秋(あき)を詠んだ歌

彼岸花 撮影 by きょう

秋にかかわる歌には、秋、秋風、秋草、秋萩、秋山、七夕鹿(しか)蝉(せみ)、こおろぎ、黄葉、秋の田、秋の野、秋の月夜、秋の夜などの言葉が登場します。

秋の草花については、万葉集の草花をご覧ください。

秋さらば/秋されば(秋になると)

もみじ 撮影(2014) by きょう

「秋さらば/秋されば」は「秋がやってくると」や「秋になると」というような意味です。ここでは、「秋さらば/秋されば」が読み込まれている一部の歌をリストしています。(時間があれば随時追加します。)

0084: 秋さらば今も見るごと妻恋ひに鹿鳴かむ山ぞ高野原の上

0464: 秋さらば見つつ偲へと妹が植ゑしやどのなでしこ咲きにけるかも

1047: やすみしし我が大君の高敷かす大和の国は.......(長歌)

1050: 現つ神我が大君の天の下八島の内に.......(長歌)

1362: 秋さらば移しもせむと我が蒔きし韓藍の花を誰れか摘みけむ

1604: 秋されば春日の山の黄葉見る奈良の都の荒るらく惜しも

3699: 秋去れば置く露霜にあへずして都の山は色づきぬらむ

秋の花

女郎花 撮影(2011.08) by きょう

万葉集で秋の花といえば、秋の七草が有名ですが、秋の花とだけ詠まれている歌が2首だけあります。

4254: 蜻蛉島大和の国を天雲に磐舟浮べ艫に舳に・・・・・・・(長歌)

4255: 秋の花種にあれど色ごとに見し明らむる今日の貴さ

秋草

秋草の頃は、もう白露が置かれる、季節なんですね。

1612: 神さぶといなにはあらず秋草の結びし紐を解くは悲しも

4312: 秋草に置く白露の飽かずのみ相見るものを月をし待たむ

秋風

秋の風 撮影 by きょう

詠まれた年月がわかるものは、カッコで示してあります。6~9月までの範囲で秋風が詠まれていますね。6月には、「秋風もいまだ吹かねば」と詠まれていますから、夏の終わり、って感じでしょうか。9月は、「秋風の寒きこのころ」なんですね。

0361: 秋風の寒き朝明を佐農の岡越ゆらむ君に衣貸さましを

0462: 今よりは秋風寒く吹きなむをいかにかひとり長き夜を寝む(天平11年6月)

0465: うつせみの世は常なしと知るものを秋風寒み偲ひつるかも(天平11年7月)

0488: 君待つと我が恋ひ居れば我が宿の簾動かし秋の風吹く

1161: 家離り旅にしあれば秋風の寒き夕に雁鳴き渡る

1327: 秋風は継ぎてな吹きそ海の底沖なる玉を手に巻くまでに

1458: 霍公鳥声聞く小野の秋風に萩咲きぬれや声の乏しき

1523: 秋風の吹きにし日よりいつしかと我が待ち恋ひし君ぞ来ませる

1535: 我が背子をいつぞ今かと待つなへに面やは見えむ秋の風吹く

1555: 秋立ちて幾日もあらねばこの寝ぬる朝明の風は手本寒しも

1597: 秋の野に咲ける秋萩秋風に靡ける上に秋の露置けり(天平15年8月)

1626: 秋風の寒きこのころ下に着む妹が形見とかつも偲はむ(天平11年9月)

1628: 我が宿の萩の下葉は秋風もいまだ吹かねばかくぞもみてる(天平12年6月)

1632: あしひきの山辺に居りて秋風の日に異に吹けば妹をしぞ思ふ

1700: 秋風に山吹の瀬の鳴るなへに天雲翔る雁に逢へるかも

1757: 草枕旅の憂へを慰もることもありやと.......(長歌)

2013: 天の川水蔭草の秋風に靡かふ見れば時は来にけり(七夕)

2016: ま日長く恋ふる心ゆ秋風に妹が音聞こゆ紐解き行かな(七夕)

2041: 秋風の吹きただよはす白雲は織女の天つ領巾かも(七夕)

2043: 秋風の清き夕に天の川舟漕ぎ渡る月人壮士(七夕)

2046: 秋風に川波立ちぬしましくは八十の舟津にみ舟留めよ(七夕)

2083: 秋風の吹きにし日より天の川瀬に出で立ちて待つと告げこそ(七夕)

2089: 天地の初めの時ゆ天の川い向ひ居りて.......(長歌)(七夕)

2092: 天地と別れし時ゆ久方の天つしるしと.......(長歌)(七夕)

2096: 真葛原靡く秋風吹くごとに阿太の大野の萩の花散る

2102: この夕秋風吹きぬ白露に争ふ萩の明日咲かむ見む

2103: 秋風は涼しくなりぬ馬並めていざ野に行かな萩の花見に

2108: 秋風は疾く疾く吹き来萩の花散らまく惜しみ競ひ立たむ見む

2109: 我が宿の萩の末長し秋風の吹きなむ時に咲かむと思ひて

2121: 秋風は日に異に吹きぬ高円の野辺の秋萩散らまく惜しも

2123: 我が待ちし秋は来たりぬしかれども萩の花ぞもいまだ咲かずける

2128: 秋風に大和へ越ゆる雁がねはいや遠ざかる雲隠りつつ

2134: 葦辺なる荻の葉さやぎ秋風の吹き来るなへに雁鳴き渡る

2136: 秋風に山飛び越ゆる雁がねの声遠ざかる雲隠るらし

2158: 秋風の寒く吹くなへ我が宿の浅茅が本にこほろぎ鳴くも

2160: 庭草に村雨降りてこほろぎの鳴く声聞けば秋づきにけり

2175: このころの秋風寒し萩の花散らす白露置きにけらしも

2189: 露霜の寒き夕の秋風にもみちにけらし妻梨の木は

2193: 秋風の日に異に吹けば水茎の岡の木の葉も色づきにけり

2204: 秋風の日に異に吹けば露を重み萩の下葉は色づきにけり

2230: 恋ひつつも稲葉かき別け家居れば乏しくもあらず秋の夕風

2231: 萩の花咲きたる野辺にひぐらしの鳴くなるなへに秋の風吹く

2260: 我妹子は衣にあらなむ秋風の寒きこのころ下に着ましを

2298: 君に恋ひ萎えうらぶれ我が居れば秋風吹きて月かたぶきぬ

2301: よしゑやし恋ひじとすれど秋風の寒く吹く夜は君をしぞ思ふ

2626: 古衣打棄つる人は秋風の立ちくる時に物思ふものぞ

2724: 秋風の千江の浦廻の木屑なす心は寄りぬ後は知らねど

3586: 我がゆゑに思ひな痩せそ秋風の吹かむその月逢はむものゆゑ

3659: 秋風は日に異に吹きぬ我妹子はいつとか我れを斎ひ待つらむ

3666: 夕されば秋風寒し我妹子が解き洗ひ衣行きて早着む

3946: 霍公鳥鳴きて過ぎにし岡びから秋風吹きぬよしもあらなくに(天平18年8月7日)

3947: 今朝の朝明秋風寒し遠つ人雁が来鳴かむ時近みかも(天平18年8月7日)

3953: 雁がねは使ひに来むと騒くらむ秋風寒みその川の上に(天平18年8月7日)

3993: 藤波は咲きて散りにき卯の花は今ぞ盛りとあしひきの.......(長歌)

4145: 春まけてかく帰るとも秋風にもみたむ山を越え来ざらめや

4219: 我が宿の萩咲きにけり秋風の吹かむを待たばいと遠みかも(天平勝宝2年6月15日)

4295: 高円の尾花吹き越す秋風に紐解き開けな直ならずとも(天平勝宝5年8月12日)

4306: 初秋風涼しき夕解かむとぞ紐は結びし妹に逢はむため(天平勝宝6年7月7日)

4309: 秋風に靡く川辺のにこ草のにこよかにしも思ほゆるかも(天平勝宝6年7月7日)

4311: 秋風に今か今かと紐解きてうら待ち居るに月かたぶきぬ(天平勝宝6年7月7日)

4444: 我が背子が宿なる萩の花咲かむ秋の夕は我れを偲はせ

4452: 娘子らが玉裳裾引くこの庭に秋風吹きて花は散りつつ(天平勝宝7年8月13日)

4453: 秋風の吹き扱き敷ける花の庭清き月夜に見れど飽かぬかも(天平勝宝7年8月13日)

4515: 秋風の末吹き靡く萩の花ともにかざさず相か別れむ(天平宝字2年7月5日)

秋田(秋の田)

秋の田 撮影 by きょう

秋の田は、収穫時期の田のことを指しています。万葉集では、秋田刈る、のように稲刈りを含んだ歌がみられます。

0088: 秋の田の穂の上に霧らふ朝霞いつへの方に我が恋やまむ

0114: 秋の田の穂向きの寄れる片寄りに君に寄りなな言痛くありとも

0512: 秋の田の穂田の刈りばかか寄りあはばそこもか人の我を言成さむ

1556: 秋田刈る仮廬もいまだ壊たねば雁が音寒し霜も置きぬがに

1567: 雲隠り鳴くなる雁の行きて居む秋田の穂立繁くし思ほゆ

1625: 我妹子が業と作れる秋の田の早稲穂のかづら見れど飽かぬかも

1758: 筑波嶺の裾廻の田居に秋田刈る妹がり遣らむ黄葉手折らな

2100: 秋田刈る仮廬の宿りにほふまで咲ける秋萩見れど飽かぬかも

2133: 秋の田の我が刈りばかの過ぎぬれば雁が音聞こゆ冬かたまけて

2174: 秋田刈る仮廬を作り我が居れば衣手寒く露ぞ置きにける

2176: 秋田刈る苫手動くなり白露し置く穂田なしと告げに来ぬらし

2235: 秋田刈る旅の廬りにしぐれ降り我が袖濡れぬ干す人なしに

2245: 太刀の後玉纒田居にいつまでか妹を相見ず家恋ひ居らむ

2246: 秋の田の穂の上に置ける白露の消ぬべくも我は思ほゆるかも

2247: 秋の田の穂向きの寄れる片寄りに我れは物思ふつれなきものを

2248: 秋田刈る仮廬を作り廬りしてあるらむ君を見むよしもがも

2250: 春霞たなびく田居に廬つきて秋田刈るまで思はしむらく

3943: 秋の田の穂向き見がてり我が背子がふさ手折り来るをみなへしかも

秋山(秋の山)

秋山 撮影 by きょう

秋山は、黄葉(もみじ)とセットで紅葉した山として詠まれることが多いです。また、人をほめて秋山に譬(たと)えて詠んだ歌もあります。

0016: 冬こもり春さり来れば鳴かずありし鳥も来鳴きぬ.......(長歌)

0092: 秋山の木の下隠り行く水の我れこそ益さめ御思ひよりは

0106: ふたり行けど行き過ぎかたき秋山をいかにか君がひとり越ゆらむ

0137: 秋山に落つる黄葉しましくはな散り乱ひそ妹があたり見む

0208: 秋山の黄葉を茂み惑ひぬる妹を求めむ山道知らずも

0217: 秋山のしたへる妹なよ竹のとをよる子らは.......(長歌)

1409: 秋山の黄葉あはれとうらぶれて入りにし妹は待てど来まさず

1516: 秋山にもみつ木の葉のうつりなばさらにや秋を見まく欲りせむ

1584: めづらしと我が思ふ君は秋山の初黄葉に似てこそありけれ

1703: 雲隠り雁鳴く時は秋山の黄葉片待つ時は過ぐれど

2177: 春は萌え夏は緑に紅のまだらに見ゆる秋の山かも

2179: 朝露ににほひそめたる秋山にしぐれな降りそありわたるがね

2184: 秋山をゆめ人懸くな忘れにしその黄葉の思ほゆらくに

2218: 一年にふたたび行かぬ秋山を心に飽かず過ぐしつるかも

2232: 秋山の木の葉もいまだもみたねば今朝吹く風は霜も置きぬべく

2239: 秋山のしたひが下に鳴く鳥の声だに聞かば何か嘆かむ

2243: 秋山に霜降り覆ひ木の葉散り年は行くとも我れ忘れめや

3234: やすみしし我ご大君高照らす日の御子の.......(長歌)

3707: 秋山の黄葉をかざし我が居れば浦潮満ち来いまだ飽かなくに

補足

更新日: 2017年06月25日(日)