さ行 *スチュアート・リトル (2000.September)
*スリーピー・ホロウ (2000.March)
*シュリ (2000.February)
*シックス・センス (1999.December)
*スターウォーズ・エピソードT (1999.July)
*催眠 (1999.Jun)
*ジョー・ブラックをよろしく (1998.November)

*6ディズ/7ナイツ (1998.November)
*知らなすぎた男 (1998.October)
*スウィート ヒア アフター (1998.September)
*ジャッカル (1998.July)
*スリング・ブレイド (1998.January)
*セブン・イヤーズ・イン・チベット (1997.November)
*スクリーム (1997.September)
*スピード2 (1997.August)
*17-セブンティーン- (1997.August)
*スターウォーズ特別篇
 「帝国の逆襲」、「ジェダイの復讐」 (1997.July)
*スリーパーズ (1997.April)




スチュアート・リトル

/1999/アメリカ/監督:ロブ・ミンコフ/原作:E.B.ホワイト/脚本:M.ナイト・シャマラン
/主演:マイケル・J・フォックス(声)、ジーナ・デイビス・・・他


リアル過ぎて小憎らしいネズミが次第に愛らしく見えてくる不思議。


 原作は有名な児童小説らしいんだけど、個人的にはマイケル・J・フォックスが俳優業最後の仕事となった作品なので、その理由で観たって感じです。だって、予告とかで観た時は、妙にリアル過ぎるネズミがお世辞にも「可愛い」とは思えなかったのよ。

 リトル家は幸せな家庭であったが、一人息子のジョージが弟を欲しがり、決心した両親は養子を貰うことにした。そして養護施設へ行って養子を探すが、彼等の前に人間の言葉を話すネズミが現れた。両親と意気投合したネズミは「スチュアート・リトル」と名づけられ、リトル気の新しい家族の一員となるが、人間の弟が欲しかったジョージは彼に冷たく弟として認めてはくれなかった。しかも、飼い猫にまで意地悪をされる始末。途方に暮れる両親とスチュアートだったが、ジョージが参加するボートレースでスチュートは彼の為に一代奮起するのであった。そしてやっと家族として認められるかに見えたが、そこへ突然「スチュアートの本当の親だ」と名乗るネズミが現れて・・・。

 というコミカルはお話。児童小説が原作なだけに、家族愛がテーマになっている。えんらい理解ある両親に、ネズミが言葉を話すことに違和感を憶えない世界。すべてがファンタジーなんだけど、スチュアートが「心の隙間」と言った、満たされているのに何か足りないという気持ちはどこの家庭も抱えている問題ではないのかな?「本当の家族は一体何か」を投げかけている作品でもあると思う。

 でも、さすがマイケル・J・フォックスだよね。スチュアートの年齢は出てこないんだけど、すごい年齢不祥の声なのよ。子供と言えば子供だし、大人かもしれないと思えば大人だし。子供と対等に話しているネズミの声として、ちっとも違和感がなかった。
 あと、最初はリアル過ぎて「可愛い」とは思えなかったネズミも、妙に人間ぽい動きとかするし、表情が豊かでついつい感情移入してしまっていたんだよね。不思議な魅力があるネズミちゃんでした。親子揃って観ると良いかもねっ。

 「ああいうネズミなら家族に欲しいよなぁ。」で星3つ。 




スリーピー・ホロウ

/1999/アメリカ/監督:ティム・バートン/製作:スコット・ルーディン
/主演:ジョニー・デップ、クリスティーナ・リッチ・・・他


ブラックジョークも忘れないティム・バートン流ゴシックホラー。


 アメリカの有名な古典小説を、奇才ティム・バートンが映画化したっ!「首なし騎士の伝説」は日本でいう「雪女」みたいな感じで、多くのアメリカ人が知っている古典小説なのだ。ティム・バートンは大好きな監督の一人だし、どんな役もこなすジョニー・デップ主演で、期待しないわけないだろうって感じである。

 物語は、1799年、スリーピー・ホロウという村で首を切り落とす惨殺事件が連続した。そこへ、NYからやって来た刑事ガボット(ジョニー・デップ)が科学的さ捜査を開始し犯人を突き止めようとするが、村の人間は「首なし騎士の仕業」と脅えるばかりでガボットには非協力的であった。しかし、そのガボットも遂に首なし騎士と対峙してしまい・・・。

 という話で、ゴシックホラーなんだけど、ホラーと言うほど怖いというわけじゃないんだよね。もちろん、騎士に首をバサッリやられてしまうシーンはリアルなんだけど、映像美に拘るティム・バートンだけに、ただ「コワイ」だけで終わらせないなんだよね。ハロウィンのかぼちゃの灯りや、森の欝蒼とした雰囲気、霧の立ちこめる様子とか、一つ一つが引き込まれそうになるぐらい綺麗なのだ。
 あと、この主人公のガボットというのがかなり臆病な性格をしているので、逆に彼の恐怖する姿を見て面白がってしまうなんて気分にもなるのだ。堂々と子供を盾にして前に進んで行くシーンとか、最初は首なし騎士の存在なんてバカにしていたのに、初めて見た後ベットの中に臥せって「本当に見たんだ!」と村人も呆れるほどビビッってしまうだから。一番笑えたのが、村を訪れて首ナシ騎士の話を聞いている時点で「そんな話は逸話だ」と言いながら持っていたカップをガタガタ震わせていたところかな。それでいて、遺体を血まみれになりながらも解剖してしまうという一面もあったりして、かなりブラック入っています。ホラー映画として観ると物足りないと感じてしまう人もいるかもしれないけど、怖いもの嫌いな私としては、こういうノリは好き。

 また、話の中心は飽くまで連続殺人の犯人を突き止めること。もちろん、やっているのは首ナシ騎士。しかし、彼は無意味に首を切り落としているわけじゃないとガボットが気が付き。首ナシ騎士の墓を掘り返し、彼の首がなくなっているこをと突き止める。そして、彼の首を持ち出した者こそ、彼を操る真犯人である・・・ということになるのだ。つまり、推理要素も十分含まれていて、真犯人が誰であるかを物語の終盤まで推理する楽しみもある。残念ながら私は犯人を当てられなかったけどね。

 しかし、あんなに臆病な役なのに、何故かカッコイイと思ってしまうジョニー・デップて不思議。まぁ、主人公のガボットはある暗い過去を持っていて、そのトラウマとも戦っているんだけど、その辺が母性本能くすぐられるのかね。10歳以上も離れたクリスティーナ・リッチの方が妙に大人びて見えたくらいだもん。2人の恋愛の展開もなかなか良いのだっ。
 まぁ、首なし騎士を出している時点でファンタジー要素満載なんだけど、中盤には魔女まで出てきてとにかくノリてきにはスゴイ。これはもう、ティム・バートンの世界にのめり込んだもん勝ちでしょうね。

 「首なし騎士の時より、首あり騎士の時の方が怖かったのは私だけ?」で星4つ。 




シュリ

/1999/ 韓国/監督・脚本:カン・ジェギュ/製作:イ・グァナク、ピョン・ムリム
/主演:ハン・ソッキュ、キム・ユンジン・・・他


娯楽作品を越えた超リアルなドラマ。


 韓国作品の映画を観るのは初めてだったけど、正直言ってこんなに良いとは思わなかった。良い意味でハリウッド映画をパクリまくっているんだけど、韓国と北朝鮮の問題て日本に親密すぎる問題じゃない?それだけにグッと迫るリアルさがあった。普通の娯楽作品として見てはいけない、『重さ』ていうのかな、なんともやり切れない部分もあって、遠い国(アメリカ)の映画よりも、わかりやすかったのは事実。
 ただ、主人公2人の男性の顔が妙に似ていて、ホント区別つかなくて悩んだんだけどね。あと、北朝鮮工作員の少佐が世良正則さんに似ていたんだよなぁ。・・・て、これは物語と関係ないね。

 物語は、北朝鮮から進入した女スパイのイ・バンヒが暗躍。彼女を追撃するべく韓国の情報部員ジュンウォンは相棒と共に奔走するのだが、いつもあと一歩という所で先を越されてしまう。そして、密かに科学部が開発していた液体爆弾CTXが謎の集団の奇襲によって奪われてしまう。後に、その集団が北朝鮮工作員の特殊部隊の仕業と判明し、その工作員がジュンウォンの恋人の存在をも知っていることから、彼は危機感をより一層強めていくが・・・。

 という話で、恋愛+アクション映画という感じです。もう、冒頭の北朝鮮工作員の訓練シーンは凄まじいものがあります。ハッキリ言って『プライベート・ライアン』以上だね。だって、訓練には生きた人間を使い平気で殺し合う。まさに、死ぬか生きるかの世界で、生き残った者が勝者という感じ。あまりの残酷さとリアルさに、「観ている映画を間違えたかな?」と思ってしまうと同時に、ここまで北朝鮮のことを表現していいんだろうか?とも思ってしまう。
 主人公のジュンウォンは、自分が韓国の情報部員である事を熱帯魚屋の恋人には秘密にしていたが、相棒から「結婚もするのに、明かしてもいいのではなか?」と言われても、「危険が伴うから」と最後まで言うことはしなかったが、実は彼女も彼に隠していることがあった・・・。この展開は、物語の最初の部分で観客が薄々気が付いてくるのだが、事が進展していくにつれ、2人は愛情を確かめ合うだけに切なくなってくるのだ。2人で居る時は、結婚を間近に控えた幸せなカップルにしか見えないのだから。

 タイトルの「シュリ」とは、北朝鮮と韓国を結ぶ河にしか存在しない美しい魚のことで、北朝鮮の工作員達は「シュリ=祖国統一」という意味合いを兼ねて、この襲撃作戦を「シュリ」と呼んでいる。そして、ジョンウォンが熱帯魚屋の恋人からプレゼントされた魚が「キッシンググラミー」。この魚はつがいの一匹が死んでしまうと、もう一匹も後を追って死んでしまうという性質を持つ。また、情報部内には幾つもの水槽が置かれ、綺麗な熱帯魚が飼われているが、ジョンウォンの相棒はビスケットをそこへ投げ込みすぐに水槽を汚してしまう。盗まれた液体爆弾CTXは、見た目は水と同じでどんな発見器にも反応しない。そして、光(熱)の温度によって反応し、ある一定の温度にまで上がると爆発するという性質を持つ。
 ・・・すべてが、流れるように何かにリンクしている設定は見事だと思う。それだけに、誰が裏切り者で、誰を信じればいいのか、最終的にわからなくなっていくのだ。

 北朝鮮と韓国の問題。ハッキリ言って日本人が他人事で見られる話ではない。北朝鮮側の心情がリアルなだけに、余計に辛く迫ってくるものがある。北朝鮮の工作員だって、何も好きで戦争を仕掛けている訳じゃない。映画のセリフに出てくるが「50年待った結果がコレだ。今だって道端で仲間や子供が野垂れ死んでいっているんだ!もうこれ以上は待てない!」と工作員が涙ながらに訴えてくるシーンがある。そういう現実が本当にあるだけに、何もそのセリフに対して言い返せない。
 そして、最終的にジョンウォンとイ・バンヒは対峙することになるのだが、その結末があまりにも切な過ぎるのだ。

 普通映画を観たあと、「そうか、こういうことか。」とか、自分なりに納得した感想みたいなのが出てくるが、この『シュリ』に関しては、結果が出せないというか、まだ現実で結果が出ていない残酷さの方が鮮明に出てくるのだ。恋愛作品で、こんなに切なくて悲しい物語があっていいんだろうか?

 それから、主人公と恋人が大好きな歌に「夢を見れば」という曲がある。この曲は、映画の中で何度かかかるが、最後のテロップが流れる頃には、この曲をなんともいえない気持ちで聴くことになる。ついでに言うと、私はこの曲聴きたさにサントラを買った。それぐらいの曲なのだ。
 あと小説も買ってしまったが、ラストが微妙に違うし、イ・バンヒと工作員と隊長との微妙な関係も丁寧に描写されていて、さらに切ない気持ちになる。映画を観たあとは、是非、小説も読んで欲しいかもしれない。

 「韓国映画にこんなにハマるとはっ・・・!」で星5つ。 




シックス・センス

/1999/ アメリカ/監督・脚本・出演:M・ナイト・シャマラン/製作:フランク・マーシャル
/主演:ブルース・ウィルス、ハレーイ・ジョエル・オスメント・・・他


第6感て能力があることって幸か不幸か・・・


 やっと観に行くことが出来た『シックス・センス』。これも、映画の内容に“秘密”があって、その“秘密”はまだ観ていない人には他言無用と、上映前にちゃっかりブルース・ウィルスのサイン入りで忠告がある程です。そんな訳で、ここはアバウトな感想しか書きません。“秘密”を知ってまた観ると面白いだろうね。・・・その代わり、観てもいないのに観た相手から“秘密”を一方的に暴露されたら、その相手を遠慮なく殴りましょう(笑)。

 小児精神医のマルコム(ブルース・ウィルス)は、市民栄誉賞を受賞する程の優秀な小児精神医であったが、一人の患者を救えずに彼を自殺に追い込んでしまったことに苦悩していた。そんなある日、精神を病む8歳の少年コール(ハレーイ・ジョエル・オスメント)と出会い、彼がかつて救えなかった患者と同じ症状を持っていることに気が付いたマルコムは、彼を助けようと必死になる。そして、その少年コールは彼に「僕には死者見える」という秘密を打ち明けるのだが・・・。

 というホラーというよりサスペンスです。ただ効果音が絶妙のタイミングで出るんで、効果音にビクッ!とする感じ。ななんぼの一番弱い所と付いてきています。つまり、個人的には怖かった。でもね、ラストのドンデン返しはスゴイよ、ホント。もしかしたら、カンの良い人は最初の時点で気が付くのかもしれないけどさ、私は気が付かなかったからビックリしちゃった。それだけに、なんか悲しいんだよね。第6感が強くて、死者の姿が見えるのがいいことなのか、悪いことなのかは判らないけど。幸せではないような気がするなぁ・・・。これは個人の問題だけどさ、私は嫌だな。だってイイ幽霊ばっかりじゃないんでしょ?よくわかんないけどさ・・・。ブツブツ。
 ただね、所々に非常に泣くツボがあるの。個人的にはお祖母ちゃんの話には涙でした。いや、弱くてああいうエピソードには・・・。あと、マルコムの奥さんの気持ちに感情移入すると哀しいかもね。おっと、これも個人の問題か。難しいなぁ。
 ま、私のこの曖昧な感想が気になる人は是非映画観てね。効果音とかすごいんで、れきれば劇場公開中に観てね。

 あんまりさ、ブルース・ウィルスが主演している映画て、個人的に良い印象残ったのってなかったんだけど、『シックス・センス』は別格。天才子役のハーレイ・ジョエル・エスメントを連れて来日した時も、余程この作品に自信があったようで余裕の対応ぶりというか、珍しく問題やドタキャンも起こさず大人の風格醸し出していたもんね〜。ハーレイ君も『フォレスト・ガンプ』の息子役で注目されたけど、ホント怖いくらい上手いっ。彼の不安そうな顔が一番恐怖心を煽り立てていました。末恐ろしい役者ですよね。う〜む。

 「意地で劇場まで観に行って良かった!」で星4つと半分 ★★




スター・ウォーズ エピソードT〜ファントム メナス

/1999/アメリカ/監督・脚本・製作:ジョージ・ルーカス/
/主演:リーアム・ニーソン、ユアン・マクレガー・・・他


伝説の作品は原点に戻っても伝説だっ!


 全世界のファンが待ちに待っていた、あのSF映画の伝説的作品「スター・ウォーズ」の続編!ただし、続編と言っても今まで公開されたシリーズ3部作の続編ではない。とにかく人気の高かった悪役、ダース・ベーダーの原点(幼少時代)を語る作品なのだ。つまり、もともと「スター・ウォーズ」のシリーズ3部作の前に、もう3部作のエピソードがあり、公開されや3部作の主人公だったルーク・スカイウォーカーの実父であるダース・ベーダーが、何故あんな暗黒の闇にとり憑かれてしまったのかを、このエピソード3部作で語るというものである。これは、もうファンには堪りませんね!

 話は、銀河系は銀和共和国は平穏を長い間守っていたが次第に勢力を無くしていき、逆に金と権力の亡者と化した貪欲な通商連合は、辺境の惑星との交渉をとり止めてしまい、植民惑星のように支配しようと目論んでいた。その標的となった惑星ナブーは、銀河共和国が通商連合にジェダイの騎士を2人クワイ=ガン・ジン(リーアム・ニーソン)、オビ=ワン・ケノービ(ユアン・マクレガー)を送り込み交渉の役を任せるが、銀河系の支配しか目にない通商連合はジェダイの騎士を抹殺しようとする。からくも逃げられたジェダイの騎士達はこの事をすぐナブーの女王のアミダラ(ナタリー・ポートマン)に伝えようとするが、既に敵による武力封鎖が行われていた。
 なんとかアミダラ女王を救出すると、船の修理も兼ねて、敵の目のつかない貧しいタトゥーイン惑星に不時着した。しかし、そこでクワイ=ガンは驚異的なほど強いフォースを持つアナキン・スカイウォーカー(ジェイク・ロイド)という幼い少年に出会う。母親と共に奴隷の身である彼であったが、宇宙船のパイロット素質も驚異的な技量を持っていた。そして、この出会いは運命だと悟ったクワイ=ガンは、この少年をジェダイの騎士にしようと決意する。そして、少年もジェダイの騎士やアミダラ女王と共に、再びナブーへ戻ろうとするが、通商連合を裏で支配している暗黒卿ダース・シディが、アミダラ女王の暗殺の為に弟子のダース・モールを送り込んでおり、彼らの前に立ちふさがった!

 ・・・という、いかにもっ!という感じのストーリーです。正直言って、ストーリー展開は単純明解です。これは「スター・ウォーズ」シリーズの全てに言えることですけどね。もう観ている側の思う通りに展開しているので、良い意味でいろいろと裏切ってくれている。ただ、なんというか「スター・ウォーズ」ならではの専門用語が多いので、このシリーズを良くしらない人は「何のことを話しているの?」と思ってしまう点もあるかもしてない。ま、これは仕方がないか。

 エピソードTは、非常に一番最初の「スター・ウォーズ」と話というか展開が類似しているのだ。アミダラ女王を匿いながらの逃亡は、レイア姫を救出するのと同じだし、ジェダイの騎士が主人公にジェダイになれる素質を見抜くのも、最後のジェダイの騎士が悪の戦士と繰り広げる殺陣も同じ展開である。それだからこそ、「歴史は繰り返す」という言葉が重い。しかも、観ているほとんどの人間が、この幼い純真な少年が最終的にはダース・ベーダーになることを知っている。それだけに、これからの少年の成長過程に興味津々といった気持ちにさせられるのだ。話は単純で新鮮味は全然ないんだけど、魅せる作品としては最高だと思う。特に、クライマックスの一つである、アナキン少年の才能がクローズアップされるトップレース・シーンや、あの最後のジェダイの騎士とダース・モールの殺陣のシーンは最高っ!さすが、ダース・モールの役の人は剣道などの武道の段有者なだけにカッコ良い!3人共スタントなしの殺陣なので、とくにかく迫力があって見応え十分だった。このシーンが観られただけでも、個人的に満足しちゃったね。もうライト・セーバーでの殺陣シーンは「スター・ウォーズ」シリーズには、なくてはならい名シーンだしね!ファンとしではウハウハだったわ。

 また、今回はアミダラ女王役で出演していたナタリー・ポートマンがすっごく良かった!とんでもないアジアンチックなド派手な衣装を、毎回登場する度に着てくるので(どれも違うデザイン!)、それが似合っている迫力に圧倒されてしまう。ルーカス監督は彼女を起用したのは、「レイア姫に似ているから」だそうだが、悪いが月とスッポンほどの差があるっ!ナタリー・ポートマンの絶世の美少女ぶりには、ただただ圧倒されます。唯一、彼女が演技しているって感じだったしね(笑)。後は、最新のCGで押し通したルーカス監督の技量でしょうか・・・。

 エピソード3部作と言われているだけに、当然のことながら続きがあるような終わり方なんだけど、「続きも観るゾ」ていう気持ちになる。もちろん、どういう展開になるのか読めるけど(笑)、そこが良いのよ。もう、「スター・ウォーズ」という映画を作った段階で、観客ルーカスの魔力にかかりっぱなしなのだっ!だって「スター・ウォーズ」そのものが伝説なんだもん。

 そうそう。ゲスト出演しているというE.T.を見つけることができなかった!私は「ココに出るはずだ!」と睨んでいたシーンではなかったのだ。わかりっこないよ〜!彼がゲスト出演しているというシーン、私はアミダラ女王しか観てなかったもんっ!
 あと、次回の『エピソード2』では、「アジア人俳優を起用する」と宣言しているルーカス監督ですが、噂では『リーサル・ウェポン4』での悪役ぶりが記憶の新しい、香港のアクション俳優のジェット・リーが有力視されております。彼が出たらカッコ良いだろうね。殺陣のシーンとか♪

 「劇場でリアルタイムに観られただけでも嬉しいっ!」で星4つ ★★★★




催眠

/1999/日本/監督:落合正幸
/主演:稲垣吾郎、菅野美穂、宇津井健・・・他


精神的に恐怖感を煽るけど、キーワードの意味に説得力ナシ。


 同じ日に、なんの共通点もない幸せのはずの3人が「緑のサル」と言い残して奇妙な自殺をするという事件が起きた。そして、その後も「緑のサル」と言い残して、常識では考えられない方法で自殺する者が後を絶たなかった。この連続自殺をした者には、何らかの方法で催眠がかけらられているのでは?と睨んだ心理カウンセラーの男(稲垣吾郎)は、刑事(宇津井健)と共にその謎に迫る。そして、ある一人の何者かに催眠をかけられ二重人格になっている謎の女性(菅野美穂)と出会うことで、彼らも恐怖の世界に引きずり込まれて行くのだった・・・。

 正直言って怖い!まぁ、自殺する方法が尋常でなくて怖いのもあるんだけど(その姿はいかにも邦画ぽいチャチさもある)、とにかく菅野美穂の演技がメチャ怖かった!上手すぎる!これが、その辺の演技力のないアイドル女優が演じたら「お笑い」になるような所を、本当に恐怖のどん底までたたき落としてくれます。でもね、逆に言うとそれだけなの。話そのものはタイトルの「催眠」を突き詰めていないのだよ。最初そこは事件の焦点にあるんだけど、最終的には菅野美穂の怪演と独特の映像美に頼っているという印象が残った。集団催眠を誰がかけていたのか、物語の中盤でわかってしまうしね。もっと心理学的要素とかが中心かと思ったけど、霊的な要素の方が強くなってしまったのもガクッ。しかも、キーワードとなっている「緑のサル」の意味がねぇ〜。なんか、ああそうなんですかって感じで、そこで妙に醒めてしまったわ。ホラー映画として観る分には面白いんだけど、サスペンスとして観ると微妙に物足りない。別に最後まで飽きずに観られるし(むしろ怖くて早く終わらないかと思ったくらい)、救いようのないエンディングも物語の怖さを強調していて良かったけど、自分が納得できるような好みの作品ではなかった。主人公の嵯峨て弱いし(笑)、正義感あるんだけど誰も助けられない「弱さ」や「幼さ」があって、妙に稲垣吾郎のハマリ役だと思ってしまった。

 もちろん、人間は日常の生活の中で、非常に催眠にかかりやすい要素を周囲に抱えている・・・というのは妙な恐怖感があったし、「何がキッカケで自殺するか」が判明した時なんかも怖かったし、しかも終盤の菅野美穂(テレビを見ていた稲垣吾郎が画面に何か反射していると気が付いて・・・キャーッ!)は怖すぎたけど、よ〜く考えると話バラバラなのよね。終わりのない恐怖を演出するあまり、まとまりのない話になってしまった気がしないでもない。すっごく怖かった!という印象が残ったけど、なんか話の内容そのものはすぐ忘れてしまいやすい・・・という感じで、あともうちょっとで、スゴイ映画になったのかもしれないね。

 「久しぶりにホラー映画観たけど、邦画は陰湿だ〜っ!」で星2つ半分 ★★




ジョー・ブラックをよろしく(東京国際映画祭・公式参加作品)

/1998/アメリカ/監督・製作:マーティン・ブレスト/製作総指揮:ロナルド・L・シュワリー/
/主演:ブラット・ピット、アンソニー・ホプキンス・・・他


予想外に号泣の死神クンの切ないラヴ・ロマンス作品。


もう、本物を近くで見た後に日本で初公開になる新作上映!邦題『ジョー・ブラックをよろしく』がどんなにダサいタイトルであろうと舞い上がってしまっていた。(原題は『Meet Joe Black』)なんせ、3時間近い上映時間に加えラブロマンスものという、個人的な苦手要素を2つも含んでいたので、正直言っていくらブラピといえ期待していなかったのだ。しかし!あまりに予想外な展開というか内容にもう号泣っ!であった。彼の作品であそこまで泣いたのって初めてかもしれない。もちろん、ブラピも良かっただんだけど、共演者のアンソニー・ホプキンスが最高に良かったし泣けるセリフを言うのだ。もう半分以上は彼で泣いていた感じ。

メディア王のウィリアム(アンソニー・ホプキンス)は、人間の姿を借りた死神のジョー・ブラック(ブラット・ピット)に「お前を連れて行く前に、人間界を見物したいからガイドしろ。そのガイド期間だけ命を延ばしてやるから。」と、ほとんど強制にも近い頼みを受け入れるハメになる。しかも、彼が借りた人間の男の身体は、ウィリアムの次女のスーザン(クレア・フォラーニ)の一目惚れの相手もあり、スーザンは次第にジョーを意識しはじめ、彼も彼女を意識しはじめるが・・・という、ちょっと奇妙なラヴロマンスなのである。しかし、主体は仕事一筋で生きてきたウィリアムが自分の死を悟り少しづつ変化していく過程が丁寧に描写されている。また、なんせ初めての人間界の生活に好奇心と戸惑いを見せる死神役のブラピもメチャ笑えるというか可愛い。最初は、自分の興味本位でウィリアムを散々振り回すが、スーザンとの恋の芽生えを意識してきてから彼も少しづつ人間ぽくなっていくのだ。そして、スーザンが恋をしているのは死神としての自分ではなく、自分が身体を借りている男にだと気が付くあたりが切ない。もう、どう表現したら良いかわからないけど、後半はとにかく泣けて しまうのだ。最初は「ラヴコメ」と聞いていたせいかもしれないけど、ここまでシリアスに「人間の生」について語っているとは思わなかった。『マスク・オブ・ゾロ』でも感じたけど、やはり名優アンソニー・ホプキンスは凄い!彼にあそこまで泣かされるとは思わなかったなぁ。

珍しくラヴロマンスものに挑戦したブラピだけど、このファンの期待に答えるような美青年で可愛い素振りもこれが最初で最後なような気がしないでもない(笑)。次回作はなんせ前歯はないし、頭も随分ボウズのようになってしまうというし(泣)。とにかく内容的にも映像的も満できる作品だった。きっと何度も観に行ってしまうんだろうなぁ〜。

 「とにかく個人的に号泣もの!!!!」で星5つ ★★★★★


《舞台挨拶》今回の映画祭の一番の目玉となっていた、Brad Pitt本人来日&舞台挨拶。もう、あれだけの記者の数を見たことないっ!くらい凄かった。とにかく、一生分の運を使い切った感じもするくらい、前の方の席で彼の舞台挨拶を見ることができた!だって肉眼でちゃんと表情がわかるんだもん。オペラグラス使ったら睫毛まで良くわかるしとにかく最高であった!正直言って、まだ舞い上がっているというか余韻は抜けきっていないのだ。それだけ感動もんだった。しかも、紺のスーツにネクタイなんて出で立ちで来たからビックリ!そんなビジネスマンぽいファッションする人じゃないから意外だった。それに、ゲストなのにハンドマイク持ちながらニコやかに颯爽と登場したから、まるで司会者のような感じもしなくはなかったなぁ、今思うと(笑)。

なんせ、スクリーンや雑誌といった「二次元」の世界の彼しか知らなかったのが、いきなり自分達と同じ「三次元」の世界に登場したという感動は大きかった!「この人が今まで観てきた映画を演じていたんだ!」てね。もう出て来ただけで涙よ、ホント。背が高くて顔が小さいから、ツンツン頭が異様に爆発しているように見えたくらいだし、ブルーの瞳が最高に綺麗だった。声も映画のままよ。そして嵐のようなフラッシュのにも瞬きしない凄さ。見ているこっちが眩しくてシパシパしてしまったくらいだ。あれだけの存在感があって威圧感がない人も珍しいかも。なんかね、「本当に世界のスパースター」なんだって実感した。「日本人だと誰?」と聞かれがちだけど、とてもじゃないけど比べられるような人いない。マジでレベルが違うなと痛感。世界のレベルは高すぎた・・・。

肝心の舞台挨拶内容だけど、どこかの新聞には「たった20分足らず・・・」と書いてあったけど、そんな20分どころか、5分ちょっくらいだったよ!出てきた途端フラッシュと歓声の嵐だったんだけど、もう司会者が圧倒されちゃっていて、ロクな質問しないんだもん。しかも質問の文章がおかしいし、彼が答えて通訳の戸田奈津子sanが訳すと、その後付け足すような感じでまた彼が話そうとするのに、タイミング悪くまた質問するから彼も短く答えるしかないって感じだった。しかも、正面向いて話そうとすると、歓声の嵐で自分がとても話せるどころじゃない「もう、どうすればいいの?」て感じでお手上げポーズを取ったりしていた。実は、去年の映画祭も彼の作品『セブン・イヤーズ・イン・チベット』がトリを取ったんだけど、その事を質問すると「光栄に思っているし、実際に今回来られて嬉しい」ようなことを言っていた。あと、今回の映画のシーンで個人的なお気に入りは「ディナーのシーンと、あとラヴシーンも良いよ」と言ってみて、それには通訳の戸田sanも「本当に素敵なラヴシーンがあるんですよ〜ぉ!」と自分の世界に入っていた(笑)。で、花束贈呈の時に、今回の映画祭で主演 女優賞を獲った日本の宮本真希sanは舞子さんの衣装で花束とおみやげの羽子板を贈呈。客席はブーイングの嵐だったのさ(笑)。羽子板を貰ったあとふさげて振り回しそうな素振りを見せたけど、また司会者がタイミング悪く質問したからやめちゃったのが残念。でも、終始、笑顔を絶やさずしかも2階、3階席にまで目線を向けたりして、もう最高に良い人であった!本当にアッという間だったけど、あの幸せな時間は一生忘れることはないワ。




6ディズ/7ナイツ(東京国際映画祭・公式参加作品)

/1998/アメリカ/監督:アイバン・ライトマン/製作総指揮:ジョージ・メイザック・・・他/
/主演:ハリソン・フォード、アン・ヘッシュ・・・他


頼りない男と気の強い女のサバイバル・ラヴコメ。


私のご贔屓俳優ハリソン・フォードの最新作!珍しくラヴ・コメディものというのも面白い。南の島にフィアンセとバカンスに来たロビン(アン・ヘッシュ)は仕事の都合で、急遽この島を出なくはならなくなる。そこで、頼りないパイロットのクイン(ハリソン・フォード)の操縦する小型機に乗るが、途中、嵐に襲われてしまい得体の知れない無人島に不時着し、気の合わない者同士でなんとか脱出するべくサバイバルを繰り広げるが・・・という話。

自ら小型機の免許を持ち趣味で操縦しているだけに、今回のハリソンsanの役はハマリ役(実際のシーンも自ら操縦しているとか)。しかも、最近では警官、大統領とカッコ良い役が続いたものの、今回は本当に頼りのない普通の男を演じている。かたや、気の強い編集者の役のアン・ヘッシュは逞しくそして格好良い!とにかく絶妙なコンビネーションである。なんせ、地図にも載っていない島に不時着したから位置感覚はわからないし、しかも海賊にまで遭遇してしまう始末。とにかく次ぎから次ぎへとハプニングがあるので飽きずに観られる。ラヴ・コメと言っても、やはりサバイバルが中心なのでちょっとロマンス性には欠けるけど、なんていうんでしょうか、こういうストイックな関係も面白い。(いや、片方は我慢していただけなんだけど・笑)。また、今回ハリソンsanが演じているキャラクターも今までにあまり演じていないタイプだったので面白い。すぐ怒るし、女たらしだし、いじけるし・・・それでも魅力的に感じるというのはさすがと言う感じ。個人的は「大統領」の映画よりも好きよん。

 「頼りのないインディ・ジョーンズかハン・ソロの先祖か(笑)」で星3つと半分 ★★★




知らなすぎた男

/1998/アメリカ/監督:ジョン・アミエル/脚本:ロバート・ファラー、ハワード・フランクリン/
/主演:ビル・マーレー、ピーター・ギャラガー・・・他


本当にくだらない超C級スパイ・ムービー(笑)


この作品の宣伝文句が「[ダイハード]よりも運が良く、[007]よりも女にモテ、ヒッチコックよりも先が読めない。映画史上最強のウルトラC級スパイ・ムービー」と書いてあるのだ。何をどう期待しろと言うのだろう?あまりに謎なキャッチコピーに、逆に好奇心を刺激されるというのもあるが・・・。『ゴースト・バスターズ』で知られるコメディー俳優のビル・マーレーが主演なので、まぁ、普通のスパイ映画ではないということは察しは付くが、本当にC級映画だったわ。

ちょっとした入れ違いで、本当のスパイの情報を聞いてしまい、そのままスパイに成りきって行動を進めていく男の話なんだけど、妙に下らないギャグ満載というか、結局本人が危機に迫っているという実感がない分、本当のコメディー映画になっていて、ただ笑うだけの作品でした。ビル・マーレーて随分、低級な作品に出るようになってしまったのね・・・。ちょい、悲しい。まぁ、気楽に笑える作品ですけど、その分見終わった後なにも残らないという感じです。 

 「笑えるけどビデオになっても観ないだろうな・・・」で星2つ ★★(やや甘い採点だな)



スウィート ヒア アフター

/1997/カナダ/監督・脚本:アトム・エゴヤン/
主演:イアン・ホルム、サラ・ポーリー・・・他


悲しみを乗り越えた後の穏やかな日々とは・・・?


「カメルンの笛ふき」をモチーフに作られた作品で、カナダのとある村で真冬に子供達を乗せたスクールバスが走行中に湖に沈んでしまい、たった運転手とたった一人の子供以外みんな死んでしまい、村は悲しみに包まれてしまい、そこへ事故の真相を暴こうとある弁護士がやってくる・・・という話です。
個人的にすっごく感動的でお涙モノの作品かと思っていましたが、意外に奥が深く考えさせられる作品でした。「泣く」「泣かない」というジャンルではないですね。難しいテーマというか・・・。人それぞれに悲しみがあって、その「悲しみ」は必ずしも同じものではないという事と、その人それぞれの癒し方があるということ。皮肉にも、弁護士が去った後に、その村に穏やかな日々が訪れるという感じになっている。でも、これが一番現実に近いのかもしれない。

ただ、バスの事故当時の時間と、弁護士が村にやって来た時間と、弁護士の現実の時間という3つの時間を行ったり来たりするから真剣に観ていないと、時間の波のトリックについていけなくなってしまう。それだけややこしい作品でもあるのだ。テーマも重いし、非常に難しい作品である。この作品を本当に理解できる人て、子供を失ったことのある人なんじゃないかな・・・。最初はもっと裁判劇みたいなものだと思っていたけど、そんなのではなくて、今までの出来事を淡々に物語っている作品でした。だから、本当に現実味があるというか何というか、実際にこういう事が起きたらこうなんだろうな・・・と思わせる程、どのかに重さというかひっかかる部分のある作品だった。ハッピーエンドとかそういうのじゃなくて、人の悲しみに「エンド」はないということを改めて痛感しました。

 「カメルンの笛ふきて誰だったのかな・・・。そう考えるとますます重い。」で星3つ ★★★



ジャッカル

/1997/アメリカ/監督,製作マイケル・ケイント・ジョーンズ/
主演:リチャード・ギア、ブルース・ウィルス・・・他


最凶(?)の男同士の対決だが、女の強さが目立つ。


リチャード・ギアとブルース・ウィルスの2大スターの対決アクション映画である。こういう設定だと、(1997年)春に公開されたジョン・トラボルタとニコラス・ケイジ共演のアクション『フェイス/オフ』を連想させるが、善悪の対決とかではなく、どちらかというと両方とも悪で「毒には毒を」という設定になっている。しかし、『フェイス/オフ』以上に強引な脚本というか、展開というか・・・。FBIの長官が、「ジャッカル」という異名を持つ謎の超一流暗殺者(ブルース・ウィルス)に狙われていることを知り、彼の顔を知っていて暗殺手口も推測できるIRAの暗殺者で、懲役50年の刑で投獄されているデクラン(リチャード・ギア)に、彼を追わせようと政府は考え、同じくジャッカルの顔を知っている元恋人の身柄の保護を等を条件にデクランは引き受ける。そして、姿や乗り物を変えて着々と暗殺の準備を進めるジャッカルの動向をテグラン達は徐々に追いつめていくが・・・。

かなり緊迫した展開で話は進んでいくが、アクション映画というよりは、ジャッカルを追い求めるサスペンス的要素の方が強い為、いざ2人の対決シーンになると迫力に欠ける。それとは逆に、デクランにジャッカル追跡の依頼をした一人でもあるロシア公安部員の女性である少佐の存在は圧倒的で、2人の暗殺者よりもパワフルで話を盛り上げている気がした。だから、彼女が殺されてしまい、その存在が無くなることで、今まであった作品の緊迫感までもがなくなってしまった感じがした。だって、地下鉄駅での2人の対決シーンなんて、緊迫というより「笑い」が出てきそうだった。超一流の暗殺者同士の割には、なんかチンピラ同士の追いかけっこみたいで・・・。でも、あんな派手な暗殺の仕方をして何で今までジャッカルの正体すらバレなかったのか不思議で仕方がない。そして、あそこまで派手にやる必要性てあるんだろうか?そのせいでアシが付いてしまっているというのに・・・。常に無駄な行動をとっているブルース・ウィルスが印象的だった(笑)

そうえいば、この映画は関西と関東だと意見が分かれるらしい。関東がリチャード・ギア派で、関西がブルース・ウィルス派なんだそうだ。だからどうした?という感じだけど(笑)

 「A級役者同士の共演でも、あの強引過ぎる展開には興ざめ」で星2つ ★★



スリング・ブレイド 

1996年/アメリカ/監督・脚本ビリーボブ・ソートン
主演ビリーー・ボブ・ソートン、ドワイト・ヨーカム・・・他

  

壊れかけた家庭を元に戻してあげる為に悲しい決意をした。


主人公カールにやや知的障害がありながらも壊れた機械を器用に直す能力があるあたりは『レインマン』を彷彿させるものがある。しかし、『レインマン』と大きく違う点は彼は殺人を犯して施設に入れられたという点である。

カール(ビリー・ボブ・ソートン)はスリング・ブレイド(=刃がバナナの様に長く反っている鉈)で母親とその愛人を殺し、知的障害の為に施設に入院させられたのである。そして25年後に退院して、彼の過去を知らない町で父親を亡くし母親と2人暮らしをする少年と出会い、少年と交流を深めて行く中でその町の仲間とも溶け込んでいけるようになり、そのどかな雰囲気を感じるあたりは『レインマン』を彷彿させても無理もないと思うようになる。しかし、少年の母親に粗暴な愛人が存在することで、この話に和やかな展開は期待できないとわかる。母親や少年に自分の感情次第で暴力を振るう愛人の姿をカールはどのように見ていたのだろう・・・。ついには愛人から「母親や少年の面倒は俺が見るから出て行け!」と言われ少年達とは一緒に居られなくなる。しかし、カールが居なくなっても愛人の暴力が続くのは一目瞭然だった。誰も2人をあの愛人から守ってあげられる人はいない、と感じたたカールは再び25年前の惨劇を繰り返す決意をする。もちろん殺人は罪深いことだとカールもわかっている。それだけに哀しい決断なのだ。作品の後半部分からカールがいづれは母親の愛人を殺して しまうかもしれないと思うようになるが、その殺人を犯すまでの心理状況を丁寧に描いているせいで決断の時の瞬間とは妙なくらいにあっけない。そして自ら警察に通報し、彼等が来るまでリビングで何事もなかったかのようにくつろぐ彼の姿にはただ涙。でも、これが少年とカールとの深い友情の証であるのかもしれない。その証拠に殺人を犯し再び施設に入ったカールが窓辺で少年のことを想っている姿は非常に穏やかだった。その姿が何よりも印象的だった。あまりにも歪んだ友情かもしれないけど、主人公のカールは過去の2つの殺人を聖なる行いであると頑なに信じてるからこそできたのである。だから彼のそのあまりにも純粋で優しい狂気的な姿に涙してしまうのであろう。

 「後でジワジワと感動が沸き上がる逸品」で星4つ ★★★★ 



セブン・イヤーズ・イン・チベット 

1997/アメリカ/監督ジャン=ジャック・アノー
 /主演ブラット・ピット、デビット・シューリス・・・他

 

男の7年間の経験の中で埋もれた歴史を知ることができる感動作。


実在した登山家ハイリヒ・ハラーの自伝的小説の映画化で、チベットやダライ・ラマのことを取り上げており、話の展開上中国政府のチベット弾圧シーンが描かれている為、中国側がお冠になっているという作品でもあります。それはさておき、とにかく主演のブラット・ピットが初々しいというかとにかく新鮮な魅力満載です!登山家だから危険なクライミング・シーンもあるけど、どういうわけか相棒役(?)のデビットとのチベットへ逃避行までの珍道中は笑いが多い。しかも、その笑いのツボはチベットに辿り着いても続く・・・。そして素人とは思えないくらいダライ・ラマ役の少年は神々しかった!ブラピよりも彼の演技を誉める評論家も多いしね。唯我独尊的な主人公が戦争による波乱な逃避行の果てに辿り着いたチベットで、7年の歳月をかけて自分というものをちゃんと考えるようになっていく過程が良かった。

確かに、宗教的要素や政治的要素も多大に絡んできて問題も多いが、先に述べたように微笑ましいシーンも多く飽きさせることはなく、何より考えさせられる作品です。自由とは何か、愛とは何か、信じることとは何か・・・様々な疑問を抱え、そして答えを出していく(出してもらう?)主人公の姿に自分とは何かと考えさせられるし。今まであまり知らなかったチベットの歴史を知り自分の知識不足を痛感しました。観終わった後も長く感動の余韻に浸れる数少ない作品です。音楽も最高に作品とマッチしていて、ヨーヨー・マのチェロが作品の哀愁感をより引き立たせていた。

 「何度観て飽きない魅力がある!」で星4つ ★★★★

劇場裏話・・・この作品も東京国際映画祭で観ました。ブラピはこの時は来日しませんでしたが、(後日来てフィーバー!)同じく出演していた日系役者のマコさんが舞台挨拶に来まして、そのユニークな人柄にすっかり魅了されました。



スクリーム 

1996/アメリカ/監督ウェス・クレイヴン
                /主演ディビット・アークェット、N.キャンベル、S.ウールリッチ・・・他


クライマックスまでの恐怖感は超逸品!しかしラストは納得いかん。


始まりからかなり怖いスクールホラーもの。とにかく、いきなり電話が掛かってきてホラー映画にまつわる質問に答えられないと容赦なく殺ろしてしまうという展開は何が起きるか予想が付かないだけに怖い!この映画はキャンパス内での猟奇殺人もある為に6月に公開予定だったが、例の神戸の事件で公開は延期されていたといういわく付き。しかし、校長が猟奇殺人者に殺され「その遺体を見に行こう!」とはしゃいで家を飛び出す生徒の姿はかなり残酷だった。これが現実なのかと思うと本当に怖い!しかし怖さもここまで。犯人が判ってしまうと「エッ?」と思わせる展開に・・・。猟奇殺人犯の行為は「理由がないから怖いんだ!」という妙に説得力のあるセリフが中盤にあったのに、実は犯人にはサスペンス・ドラマ並の理由がしっかりあって、それを機に作品は一気に平凡なラストシーンへ・・・。中盤までがマジに怖かっただけに、あのラストは許せん!納得いかんゾ!

 「人をこんだけビビらせておいてーっ!」で星1こと半分 



スピード2 

1997/アメリカ/監督・製作ヤン・デ・ボン
主演サンドラ・ブロック、ジェイソン・パトリック・・・他


豪華客船はバスより速いのか?最低の続編作。


サンドラ・ブロックが「前作を越える脚本でなければ続編を作る意味がないと思ったの。でも脚本を読んで飛び上がったワ。これなら前作以上の作品になるもの!」と言っていたらしいけど、本心で言ったのだろうか?もし本心だったなら脚本選びのセンスを疑うゾ。どう考えたって前作より面白くもなんともない!第一、豪華客船のスピードなんてそんなに速いのか?大き過ぎてどんなもんかサッパリ検討がつかない。それに、前作は「エレベータ」、「バス」、「地下鉄」と身近な乗り物でこれでもかっ!ていうくらい恐怖の連続だったのに、今回は船上でのやりとりがほとんど。しかも主要キャストがバラバラに行動していて緊迫感というものがなかった。こんな脚本であの大ヒットした前作を越えるなんて思う人がいるなんて信じられない!極めつけが主役キアヌ・リーブスの不在。前作は彼が主演していたからという理由も大ヒットの要因の一つなのに、彼が主演を降板したからって強引に演技派のジェイソン・パトリックをその役に当てはめるなんてミスマッチもいいところ!あと、個人的にラストの原油船の爆発シーンは原油流失事故を連想させて嫌だったな・・・。海を汚して一件落着というの はおかしいんでないかい?

 「何で観てしまったんだろう・・・」で星半分 



17(セブンティーン) 

1997/アメリカ/監督ガイ・ファーランド/脚本ジョー・エスターハス
主演ブラット・レンフロ、ケビン・ベーコン・・・他


子供が大人のズルさを学んでいく作品。


レンフロくんが揺れ動く思春期青年を繊細な雰囲気で演じていますが、あの『スリーパーズ』で怪演していたケビン・ベーコン演じるキザな詐欺師DJが最高にカッコ良かったです。確かに汚い手口で金儲けをし、その場限りの名声を手に入れている嫌な大人だけれども、多感な青年にはさぞかし魅力的に見えたことだろうと納得してしまう程の存在でした。ストーリー的には思春期に訪れる「進学問題」や「初恋」の他に、アイルランドからの移民であることのコンプレックスも加わり、かなり内容が濃い作品であるが、ほとんどの見せ場をケビン・ベーコンがさらっていってしまったのでは?と思いたくなる程、彼のカッコ良さが際だっていた。

 「ビデオを待っても良かったかな・・・」で星2つと半分 ★★



スターウォーズ3部作 特別篇 

1997/アメリカ/監督ジョージルーカス
主演マーク・ハミルトン、ハリソン・フォード・・・他


シリーズ中の最高傑作「帝国の逆襲」


ハッキリ言ってハリソンさんを目当てに観に行っただけに(笑)このシリーズは最高でしたね!なんてカッコ良いんだハン・ソロ!もうこれに尽きます。有名なレイア姫との別れのシーンでの愛の告白は女性なら一度はそう言われてみたい!シリーズ中、一番後味の悪い作品になるのかもしれないけど、あのラストは当時としてはかなり斬新な終わり方だったのではないでしょうか。しかし、未公開シーンも取り入れて最新のCGでグーンと迫力度を増した!という売りでしたが、既に20年前に完璧!と言われたSF大作だっただけに別に入れてもなくても同じという気もしないでもなかった。それに、変に未公開シーンを入れていたせいでセリフがおかしくなってしまっている部分もあったし・・・、とにかくCGでどうこうしたとい言うより、あの過去の名作をスクリーンで観られるという方が魅力的だっただけなのかもしれない。

 「ああ・・・ハン・ソロ様(*^^*)」で星4つ ★★★★

お約束という感じのラストの「ジェダイの復讐」


ついつい勢いで観てしまいましたが、まぁ3篇通じてわかりやすいSF作品であるけど、この「ジェダイ〜」が一番CG効果のなかった作品でしたね。ほとんど無意味な効果ばかりで、ストーリーをわかりにくくしているだけという感じでした。あのラストの新しいシーンも必要だったのかな?と思わせる程、今までのストーリーとは合っていない印象を受けました。元が良かっただけに救われた作品ですね。でも、そう考えると『スターウォーズ』ていかに凄い作品だったのかを痛感させられますね。まさにバケモノ作品かも。

 「勢いで観てしまったからなぁ・・・」で星2つと半分 ★★



スリーパーズ 

1996/アメリカ/製作指揮ピーター・ギリアーノ
                 /主演ケヴィン・ベーコン、ロバート・デ・ニーロ・・・他
友情は最強の復讐をも作り出す。


この作品が現実に起きた事であるかどうかは関係ない。「友情は血よりも濃い」という言葉通りの熱く深い友情が描かれている。この友情が果たして正しいのかは敢えて言及しないが、その友情が復讐を生み真実を暴け出させたのは事実である。とにかくとんでもなく豪華キャストの作品もある。嫌な変質的な上官役にケヴィン・ベーコンが扮し、悪ガキ達の良き相談相手でもある神父役にロバート・デ・ニーロ、落ちぶれたアル中弁護士にダスティン・ホフマン、4人の仲間の中で唯一客観的に物事を語る青年(主人公)にジェイソン・パトリック、4人の仲間の中でリーダー的存在でこの復讐劇を考えた張本人でもある検事役にブラット・ピット、また彼の少年時代をブラット・レンフロが演じるなど凄いキャストである。これだけのキャストを同じスクリーンで観られてしまうなんてとんでもないことなんだろう。そして、その豪華キャストの演技合戦が何よりの見物である。特にクライマックスの裁判シーンでもデ・ニーロとブラピのやり合いの緊迫感は凄かった!今までブラピの出演作品はいろいろ観てきたが、この時の演技が最高!と言い切られるくらいの迫真の演技だった。このシーンを観るだけ でもこの映画を観る価値はあると思う。
 
 「役者達の迫真の演技に圧巻!」の星4つ ★★★★
 

劇場裏話・・・混んでいて前の方で観ていたが、エアコンの真下にいたようで4月下旬だというのにガンガンに効かさた冷房のせいで、見終わった直後の私を含めた周りの人々は「さ、寒い」が第一声だった。