は行 *パーフェクト・ストーム (2000.September)
*ブレア・ウィッチ・プロジェクト (2000.February)
*ファイトクラブ (1999.November)
*ホーホケキョとなりの山田くん (1999.July)
*ハムナプトラ〜失われた砂漠の都 (1999.July)
*ペイ・バック (1999.May)
*ベルベット・ゴールドマイン (1999.April)
*パッチ・アダムス (1999.March)
*ビックヒット (1999.March)
*プライベート・ライアン (1998.October)
*ホーム・アローン3 (1998.August)
*ボクサー (1998.July)
*ハムレット (1998.April)
*ビーン (1998.April)
*フェイス/オフ (1998.March)
*ポネット (1998.January)

*ベント (1997.December)
*フェイク (1997.November)
*ボルケーノ (1997.Octorber)
*フィフス・エレメント (1997.Octorber)
*ベスト・フレンド・ウィディング (1997.Octorber)




パーフェクト・ストーム

/2000/アメリカ/監督・製作:ウォルフガング・ペーターゼン/脚本:ビル・ウィットリフ/撮影:J・シール
/主演:ジョージ・クルーニー、マーク・ウォールバーグ・・・他


実話に基づいて変にドラマ性を持たせなかったのがリアリティを出した。


 1991年にマサチューセッツ州沖で実際に起きた話に基づいて映画化された作品。不漁続きのビリー船長(ジョージ・クルーニー)は、起死回生を誓い大漁が捕れるポイトに仲間を連れて出航した。ところが、上空では二つの気圧前線がハリケーンと融合するというとんでもない事態が起きていた。そして、ビリー達を乗せた船は、まさにその逃げる道のない大嵐に巻き込まれて行くのだった。

 という自然パニック映画である。ただ、漁師という仕事は嵐に巻き込まれなくたって危険と隣合わせであることが、随所に表現されていて、逆に「もう行かないで欲しい」と止める残された恋人や家族達の心情が良かったりする。まぁ、それでも行ってしまうのが「男のロマン」だと言ってしまえばそうなんだけどね。最大の嵐に直面するまでにも、「そっちは危険な嵐が待ち構えている」と警告を受けるんだけど、「俺達なら乗り切れる」のノリで行ってしまうんだよね〜。だから、大嵐に巻き込まれても自業自得って感じで同情とか、そういう感情は沸き上がってこないんだけど、こういうことにチャレンジしたい男って多いんだろうなぁ・・・て思う。
 むしろ、大嵐に巻き込まれた人々を救助するレスキュー隊の方がインパクトあったね。自分の命は二の次で、一般人や部下の生命を守ろうとする隊長の姿にはグッときた。あと、やはり漁師達の生還を待つ恋人や家族達の姿がなんといえなかったね・・・。

 自分も溺れるんじゃないかって思う大嵐の描写以外に、これといって盛り上がるところはなく、意外に淡々と物語が進行していくのだ。でも、それが逆にリアリティがあるように感じた。だって、実際の出来事なんて映画みたいに感動的なシーンてほとんどないし、過酷な現実のオンパレードなんだよね。
 だから、こんな嵐の後でも漁師は再びその海へ出航して行くんだろうなぁ・・・て想像できた。そういう映画だったね。

 「カジキマグロを大切に食べようと思った。(マジ)」で星3つ。 




ブレア・ウィッチ・プロジェクトス

/1999/ アメリカ/監督・脚本・:ダニエル・マイリック、E・サンチェス
/主演:ヘザー・ドナビュー、ジョシュア・レナード・・・他


魔女の恐怖と言うより、自業自得の失踪劇。


 全米ではインターネットや口コミで大ヒットになったという、低予算で製作された話題の疑似ドキュメンタリー作品。「魔女伝説」がいまだに残るメリーランド州の森へ、大学生3人組が卒業制作も兼ねてドキュメンタリー作品を撮りに入っていた。最初は道に迷いながらも、様々な不可思議な現象に一喜一憂していたが、地図を紛失したことが判明してから3人はしだい恐怖を隠しきれなくなっていき、日に日に怪奇現象が激しくなり、遂に一人が行方不明になってしまい・・・。
 という話。一応、映画の始まりは「魔女伝説が残る森へ撮影しに行った3人組だったが、1年後に発見されたのはフィルムだけだった。そして、そのフィルムがこの映像である」みたいな感じになっています。つまり、オチというかラストが先に明らかになっているわけですね。1年経っても3人は行方不明のままであるという。そうなると、失踪するまでの過程が面白くないとつまんないんだけど、この過程がホントにつまんないだわ。ホームビデオで撮影しているんで手ブレとかしょっちゅうある。それは効果的で全然良いんだけど、なんて言うのかな、親戚の家で無理矢理子供のホームビデオを見せられている感覚に似ているんだよね〜。効果音とか、ちょっとした怪奇現象とか怖いんだけど、それに対して、イチイチ3人が過剰なまでの反応をしたり、逆に醒めきってカメラで撮ったりしているで、ちっとも恐怖を感じないのだ。ハッキリ言って、もっと怖いかと思ったけど、「怖いっ」て思ったシーン・・・あったかなぁ?

 ななんぼは映画を観る時に、登場人物の誰かに感情移入して観ちゃうタイプなんだけど、今回は感情移入したいほど魅力的なキャラクターていないどころか、主人公のヘザーという女性は超嫌いな性格をしていたので、「とっとと魔女にでもさらわれろ!」とか思ってしまってダメだったのだ。だって、自分が道間違えたのに認めないし、2人が「もう戻ろう」と言ってもどんどん先に言ってしまうし、「もう撮るな」と言われてるのに撮っているし、ハッキリ言って今回の失踪劇の諸悪の根元なんだよね。しかも、一番許せなかったのは、仲間の一人が怪奇現象と迷い込んだ事実に参ってしまって、ボロボロ状態でいるシーンを平然と撮影している根性が許せない!もう一人の仲間から「そんな所撮るな」て怒られているのにやめないしさ。後になって、逆パターンをやられるんだけど、その時はウルウル状態になって逃げるんだよね。もう最低の女だっ!で、そのままいってくれれば逆に良かったんだけど、追いつめられてから涙ながらに一人で懺悔しはじめるの。こういう性格の人て、生理的に許せなくてね。無責任で自分勝手なもんだから、失踪してしまって当然なのだよ。だから、最初の時点で、「こういう性格なら失踪しても自業自得だよ」て思ってしまったから、後の展開が全然つまんないだよね、当然過ぎて。
 まぁ、この嫌な性格とか、3人の仲がどんどん悪くなるのはリアリティーがあって良いのかもしれないけど、一番不自然だったのが、常にカメラを持っていること。まぁ、撮影していないと、この作品は成り立たないだけどさ、怪奇現象とか目の当たりにしているのに、ちゃんと目線のアングルで撮影しているし、仲間の一人が居なくなってしまって、その翌朝にその仲間もあるモノがテントの前に置かれていたんだけど、それをギャーギャー泣きわめきながらも撮影しているし・・・。あんだけ取り乱していて、ここまで撮影できるか?て逆に醒めちゃったんだよなぁ。最後のシーンも、あの家の手跡には「おおっ」て思ったけど、その程度だったもんなぁ。

 この作品は、登場人物の性格どうこうに視点をおかずに、話だけを着目すれば面白いというか、楽しめるんじゃないかな?私はこういう性格なんで、一度「この人の性格最低!」と思ったら、もうダメなんだけど、そうじゃなければ楽しめると思われます。
 まぁ、インターネットのHPや解説本などによると(見てないけどさ)、隠された秘密も幾つかあるらしいんだけど、それを探そうとか、理解しようとい気にもなれなかった。観る前かなり期待しちゃっていたからかなぁ〜。個人的には、いろんな展開があるかと思ったんだけど、全部ありきたりの展開だったんだよね〜。

 これってさ、ホームビデオで撮影されているんだから、大きな劇場のスクリーンで観るより、家のテレビとかで観た方が良かったかもね。その方がもっとリアリティあって、少しは楽しめたかもしれない。この作品、あと2作品ぐらい続編があるらしいから、続編以降はテレビで観るようにするわ。

 「上映時間の81分はとても長く感じた・・・!」で星1つ。 




ファイト・クラブ

/1999/アメリカ/監督:デビット・フィンチャー/製作:アート・リンソン/脚本:C・ポーラニック
/主演:ブラット・ピット、エドワード・ノートン・・・他


「ファイト・クラブ」の事は誰にも言ってはならない!


 『セブン』のコンビ、監督デビット・フィンチャー&主演ブラット・ピットということで話題の、サスペンスムービー。色々書きたいんだけど、何の先入観もナシに観るのが一番なので、大まかなことだけ書きます。あとアバウトな感想ね。

 不眠症のエリートサラリーマンのジャック(エドワード・ノートン)は、膀胱癌のクラブなどの不幸な境遇の者同士が集まるクラブに潜り込み、そこで相手の悲しい話を聞き泣くことで、不眠症の恐怖から逃れることができていたが、同じく仮病で潜り込んできたマーラー・シンガー(ヘレナ・ボトム・カター)の存在で、すっかり泣けなくなり不眠症に戻ってしまった。そんなイライラした毎日を過ごしていたら、ある日、出張先の機内でタイラー・ダーテン(ブラット・ピット)という魅力的な男性に出会う。彼は自家製石鹸で生計を立てていたが、影では謎めいた行動をしていた。そして、ひょんな事から一緒に暮らすようになったが、2人のストレス解消はお互いに殴り合うことで意気投合していた。そして、次第にその「殴り合い」に参加する者が増え、遂に2人は「ファイト・クラブ」というものを設立したが、ジャックが知らない所で、タイラーにはある企みがあった・・・。

 という話。かなりテロ行為を煽る内容なので、先に公開された全米では賛否両論だったとか。日本でも暴力シーンが多いせいか[P-12](12歳未満のお子様は保護者なしじゃ観られないよ〜)という規制付き。ま、12歳の子には話わからないと思うけどね。摩訶不思議な存在のタイラーに振り回されるジャックが面白いんだけど、そのタイラーとマーラーが絡むことで、また話がややこしくなるのだ。この三角関係は面白い。ブラピが注目されがちだけど(まぁ、確かにカッコイイんだよ♪ここ最近の彼の作品の中ではベスト!)、演技派のエドワード・ノートンが最高。どんどんとヤバイ世界に入り込んでいくジャックの姿を怪演しています。
 私は物語の顛末を知っているし、原作も読んでいるので書きたいこといっぱいなんだけど、映画と原作とでは致命的にラストが違うの。これは意外だったね。どっちがいいかは個人の価値観によるけど、私は原作の方が好きだね。いや、別に理由は敢えて語れないんだけど、ネタバレしちゃうし・・・。まぁ、とにかく最近のワンパターンで大袈裟なハリウッド映画に見飽きた人にはお勧め。小汚いブラピOKな人にもお勧め。斬新なアングルはフィンチャーならではで、とにかく魅せてくれます!

 実はこの作品は試写会で2回観たんだけど、1回目ではラストのオチがわかんなくて、2回目で納得できた。そういう映画なのだ。最初から気を抜かずじっくり観てね。また、所々にお遊びでサブミナル効果で4カ所関係ない画像が合成されているシーンがあります。私は3カ所しかわからなかったけど・・・。あと、最後の最後で究極のお遊びもあるので、ま最後はアッサリ帰らない方が面白いかも。観る価値のある映像かどうかは悩むけどね・・・・・。

 「サントラもメチャ、カッコイイぞ〜っ!!」で星4つ ★★★★




ホーホケキョ となりの山田くん

/1999/日本/監督・脚本:高畑勲/原作:いしいひさいち
/声の主演:朝丘雪路、益岡徹・・・他


「普通」と「原作」に拘り過ぎて映画作品らしくならず。


 『もののけ姫』のスタジオジブリ作品だったが、2年前の同作品のイメージとは正反対の「普通のほのぼのとした日本人家族」がテーマ。4コママンガが原作なだけに、「サザエさん」に近い雰囲気である。しかも、今回は特殊な着色方法で水彩画タッチの絵柄が話題の一つになっていた。ちなみに、セル画の枚数は『もののけ姫』よりも多いんだとか・・・。

 初めに言っておくが、この作品を観た動機が『金田一少年の事件簿2』の予告が観たかったから(笑)。いや、ご贔屓バンドのアルフィーが主題歌を担当しているもので、その新曲が聴けるかなぁ〜と思ったんだけど、予告は流れたけど曲は流されなかった。ま、そういう動機不純であったことをご理解頂きたい。しかも、アニメ映画だったせいか、上映中の半分以上が赤ちゃんの泣き声のBGM付き。何で母親は連れ出さないんだよっ!(激怒)。でも、後ろの方にいた小学生が「アニメ映画に泣き声は付き物!」と友達に言って耐えている姿に私は感動したゾ。そういう環境だったのよね〜。しかも、その前に観た『交渉人』が最高に面白かったのよ〜!逆にすれば良かったかなぁ。

 で、感想ですが、申し訳ないが私にはつまらなかった。サービスディに観たので一般料金じゃなかったけど、お金出して観たこと後悔したわ。いや、所々は面白いのよ。なんせ4コママンガを再現しているわけだから・・・。でもね、なんか話がつぎはぎぽくて展開がイマイチ。「日本のほのぼの家族」を強調したかったんなら、オリジナルでも良いからご近所の登場人物設定もしっかりして欲しかったなぁ。家族個々のキャラクターは良いんだけど、家族としては設定薄いじゃない?世間の設定があって、初めてそこの家族の存在が強調されるもんだと思うのだ。(偉そうでごめん)4コマの内容になったり、急に夢(妄想)の世界になったり、その展開がいきなり過ぎて上手く話しと噛み合っていたんだかも謎。あと、話題の水彩画タッチですが、テレビ画面で観ると丁度良いかもしれないけど、映画館のスクリーンで観ると大き過ぎるのか、絵の粗さが目立って見苦しい印象も残ったぞ。これで、『もののけ姫』よりもセル画数が多くて費用も掛かっていると言うのなら、「小さな子供にピカソの絵を理解しろ!」て言っているもんじゃないかな?アニメ映画としては画期的なのかもしれないけど、本当に映画作品として合っているのかどうか・・・、観客がどう思うかどうかまで考えなかったのかな?原作の作風を尊重するあまり、映画作品としての要素は無視してしまったんじゃないかな〜とも思う。元は新聞に連載している4コママンガ。それを映画として仕上げるには、かなりのオリジナリティーも必要だったと思うけど、妙に原作のイメージを強調しすぎていたような気がする。「ほのぼの」する雰囲気は堪能できたけど、逆に言えば「ほのぼのとし雰囲気だけ」しかない作品だよ。

 人気の長寿アニメ「サザエさん」はテレビ30分番組だ。これが1時間半以上もある映画になったら、どれだけの人が観に行くだろうか?個人的にはあまり魅力は感じない。「となりの山田くん」も同じことが言えるのではないだろうか?スタジオジブリは「同時期に公開される『スター・ウォーズ』には負けないっ!」て言っていたらしいけど、素直に撤回した方が良いと思うぞ。(おっと毒舌?)
 映画とはお金を払って観に行く娯楽作品だ。家でチャンネル付ければ観られるテレビ番組と変わらない内容で良いわけないだろうに!いくら映像にお金が掛かっていてもね。だって、「もう1回観たい!」というリピーターをこの作品で確保するのは非常に難しいだろう。1回観ればOKという感じだもんね。

 「1999年夏のハズレ作品1本目。」で星1つ 




ハムナプトラ〜失われた砂漠の都

/1999/アメリカ/監督・脚本:スティーブン・ソマーズ/製作:ジェームズ・ジャックス
/主演:ブレンダン・フレイザー、レイチェル・ワイズ・・・他


映像は新鮮だけど話は超ありがち。このギャップが狙い?


 原題は『The Mummy』というので、つまりミイラのお話。遙か昔、エジプトにあるハムナプラトという都で司祭と王の愛妾が密会している所が王にバレてしまい、2人は王を虐殺してしまうが、側近達にすぐに見つかり愛妾は自害、逃げた司祭は彼女を蘇らそうとするがあと一歩という所で阻まれ、生きたままミイラにされるという残酷な処刑を受けた。しかしそれから数千年後経ち、その話はただの伝説としか思われていなかったが、彼の怨念は消えたわけではなかった。
 元傭兵のリック(ブレンダン・フレイザー)は、今では幻の都と呼ばれるハムナプラトで戦をした経験がある事から、ハムナプトラにあると言われる秘宝や歴史的書物を求めているエヴリン(レイチェル・ワイズ)やその兄ジョナサンとハムナプラトに向かうが、その地に眠る秘宝を求めて来ている者も多く、彼らと共にハムナプラトに乗り込んだが、見つけた古文書の呪文をエヴリンが誤って読んでしまい、数千年の間封じ込められていた「悪」の怨念が再び蘇ってしまい・・・というアドベンチャーもの。

 ハリソン・フォードのヒット・シリーズで知られる『インディー・ジョーンズ』の製作スタッフだけあって、ノリはまさに『インディー〜』そのものなんですが、見事にご都合主義です。メチャ都合の良い展開だし(だって偶然にも棺を見つけるシーンとか、呪文を誤って読んでしまう展開なんてさぁ・・・)、しかも所々にギャグ要素があるもんで、仲間がミイラに殺されてしまっても悲哀や緊迫感てないんだよね。もう娯楽映画の王道極めています!笑うしかないっ!て感じ。驚くシーンよりも、笑うシーンの方が圧倒的に多かったような気がする。あっ?それが狙いだったのか?正直言って話そのものに新鮮味というのはないんだけど、テンポが良いのと、砂嵐のシーンなどのCGはかなりのモノでした。ハイテクの勝利て言っては意地悪かもしれないけど、物語の展開なんかは『インディー〜』シリーズの方が斬新だったわ。ま、非常にわかりやすい話なので、老若男女問わず楽しめるのでは?全米でNo.1ヒットしたのもわかるなぁ。
 個人的には、妙にやかましくて行動力旺盛な主人公のブレンダン・フレイザーよりも、砂漠の番人のような(名前も役名も忘れた)黒ずくめの男性の方がクールでカッコ良かったね♪

 「懲善懲悪&ご都合主義の王道だよね。」で星3つ ★★






ペイ・バック

/1999/アメリカ/監督・脚本:ブライアン・ヘラルド/脚本:テリー・ヘインズ/
/主演:メル・ギブゾン、ジェームス・コーバン・・・他


pay bakc(返済する)と言うよりはcash back(金返せ)では?


メル・ギブソンが悪役を演じているということでも話題の作品だけど、確かに泥棒で生計立てている奴なんだけど、登場してくる人物みんなワルばっかだからイマイチ悪役て感じがしなかったし、どうも「悪」になりきっていないので中途半端な役に見えたのは事実。話は、中国マフィアから奪った14万ドルを相棒と山分けするはずがまんまと騙され、妻と相棒に裏切られ身も心もボロボロになってしまう。そして5ヶ月後、傷の癒えたポーター(メル・ギブソン)は自分の分け前7万ドルと女を取り返すべく街に戻って来た。しかし、14万ドルは街を牛耳る組織に流れており、7万ドルの分け前を取り返す為に、ポーターはその組織に殴り込みをかける!

・・・しかしねぇ、監督が途中で変わってしまっただけにストーリー展開も強引だし、メル・ギブンソン演じるポーターの性格設定がイマイチ曖昧だったし、いくら『L.A.コンフィデンシャル』の脚本家が監督したからって「何だこりゃ?」て感じだったな。『恋におちたシェイクスピア』を観た後のせいかもしれないけど、脚本がイマイチだったんでないかい?みんなワルなのは納得するにしても、街を牛耳る組織がなんてあんなに頭悪くて人数も少ないわけよ?たかが分け前7万ドルに執念を燃やすキレた主人公をクローズアップさせたいのなら、もっと「痛快」と思わせるような展開が必要だった気がするなぁ〜。あんまり偉そうなこと書いて後が怖いけど、とにかく長所を見つけるのが難しい作品だ。でも、伏線とかしっかりしていて意外に面白い展開も所々にあるんだけど、なんか活かされていないというか中途半端だったよなぁ〜。もうちょっとヒネリがあれば、すっごく面白い作品になったのではないかな〜?でも、個人的に『リーサル・ウェポン4』のメル・ギブソンより、この『ペイ・バック』のメル・ギブソンの方が好きだな。

 「1時間41分がちょい長かった・・・」で星2つ ★★





ベルベット・ゴールドマイン

/1998/イギリス/監督:トット・ヘインズ/
/主演:ユアン・マクレガー、ジョナサン・リース・マイヤーズ、・・・他


グラムロック好きにはたまらない!フルボリュームで観ろっ!


やっとこさ公開終了間際に観に行けた!上映時間を勘違いしてしまって、冒頭から数分観られなかったのが残念。でも、とにかく念願の作品だ!タイトルから察しが付く人もいるかもしれないけど、ディビッド・ボウイの70年代のシングル曲のB面のタイトルである。そして、作品は70年代に一代ブームを巻き起こしたグラムロックに焦点を当てている。完全にモデルはディビッド・ボウイだとバレバレの主人公ブライアン(ジョナサン・リース・マイヤーズ)は、70年代グラムロックのカリスマ的存在であったが、ある日ステージ上で射殺されるというショッキングが事件が起きる。しかし、数ヶ月後にそれが狂言であったことが発覚し、それを機に彼の人気は急降下、そして本人は行くへをくらましてしまう。10年後、彼の大ファンであったアーサー(クリスチャン・ベール)は新聞記者になり、70年代のグラム・ロックのスターだったブライアンがいかにして栄光を掴み、そして消えてしまったのか真意を調べようと、初期のマネージャーや別れた妻、旧友でもあり恋人でもあったミュージシャン、カート(ユアン・マクレガー)などに会い「今の彼」を探し出そうとするのだが・・・という話。ブライア ンに関わった人物の回想により、ブライアンの過去が明らかになっていくが・・・。

ブライアンを中心に過去や現在が行ったり来たりするのだけど、とにかく全編通して流れる70年代グラムロックの音楽と、超ド派手な衣装に男とわからないような濃厚なメイクが登場する。しかもブライアンは「自分は男でも女でも愛せる」というスキャンダラスな発言&両性具有的な存在をアピールしてくるなど、もう架空の世界なような雰囲気が大好きな私はもうハマッた!「もっと聴かせてくれ!魅せてくれ!」て気分になる。話は意外にシンプルというか面白みはあまりないだけに、音楽に興味のない人にはドラックやバイシェクシャルの話題が中心の展開に、「ありがちなイギリス映画」と思うかもれしれないけど、70年代グラムロックを聴いていた人間としてはたまんないね。もう「第一にビジュアル!」それで良いじゃないかっ!それに、イギ-・ポップがモデルと言われるキャラクター、カート(ユアン・マクレガー)の存在が良かった。バリバリのアメリカロックを野性的に歌う彼に惹かれて、彼と出会うことでカリスマ的人気を確立していくブライアンの過程が好きだ。ユアンはミュージシャンになるのが夢だったと言っていただけに、ロッカーの役は最高に上手い!もうロッカーそのものだ よね。あとは、もうちょっとウェストをシェイプして欲しかったな。ブライアン演じたジョナサンがメチャ細すぎるんでやや目立ったゾ。とにかく、ガンガンのフルボリュームで観たくなる作品だった。ま、欲を言えば、「何故ああいう派手なメイクで素顔(本性)を隠すのか」、「栄光の果てに堕ちるドラッグへの過程」をもうちょっと表現して頂きたかったね。個人的にはもうちょっと長くたって、全然耐えられたからね。

モデルの張本人であるディビッド・ボウイはこの映画に対して、曲提供はおろか一切の協力を拒否したそうだけど、「過去を振り返らない」彼らしい選択なのかもしれない。そして、映画の中で「オレは何かを変えようとしたのに、気がついたら自分が変わってしまっていた」というセリフがある。とても印象的だった。「それで良いんじゃないですか」という新聞記者に対して「イメージを大切にしろ。自分のイメージを持て」と言う。それがこの作品の全てを語った気がする。彼が追ったブライアンはイメージの中に生き続けることを望んだのだ。

 「ロック映画作品はサイコーに好きさ!」・・・で4つ半 ★★★★




パッチ・アダムス

/1998/アメリカ/監督・製作:トム・シャドヤック/
/主演:ロビン・ウィリアムス、ダニエル・ロンドン・・・他


「延命」よりも「穏やかな死」拘った人間ドラマ。


実在する医者の自伝的作品。かつて、父を亡くし精神不安定になっていたアダムス(ロビン・ウィリアムス)は、自殺未遂を繰り返し精神病院に強制入院させられる。しかし、そこで出会った精神を病む人々と「笑い」で心が通じ合えることを発見し、これで多くの病人を助けられるかもしれないと目覚め、30を過ぎているが医者を目指し医大へ入学する。そして、そこで研修生として病院に出入りし、ガンに苦しむ子供達や不治の病に苦しむ人々に「笑い」を提供し、彼らの心を穏やかにし「楽しさ」を提供していくのであった。しかし、あまりに医学生に相反する行動を取る為に教授から再三にわたり注意され、遂には退学を命じられてしまうが・・・。という話。とにかく、普通、医者を目指す人は「どれだけ人の命を延ばすか、治療するか」と考えるが、アダムスは「生きていれば必ず死は避けて通れない。だったら、どうすれば穏やかに死ねるかが大切だ」と考えている。だから、死にいく患者に「安心しろ、お前が死んだらオレがお前の奥さんを大切にしてやる」だの、リクエストされた歌を歌ってあげたり、とにかく患者の気持ちを楽にさせてあげるのだ。医療的には、意に反する行かもしれない けど、人間が最終的に望むことをアダムスは与えているような気がした。
そして、医大でヘレン(モニカ・ポッター)という女性と知り合い、最初は彼を嫌っていた彼女だったが、彼のその行動力に次第に惹かれて行くようになり、彼が企画した「無料で病気や怪我の具合を診てあげる診療所もどき」の建設や運営に協力していくのだった。しかし、やっとお互いの心を通わせた直後に悲劇が起こり、アダムスは自分が医者を目指すべきかどうかの岐路に立たされる。

個人的にモニカ・ポッターは大好きな女優さんなので、この作品中に起きる悲劇は本当にショックだった。彼女の葬儀に参列せず、少し離れた木陰から見守るアダムスの存在に気がついたエリート同級生のやりきれない姿が印象的だった。その後の展開は、どちらかというとありがちな展開でちょっとガッカリだったけど。まぁ、難しい医学用語が出てくるわけでもなく、とにかく「病んでいる人々が何を求めているのか」に拘ったアダムスの姿が印象的で、ラストのロッド・シュチアートが歌う「Faith of Heart」がピッタリ合っていた。どんな長い道のりであろうと、自分の信念を貫いて生きているアダムスの生き様は、一見の価値が十分あると思うな。ただ、現実というか、医学的云々という問題になると、ちょっとかなイマイチかな。個人的にはサントラが気に入ったし、モニカ・ポッター目当てで観に行ったもんでね。あと、誰でも「私も今から医者になろうかしら」て気にさせると思うよ。現実はそんな簡単なもんじゃない、て部分を省いているせいかそう感じるのだ。

 「真面目な医学映画としてはちょっと・・・かな」・・・で星2つ半 ★★




ビック・ヒット

/1998/アメリカ/監督:カーク・ウォン/製作総指揮:ジョン・ウー/
/主演:マーク・ウォールバーグ、ルー・ダイヤモンド・フィリップ・・・他


壮絶なアクションシーン満載なのに超B級な話が笑える。


『フェイス/オフ』で知られるジョン・ウーが製作総指揮をしていることで話題だった作品。さすがにアクションシーンは凄いのだ。凄腕の殺し屋集団の話なだけに、冒頭からすごい銃撃戦が繰り返されるのだ。しかし、主人公は凄腕の殺し屋なのに誰からも嫌われたくない超優柔不断男。その主人公メル(マーク・ウォールバーグ)は、遊び女の言われるままに金を与えてしまう。しかもフィアンセからもせびられ金欠のピンチ。そこで、渋々ボスの掟を無視して仲間の令嬢誘拐作戦に加わることに・・・。しかし、誘拐した日本人社長の令嬢はボスの名付け子であったのだ!日本人社長がボスに泣きつき、それを知ったボスは「裏切り者は許さん!」と激怒、その現状にビビッタ張本人の仲間は「全てはメルが企んだこと!」と彼にすべてをなすりつけ、仲間を引き連れ彼を抹殺しに行くのだったが・・・。

と、文章で書いているとなかなか面白いストーリなんだけど、なんか展開一つ一つがダサくて笑える。娘を誘拐された日本人社長は破産したばかりで、責任を感じて切腹しようとしていた所に「娘を誘拐した」という電話が来るのだ。その切腹シーンがねぇ・・・、マジになのかバカにしているのか理解不能なんだけど、オペラを歌いながら白いバスローブをはだけて着ていて、なんだかしらないけどお相撲の舞わし(しかも白)を身につけているのだ。笑うしかないだろう。そんでもって、その日本人社長とボスは旧知の間柄。当然交わされる言葉も日本語なんだけど、そのしどろもどろの日本語がなんとも笑えるほど良いんだ。ちゃんと英語字幕も付いているし。アクションそのものはカッコ良いんだけど、ちょっとした人物の性格設定やギャグを持ってくる場所がとんでもないもんだからB級コメディアクションになるんだな。
そんでもって、諸悪の根元である令嬢誘拐者の張本人(ルー・ダイヤモンド・フィリップ)が、とてもモッくん(本木雅弘)にソックリなんだよね。一度そう思い始めたらずーっとモッくんに見えてしまってね。しかも、超キレた役でもあるし、まぁこれがかなり笑わせてくれるキャラクターなもんでね〜。彼の存在そのものがB級映画になるか、A級映画になるかを左右しているような気がしないでもない。でもでもオイシイ、インパクトのあるキャラクターだ!一般のハリウッド映画が表現できないアクションを表現している感じで、なんかありがちなんだけど、ついつい最後まで観てしまう作品さ。また観たい!・・・と思うかどうかは別問題だけどね。

 「優柔不断男とコギャルのロマンスでもあるんだよなぁ・・・」で星2つ。 ★★




プライベート・ライアン

/1998/アメリカ/監督:スティーブン・スピルバーグ/脚本:ロバート・ローダット/
/主演:トム・ハンクス、エドワード・バーンズ・・・他


二度と観たくはないが、必ず一度は観るべき戦争映画。


スティーブン・スピルバーグがアカデミー賞狙いで製作した戦争モノであるが、実話のノルマンディの大激戦をリアルに表現したという、そのあまりにも残酷なシーンが公開前から賛否両論を浴びていた。話は、そんな大激戦の戦地の影に一度に3人の息子を戦争で失ってしまった母親の元へ、まだ生きている四男の探しだし帰還させるという任務があったというドラマを再現したもの。兄弟のなかで最後の生き残りであるライアン二等兵(マッド・ディモン)探すべく、ミラー少尉(トム・ハンクス)やその部下8人が激しい戦地の中をたった一人の男の為に歩き回るのだ。

たしかに、冒頭の20分の気持ち悪くなりそうな程の残酷な戦闘シーンは凄まじかったが、それがあまりにも凄まじかったせいで、ラストの1時間も戦闘シーンなのだが、そのシーンでは何も感じなくなってしまうほどだった。つまり「殺し合い」に対しての感覚がマヒしてしまっているのだ。これが「戦争」の恐ろしさかもしれない。そんな意味では、これは戦争作品として成功しているのかもしれないが、話は「戦地でライアン二等兵を探し出し帰還させる」というのがメインなのである。しかし、この話、非常に無理がある。たった一人の男の為に何の関係もない兵士達が更なる危険にさらされなければいけないのだ。その為、ストーリーに説得力を付けるべく精密な展開が要求されるがそれがないのである。話の前後は凄まじい戦闘シーンで、それ以外のシーンは眠くなってしまうような中途半端な展開で、ドラマとして観ると「だから何なの?」と言いたくなってしまう。あれだけ戦闘シーンをリアルに表現している割には、登場してくる人間同士のやりとりがなんともお粗末なのである。リアル性とドラマ性のバランスが全然なっていないという印象を受けて、ただの残酷映画にしか感じなかった。し かも、ラストのライアンのセリフが余計に感じた。妙に最後だけ綺麗に終わらせたような感じで・・・。トム・ハンクスやエドワード・バーンズなどが押さえた演技で光っていた分残念だったし、トム・ハンクス演じるミラー少尉の人物像をミステリアスにするあまり、結局どういう人間だったか良くわかなかった。彼は『フォレスト・ガンプ』のベトナム戦争シーンでの演技の方が人間的にリアルだった気がする。

 「結局、戦争とという残酷な場ではドラマは消されてしまうのだ。」で星2つ ★★



ホーム・アローン3
/1997/アメリカ/監督:ラジャ・ゴズネル/製作・脚本:ジョン・ヒューズ/
主演:アレックス・D・レイツ、オレック・クルパ・・・他


水疱瘡でも暴れまくる天才少年に泥棒達はコテンパン。


かつての天才少年マコーレン・カルキン君の主演で一躍ヒットしたシリーズ作の第3弾。3作目はカルキン君に代わり、ジョージ・クルーニ主演の『素晴らしき日々』での子役で注目を集めたアレックス・D・リンツ君。カルキン君よりも子供らしくて、しかも子供独特の小憎らしい雰囲気抜群の子である。しかも、現代っ子らしく、テレビやパソコンを使いこなすので即席ハイテク機器を作り上げたり、とにかく「何で子供がそこまでできる?」というぐらい天才。自分のペットのマウスや兄のペットのオウムまで味方に付けて戦うあたりただ者ではありません。すんごく末恐ろしい子供です。

国防省のトップシークレットのマイクロ・チップを盗んだ強盗団4人組が、空港での検問を避けるべくチップをラジコンカーに忍ばせるが、それが手違いで人の手に渡り、慌てた4人がそのラジコンカーの後を追うと、そのマイクロチップ入りのラジコンカーはアレックス(アレックス・D・レイツ)の元に渡っていた。そのラジコンカーを取り戻そうと企む4人組と事態に気が付いたアレックスの攻防が火蓋を切ったのだった!・・・という話で、アレックスが水疱瘡にかかってしまったが故に家に一人取り残されてしまうのは、今までのシリーズ同様のパターンである。しかし、犯人は前回までの2人組より倍の4人組になっても結果は同じというか・・・。やはりコテンパンにやられてしまうのである。シリーズものだけに、相変わらずのハチャメチャ・コメディーであるのだが、とにかく何も考えずに笑えるのがこういう作品の特権。

でも、さすがアメリカと思うのが、5歳の子供の通報を(渋々だけど)真に受けてちゃんとFBIにまで問い合わせてくれるアメリカの捜査部で凄いな〜と感心してしまう。日本ならまず門前払いである。また、アレックスが水疱瘡にかかってしまっているのも、ちゃんとラストのオチとして使われているのが面白い。とことんコメディーしている作品である。その分、「新鮮味」という部分では欠けるけど、気楽に楽しめるという部分では合格点の作品。

 「小憎らしいアレックスに負けないオウムも愉快」で星2つと半分。 ★★




ボクサー 

/1997/アメリカ/監督ジム・シェリダン/製作アーサー・ラビン/
主演:ダニエル・デイ・ルイス、エミリー・ワトソン・・・他
自分の意志をどんな場面でも貫いた主人公の姿に圧倒される。


いまだに揉めているIRA(アイルランド共和軍)と英国軍の和平交渉。IRAが居る北アイルランドのベルファストでも、西と東ではまるで意見が違うのである。IRAの組織が強い東ベルファストでは「今まで多くの仲間を惨殺した英国軍を和平交渉を結ぶなんてもっての他!」という意見が強く、テロなどが日常茶判事のように起きている。しかし、西ベルファストだと「英国軍と和平交渉を結び、平和で静かな生活がしたい。」と望み、英国人(カトリック)にも寛大な気持ちがあるのだ。そのせいか、西と東では厚い検問の壁(まるで、かつてのベルリンの壁のような)厳しい境界線が引かれていて、西と東を行き来するのも大変なのである。そんな、状況の中に、かつて爆弾テロに参加した罪で1投獄されていたダニー(ダニエル・デイ・ルイス)が14年ぶりに戻って来た。そして、そこで青春時代に励んだボクシングを再開させ、じわじわと実力が認められ英国軍にも好意を持たれるが、そんな彼の行動を良く思っていない仲間の為に窮地に立たされていく・・・。

超演技派ダニエル・デイ・ルイスが、すんごい迫真の演技を見せています。その一途な演技力と主人公の一途な行動が重なって、「どうして、そこまでして自分の意志を貫くんだ?」と思ってしまうほど。自分がそういう争いには無縁の国に生まれ育ったせいかもしれないけど、「こんな過酷な状況下の中でも自分の意志を貫き通す主人公」が怖かったですね。でも、ここまで強い意志を持っていないと、自分の未来に希望の「き」の字も持てないのかもしれない。ダニーは寡黙な性格で、ほとんど口をきかないというか話をしない。その分、行動に表すので迫力倍増という感じ。もし、自分があの国に生まれ育っても、彼のような強い意志を持ったまま生きてはいけないだろうと思った。

 「私には理解できない哀しい世界なのかもしれない。」で星3つ ★★★



ハムレット 

1996/イギリス/製作デヴィット・バロン/撮影監督アレック・トムソン/
監督・脚色・出演ケネス・ブラナー/ケイト・ウィンスレット・・・他


超豪華なセットや実力派役者に長時間上映も苦にならない


やっとの思いで観に行った『ハムレット』。上映時間が4時間を越すため、途中に休憩が入るという舞台のような作品である。しかし、誰もが知っているシェイクスピアの代表作『ハムレット』のせいか、その長時間上映がまるで苦にならなかった。豪華絢爛なセットはもちろん。これでもか!というぐらいにイギリスの実力(演技)派役者を勢揃いさせている。もちろんアメリカの実力派俳優ジャック・レモンやロビン・ウィリアムスも脇を固めている。主演で監督や脚本もやってのけたケネス・ブラナーはすでに(舞台などで)何千回も「ハムレット」を演じてきたという超シェイクスピア信仰者。その熱意が伝わってくる程の迫真の演技でとにかく圧倒された。正直言って、実際のハムレットよりも年齢が上になってしまうケネス・ブラナーなだけに「若々しいハムレット様・・・」と言われる度に「そうかぁ?」と疑問を持ってしまうのが玉に傷で、しかも義父クローディアス王(デレク・ジャコビ)よりも貫禄があってしまうあたり「どっちが王だ?」と思ってしまう部分もあり、やや年齢的に無理を感じるという点もあったが、「狂気」のフリをするハムレットは実に子供っぽくて嫌でもケネス・ブ ラナーのハムレットの魅力に引き込まれていまう。そして、オフィーリア役を演じたケイト・ウィンスレットもこれだけのベテラン役者に囲まれながらも物怖じしない存在感は凄かった。個人的には『タイタニック』よりも魅力的だった。彼女は難しい作品ほど実力を発揮する人なのではと思う。(もちろん、『タイタニック』もアクション映画としては超A級だけど、人物描写を重視するストーリーとしては個人的には不満の残る作品だし、役者の演技が活かされていないと思っている。)時代設定こそは弱冠変更しているものの、ほとんど原作に忠実でセリフ回しも同じだからもともと舞台劇として作られた作品だけに、映画なのに妙に一人の独白が長く過剰な演技が目に付くこともある。しかし、それらが独特のシェイクスピア世界を生み出していて、不思議とその作品の中では違和感がない。むしろ、その迫力に圧倒されてしまうくらいだった。個人的に意外だったのは、ハムレットとオフィーリアが肉体的関係を結んでいたという設定(原作ではそういう部分には触れていない)。だから、後半でオフィーリアがハムレットの狂言を素直に受け止め傷付き、父親を殺され狂っていく姿には原作では受けた 以上の痛々しいまでの悲しみを目の当たりにすることになる。そしてクライマックスのでハムレットVSレアティーズの試合はその命を懸けた戦いと同時に、ノルウェーからの奇襲攻撃が同時進行していたという緊迫した展開になっていき、試合が終わる時にハムレットの復讐劇は幕を閉じ、このデンマークの前代のハムレット王が築いた栄光も幕を閉じるのだ。こうして、一つの国の栄光と挫折をこの一人の男から観ることで、シェイクスピアの描いた作品の偉大さを痛感するのである。

4時間という長時間でなくても表現できたのでは?と観る前に思っていたが、観てわかったと言うべきか、確かに省くシーンがないのである。どれも必要なシーンで、物語を伝えるには必要不可欠なのだ。ここに、ケネス・ブラナーの力量を感じた。

 「無駄のない4時間超大作に圧倒」で星4つ ★★★★



ビーン 

1997/イギリス/監督メル・スミス/脚本リチャード・カーチス、ロビン・ドリスコール/
主演ローワン・セバスチャン・アトキンソン、ハリス・ユーリン・・・他


テレビのコメディードラマを映画に拡大した問題作(笑


今じゃ泣く子も黙る(?)存在になった「Mr.ビーン」。日本ではNHK衛星の一枠で放送されて人気に火がつき、発売されたビデオは驚異的なレンタル数を記録しているという超人気ぶり。またその人気はどの世界でも共通しており、今回満を持して(?)全世界に公開となる映画になったわけだが・・・。まぁ、日本じゃ放送禁止になりかねない危ないギャグ満載でしたね。「決してお子さまは真似してはいけません!」という感じです。私がもし子持ちの母親だったら観せないぞ(笑)まぁ、彼のあの顔自体反則なんですが、とにかく最初から最後まで笑いの宝庫です。一応ストーリーはちゃんとしていますが、ビーンのギャグの前ではちゃんとしたストーリーも二の次でほとんどストーリーそのものは気になりません。

しかし、イギリスだからなのか何なのかわかりませんが、ビートルズの『イエスタデイ』が絶妙のタイミングで使われています。もうこの映画を観た後はまともに『イエスタデイ』を聴けなくなるでしょう。聴いてみても、あのビーンの低い声で「suddenly〜」という声が何処からともなく聞こえてくることでしょう。・・・ともかく、何も考えずにただ気楽に笑える作品です。でも、あくまでテレビのコメディー・ドラマという感じで、これを映画館で観る価値はあったかどうかは別問題かもしれない。まぁ、劇場の大スクリーンにあの顔がアップになるのは迫力でしたけどね・・・。
 
 「テレビでも良かったかなぁ・・・」で星2つ ★★

 《劇場裏話》
映画を観ている時、なんとビーンが出ているだけでひたすら笑い続けているオバサンが居たのだ!しかもその笑いは「劇団●●」のようなエンライ劇場内に響き渡る声だったのだ。最初は「良く笑うオバサンだ」としか思っていなかったのだが、ほんとに何て事ないシーンも大笑いするから次第に「何に笑っているんだ?そんなに面白いシーンか?」と客席の人々が疑問に思い始めて、しまいにはそのオバサンの笑い声に客席が笑うというとんでもない現象になったのだった!あのオサバサンはビーンよりも強者だゼ!とマジで思ってしまいました。随分前に『八日目』という映画で、映画の中盤から延々大泣きしているお客さんがいたけど、ひたすら笑い続けるオバサンのインパクトはかなりのもんでした。



フェイス/オフ 

1997/アメリカ/監督ジョン・ウー/脚本・共同製作マイク・ワープ、マイケル・コラーリー/
出演ジョン・トラボルタ、ニコラス・ケイジ・・・他


強引なストーリーを役者の演技で押し切った娯楽アクション大作。


まず考えよう、「ジョン・トラボルタとニコラス・ケイジの顔をすり替える」というこの強引な発想。まず、これだけで笑うことができる。しかし、一歩間違えばB級アクションになりかねなかったこの作品を超A級アクションにしたのは監督ジョン・ウーの敏腕と、善と悪の2つの顔を演じきったジョン・トラボルタとニコラス・ケイジの演技力だろう。幼い息子を非常なテロリストのキャスター・トロイ(ニコラス・ケイジ)に殺されたショーン・アーチャーは、その復讐を6年後のある日に果たすことができたが、なんとキャスターはロスを壊滅させる為の細菌兵器爆弾を何処かに仕掛けていた。逮捕されたキャスターの弟はまるで口を割ろうとしない、そこでFBI秘密捜査部からある命令がショーンに下る。実は死んだと思われていたキャスターは生命維持装置でかろうじて生きており、彼の顔を自分と入れ替えてキャスターに成りきり弟から爆弾装置の仕掛け場所を聞き出すという方法だった。そして、キャスターに成りきり弟の収容させれいる獄中に潜入するが、なんと顔を剥がされた キャスターが目覚めショーンの顔を奪い彼に成りすましたのだった。そして、顔が入れ替わった状態で2人の戦いが再び始まった・・・という話で、まぁ、なんて強引なんでしょ!と思わずにはいられない展開で、顔を剥がされたキャスターが意識を取り戻すなんて「うっそだー!」と叫びたくなってしまうが、そうはさせないのはジョン・ウー監督。まず、観客が疑問を持つ前に次の展開を持ってくるから疑問について考えてられない。そして、超ド派手な銃撃戦には圧倒される。香港の監督ならではの2丁使いの銃撃はド迫力。しかも主演2人の迫真の演技にも圧倒。「2人ともこんなにカッコイイ俳優だったけ?」と思わずにはいられない存在感なのである。あのオープニングのニコラス・ケイジが車を降りてくるスロー・ショットと、復讐を誓うショーンになったニコラス・ケイジが浜辺から教会に歩いて行くスロー・ショットは非常に印象的だった。同じ人物で同じショットなのに、演じているキャラクターが違うからまるで違う存在感なのだ。そして、キャスターの愛人役を演じたジーナ・ガーションのカッコ良さも光った。「男と男」の戦いだけに、女性はただ泣くだけの存在になりがちだが、そ の2人の男の戦いの中で対等に戦う彼女の姿はカッコ良いとしか言いようがない。愛する息子を守る母の強さというべきなのだろうか、ああいう男のアクション映画で女性がカッコ良く見えるなんてそうない。だから、逆に印象的になるのだろう。

しかし、いま話題の(?)バタ●ライ・ナイフが登場した時には「ドキッ!」としたね。うわーっ!この作品もそうなのか!て思ってしまう私はワイドショーの観すぎなのだろうか?しかも、それが後半で活躍しでしまうし・・・。客席でもこのシーンでは少しだけ笑いが起こっていたのだ、皆考えていることは同じだったらしい。とにかく!「これは面白い!」と心から思える娯楽アクション映画だった。

 「アクション映画はこうでなくちゃ!」て星4つと半分 ★★★★



ポネット 

1996/フランス/監督・脚本ジャック・ドワイヨン
/主演ヴィクトワール・ティヴィゾル、デルフィーヌ・シルツ・・・他

 

4歳の少女が「人間の生死」を現実的に捉えていく成長記。


1996年度のヴェネチア国際映画祭で史上最年少(4歳!)で主演女優賞を獲った少女だけに、まるでドキュメンタリーを観ているようなリアルさがあった。母親の死を理解できずに、自分が祈っていれば天国から会いに来てくれると頑なに信じているポネット。大人は「死んでしまったらもう会えないのだ」と説得するが聞く耳を持たない。従姉妹や寄宿舎の友達は「修行して神様にお祈りすればママと来させてくれるかも」とアドバイスをする。そして頑張って修行(?)をするポネットだけど、その歳でしか考えられないような想像力で一生懸命ママに会えるように努力する姿は可愛らしいというより懐かしい印象を受ける。

ただ、さすがフランス映画というか何というか・・・4歳の子供でもカップルはムードがあるとうか、全然違和感がナイところが凄いです。ジャレているんだけどムードのあるジャレ方とうか・・・うーん恋愛大国フランスだけあります。またラストの方が中盤までのリアルな描写の割にはメルヘンちっくというかファンタジー性が強くなり過ぎて、やや全体的にアンバランスな印象を受けました。でも、ママのことばかりではなく、ちゃんと自分のことを前向きに考えられるようになったポネットの笑顔には涙です。

 「ポネットを持って帰りたいくらい愛らしい作品」で星3つと半分 ★★★ 



ベント 

1997/イギリス/監督
               /主演ローテル・ブリュトー、イアン・マッケラン・・・他

 

一番残酷な世界の中で命懸けで愛を貫いた姿に言葉を失ってしまう。


 ナチスはユダヤ人よりもゲイ(同性愛者)をひどく虐待していた・・・その事実を知ったのはこの映画でだった。とにかくゲイだと知られただけで収容所送りになり、運が悪ければその途中で殺されしまうのである。そんな状況下の中で一度は命を守るためにゲイである自分を捨てた主人公だったが、再び「真実の愛」を貫く為に 自らそのことを受け入れるのである。しかも一番残酷な環境にある収容所で・・・。お互いを見つめることもできない環境の中で愛を貫く2人の姿には何よりも悲しい。いつしか自分達は自由になれるかもしれないという儚い希望を抱えているからこそできる行為なのだ。しかし、運命の終止符は意外に早かった・・・。主人公のラストにとった行動に絶句した。何を言えば良いのかわからない・・・まさにそんな心境だった。絶望のどん底の中で最後に自由(自分のエゴ)よりも彼への愛を選んだ行為は、まさにその時代を象徴していた行為なのかもしれない。
 
 「愛の重さを思い知らされた」で星3つと半分 ★★★



フェイク 

1997/アメリカ/監督マイク・ニューウェル/原作ジョセフ・D・ピストーネ
                /主演ジョニー・デップ、アル・パチーノ・・・他

 

真実が一番のフェイクに思える程2人の偽りの友情は厚かった。


 これは実際に現実に起きたことで、ジョニー・デップ演じるピストーネがこの原作の著者である。マフィアの中心部にFBIがスパイを送り込み、そのマフィアの世界の中で6年にも及ぶ偽りの自分を演じ続け一人のマフィアの男と厚い友情を結ぶまでにはなるが、演じ続けている自分はいつしか終わらなければならずその時はその男を見殺しにするという選択でもあると知り苦悩する・・・。とにかく主演2人の渋い演技は最高に良かった。(でもJ.デップにチョビ髭は似合わない・・・)映画だから綺麗にまとまっている部分もあるけど、現実はもっとシビアで残酷だったんだろう。落ちぶれマフィア役のA.パチーノは本当に「情けない」と思わせる程のリアルな演技で、それだけにラストの行為は涙してしまう。偽りの世界の中で真実の友情を交わした男達の人生はあまりにも対照的だ。

 「2人の渋い演技が良かった!」で星3つと半分 ★★★



ボルケーノ 

1997/アメリカ/監督ミック・ジャクソン/脚本ジェローム・アームストロングビリー・レイ
                    /主演トミー・リー・ジョーンズ、アン・ヘイチ・・・他

 

地震列島日本在住の人間としてはシャレにならん!


地震大国日本の住民としてはマジにシャレにならない映画。あの神戸の震災の傷がいまだに癒えていないだけに恐怖感と不安感が倍増という感じです。舞台がアメリカでトミー・リー・ジョーンズのようなリーダーシップのあるレスキュー隊員がいれば良いけど、果たして島国日本でそんな一人の男の独壇場なんて叶うだろうか・・・?浮かぶ言葉は「日本沈没」・・・。この映画では自然の驚異の中に人間は生きているということ、またそのような中では人種の違いなんて何の意味も持たないのだ、といういかにもアメリカらしいメッセージを入れているが、個人的にはただのパニック映画として観られないのが日本人の悲しい性かしら・・・。

 「現実に起こりそうなリアルさ!」で星3つ ★★★



フィフス・エレメント 

1997/フランス/監督・原作・脚本リュック・ベッソン
                           /主演ブルース・ウィルス、ミラ・ジョポビッチ・・・他

 

A級の監督と役者が揃っても脚本が十代の頃のでは内容の浅い作品。


リュック・ベッソンが十代の頃から思い描いていた作品だけあって、かなり内容が浅い薄っぺらな娯楽SFアクション作品です。往年の「ニキータ」、「レオン」、「グラン・ブルー」といった、監督独特の哀愁じみた描写はほとんどなく、あまりにオチャラケたノリの作品だったので楽しめたけど・・・なんかガッカリ。ブルース・ウィルスは『ダイ・ハード』とどう違うのか判らなかったし、悪役のゲイリー・オールドマンもボケボケの可笑しいキャラだったけどそのキャラのせいで行動の意図が見えなかったし、いろんな要素をゴチャ混ぜにし過ぎて逆に判り辛い作品になってしまったように感じる。私のマイ・ベスト1作品である『ブレード・ランナー』と比較されるのは、ちょっとムッとくるというか納得がいかない。ありがちな展開を豪華キャストとセットでやってのけた・・・という程度で新鮮味がなかった。

 「当分SF映画はやらないで欲しいベッソン監督・・・」で星2つ ★★



ベスト・フレンド・ウェディング 

1997/アメリカ/監督P.J.ホーガン/脚本ロナルド・バズ
                              /主演ジュリア・ロバーツ、ダーモット・マルロニー・・・他
笑って、泣いて、楽しめる、『プリティー・ウーマン』以上のラブ・コメ!


久々に元気で明るいジュリア・ロバーツを観ました!
ハッキリ言って、想いを寄せていた幼なじみが突然の結婚宣言に嫉妬心を燃やし、その幼なじみと婚約者をなんとか引き裂こうとするジュリアは嫌な女なんだけど何故か憎めない・・・。そしていつしか、自分のこの気持ちはもう終わったものであって、ただ意地と嫉妬だけで2人を引き裂こうとしている自分に気付く。それでいでも気持ちだけでも伝えてしまうのがジュリアのパワーなんですが・・・。またゲイ役のルパート・エペレットが最高だった。暴走している彼女にいつも的確なアドバイスをする彼の存在がたまらなく面白くまた羨ましくも感じた。この映画の面白い所はほとんど彼が持ち去ったという印象がある。しかし、ラストの方の、本当の恋の終わりを感じて涙を堪えて笑う姿はとても切なった。あれだけ暴走してしまうくらい好きだったのに、その恋を諦めることが一番の解決策と実感してしまったのって少し悲しい。

 「ルパート・エペレットに2000点!」で星4つ ★★★★