最近観た 劇場作品  またもや2ヶ月ぶりに更新された割には、アップした作品は2作品…。しかも観たのが10月中旬と11月下旬…何だかなぁ〜。ホントに観てないね。この期間内に「東京国際映画祭」もあったけど行かなかったし、マズイなぁ映画離れになっているぅ!でも観たい映画作品は多いんだよ〜!!(涙)。『ファイト・クラブ』以降、新作の話題がなかったブラピも年明けには怒涛のように新作が控えているし、お正月映画ということで大作も目白押しである。しかし、下手にここで次回観たい作品を予告すると観られないことの方が多いので、今回は控えておこっと。


世にも奇妙な物語〜映画の特別編〜

 *アバンストーリー*

/2000/日本(東映)/脚本:三谷幸喜/
/主演:タモリ、山本耕史、相島一之・・・他


ストーリーテーラーのタモリの存在が一番奇妙。


 10年前にフジテレビで放送が開始された『世にも奇妙な物語』。その10周年を記念して、テレビドラマでは撮影不可能とされたエピソード4篇を映画化し、特別編として公開された。当然、4つの作品とも監督、出演者はバラバラである。
 まず、冒頭や作品と作品の繋ぎ、そしてラストと一番おいしいシーンにストリーテーラーのタモリ(本人)が登場する。ある駅の改札口に、夜遅く電車から降りて来た人々は突然の大雨に足止めをくらってしまう。ある者は携帯で家族に電話し迎えに来るように頼み、ある結婚間近の恋人達は二人で楽しそうに話しながら時間を潰す。あるバンド小僧は出入り口で雨の降る様を見つめ、もう一人の青年が彼に話し掛ける。暇つぶしに青年は、ある雪山に墜落した飛行機の生き残りの人達のエピソードを話すが、大事なオチを知らないでいた。そこに、その場には異質な存在のように感じるタモリが「その話なら知っている…」と『雪山』の話をするのだった。しだいに、青年2人や携帯電話の男、恋人達もタモリの話に夢中になっていき、もっと物語を教えてくれと頼むのであった。

 こういう流れで、4つの作品が紹介されます。このアバンストーリーは、あの三谷幸喜が脚本を書いているだけに、短い会話のやり取りに、なんとも言えない面白さと奇妙さを含んでいて楽しい。そして何と言っても、その場にはそぐわない姿で佇んでいるタモリの存在が一番奇妙で惹かれる。彼の存在があるからこそ、まるで形式の違う4つの作品を立て続けに見せられても、ちっとも違和感を抱かないのだと思う。




 『雪山』

/2000/日本/監督:落合正幸/
/主演:矢田亜希子、鈴木真一、大杉蓮、宝田明・・・他


極限状態に追い込まれた人間達の心の葛藤が何より怖い。


 4つの作品の一番最初に登場するホラー作品『雪山』。
 旅客機が雪山に不時着し、生き残った男性3人と女性2人が山小屋に向かうが、足にケガを負っていた女性を誰も運べなくなってしまい、とりあえず彼女を雪の中に一時埋めて山小屋に辿り着いたら後で助けに来ることにした。そして山小屋に辿り着くが、どうしても置いて来てしまった友達が気に掛かった女性(矢田亜希子)は一人の男(鈴木真一)と共に埋めた場所へ戻るが、友達は顔だけ外に出ている状態で死にかけていた。慌てて男がシャベルで助け出そうとするが、どの辺に身体が埋まっているのが判らず、なんとシャベルで彼女の首を刺してしまい殺してしまったのであった。その現場をもう一人の男(大杉蓮)に目撃されるが、「どうせ助からなかった」ということで「既に死んでいた」と残りの男(宝田明)にも告げた。そこでその男はある実話を語り始めた…。同じように雪山に飛行機が墜落し男性2人が生き残ったが、一人はケガをしていてテントから動けない状態になっていて、もう一人の男が外へ様子を伺いに行っていた。しかし、外へ出て行っていた男は外に隠しておいた食料を密かに食べていて、ケガで動けなかった男は数日後に死んでしまい、その遺体は雪の中に埋めた。しかし、翌朝になって男が目覚めると埋めたはずの遺体がその男の横にあり、何度埋めなおしても翌朝必ず横に遺体があった…というところで話を止め、男はその後の続きは話さなかった。しかし、極限状態に置かれた4人は、その話以上に恐ろしい状況に追い込まれていく…。

 という話で、とにかく「怖い」の一言。監督があの『催眠』の落合正幸氏だけにハンパじゃない。彼は『世にも奇妙な物語』のテレビドラマで、最多演出を誇る人でもあるだけに、短時間の中での物語の展開が非常に上手い。もう畳みかけるように恐怖の連続を演出し、生き残った4人同様に、観客までも極限の恐怖に陥らされた感じがした。とにかく生き残れるか…という恐怖よりも、女性を見殺しにしたという罪悪感が産む恐怖が本当にコワイのだ。正直言って私の苦手とする怖さだった。しかも、映画に出てくる「例え話」は、実際にも耳にする話なだけに怖さ倍増であるのだ…。
 ただ、主人公の矢田亜希子ちゃんがニット帽を被り、一人の男がハンディカメラを持ち歩いていた為、なんとなく『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』を連想してしまうが(笑)。私は断然『雪山』の方がお薦め。

 ラストのオチは極限状態に追い込まれていただけに、そういうことになった…という納得のものだった。ただ、私は主人公があの例え話の続きの通りの行動をしていた方が怖さ倍増だったというか後味の悪さが凄かったと思う。あのようなオチになったのは、いかにもホラー映画ならではで、逆に「おお、やっぱりホラー映画だ」て納得できた部分もあり、少し救われたというか、怖いには変わりないんだけと現実味はそんなにないかも。でも「怖い」には変わりないけどね。実はポップコーン持参で見ていたんだけど、この話の時だけ動きが固まっていて食べられなかったのであった…。

 「これが単独での作品だったら観に行かなかったほどの怖さ…(涙)」で星3つ。 




 『携帯忠臣蔵』

/2000/日本/監督:鈴木雅之/
/主演:中井貴一、奥菜恵、戸田恵子、・・・他


『忠臣蔵』をコミカルに演出した傑作!


 松の廊下での浅野匠助が家老の吉良を斬り付けた為、浅野は切腹、藩は取り潰しとなってしまった。残された家臣達は亡き殿の仇を取るべく、吉良邸への打ち入リを大石蔵助(中井貴一)に詰め寄る。しかし、大石はそんなことで命を粗末なんてしたくないし、とにかく愛人(奥菜恵)と楽しく暮らして行きたかったのでやる気は全然ナシ。そんなある日、大石は家の前に奇妙な音が出ていることで気が付き、辺りを見渡すと奇妙なからくり箱(携帯電話)を見つけた。あまりにも異質な物に恐怖すら感じたが、手に取ると声がし「大石蔵助さんですね?」と自分の名を確認する見知らぬ声が聞えた。ビックリする大石に追い討ちを掛けるように、「実は歴史上の事実確認をするために未来から掛けています。」と更に奇妙なことを言ってきたのだった。。

 というコメディ作品です。私はこの作品目的で『世にも奇妙な物語』を観に行ったと言っても過言ではないかも。"大石蔵助が実は軟弱者で女好きの男だった"という説は実際にも語られているし、何度かその設定で『忠臣蔵』をドラマ化したことがあったけど、そんな江戸時代に携帯電話を送り込むという設定はあまりに奇妙過ぎて面白い。絶対あり得ない世界なんだろうけど、初めて見る携帯電話にビクビクと刀を振りかざす態度や、奇妙な着信音にいつもビビッている姿や、見知らぬ相手の声に触発されて見栄を張る大石。現代にも多くいそうな人物像なので、逆に親しみを感じるのだ。
 しかも、そんな最低男(?)の大石を中井貴一が演じているから笑える。某カードCM以上のキャラクターになっているからスゴイ。しかも、一瞬見せる真剣な顔はやなり武士のようにカッコイイしギャップが最高だったね。しかも、大石自身は何事にも大真面目というか、自分の意見を通すしね、その辺が憎めなくて親しみを感じるのかなぁ?特に、あまりのふがいなさに息子と家臣から刀を振り回されて、携帯電話を持ったまま逃げまくるシーンなんて「そんなことあるわけないだろう!」と思うんだけど、笑いの方が先行してしまうのだ。

 もちろん、歴史上の事実を捩じ曲げるようなことはせず史実通りに物語は展開するんだけど、携帯電話の相手と対話する中で今の自分の立場を実感してくる大石の姿が良かった。正直、最後の最後までブッ飛んだ感じで行くかと思ったんだけどね。客観的に自分の事を言われることで、責任感に目覚めていく大石て共感できるんじゃないかな…。
 あと最後のオチもさすがだね。現実にこうなったら怖いけどさ…。でも、怖いと言うより切ないのかな?このラストのオチは観る人によって意見が分かれそうだな。いろんな意味で楽しめるコミカル作品でしたね。

 「私も歴史上の人と携帯電話で対話したいなぁ。」で星4つ。 



 『チェス』

/2000/日本/監督:星護/
/主演:武田真治、石橋蓮司、甲本雅裕、岡元夕紀子・・・他


壮大なスケールで描く現実的な殺戮ゲーム!


 無敗を誇るチェスの世界チャンピオンだったが、コンピュータ「SUPER BLUE」に負けて以来、チェス人生を捨て無気力な放浪生活を送る男(武田真治)がいた。しかし、ある日、謎の男達に連れ去られ、金持ちの老人(石橋蓮司)からチェスの勝負をしたいと挑まれた。最初は拒んでいたが、かつてのプロ意識を侮辱されて相手になるが、このチェスの戦いは実際に駒が人間となって殺し合うものだということに男が気が付き愕然とする。

 というサスペス作品。正直言うと、観る前までは一番興味の薄かった作品だったけど、観終わった後は4作品の中で一番印象に残った作品となった。チェスの台を表す黒と白のコントラストが所々に映り、目にも鮮やかだし、チェスのゲームなだけに駒を動かす度に展開があるので、とにかく目が離せない。ゲームのつもりが現実に起こりうる…という現象に襲われた主人公の姿は、デヴィット・フィンチャー監督作品の『ゲーム』を連想させるし、急に現れる不気味な少年が『オーメン』を彷彿させるし、映画ファンとしての遊び心も多く散りばめられている気がした。監督があの『古畑任三郎』や『ソムリエ』、『いいひと』の演出で知られる星護監督だっただけに、独特の展開というか、1シーンたりとも見逃すものかぁ!て気分にさせられた。

 チェスには「相手のキング(王)を取る為なら、他の駒を犠牲にしても良い」という独特のルールがある。要は王を取る(チェスメイト)に掛かっているのだ。これが、物語のキーポイントになっている。最初はチェス盤を見るだけで吐き気を催すほどチェスを避けていた主人公が追詰められて行くにつれ、かつての世界チャンピオンの顔になっている姿がとにかく良いのだ。自分の心や歩んで来た人生との葛藤場面は、チェスのルールを知らなくたって十分に主人公に感情移入できる気がした。だから、主人公の決断にグッとくるものがあったのかもしれない。
 ラストのオチもかなり好きだね。正直言ってああいう終わり方をするとは思わなかったけど…。もっと後味悪くいくのかなって。でも、本当の対戦相手の姿を知った時は「おおっ!」て思ったね。

 「黒い看護婦姿が一瞬キョンシーに見えた(爆)。」で星4つ。 



 『結婚シュミレーター』

/2000/日本/監督:小椋久雄/
/主演:稲森いずみ、柏原崇・・・他


妙にフツーぽい雰囲気が逆に新鮮な恋愛モノ。


 ある雨の夜、映画館の前で雨宿りをしたことで偶然出会った千晴(稲森いずみ)と有一(柏原崇)は、それがキッカケで交際を始め結婚を控える間柄になった。そして、結婚式場のプランを計画した後に、未来の夫婦生活を結婚前にシュミレートできるという「結婚シュミレーター」という新しいサービスにも申し込んだ。そして、いざシュミレーターを受けてみると、その夫婦生活は二人の予想とは反したものになっていき…。

 という恋愛モノ。もっとラヴロマンスものかと思っていたら、意外にもシュミレートされた夫婦生活がかなり現実的な内容でリアルだった。もっと波乱万丈の生活ぶりなのかと思ったら、「あちゃ〜、やっぱこうなるかぁ」という昼のメロドラマのような(笑)妙に現実的なものがあるのだ。そのせいかもしれないが、クライマックスのビデオレターのシーンは意外に泣けてしまうのだ。まさかこの作品で泣くとは思っていなかったんだけど…。とにかく「普通ぽさ」が本当に良いのだ。自分の人生にも置き換えられるせいかな…。

 トレンディドラマが好きな人にはちょっと物足りない部分もあるかもしれないけど、逆にそういうものを意識せず現実的な夫婦生活を非現実的なバーチャルシュミレーターで表現したのが何よりも面白かった。あと、ラストのオチも良いなぁ。意外なドンでん返しって言うのかな?あそこで終わらなかったのが逆に良かったんだよなぁ…(意味深な発言)。結局は、二人の未来は二人の心がけに掛かっているというか、二人で決めるしかないって雰囲気が好きだなぁ〜…。ほのぼのとした感じで良かったです。

 「出演者の中の一人が素で演じているように見えた(笑)。」で星3つ。 


 【総まとめ】
 ハッキリ言って4作品中一つもハズレのない作品だった。4作品はまるで共通性がないようで、ちゃんと「奇妙な話」という共通項があるところがさすがだったし、どれも25分前後の作品なのに内容が濃かったのがスゴイよね〜。確かにテレビドラマではちょっと不可能だよなぁ…て感じる部分もあったし、映画化されてラッキーでしたね。ホラー、コメディ、サスペンス、ラヴストーリーと、1回で4つのジャンルが楽しめる作品なんてナイし、4ついっぺんに観たからって頭が混乱するわけでもない。それは、やはりストーリーテラーのタモリの奇妙な存在と語りがあったからこそかもしれない。

 「映画館で観る価値のあった映画化作品♪」で星4つ。 




オータム・イン・ニューヨーク

/2000/アメリカ/監督:ジョアン・チェイト/製作:エイミー・ロビンソン
/主演:リチャード・ギア、ウィノナ・ライダー、エレイン・ストリッチ・・・他


結末がわかっていても魅せられる恋愛モノ。


 48歳のウィル(リチャード・ギア)は、根っからのプレイボーイで独身で事業にも成功しているだけに、その奔放ぶりに罪悪感を抱いていなかった。しかし、ある日、かつて親交のあった女性の娘のシャーロット(ウィノナ・ライダー)と出会い恋に落ちる。彼女は病気で余命1年足らずと自分でも知っていて、そのことをウィルにも告白した。女性とは長続きしないウィルにとってはうってつけだと自身も思っていたが、ウィルが思っている以上にシャーロットは恋愛に純粋だった。

 タイトル通り、秋から冬に変貌していくニューヨークの風景がとにかく綺麗。あと音楽も良かった。音楽で泣いたって部分もあったね…。ハッキリ言って結末は最初の時点で読めるんだけど、とにかく仕事はできるけど女に対してはしょーもない男ウィルを、リチャード・ギアが憎らしいぐらいに演じているんだよね。ホントにね、女性から見たら「アンタ、最低!」て言いたくなるシーンも多々。反対に、シャーロット演じるウィノナ・ライダーがすっごく綺麗でね〜。リチャード・ギアと共演したせいかもしれないけど、すごく幼く見えたというか可愛いかったんだぁ♪

 恋が長続きしないのは自分が本当に人を愛することを恐れていたからだ、と自覚した後のウィルはすごく魅力的だったね。若作りしていたのを、止めて年相応の素振りをするようになったり、キャロットを失いたくないからと「どうせ死ぬから」と手術を拒むキャロットを説得しようとしたり、ある意味自分の感情に真正面に対峙するようになった姿は良かったなぁ。恋愛ドラマでもあるけど、一人の男の人間ドラマとして観るのも良いかもしれない。キャロットは本当に恋愛に対して純粋な感情を持っている女性として描かれていて、そのせいか自分の死に対してもしっかり受け止めている強い女性という印象が残った。男が女を支えている感じなんだけど、実際は逆だったんだよなぁ…て感じかな。

 とにかく映像美に拘っていたみたいで、悲恋モノなのに暗いシーンと印象を受けるシーンはほとんどない。そのせいか、すごく切なく感じる場面もあったし、静かな場面が多いのに対照的流れる盛り立てるような音楽に泣きそうになってしまったりもした。雰囲気に泣かされたって言うのかな。秋から冬という時期なので、クリスマスの映像とか綺麗だったね。クリスマスシーズンに観るともっと良かったかも(私が観たのは10月中旬)。特に、キャロットがウィルに送ったクリスマスプレゼントにはグッときたね。

 「悲しいだけじゃない、不思議な温かさ残る悲恋モノ。」で星3つ。