエメラルダスの参加、寺院の崩壊、やっとの事で999号で鉄郎達が脱出し
さらに戦闘衛星と戦うと云う強烈な、シーンの連続である。
当然オーケストラも競演する形になった。
終りの2小節に聞かれるホルンは常識の音域を越えて、なんとハイ゛C"である!拍手。
演奏会でもこの曲は、是非取り上げたい。オーディオファンの方に、
ここで始めてグランカッサ(大太鼓)を登場させた、その地響の様なクライマックスは
3分10秒前後から始まり戦慄的迫力を、エンディングに向けて誇示する。
余りハイパワーにしてウーファーを破らないこと。
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side 4 |
サイレンの魔女 |
ブラックホール暗黒彗星に全ての物体が、吸い込まれるが、
999号はオートパイロットをマニュアルに変更して難を逃れようと、努力する。
アクション場面が連続なのでリスナーが退屈しない様、各セクションの対比に重点を置く。
あの軽快なトランペットでも困難な6連続音符の連続は少し奏者に気の毒だったと反省している。
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黒騎士との対決 |
父親の悲しい結末へ向かっての序章である。
前曲につづきブラックホールからの脱出に懸命の999号に父ファウストの崩壊、
プロメシュームの終焉がからみ、黒い竜巻が襲いかかり暗黒彗星が中心核を不気味に回転させるという
コズミックファンタジー。
作曲の方も最期の力を発揮する。
単なるチャンバラではないので各キャラクターの内面的葛藤をもまた吟味した上で、
演奏家が緊迫感を凝結しダブルバーまで余裕をもって自己を表現出来る様苦労した。
と云ってもこの辺が作曲家の楽しみの一つで、演奏中のプレイヤーの表情など
あれこれ想定しながら創作するのも私達作曲家に与えられた特権なのかもしれない。
演奏は段々少なくなる譜面台の楽譜の数に反比例し、もうすぐ終りと云う安堵感からか一段と良くなり、
弦は唸り管は咆哮する。
プレーヤーは自己の力量をリング上のボクサーの如くたくみにスタミナの配分をするものなのだ。
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戦士の血 |
゛風が泣いている音楽に沙をかけて"と云う りん・たろう氏の注文でそれらしくスタートする。
1分45秒位の処の響きは明るい陽光に包まれた古城に鳥が湖上を渡り、
蒼空に立つ十字架にミャウダーのオルゴール時計がぶら下がっているといったピクチュアレスクなシーンで、
チューブベルで十字架、と云った仕掛けである。
つづいて最期の宿命的別離へとオーケストラは一層輝きを増して語りかけてくる。
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終曲〜戦いの歌〜 |
パルチザンの男達の世界。日唱の方々とは私がロスに滞在していたので久方振りの再会であったが、
バスのパートも健在でうれしかった。典型的ミュージカルの手法をとったが絢爛すぎたか・・・の心配もあるが、
まずは豪華な仕上がりとなり充足感に浸る。
終りになったが作曲家なら誰もが目標とするシンフォニーの作曲の機会を与えて下さった
コロムビア学芸部、東映動画の諸氏に感謝。
昭和56年6月吉日
東海林 修
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♪♪ ご協力下さいました Masao
Suzuki さん、 ありがとうございました ♪♪
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