第三巻 : なまよみの甲斐の国うち寄する駿河の国と

2007年03月25日(日)更新


原文: 奈麻余美乃 甲斐乃國 打縁流 駿河能國与 己知其智乃 國之三中従 出<立>有 不盡能高嶺者 天雲毛 伊去波伐加利 飛鳥母 翔毛不上 燎火乎 雪以滅 落雪乎 火用消通都 言不得 名不知 霊母 座神香<聞> 石花海跡 名付而有毛 彼山之 堤有海曽 不盡河跡 人乃渡毛 其山之 水乃當焉 日本之 山跡國乃 鎮十方 座祇可間 寳十方 成有山可聞 駿河有 不盡能高峯者 雖見不飽香聞

作者:高橋虫麻呂(たかはしのむしまろ)

よみ: なまよみの甲斐(かひ)の国、うち寄する駿河(するが)の国と、こちごちの国のみ中ゆ、出で立てる、富士の高嶺は、天雲も、い行きはばかり、飛ぶ鳥も飛びも上らず、燃ゆる火を雪もち消ち、降る雪を火もち消ちつつ、言ひも得ず、名付けも知らず、くすしくも、います神かも、せの海と名付けてあるも、その山のつつめる海ぞ、富士川と人の渡るも、その山の水のたぎちぞ、日の本の大和の国の鎮めとも、います神かも、宝ともなれる山かも、駿河なる富士の高嶺は見れど飽かぬかも

意味: 甲斐の国、駿河の国に渡って立っている富士山は、も行く手をはばまれ、鳥も上ってゆくことができず、(噴火で)燃える火を雪で消し、降る雪を火で消してしまいます。言葉ではいいつくせないほど神秘的な神の山です。せの海と名付けてある湖も、富士山がつつんでいます。富士川も、その源は富士の山です。日本を鎮めていらっしゃる神の山、宝の山なのです。駿河の国の富士の高嶺は、どんなに見ていても飽きることがありません。

撮影 by 佐藤様

富士山を称える長歌です。このあとに反歌(m0320, m0321)が続いています。

せの海: 864年の噴火で、西湖(さいこ)・精進湖(しょうじこ)に分かれています。


第三巻