第二巻 : 三諸の神の神杉

2006年10月22日(日)更新


原文: 三諸之 神之神須疑 已具耳矣自得見監乍共 不寝夜叙多

作者:高市皇子(たけちのみこ)

よみ: 三諸(みもろ)の、神の神(かむすぎ)、已具耳矣自得見監乍共、寝(い)ねぬ夜ぞ多き

意味: 三輪山の神の、已具耳矣自得見監乍共、眠れない夜が多いのです。
この歌は、十市皇女(とをちのひめみこ)が亡くなったのを悲しんだ歌の一つです。

写真は、大神(おおみわ)神社の杉です。

撮影 by きょう

「已具耳矣自得見監乍共」については、昔から色々な読み方が提案されていて、いまだにはっきりとしていません。次に、色々な説をリストしておきます。これらは、「波流能由伎(はるのゆき)」を主催されている「水垣」さまから提供いただいたものです。

■岩波書店の「校本万葉集」には、以下のような訓が紹介されています。({}で囲んだのは誤字説です。)

  • 契沖『万葉代匠記』 已具耳矣自得 見監乍共
     いくにをしと みけむつつとも(逝くに惜しと 見けむつつとも)
  • 荷田春満『万葉集童蒙抄』 已{冥}耳矣 自得見監乍共
     いめにのみ みえけんながらも
  • 賀茂真淵『萬葉考』 已{免乃美}耳 {将}見{管本無}
     いめのみに  みえつつもとな
  • 橘守部『万葉集檜嬬手』 已具耳{之}自 影見{盈}乍
     すぎしより  かげにみえつつ
  • 鹿持雅澄『万葉集古義』 {如是}耳{荷} {有}得之監乍  {宿}不寝夜叙多
     かくのみに  ありとしみつつ いねぬよぞおほき
  • 木村正辞『万葉集美夫君志』 已{目}耳矣自 {将}見監為共
     いめにをし  みむとすれども

■ほかには、

  • 井上通泰『万葉集新考』 已{賣}耳{多耳} {将}見{念}共
     いめにだに   みむともへども
  • 折口信夫『口訳万葉集』
     すぐるをしみ かげにみえつつ
  • 岩波大系本 已{目}耳{谷} {将}見監為共
     いめにだに  みむとすれども
  • 中西進『万葉集 全訳注原文付』
    夢のみに 見えつつ共に

また、燕翁庵(つばめのおきなのいほり)を主催されている「燕翁」さまからは以下の文献に付いてご提供いただきました。

  • 土屋文明「萬葉集私注」
    いめ(夢)にのみみえつつ共に い寝ぬ夜ぞ多き
  • 澤潟久孝「萬葉集注釈」
    よそのみ見つつ い寝ぬ夜ぞ多き

第二巻