あ行 *アメリカン・ビューティー (2000.June)
*ウルトラマンティガ (2000.March)
*海の上のピアニスト (2000.February)
*エンド・オブ・デイズ (2000.Jabuary)
*エリザベス (1999.September)
*エントラップメント (1999.July)
*エネミー・オブ・アメリカ (1999.May)
*ウェディング・シンガー (1999.February)
*アルマゲドン (1999.January)
*踊る大捜査線-THE MOVIE- (1999.January)
*アンツ (1998.December)
*イン&アウト (1998.November)
*アウト・オブ・サイト (1998.November)
*L.A.コンフィデンシャル (1998.July)
*アパッショナート (1998.Jun)
*エイリアン4 (1998.May)
*アミスタッド (1998.March)
*エアーフォース・ワン (1997.November)
*インディペンデンス・デイ (1997.January)




アメリカン・ビューティー

/1999/アメリカ/監督:サム・メンデス/製作:ブルース・コーエン、ダン・ジンクス/脚本:アラン・ポール
/主演:ケビン・スペイシー、アネット・ベニング・・・他


平凡な家庭が崩壊していく姿を美しくコミカルに表現。


 1999年度のアカデミー賞をほぼ総なめにした『アメリカン・ビューティー』。その話は、意外に地味というか、アメリカのどこにでもある平凡な家庭が、些細なことの積み重ねで、どんどん崩壊していく様をごくごく普通に表現して作品である。だから、アメリカ人の中には「こんな日常茶飯事のことを映画にして何が面白い」と言った人もいるほどだ。でも、その「普通らしさ」が、今までのアメリカ映画になかったのだ。

 サエない男レスター(ケビン・スペイシー)は、リストラ目前で、キャリアウーマンの妻(アネット・ベニング)や娘からも軽蔑されている存在で、家庭では肩身の狭い思いをしていた。ところが、娘の同級生に一目惚れしてしまい、それから人生が変わった!なんとか、彼女の気を惹こうと中年体型からマッチョな体型になろうと猛烈にトレーニングを始める。やり始めると止まらないレスターは、勢いで会社をも辞めてしまった。そんなレスターの暴走を他所に、妻も仕事相手と不倫を楽しむようになり、一家は崩壊の一途を辿っていくばかりで・・・。

 という、もうしょうもない話なのだ。娘も、隣に引っ越してきたストーカーまがいの男と恋に落ちてしまうし、反対側のお隣はゲイのカップルだし、「もう、まともな奴はいないのかぁ!?」という感じなのだ。ただ、この話の面白いことは、冒頭でレスターが死んでしまっていることを明かしているのだ。どうしてレスターが死んでしまったのか・・・。その成り行きを彼のナレーションと共に振り返って行く、という感じで、どうして彼が死んでしまったのか、誰に殺されてしまったのか、何で殺されてしまったのか・・・が、最後の謎解きになっている。ちなみに、私と一緒に観に行った友達とでは、犯人が殺した理由が違ったのだ。つまり、どうにでも解釈できる感じになっていて、平凡な話のようでいて、複雑な人間関係を上手く組み込んでいる気がした。

 ただ、いかんせん平凡過ぎるのだっ!レスターが娘の友達に一目惚れしてしまって、色々と妄想してしまうシーンとか笑えるんだけど、なんともない話の流れとか、ちょっと飽きてしまう部分もあったことは事実。あと、国民性の違いかもしれないけど、あまり理解できない部分とかもあったし、アメリカだから受ける作品なのかなぁ〜と。日本で言うと「渡る世間は鬼ばかり」という感じかな?でも、あそこまで波乱万丈という感じじゃないのだ。飽くまで普通。だから、「好き!」という人と、「全然ダメ」ていう人と意見が真っ二つに分かれそうな感じがする。

 私個人としては、話としては平凡過ぎて飽きてしまう部分もあったけど、やっぱケビン・スペイシーの演技が良かったのだ。さすがアカデミー賞主演男優賞を獲っただけあると思うほど、平凡で冴えない男を魅力的に演じているのだ。自分の父親だったら絶対に軽蔑しているタイプなんだけど(笑)、こう観客として観ている限りでは非常にチャーミングに見えてしまうから不思議だ。ちょいとネタバレになってしまうけど、ラストの方で、その一目惚れした彼女に娘の近況を聞くシーンが一番印象的に残っているし、好きなシーンでもある。あのケビン・スペイシーの表情が観られただけで、この作品OK!という気になってしまう。
 でも、こういうのが本当にアメリカの一般家庭に多いんだとしたら、アメリカは相当病んでいるぞ・・・。

 「ヤバイ奴ほどまともとに見える不思議な作品」で星3つ。 




ウルトラマンティガ THE FINAL ODYSSEY

/2000/ 日本/監督:村石宏/脚本:円谷一夫
/主演:長野博、吉本多香美、芳本美代子、川地民夫・・・他


意外にバカにできない日本の特撮映画。


 自分でもまさか映画館まで行って観るとは思わなかった(笑)。友達に付き合って観に行ったのさ、誰目当てかは、出演者をみて察してちょーだいね。そんな訳で、ハッキリ言って期待なんてしていなかったのだ。むしろ、お子様が騒ぐであろうことを覚悟していたぐらいでさ。

 ウルトラマンティガの最後の戦いから2年経ち、ダイゴ(長野博)はレイナ(吉本多香美)と結婚を控えていたが、超古代遺跡から邪悪な3巨人が復活し、彼の目の前に現れる。そして、ウルトラマンティガはかつて、その3巨人と共に闇の力を武器に邪悪な戦いを行っていたという事実を知る。普通の人間に戻っていたダイゴは、再びウルトラマンティガになることを悩むのだが・・・。

 という話でして、「ウルトラマンティガ」シリーズの最終章ということになります。私が幼少の頃に観た「ウルトラマン」と違って、非常に人間同士の恋愛というか、ロマンス要素もたっぷりあって、普通の作品としてみてもおかしくないかも。ただ、これはお子様理解できるのか?という部分もあったけどね。主人公のダイゴが3巨人によって、過去や未来の幻想を見せられたりするシーンとか、かなりシーンが前後するので、子供が見るにはキツイかも、という感じもしないでもない。
 でもって、シリーズ最終ということで、「ウルトラマンダイナ」とかの登場人物も出てきたりして、ウルトラマンファンには嬉しいらしい。私はウルトラマンというとスペシウム光線ぐらいしか知らなかったけど、今のはいろんな技持ってんのね。戦闘シーンで気がついたんだけどさ、お子様て戦闘シーンは真剣に観るから静かなんだよね。むしろ、人間が出ているシーンは話についていけないので騒ぐんだよね〜。意外な発見だった。しかし、いきなり画面に「極秘」て文字が出て、隣に座っていたお子様がお父さんに「アレ、なんて書いてあるの?」て聞いて、お父さんが「ゴクヒ。超ひみつてことだよ。」と教えていたのにはウケてしまった。どーでもいいけど、お父さん、歌が流れた時に一緒になって歌うのやめろ。子供は大人しく聞いていたじゃないかっ!

 さてさて話を戻して(笑)、話そのものは、まぁ展開にしても単純で読めるんだけど、人間の心理描写を丁寧に表現しているせいか、ちっとも手抜きの作品ではなかったね。盛り上がるところは、上手く盛り上げているしさ。変にハリウッド映画に似せようとしている邦画より良いかもしれない。

 関係ないが、テロップ見て気がついたんだけど、ウルトラマンとかの中に入っている人ているじゃん。あれ、人によっては一人で3役もやっている方いるのね。やっぱ、その道のプロなんだろうか。アクションとか完璧じゃないといけないもんなぁ。

 「今度は親戚のお子様でも道連れにするか?」で星2つと半分。 




海の上のピアニスト

/1999/ アメリカ&イタリア/監督・脚本:ジュゼッペ・トルナトーレ/製作:F・トルナトーレ
/主演:ティム・ロス、・・・他


ピアノの音色に涙する極上のファンタジー。


 1900年、米国へ航海を続ける豪華客船のピアノの上に一人の赤ん坊が捨てられていた。その赤ん坊を拾ったボイラーマンは、彼を「1900(ナインティーン・ハンドレッド)」と名付け、船のボイラー室で働きながら育てていた。しかし、1900が5歳になった頃、その父親代わりのボイラーマンは事故死してしまう。落ち込んだ日々を過ごしていた1900だったが、ある夜、客船内のピアノの音色にひどく惹かれ、見よう見真似でピアノを演奏してみるのだった。しかし、その演奏ぶりは生まれて初めて弾いたとは思えない素晴らしさで話題になり、いつしか彼は船上の楽団のピアニストになっていた。即興で美しく楽しい、ある時は哀しい旋律を奏でる1900の演奏ぶりは評判となり、とにかく船の上では人気者であった。しかし、31歳を迎える頃に、ある一人の女性客に一目惚れをしてしまう。彼女に思いを告げることなく別れてしまったが、彼女にもう一度会いたい気持ちが強まり、遂に船を降りる決意をするが・・・。
 という話。物語の進行は、1900を同じ楽団仲間だったトランペット奏者の語りで進行していくのだが、始まりの時点で、1900と過ごした栄光の時代は既に過去のこととわかる。そして、1900が生まれ育った船が廃船となり、明日に爆破処理されるということが判明するのだ。トランペット奏者が1900と別れた後も、1900は船を降りることはなく、ずーっと船の上で暮らしていた。だから、きっと、その船が廃船になり爆破処理される段階にあっても、1900はその船のどこかに潜んでいるかもしれないっ!と心配になり、その船の元へ行くのだ。

 このように、物語は過去と現在を行ったり来たりする。けど、話がゴチャゴチャになることはなく、1900が船上で残した様々なエピソードが実に楽しく語られているのだ。まぁ、醒めた言い方をすれば「こんなことあるもんか」なんだけど、それでも魅せてしまうのは、やはり音楽の美しさと、1900のユニークなキャラクターにあると思う。だから飽きずに見切ってしまった。

 最後をハッピーエンドととるか、アンハッピーととるかは観た人次第なんだけど、個人的には1900の最後の決断には共感できない。というか、ああいう人生に未来を見い出そうとしないタイプは共感できない。だけど、「ピアノの鍵盤は88。そこから無限の音を作ることは出来る。でも現実のあの無限の鍵盤の数から何をどうすればいいのか?」という言い分には納得はできる。だから、最後の1900のセリフが切ないのかもしれない。
 船の上で生まれ育ったから、彼には国籍も本当の親もない。ハッキリ言って、事実上は存在していない人物なのだ。船の上だからこそ、存在していることができた。そういうニュアンスのセリフが、物語のあちこちに出てくるのだけど、なんか切ないんだよね。「どのシーンに感動した」とかいうシーンはないんだけど、とにかく1900のキャラクターがユニークな分、なんか切ない雰囲気が物語全体になって、ラストではたまらない気持ちになるのだ。

 しかし、主演のティム・ロスのピアノの演奏ぶりはすごい!「今でも悪夢を見るほど練習した」と言うだけあって、弾く姿に全然違和感がない。それに、細長くて綺麗な指だから、ホントにピアニスト向けの手をしているんだよね。羨ましいぐらいだ。いろんなオリジナル曲が登場したけど、やっぱり初恋の相手に捧げた曲が一番素敵だったかな。もうね、観るとサントラ欲しくなってしまうくらい、音で魅せてくれる作品だよ。

 結末のわかっている作品だったのにさ、最後のスタッフロールが出できてから涙ボロボロ状態になってしまって。何でなんだろうね?シリアスに仕上げているわけでもなく、かといってコミカルという程でもない。これが、ファンタジーの良さなのかな?話としては、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト」以上に、「これはないだろう!」てツッコミ甲斐があるんだろうけどさ、「それでもいいじゃん」てノリがあるんだよね〜。こういう作品は好きだな、映画作品って感じだよねっ。

 「『ニューシネマ・パラダイス』の船上版ぽいけど好きさ!」で星4つと半分 ★★




エンド・オブ・デイズ

/1999/ アメリカ/監督:ピーター・ハイアム/製作:フA・バーンスタイン
/主演:アーノルド・シュワルツネッガー、ガブリエル・バーン・・・他


サタンが相手でも何故が銃撃戦が目白押し・・・


 1999年世紀末作品てもっと出るかと思ったけど、結局シュワちゃんのこの作品だけだったのかな?
 1999年から2000年に変わる時、魔界のサタンが復活し次ぎのミレニアムも支配しようとしていた。そして、世紀末に向かってそのサタンによる異常現象が次々と起きる。NYの元刑事ジェリコ(シュワちゃん)は、自分が追っていた狙撃犯と異常現象が何か共通している事を察知し、一人の女性と出会う。そして、その女性はサタンの伴侶となるべく狙われた存在であると知り、遂にサタンを相手に攻防戦になっていくが・・・。

 という話です。話は至って単純明快。ハッキリ言ってラストも読めるぞ〜ってなもんですが、何で観たかというと、サタン役がガブリエリ・バーンだったんですね〜。もう彼目当てに観ましたよ。紳士的でいながら、平然と残忍なことをやってのけてしまう姿は魅力的なサタンでした。シュワちゃんはいつもの通りでしたね。というか、サタン相手でも凄い重装備するもんね。で、サタンに操られた人達とか、平気で撃ち殺してしまうしさ、一体どっちが悪だ?て気がしないでもないけど・・・。まぁ、アクションだって言ってしまえばそうなんだけどさ、キーワードは“信仰心”なのよ。それと、正反対の生活をしていたシュワちゃんが世紀の救世主として最後は活躍するっていうのは・・・ちょっと、ね。

 あと、この作品は、どーでもいい所で観客を驚かせるのが好き。ドアをバッと開けた瞬間に黒ネコがバッと飛び出してきたり、死体がいきなりムクッと起き上がったり。「次はいつくるか」なんて構えながら観ていたせいか、見終わった後にドッと疲労感が出てきました。作品の術中にハマッてしまったんだろうか?でも、これといって印象に残るシーンなんてないんですけど・・・。

 「2000年が無事迎えられたらシュワちゃんのお陰よ〜」みたいに思わなくちゃいけないんだろうけどさ、ハッキリ言って、あの主人公だから、あそこまで泥沼化したような気がするんだけど。無意味な銃撃戦とかさぁ。クリスチャンではないので、ああいう信仰心とか理解できないんですけど、数分前まで銃撃戦をやっているような人間が、いきなり信仰心に目覚めてなんとかなるもんなんでしょうか?あの展開は、かなり無理あり過ぎだぞ、いいんだろうか?アクションだから・・・。

 「信仰心と言っている割には銃撃戦に殺人多し・・・いいのか?」で星1つと半分 





エリザベス

/1998/ イギリス/監督:シェカール・カプール/脚本:マイケル・マクリース/製作:アリソン・オーウェン
/主演:ケイト・ブランシェット、ジェフリー・ラッシュ・・・他


ダンス好きの娘が自ら歴史の波に呑まれて行った悲劇。


 ヴァージン・クィーンとして名高いエリザベス1世の半生を、ドラマチックに表現した歴史物語・・・というか一人の娘の恋愛悲劇。今年度のアカデミー賞など、各部門でノミネートや受賞をしており話題作でもあった。

 エリザベス(ケイト・ブランシェット)は16世紀の、新教と旧教の対立が激戦化となっていた歴史の中に生まれ、25歳で新女王として英国に君臨し、新教に統制しはじめた為に旧教派やローマ法王から糾弾され、遂には命をも狙われはじめるが・・・。という英国の歴史をご存知の方なら周知の歴史を描いている。

 宗教対立などの処刑や刑罰のシーンなど残酷なシーンも多く、イギリスが最も戦火が激しかった時期だけに暗く論争的なシーンばかりが目に付く。しかし、飽くまでエリザベスはダンス好きの普通の娘だということが最初に表現されているので、逆に女王を引き継いだことで、普通の恋愛を許されず、セックスですら外から干渉されるような環境になってしまうことや、所詮妾の子という差別が彼女を窮地に追いやって行くというシーンなどは、普通の生活を奪われた娘の悲劇が強調されているようで、苦悩する彼女の姿や女王としてある決意をする姿などは逆に切なく感じてしまう。そして、次第に自分の命が狙われている危機感を強めていき、唯一愛した男をも自分の糾弾に荷担していた事実を知り打ちのめされるだけに、最終的に彼女が伴侶として迎え入れたのは特定の男性ではなくイギリスだった・・・という顛末は一人の女性としてあまりに哀しい。結果は誰でも知っていることだけど、エリザベスの普通の娘としての恋愛感情を考えると、最後の決断はあまりに勇敢で残酷なのだ。どんな仕打ちにも耐えて抵抗していく姿が「カッコイイ」と思ってしまうが、自分の宿命を受け入れなくてはいけない・・・という部分での決断する強さは「カッコイイ」という言葉では言い表せない。
 個人的には「重い映画だ」と思いながら観ていたが、最後の断髪のシーンではさすがグッとこみ上げてくるものがあった。きっと、そこのシーンだけを観たならば「可哀想に」という感情しかなかっただろうが、女王を引き継ぐ前までは愛する男と無邪気にダンスを踊って来た日々の平凡さがあっただけに、宮廷内からの糾弾や暗殺、信じていた男の裏切りなど、波瀾万丈な女王としての人生があまりに哀しく感じてしまうのだ。もしかしたら、エリザベスの気持ちに同情したというよりも、彼女を見守り続けていた侍女の気持ちに泣いたのかもしれない・・・。

 主演のケイト・ブランシェットはアカデミー賞主演女優賞最有力候補と言われていたけど、『恋に落ちたシェイクスピア』のグウィネス・パルトロウに受賞されてしまった。両作品を観た今なら、私もケイトを推したなぁ〜!グウィネスは作品(脚本)に恵まれていただけであって、演技力や存在感は圧倒的にケイトの方があった!グウィネスは受賞後もちろん祝福されたが、父親がプロデューサーで母親が女優でハリウッドの出身だから受賞できた・・・なんてバッシングも多かったけど、それはケイト・ブランシェットの演技に感動した者の嫉妬かもしれないね。
 『恋に落ちたシェイクスピア』と言えば、ジョセフ・ファインズやジェフリー・ラッシュも出ていて、2人は『エリザベス』にも出ている。ジェフリー・ラッシュは『恋に落ちた〜』では、借金取りに追われる冴えない劇団オーナー役をしていたけど、『エリザベス』ではエリザベスの護衛官的な役柄で圧倒的な存在を見せていた。とても同一人物とは思えない所が、彼のスゴイ所だよね。しかし、ジョセフ・ファインズ!君は『恋に落ちた〜』で演じたシェイクスピアのキャラクターとどこが違うのっ!?て言いたい程同じ演技だった。優柔不断な所や、実はxxxだったという設定も同じだったなぁ。

 たぶん、『エリザベス』という作品は、男性よりも女性が共感し感動する作品だろうね。それは、強い女性だからということではなくて、同じ恋する女性として共感し感動する・・・という感じなのだ。

 「サントラもメチャ好みなんだよねっ!CD買ってしまった!」で星3つと半分 ★★





エントラップメント

/1999/アメリカ/監督:ジョン・アミエル/製作・脚本:ロン・バーンズ/製作ショーン・コネリー
/主演:ショーン・コネリー、キャサリン・セダ=ジョーンズ・・・他


男と女騙し合いがの愛の駆け引きへと交錯する。


 スゴ腕の怪盗マック(ショーン・コネリー)は、女保険員のジン(キャサリン・セダ=ジョーンズ)に「一緒にコンビを組んで欲しい」と接近される。もちろん、罠だと感づいたマックは軽い罠を仕掛けるが、ジンは「私も怪盗だ」と告白した。そして、保険員になりすましているのは、各国の宝の暗証番号を盗む為だとも・・・。渋々信用したマックは、彼女と共に見事に秘宝を盗んでみせるが、彼女が仲間の保険員と連絡を取っていることを知り脅迫する。しかし、彼女は「彼に疑われないようにする為だ」と言い切り、裏切りを認めようとしなかった。それどころか、コンピューターの2000年問題に便乗して、「その一瞬に大金を盗める!」と彼を再びパートナーに誘う。彼女の誘いを断るに断ることができなかったマックは、1999年の大晦日に世紀の大強盗を決行するが・・・・・。

 というサスペンスアクションである。この話の冒頭に、黒いヘルメットと装備した人物が、見事な手際で高層ビル内に展示されている絵画を盗むのだけど、この強盗が一体誰か?というのが物語の鍵になっている。マックもジンも凄腕の持ち主で、互いが疑い合い、信頼し合ってもいて、この微妙な二人の駆け引きが実に面白い!まぁ、30歳前後離れた年齢差恋愛は、ハリウッドにはありがちだなぁ〜と、やや醒めてしまいがちだけど・・・。さすがにアクションは、ショーン・コネリーよりもキャサリン・セダ=ジョーンズの方が頑張っている。彼女が秘宝を奪う為に魅せる動きは、セクシーでもあるしカッコ良いっ!その代わり彼はホント、ダンディに徹している!

 最終的に保険員の連中に窮地に追い込まれていく2人なんだけど、最後の最後でドン転返しがあるのだ!とにかく、タイトル通り「罠にかける」ことが目的なんだよね。ただ、話はかなり面白いんだけど、やっぱ、あの年齢差は無理があるような気がするし、それに話に厚みがないというか、どうもあっけない印象なんだよね。面白かったんだけど、コレと言って印象が残るというわけでもない。あれだけ騙し合っていた割には、最後がありがち過ぎたのかな?ちょっと中途半端だったかな・・・。でもでも、ショーン・コネリーのファンには堪らない作品だと思うな。

 「キャサリン・セダ=ジョーンズがめちゃ綺麗!」で星2つと半分 ★★




エネミー・オブ・アメリカ

/1998/アメリカ/監督:トニー・スコット/製作:ジェリー・ブラッカイマー/
/主演:ウィル・スミス、シー・ハックマン、ジョン・ボイド・・・他


ハイテク社会の世の中の盲点を突いたサスペンス。

偶然再会した旧友から議員暗殺現場の証拠を知らぬ間に受け取っていた弁護士のディーン(ウィル・スミス)は、その日から犯人である政府機関のレイノルズ(ジョン・ボイド)からハイテク機器を駆使して、彼の私生活を盗聴や情報操作などでメチャクチャにしてしまい、彼の存在を抹殺しようと試みる。自分の身の危険を感じたディーンは、ある男に助けを求め、この窮地を逃れようとするが・・・という話。

これに似たような話で、昔サンドラ・ブロック主演の『ザ・インターネット』という映画があったけど、まぁ、だいたいはそこに似ている。完全はコンピューター社会で、しかも政府が盗聴や防犯カメラ等で民間を管理するのが法的に認められつつある世の中・・・という設定だけに、一人の人間の一部始終を追うことなんて政府機関のお役人にはお茶の子さいさいなのだ。主人公の全てのデーターを操作してカードは使えなくなるわ、愛人との密会現場を暴露されてスキャンダル沙汰にして仕事ができないようにするは、現実にもできそうなだけに怖いのだ。しかし、面白いのは「自分が狙われている」と認識した後の主人公の行動。とにかく逆襲してやろうという気になるのだ。その逆襲方法が、敵と同じ方法なのだ。相手の家を盗聴したりカード操作したり、「目には目を」じゃないけど、ハイテクを駆使してくる奴には、同じハイテクを駆使してやっつけるというのがハイテク社会の盲点を突いている気がする。しかし、終始、緊迫した雰囲気というか、常に主人公の行動が敵に知れているという状態で展開するので、なんかすっごい疲れるんだわ。こういう世界が、現実になる可能性が高いと思うと嫌になるわ。ハイテクを駆使して便利になる分、個人のプライバシーが流出しやすいということを肝に銘じなくてはダメだね。

ちょい役なんだけど、ディカプリオ主演の『仮面の男』でのダルタニアン役が印象的だったガブリエル・バーンも登場するのだ。なんかイッちゃっている役なんだけど、意外に面白いシーンなのだ。

 「相変わらずジョン・ボイドは悪役がハマる方だね」で星2つと半分 ★★




ウェディング・シンガー

/1998/アメリカ/監督:忘れた
/主演:アダム・サンドラー、ドリュー・バリモア・・・他


超メルヘンチックなウェデイングストーリー。


『E.T.』の子役で一躍注目を集めたドリュー・バリモアも気が付けばキュートなレディになっていた!とにかくドリュー扮する結婚式場で働く新人ウェイトレスのジュリアの存在がキュートそのものなのだ。嫌味がないキュートな大人の女性という感じ。で、主人公でもある、ウェディング・シンガーのロビー(アダム・サンドラー)は、自分の結婚式当日に花嫁にドタキャンされ落ち込む。しかし、仕事仲間のジュリアが結婚を控え、何かとロビーに相談したり頼りにしてくる。人の良いロビーは彼女の相談相手になっているうちに次第に彼女に惹かれてしまい、そして彼女の結婚相手が彼女の目の盗んで浮気放題の最低男を知るのだった。しかし、結婚(幸せ)を夢見る彼女には真実を告げられず・・・という話。

ま、簡単なラヴコメです。この映画は地元アメリカでは「好きな人と観ると幸せになれる」という噂が出て大ヒットしたとか。現実的に考えると、「そんな簡単に結婚はしないわ」なんて小言を言いたくなるけど、あくまで「メルヘンだ!」と思いこめばかなり楽しめる作品。しかも舞台は1980年代なので、その時代の音楽がふんだんに流れるのだ!またロビーのバンド仲間にはカルチャークラブのボーイ・ジョージを意識しまくった濃〜いキャラクターも登場する(笑)。個人的にはボーイ・ジョージよりもエアロスミスのスティーヴン・タイラーに似ていると思うが・・・。また、『ファーゴ』や『アルマゲドン』で知られるスティーブン・ジェイミーも、これまた味のあるキャラクターで登場していて見逃せない。ストーリーそのものはいたって単純なんだけど、そのメルヘンチックな雰囲気にどっぷり浸かれば、それなりに楽しめる作品であることはかわりない。ドキドキ、ハラハラのサスペンスやアクション映画に飽きてしまった人はいかが?こういう何も考えずにほんわかした気持ちで観られる作品もたまには良くてよ。

 「ドリューの笑顔が可愛かった!」・・・で星3つ ★★★




アルマゲドン

/1998/アメリカ/監督:マイケル・ベイ/製作:ジェリー・ブラッカイマー/
/主演:ブルース・ウィルス、ベン・アフレック・・・他


いろんな要素詰め込みまくりで頭が消化不良。


話は『ディープインパクト』と類似している。巨大な隕石が地球に接近していることが確認され、その隕石が地球に衝突するまであと18日と判明した。NASAは油田掘りのプロであるハリー(ブルース・ウィルス)を呼び、宇宙へ飛び隕石の中心部に核爆弾を埋め込み爆発し、隕石から地球を救ってくれるように頼んだ。そして、ハリーは仲間と共にその隕石のある宇宙へ旅立つのだったが・・・。という話。

とにかく、まずテーマが壮大「巨大隕石の来襲」である。どうも世紀末が近くなるとこのテの作品て増えるね。しかし、なんであんな巨大な隕石が、地球にあと18日で衝突するとわかるまでその隕石の存在が気付かれなかったのがウソっぽい。その辺は1年も前に隕石を発見していた『ディープインパクト』の方が説得力がある。まぁ、それは置いといて。「何でだぁ?」てくらい出演者が豪華。ブルース・ウィルスだけで十分だろうと言いたいくらいなのに、娘役にリヴ・タイラー、その恋人役にベン・アフレック、NASAの指揮官役にビリー・ボブ・ノートン・・・もうキリがない。しかも、話の中には「ロミオ&ジュリエット」ばりの恋愛物語や家族愛、友情、アドベンチャーと何でもありの要素が詰め込まれている。2時間半のなかにこれだけの要素が詰め込まれているから、もう何を中心に観ればよいのかサッパリわからない。しかも音楽がエアロスミスだのZZトップだのジョン・ボンジョビだのこれまたMTVのようなラインナップで、これまた必要もないシーンで流れてきたりするのだ。「だから一体この作品は何が言いたいだよ!」とツッコミを入れたくなる。第一、何で地球存続の命を背負った 者が油田掘りの人間なの?そりゃ、ハリーは元軍隊の人間だったらしいけど、他のメンツはどう考えても落ちぶれ人間だが、「普段の仲間の方が良い」の一言で片付けられてしまった。その辺でもう緊迫感も何もないんだけどね・・・。豪華な出演人も宇宙服を着てしまえば誰が誰だか判別しにくいし、なんせいろんなテーマが盛りだくさんなので、シーンの展開が早い、早い。「うっ」と涙腺にきそうなシーンがあっても、その感動に浸っている暇はない。わけのわからんイメージカットも多くて頭も目も痛くなりそうなのだ。ミュージシャンのビデオクリップじゃないんだから!もっとわかりやすく作れないのか!?あんまりにも「こういう展開はないだろう〜」というのばかりだったので、最初の方に松田聖子がカメオ出演していたことすら忘れてしまった。唯一の救いは、ビリー・ボブ・ノートン演じる指揮官の存在かしら。そんなもんだな。

個人的には『ディープインパクト』よりは気に入ったんだけど、何というか・・・、あまりに色んな要素をいっぺんに観させられたので終わった後何も残らなかった。これだけのテーマだから、見終わった後に考えさせられる何かが残ってもいいはずなのに、「ああ、終わった、終わった」て感じなの。『インディペンデンスデイ』もそうだったけど、なんかアメリカ映画でドバーッと派手に始まっていろんあ問題が山積みという展開になり、それでいてラストは爽やかに終わるていう作品がウケるのかしら?個人的には、頭が消化不良を起こしたぞ。これって、映画の勢いにハマッてそのノリで観られればかなりの娯楽作品になるけど、なんか途中で醒めてしまったりしたら超B級映画になりかねない危険性がある。第一、こんな展開は現実には絶対ナイ!て断言できるしね。こういう映画ばかりがヒットするのもちょっと悲しいぞ。

 「娯楽大作だけどもう1回観る気は全然ないね。」で星2つ ★★




踊る大捜査線−THE MOVIE−

/1998/日本/監督:本広克行/製作:亀山千広/脚本:君塚良一/
/出演:織田裕二、柳葉敏郎・・・他


こんな元気で熱い邦画を待っていた!


人気テレビドラマの映画化。しかし、これが映画になっても面白さがちっとも損なわれていないのだ!謎の水死体が湾岸署の管轄内で発見され、さらに警視庁の副総監が何者かに誘拐されるという事件が起きる。猟奇殺人とネット犯罪が絡み合い、湾岸署はパニック状態になるのだった・・・という話。

とにかく一つの事件を追うのではなく、2つ、3つと事件が連続して発生し、それを同時に捜査していくために湾岸署はパニック状態になるのだ。その為、とにかくテンポの良い展開で目まぐるしく捜査が進んでいく。その中には、現実にも問題になっているネット犯罪のことの重大さや、室井(柳葉敏郎)率いる本庁と青島(織田裕二)のいる現場との確執や二人の友情、また事件の鍵を握るネット殺人HPの管理者(小泉今日子)の出現など、とにかく見所満載なのである。もう最近の邦画にはなかった元気のよさと情熱をひしひしと主人公の青島から感じるのだ!しかも現場を知らない本庁の勝手な言動とそれに振り回される現場の理不尽さなどもクローズアップされいて、あの名ゼリフ「事件は会議室で起きているんじゃない!現場で起きているんだ!!」が効くのだ。そして青島もいいだけど、室井の静かな存在も凄いのだ。2人のやりとりのシーンはテレビと変わらず見応えあり。そして、意外だったのは、あの人がそのセリフを言うのか・・・というシーンがある。私はここでグッときてしまった。

なんか「映画は楽しく観るものだ!」を地でいっているような作品。笑えるし、泣けるし、考えさせられるし、なんか妙に熱くなれるのだ。「もう一度観たい!」て気持ちにさせる作品のパワーは凄いと思う。コミカルな要素が強いんだけど、その中に現実味がある事件と国家公務員という任務の重さと息苦しさなんかも出ていて、意外に「重い」部分も多いのだ。だから、作品そのものに厚みがあり、見応えも出てくる。よく「テレビではいい作品あるのに、何で映画になるダメなの?」てのが多かったけど、これはホント映画になって大正解。とにかく観ていない人には「劇場へ行け!」て言いたくなる。そう言う作品だ。そして、あの名ゼリフのシーンを思いっ切り力を込めて観て欲しい(笑)

 「青島ーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」で星4つ(笑) ★★★★




アンツ

/1998/アメリカ/監督:エリック・ダネール、ティム・ジョンソン/
/声の出演:ウッディ・アレン、ダン・エイクロウド・・・他


1匹のアリの冒険をCGアニメで美しくリアルに表現!


声優陣が豪華なのだ。まずウッディ・アレンに、シルベスタ・スタローン、シャロン・ストーン、ダン・エイクロウド・・・他にももっと出演しているんだろうなぁ。最近、ハリウッドで躍進しているアニメ映画だけど、これはかなり面白かった!気弱な働きアリのZ(声:ウッディ・アレン)はそんな自分の生活に嫌気がさして、桃源郷を探す旅に出る。しかもひょんなことから王女さま(声;シャロン・ストーン)をさらって行ってしまい、同時期にZたちの暮らすアリの世界の秩序を乱そうと企てているやつもいて・・・という話なんだけど、アリの視線で全てをリアルに表現しているので、とにかく迫力ある映像なのだ。「エー?これがアニメなの?」て思うほど、リアルなシーン満載で見応え十分。しかも、某映画のパロディ・シーンもあったりして、なかなか遊び心もあるのだ。

まぁ、アニメの割にはちょっと可愛げのない表情だっただけに子供ウケはしなかったみたいだし、かといって大人が納得する難しいストーリーでもなかったという中途半端さから日本ではイマイチ、ヒットしていなかったみたいだけど私は好きよ、こういうの。公開終了寸前に観に行ったんだけど、平日だったけどすっごいガラガラでビックリしてしまった。私達合わせても10人も居なかった。ほとんど貸し切り状態で嬉しいけど寂しい・・・。作品そのものは映像のリアルさだけでも圧倒されたし、音楽に合わせてリズミカルに踊るシーンなんて最高だった。冒険そのものはなんてことない展開なんだけど、気弱でしかも鬱病的なアリのZが様々な経験をしていくことで1匹の頼れるアリになっていくというところが丁寧に描かれて良いなぁ。続編もできそうな感じだったわ。

 「大人も楽しめるアニメ映画だと思うのにな〜」で星3つ ★★★




イン&アウト(東京国際映画祭・公式参加作品)

/1997/アメリカ/監督:フランク・オズ/製作総指揮:アダムス・シュローダー/
/主演:ケヴィン・クライン、ジョン・キューザック・・・他


とにかく心の底から大笑いできるスーパー・コメディー!


もう、久しぶりの大笑いできるコメディー映画と出会えた感じ!ある田舎町の高校の先生であるハワード(ケヴィン・クライン)は結婚を3日後に控えて最高にハッピー状態。そして、その夜に行われたオスカー賞の授賞式でかつての教え子である映画俳優のキャメロン(マット・ディロン)が主演男優賞を受賞し、なんとその授賞式の席で「先生はゲイだ!」と告白。もうハワードを含めその田舎町はパニック状態に陥る。もちろん、「そんなことはない!」と否定するハワードだが、しだいに「ゲイ」らしいそぶりが浮上しはじめて、3日後の結婚式は果たして無事に挙げられるか?・・・というカミング・アウト作品である。

もう、最初から笑える、笑える!ハワードのフィアンセのエミリー(ジョン・キューザック)は結婚のために25kgも痩せてみせたというパワフルなキャラクターで、後半、彼がゲイだと判ってからのキレ具合が最高である。また、今回の諸悪の根元(?)とも言うべき教え子のキャメロンだが、この超人気俳優役をマット・ディロンが演じているのだが、完璧にブラピをパクッているのである!もうブラピ・ファンは彼を観るだけでも大受けもんである。しかも、オスカー式の授賞式そのものが「もう完全にバカにしている!」という感じのパロぶりで大笑い。「ここまでブラック・ジョーク効かせて良いの??」とまで思ってしまう。また、田舎町に押し掛けるレポーター役のT.レックスも最高だし、とにかくアクの強い役者ばかりで笑いっぱなしである。本来なら、重くなりがちなテーマ(「ゲイのカミング・アウト」)だけれども、終始コメディーで押し切った所は凄い!そして、そのテンポの良さは最高!もう笑えて、それでいて心温まる感じで会心の出来のコメディー作品!

 「とにかく最高!また観たい!!!」で星5つ ★★★★★




アウト・オブ・サイト

/1998/アメリカ/監督:スティーブン・ソダーバーグ/製作:ダニー・デビート/
/主演:ジョージ・クルーニー、ジェニファー・ロペス・・・他


意外に難しいラヴアクアションもの。


やはり、前日に「東京国際映画祭」にて、生のBrad Pittを近くで見て尚かつ新作まで観てしまったせいか、まだ頭の中はその時の感動と興奮でいっぱいだった。しかも、予告にそのブラピの『ジョー・ブラックをよろしく』をやったもんだから余計に頭の中は昨日の幸せな時間にトリップしてしまった。

で、本編の方はといいますと、銀行強盗の常連で(既に200カ所の銀行強盗をしている)ジャック(ジョージ・クルーニー)はこの経歴のせいで刑務所を行ったり来たり。捕まれば脱獄していた。そして、今回もいつもの巧妙な口振りで脱走をするものの、そこに偶然居合わせた連邦保安官のカレン(ジェニファー・ロペス)に見つかり、その時の出逢いがキッカケで彼女から追われる者となる。しかし、しだいにお互いを意識しはじめ、禁じられた恋が芽生えるが・・・・・・という話。一見、単純な展開を想像するけど、なんせジャックが過去に刑務所でどんな風にしていて、その時の仲間関係などをちょこちょこと回想するので、過去と現在を行ったり来たりしているのだ。これがなかなか着いて行きにくいのだ。油断して観ていると「エッ?今のは過去の話だったの?」とかなってくるのだ。まぁ、話そのものはシリアスな展開で進んでいくが、最後の方で「これはナイだろう???」とツッコミたくなるようなオチというか展開もあるのだ(笑)。主演の2人はカッコ良いけど、とにかく男顔負けの強気な態度で一貫しているカレン役のジャニファー・ロペスは非常に魅力的な女性でした。前日がなけ れば、もっと真剣に観て楽しめたのではないだろうか、という作品です。
 
「アクションと言うよりスリリングな恋の駆け引きが見もの。」で星2つと半分。 ★★




L.A.コンフィデンシャル

/1997/アメリカ/監督、脚本:カースティス・ハンソン/脚本:ブライアン・ヘルゲランド
/主演:ケビン・スペイシー、ラッセル・クロウ・・・他


核心=Confidentialという大胆なストーリーに夢中になる傑作!


この夏の映画の中で一番期待していた作品で、まさに期待通りの傑作だった!登場人物の似通った名前(ニックネーム)や、主演2人(ケビン・スペイシーとラッセル・クロウ)のやや似ている雰囲気、様々な伏線が絡み合う作品だけに観ている者を混乱させる・・・と聞いていたので、かなり覚悟して挑んだが、登場人物の紹介(登場)の仕方や流れるようなストーリー展開の為、それといって混乱はなかった。むしろ、思っていたよりもわかりやすい内容だった気がする。これといって派手さはないものの、グイグイと引き込まれていくような感じで、気が付いたら作品に夢中になっていた。とにかく「こういう映画を待っていたんだよ!」と言いたくなってしまう。

話は、一つの残忍な殺人事件をキッカケにまるでタイプの違う刑事3人が、それぞれ事件を追っていくうちにお互いが追っているモノに共通の黒幕がいると気が付いていくが・・・。というサスペンス映画である。キム・ベイシンガーが鍵を握る高級娼婦役に扮していて、この役で今年のアカデミー賞助演女優賞を獲得したのだが、とにかく綺麗なのである!もう正に'50〜'60年代の女優を彷彿させる古典的美しさというか何というか、女でも見とれてしまう高級娼婦だった。また、思っていた以上にアッサリと後半の途中で犯人が観ている側にも判ってしまうが、この映画のタイトルは「L.A.confidential」。真実を秘密にしてしまう悪党(?)が世界を征するのだ。普通のサスペンス映画のような「犯人はお前だ!チャンチャン。」という終わり方ではない。とにかくヒネリが効いているいるというか、こういう皮肉にも近いシャレというか味のある作品て珍しい。しかも、エンドクレジットの後にも、もう1シーン残しているなど、観ている側をとことん楽しませてくれる。これぞ娯楽映画の醍醐味ではないだろうか。

恋人に限らずとも、いろんな物事で「謎めいた部分」があるからこそ惹かれていく、興味を持つ・・・ということが多いと思う。そういう心理を上手く利用している作品という気がする。だから、様々な混乱する要素がありながらも、大胆な話の展開でそれを感じさせずに観ていってしまえるし、ラストにはこういう大胆で巧妙なおちゃらけさこそハリウッド映画だ!と嬉しくなってしまうのだ。珍しくベタ褒めしてしまっているけど、強いて言えば、ラストのキム・ベイシンガーはブルネットの方が良かったな・・・と思っている。

 「因みに私はガイ・ピアーズ派(笑)」で星4つと半分 ★★★★




アパッショナート

1994/イタリア/監督、脚本:アレッサンドロ・ダラトリ/製作:マルコ・ポッチョーニ、マルコ・ヴァルザーニャ
/主演:アンナ・ガリエナ、キム=ロッシ・スチュアート・・・他

例えストーカーでも美形で繊細であれば許される?際どい純愛。


超美形青年キム=ロッシ・スチュアート見たさに、この映画を観たと言っても過言ではない(笑)。「デカプリオよりも繊細で、ブラピよりも笑顔が素敵で、ジョニー・デップよりも影があり、しかもこの3人よりも背や足が長い!」と外見だけが絶賛されていたので、外見だけで演技は全然ダメというアイドル俳優かと思っていたが、意外や意外?優しすぎる故に、父を失ったショックで普通の人よりも感情が敏感で繊細な青年になってしまい、そんな青年が一人の女性に恋をしてしまい、ストーカーのような行動に走ってしまう・・・という難しい役所をこなしているのだ。傷付いたような瞳もあれば、病的なまでに執着しているようなアブナイ目線まで、本当に繊細に演じ分けているのだ。

で、これはイタリア映画で原題は「SENZE PELLE」で「皮膚がない」という意味。つまり、人間に皮膚がないと傷付きやすいということを表現するように、ある女性に一目惚れしてしまった青年は、繊細で純粋無垢な心を持ったが故に、感情を守る皮膚がなく、ちょっとしたことにても過剰に反応して傷付いてしまう・・・ということ。だから、見ず知らずの相手からストーカーのように、毎日「愛の手紙」やら花束を届けられ不安に駆られる女性だったが、その正体が病気でそういう感情を持った美青年であると知り、心を許すというか、なんとか自分が(心の)癒しになってあげようと面倒を見る。しかし、感情をセーブできない青年の行動を目の当たりにして、恐怖のあまり彼の前から姿を消してしまうのだ。確かに、青年の女性に抱いている気持ちは「純愛」そのものであるが、自分自身で感情をセーブしきれず、その分傷付いてしまうという性質が全てを狂わしてしまっているのだ。でも、こういう展開になる前に、その青年が美青年でなければ、ただのストーカーで終わっていたような気がしないでもない・・・。

でも、この映画は「何かを失えば、何かを得る」ということを物語っていて、恋に堕ちた女性を失った青年は、その悲しみを乗り越えることで、また新たな「何か」を得ようとするのだ。そういう純粋な気持ちは、誰にでも心のどこかにあった方が良いかもしれない。

 「美形は特なんだな・・・」で星2つ ★★




エイリアン4 

1997年/アメリカ/監督ジャン・ピエール・ジュネ/脚本ジョン・ウェドン/
主演シガーニー・ウィーバー、ウィノナ・ライダー・・・他


エイリアンの残忍さよりも、人間の残忍さが強調されたB級ホラー


1作目の『エイリアン』をご贔屓監督のリドリー・スコットが監督していたから観て、それ以来なぜか観続けてしまっているシリーズである。「続編になるほど廃れてくる」と言われ続けているシリーズでもあるけど、今回は『エイリアン』シリーズというよりも、『エイリアン』を真似したB級のSFホラー作品という感じだった。

200年前に胎内のエイリアンと共に死んだリプリー(シガニー・ウィーバー)の血を採取していた軍は、その血から新たに彼女のクローンを創りだし、彼女の胎内からエイリアンを抽出して、兵器に活用できるようにエイリアンを繁殖させようという実験がある宇宙船で行われていた。という設定からして先が読めている。そんな残忍や事をしている人間がおめおめと生き延びるわけがないし、知能の高いエイリアンが脱走して次々と彼等は犠牲になっていく、またリプリーもエイリアン混じりの身体な為に人間よりも優れた運動力を持っている・・・という設定からして彼女が死ぬなんてことは考えられない。そして、今回「鍵を握る人物」として登場したウィノナ・ライダーだが、鍵を握るというより、軍の機密を知っていただけのロボットでエイリアンから逃げているだけのキャラクターだった。そう!今回の話はエイリアンをやっつけるとかそういうのではなくて、ただエイリアンから逃げているだけなのである。見応えがあったのは、今のリプリーのは8体目のクローンで、実は過去に7体の失敗作リプリーのクローンがあり、それらとリプリーが対面するシーンは、人間のエゴや残忍さが醜いほど描 き出されていた。そして、リプリーがその7体の失敗作である自分を涙ながらに焼き消した時は、エイリアンよりもそこまでした人間の残忍さの方が怖くてエイリアンなんてどうでもよくなってしまった。ラストは、リプリーの血の混じったニュー・ボーンが彼女を母親と慕って脱出した宇宙船まで追って来るが、彼女は涙ながらに死んでいくニューボーンを見つめ、ここまで一緒に脱出した仲間達との脱出を選んだのだった。

なんか続編を匂わせるラストだったけど、なんとなく「エイリアン」シリーズて『エイリアン3』で終わったんだな・・・と思ってしまった。ちっとも新鮮味がなかったし、過去のシリーズのかき集め的な感じだったので次ぎに何も期待できない。第一、『エイリアン3』から200年も経っている設定なのに、武器は銃弾でレーザー光線なんて全然ナイ。衣装は古くさいし、ハッキリ言えば『エイリアン2』の方が近未来的で良かった。はっきり言って『スター・ウォーズ』の設定とそんなに変わらないのでは?それで、あんなに現代じみているのはおかしくないだろうか?人間の残忍さを誇張するあまり、本来の時代設定と舞台が合っていなくて、想像力というものがまるでかき立てられなかった。恐らく、シリーズの中で一番怖くないエイリアンだろう。

※「シガニーが熱演していたのが唯一の救い。」で星1コと半分 




アミスタッド 

1997/アメリカ/監督・製作スティーブン・スピルバーグ/脚本デビット・フランゾーニ/
出演モーガン・フリーマン、ナイジェル・ホーソーン・・・他


終わりなき人種問題を描いた作品だが説得力に欠ける・・・


スピールバーグ率いるドリームワークスの作品だが、どうして彼の場合「アカデミー賞」狙いとそうでない作品はこうもハッキリしているのだろう。まぁ、それはさておいて、19世紀半ばに実際にあった黒人奴隷の裁判を映画化した作品で、当時の黒人奴隷制度について鋭く描写している。「自分達はもう命はないと」と悟った黒人奴隷達が船上で白人の乗組員を殺害し船を乗っ取ったが、数ヶ月後にアメリカの沿岸警備隊に見つかり捕まる。そして、彼等は海賊行為の疑いで裁判にかけられるが、スペイン女王から「彼等がノット取った『アミスタッド』がスペインの船であり、その黒人奴隷達もスペイン国の積み荷であるから即刻の返還を求める」という要求や、船を取り締まったアメリカ軍将校は「謝礼としてこの黒人奴隷の所有権は我々(アメリカ)にある」と対抗する。そこに人民の人権を考える一人の黒人男性ジョッドソン(モーガン・フリーマン)が若い弁護士ボールドウィン(マシュー・マコノヒー)と組んで、黒人奴隷達がアフリカで拉致された黒人であることを突き止め、彼等の人間としての立場を主張し彼等を祖国へ帰すことを訴えていくが黒人奴隷を「人間」として認めたくない当時の 白人社会の為に彼等「無罪」になっても上告され「無罪だったのに何故自由になれない!?」と黒人奴隷のリーダー的存在のシンケ(ジャイモン・ハンスゥ)から弁護士は責められ、どうしようもなくなって元アメリカ大統領で一度は彼等の協力要請を断ったジョン・クインシー・アダムズ(アンソニー・ホプキンス)に助けを求める・・・。という黒人問題の法廷ものであり、その裁判劇は非常に緊迫したものであり、また言葉が通じない黒人奴隷達との必死のやり取りなど見せ場も多いが、白人社会の黒人奴隷に対する残酷さを誇張したせいなのか、イマイチ説得力に欠けるというか話の割には重みがないのである。これはスピルバーグ自身が白人であり、なおかつ黒人問題に直接巻き込まれた人物ではないからなのだろうか?同じ黒人問題を描いた作品で『遠い夜明け』という映画がある。アフリカで実際に起きている残酷な黒人差別をアメリカに発表するべく、命辛々に逃走劇を繰り返す白人家族の話で、この映画の監督自身がその逃走劇を繰り広げた白人なのである。そのせいか、静かな話の展開の中で伝えるメッセージは非常に重かったのである。しかし、今回の『アミスタッド』には考えさせられる 部分は多かったものの、『遠い夜明け』で受けたショックと同じような衝撃は受けなかった。

しかし、黒人の人種問題に今だハッピーエンドはないというラストは印象的だったし、なにより元大統領役を演じたアンソニー・ホプキンスの存在感には圧倒された。始めと後半部分にしか登場しないが、主演のモーガン・フリーマンや若手弁護士役で出ずっぱりだったマシー・マコノヒーの存在が彼の登場で霞んでしまうくらいだった。そして、「黒人と白人の問題」と言うよりも「人間は自由になる為ならば何でもする」という観点から描いたこの作品は、「人間は何故戦うのか?」を論議しているようでただの人種問題で終わらせていないところはさすがだったと思う。

 「考えさせられたが人間の善悪をハッキリさせ過ぎたのでは?」で星3つ ★★★



エアーフォース・ワン 

1997/アメリア/監督・製作ウォルフガング・ペーターセン
/主演ハリソン・フォード、ゲイリー・オールドマン・・・他

大統領がヒーローになる娯楽アクション。展開が読めていても楽しめる。


ハリソン・フォードが大統領役をやる時点で話の展開が読めてしまうけど、そこは大統領専用機(=エアーフォース・ワン)をロシアのテロリストがハイジャックし大統領や彼の家族や部下を人質にホワイトハウスに脅しを掛ける、というスリリングな展開で観ている側をグイグイ話に引き込ませていってくれる。ロシアのテロリスト役のゲイリー・オールドマンも今までの変にクセのある悪役と違って、あくまで愛国主義を貫いているという筋の通った役柄だけに余計怖い。感情も見せず「祖国の為だ」という理由にどんどん人を殺していく姿は冷静であるがゆえに残忍さを感じるし、実際にこういう事件が起きたとしてもテロリスト達はこうやって殺していくのかもしれないと現実を垣間見た気がして戦争の残酷さをヒシヒシと感じた。もちろんハリソンさんも負けてはいない。大統領だからホワイトハウスに連絡を取りたくても電話番号を知らなくて、電話サービスに聞いてホワイトハウスの市民の意見箱受付コーナーに「私は大統領だ!」と言うボケぶりも発揮(笑)しかし、いざ敵と対面した時にはベトナム戦争時代の経験を活かして大暴れ!はアメリカ映画ならではの設定。ハリソンさんとオールド マンの対決シーンは迫真の演技のぶつかり合いで凄みがあったけど、その後のオールドマンの扱いは少々あっけなかったのでは・・・?個人的にはもう少し彼に活躍して欲しかったなぁ。でも、何だかんだ言ってもハリウッドを代表する典型的な娯楽アクションを極めているので楽しめたのは事実。・・・・・・気になったのは例のFAXは一体誰が気が付いたの?私はわからなかったよ。

 「娯楽アクションを極めている!」で星3つと半分 ★★★

劇場裏話・・・これは東京国際映画祭で観たので、なんと本物のハリソン・フォードとペーターセン監督の舞台挨拶を観ることができました!花束嬢としてセイコ・マツダもいたけどね・・・(^_^上映前にハリソンさんが撮影の時の話や監督が見所のシーンを語ってくれて、しかも監督夫妻が同じ階で鑑賞するとあって感動もんでした。・・・ここにもセイコ・マツダがいたけどね(^_^;



インディペンデンス・デイ 

1996/アメリカ/監督ローランド・エメリッヒ
                           /主演ウィル・シュミス、ビル・プルマン・・・他

 

アメリカ人て相手が宇宙人であろうと戦争で片付ける


惑星の半分に近い巨大な円盤の発想や大都市のダイナミックでリアルな破壊シーンはまさにアメリカSF映画!と言うしかないが、それだけだったりもする・・・。見所はあくまでもCGの世界であってストーリー展開がCGに集中するあまり疎かになっている。最終的にはアメリカ万歳映画である。未知との宇宙人と戦闘機でやり合うなんて、あまりにも短絡的過ぎる気がする。しかも各国の戦闘機を集結した割には、出てくるのはアメリカ製のばかり。もしキャメロン監督だったらそんなことはなかろう。珍しく嫌みのない(正義役)のアメリカ大統領は良かったけど、戦争万歳的なノリの作品は好きじゃない。アメリカで大受けしたのはわかるけど私にはダメだったもので・・・。

 「イマイチ」の星2つ ★★