平成10年11月22日(日)更新
私たちが知っている「竹取物語」は、平安時代のものですが、万葉集には「竹取翁(たけとりのおきな)」の話が載っています。この話は、「竹取物語」の元になった話の一つかもしれませんが、内容は大きく違っていますし、はっきりとはしていません。
あらすじ
竹取翁が春、丘に登ったときに、吸い物を作っている9人の美しい少女たちにあう。
少女たちが、翁に「(吸い物を煮ている)火を吹いて。」と言うので、翁が仲間に入る。
ところが、しばらくして、少女たちは一体誰がこの翁を呼んだのかと言い合う。そのため、翁はなれなれしくした詫びに、歌を詠んで聞かせる。
歌は次のようなこと。私(翁のこと)が若い頃には皆に大切にされ、華やかだったが、今は年をとってあなたたちにも嫌がられるようになってしまった。あなたたちも年をとって白髪が生えるようになると、今の私のように人に疎まれるようになるよ。
翁の歌を聞いて感心した少女たちは、それぞれが翁への自分の気持ちを歌に詠む。
次の三つの歌は、竹取翁の歌です。
3791: みどり子の若子髪にはたらちし母に抱かえひむつきの .......(長歌)
3792: 死なばこそ相見ずあらめ生きてあらば白髪子らに生ひずあらめやも
3793: 白髪し子らに生ひなばかくのごと若けむ子らに罵らえかねめや
以下は、9人の少女たちの歌です。
3794: はしきやし翁の歌におほほしき九の子らや感けて居らむ
3795: 恥を忍び恥を黙して事もなく物言はぬさきに我れは寄りなむ
3796: 否も諾も欲しきまにまに許すべき顔見ゆるかも我れも寄りなむ
3797: 死にも生きも同じ心と結びてし友や違はむ我れも寄りなむ
3798: 何すと違ひは居らむ否も諾も友のなみなみ我れも寄りなむ
3799: あにもあらじおのが身のから人の子の言も尽さじ我れも寄りなむ
3800: はだすすき穂にはな出でそ思ひたる心は知らゆ我れも寄りなむ
3801: 住吉の岸野の榛ににほふれどにほはぬ我れやにほひて居らむ
3802: 春の野の下草靡き我れも寄りにほひ寄りなむ友のまにまに
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