潮(しほ)

撮影 by きょう

満ち干する海の水ですね。船出は潮が満ちるのを待ちますし、潮が引くと海藻(かいそう)をとったりします。

潮(しほ)を詠んだ歌

万葉集の歌の中では、その多くが地名と結びついて詠みこまれています。歌を眺めていると海辺の生活の様子が浮かんでくるようです。

0008: 熟田津に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は漕ぎ出でな

0040: 嗚呼見の浦に舟乗りすらむをとめらが玉裳の裾に潮満つらむか

0042: 潮騒に伊良虞の島辺漕ぐ舟に妹乗るらむか荒き島廻を

0121: 夕さらば潮満ち来なむ住吉の浅香の浦に玉藻刈りてな

0162: 明日香の清御原の宮に天の下知らしめしし.......(長歌)

0229: 難波潟潮干なありそね沈みにし妹が姿を見まく苦しも

0271: 桜田へ鶴鳴き渡る年魚市潟潮干にけらし鶴鳴き渡る

0293: 潮干の御津の海女のくぐつ持ち玉藻刈るらむいざ行きて見む

0360: 潮干なば玉藻刈りつめ家の妹が浜づと乞はば何を示さむ

0388: 海神はくすしきものか淡路島中に立て置きて.......(長歌)

0533: 難波潟潮干のなごり飽くまでに人の見る子を我れし羨しも

0536: 意宇の海の潮干の潟の片思に思ひや行かむ道の長手を

0617: 葦辺より満ち来る潮のいや増しに思へか君が忘れかねつる

0917: やすみしし我ご大君の常宮と仕へ奉れる.......(長歌)

0918: 沖つ島荒礒の玉藻潮干満ちい隠りゆかば思ほえむかも

0919: 若の浦に潮満ち来れば潟をなみ葦辺をさして鶴鳴き渡る

0941: 明石潟潮干の道を明日よりは下笑ましけむ家近づけば

0958: 時つ風吹くべくなりぬ香椎潟潮干の浦に玉藻刈りてな

0976: 難波潟潮干のなごりよく見てむ家なる妹が待ち問はむため

1030: 妹に恋ひ吾の松原見わたせば潮干の潟に鶴鳴き渡る

1062: やすみしし我が大君のあり通ふ難波の宮は.......(長歌)

1064: 潮干れば葦辺に騒く白鶴の妻呼ぶ声は宮もとどろに

1144: 悔しくも満ちぬる潮か住吉の岸の浦廻ゆ行かましものを

1154: 雨は降る刈廬は作るいつの間に吾児の潮干に玉は拾はむ

1157: 時つ風吹かまく知らず吾児の海の朝明の潮に玉藻刈りてな

1160: 難波潟潮干に立ちて見わたせば淡路の島に鶴渡る見ゆ

1163: 年魚市潟潮干にけらし知多の浦に朝漕ぐ舟も沖に寄る見ゆ

1164: 潮干ればともに潟に出で鳴く鶴の声遠ざかる磯廻すらしも

1165: 夕なぎにあさりする鶴潮満てば沖波高み己妻呼ばふ

1216: 潮満たばいかにせむとか海神の神が手渡る海人娘子ども

1234: 潮早み磯廻に居れば潜きする海人とや見らむ旅行く我れを

1386: 大船に真楫しじ貫き漕ぎ出なば沖は深けむ潮は干ぬとも

1394: 潮満てば入りぬる礒の草なれや見らく少く恋ふらくの多き

1520: 彦星は織女と天地の別れし時ゆ.......(長歌)

1669: 南部の浦潮な満ちそね鹿島なる釣りする海人を見て帰り来む

1671: 由良の崎潮干にけらし白神の礒の浦廻をあへて漕ぐなり

1672: 黒牛潟潮干の浦を紅の玉裳裾引き行くは誰が妻

1726: 難波潟潮干に出でて玉藻刈る海人娘子ども汝が名告らさね

1780: ことひ牛の三宅の潟にさし向ふ鹿島の崎に.......(長歌)

1797: 潮気立つ荒礒にはあれど行く水の過ぎにし妹が形見とぞ来し

2731: 牛窓の波の潮騒島響み寄そりし君は逢はずかもあらむ

2734: 潮満てば水泡に浮かぶ真砂にも我は生けるか恋ひは死なずて

2831: みさご居る洲に居る舟の夕潮を待つらむよりは我れこそまされ

3159: 港廻に満ち来る潮のいや増しに恋はまされど忘らえぬかも

3243: 娘子らが麻笥に垂れたる続麻なす.......(長歌)

3366: ま愛しみさ寝に我は行く鎌倉の水無瀬川に潮満つなむか

3450: 乎久佐男と乎具佐受家男と潮舟の並べて見れば乎具佐勝ちめり

3503: 安齊可潟潮干のゆたに思へらばうけらが花の色に出めやも

3549: 多由比潟潮満ちわたるいづゆかも愛しき背ろが我がり通はむ

3553: あじかまの可家の港に入る潮のこてたずくもが入りて寝まくも

3556: 潮船の置かれば愛しさ寝つれば人言繁し汝をどかもしむ

3594: 潮待つとありける船を知らずして悔しく妹を別れ来にけり

3595: 朝開き漕ぎ出て来れば武庫の浦の潮干の潟に鶴が声すも

3610: 安胡の浦に舟乗りすらむ娘子らが赤裳の裾に潮満つらむか

3627: 朝されば妹が手にまく鏡なす御津の浜びに.......(長歌)

3638: これやこの名に負ふ鳴門のうづ潮に玉藻刈るとふ海人娘子ども

3642: 沖辺より潮満ち来らし可良の浦にあさりする鶴鳴きて騒きぬ

3706: 玉敷ける清き渚を潮満てば飽かず我れ行く帰るさに見む

3707: 秋山の黄葉をかざし我が居れば浦潮満ち来いまだ飽かなくに

3710: 潮干なばまたも我れ来むいざ行かむ沖つ潮騒高く立ち来ぬ

3849: 生き死にの二つの海を厭はしみ潮干の山を偲ひつるかも

3852: 鯨魚取り海や死にする山や死にする死ぬれこそ海は潮干て山は枯れすれ

3891: 荒津の海潮干潮満ち時はあれどいづれの時か我が恋ひざらむ

3895: 射水川い行き廻れる玉櫛笥二上山は.......(長歌)

3993: 藤波は咲きて散りにき卯の花は今ぞ盛りと.......(長歌)

4034: 奈呉の海に潮の早干ばあさりしに出でむと鶴は今ぞ鳴くなる

4045: 沖辺より満ち来る潮のいや増しに我が思ふ君が御船かもかれ

4211: 古にありけるわざのくすばしき事と言ひ継ぐ.......(長歌)

4331: 大君の遠の朝廷としらぬひ筑紫の国は.......(長歌)

4360: 皇祖の遠き御代にも押し照る難波の国に.......(長歌)

4368: 久慈川は幸くあり待て潮船にま楫しじ貫き我は帰り来む

4389: 潮舟の舳越そ白波にはしくも負ふせたまほか思はへなくに

4396: 堀江より朝潮満ちに寄る木屑貝にありせばつとにせましを

4398: 大君の命畏み妻別れ悲しくはあれど.......(長歌)

補足

更新日: 2016年05月29日(日)