田の風 撮影(2010.07) by きょう

風(かぜ)

単なる空気の流れですが、季節や天候、そして私たちの心の状態によって、さまざまな思いを起こさせますね。そして、それらの風にいろいろな名前を付けてきました。

風(かぜ)を詠んだ歌

風を詠んだ歌もかなりの数にのぼります。風、朝風、春風、沖つ風などさまざまですが、中でも「秋風」が最も多く詠まれています。そよぐ風、春の柔らかな風、冷たい風、恐ろしい風。自然と向き合う姿を知ることができますね。

0005: 霞立つ長き春日の暮れにけるわづきも知らず.......(長歌)

0006: 山越しの風を時じみ寝る夜おちず家なる妹を懸けて偲ひつ

0051: 采女の袖吹きかへす明日香風都を遠みいたづらに吹く

0059: 流らふる妻吹く風の寒き夜に我が背の君はひとりか寝らむ

0073: 我妹子を早見浜風大和なる我を松椿吹かざるなゆめ

0074: み吉野の山のあらしの寒けくにはたや今夜も我が独り寝む

0075: 宇治間山朝風寒し旅にして衣貸すべき妹もあらなくに

0081: 山辺の御井を見がてり神風の伊勢娘子どもあひ見つるかも

0131: 石見の海角の浦廻を浦なしと人こそ見らめ.......(長歌)

0138: 石見の海津の浦をなみ浦なしと人こそ見らめ.......(長歌)

0162: 明日香の清御原の宮に天の下知らしめしし.......(長歌)

0163: 神風の伊勢の国にもあらましを何しか来けむ君もあらなくに

0199: かけまくもゆゆしきかも言はまくもあやに畏き.......(長歌)

0220: 玉藻よし讃岐の国は国からか見れども飽かぬ.......(長歌)

0251: 淡路の野島が崎の浜風に妹が結びし紐吹き返す

0257: 天降りつく天の香具山霞立つ春に至れば.......(長歌)

0260: 天降りつく神の香具山うち靡く春さり来れば.......(長歌)

0294: 風をいたみ沖つ白波高からし海人の釣舟浜に帰りぬ

0352: 葦辺には鶴がね鳴きて港風寒く吹くらむ津乎の崎はも

0361: 秋風の寒き朝明を佐農の岡越ゆらむ君に衣貸さましを

0381: 家思ふと心進むな風まもり好くしていませ荒しその道

0425: 川風の寒き泊瀬を嘆きつつ君が歩くに似る人も逢へや

0434: 風早の美穂の浦廻の白つつじ見れども寂しなき人思へば

0462: 今よりは秋風寒く吹きなむをいかにかひとり長き夜を寝む

0465: うつせみの世は常なしと知るものを秋風寒み偲ひつるかも

0488: 君待つと我が恋ひ居れば我が宿の簾動かし秋の風吹く

0489: 風をだに恋ふるは羨し風をだに来むとし待たば何か嘆かむ

0500: 神風の伊勢の浜荻折り伏せて旅寝やすらむ荒き浜辺に

0606: 我れも思ふ人もな忘れおほなわに浦吹く風のやむ時もなし

0782: 風高く辺には吹けども妹がため袖さへ濡れて刈れる玉藻ぞ

0790: 春風の音にし出なばありさりて今ならずとも君がまにまに

0799: 大野山霧立ちわたる我が嘆くおきその風に霧立ちわたる

0892: 風交り雨降る夜の雨交り雪降る夜は.......(長歌)

0904: 世間の貴び願ふ七種の宝も我れは何せむに.......(長歌)

0917: やすみしし我ご大君の常宮と仕へ奉れる.......(長歌)

0945: 風吹けば波か立たむとさもらひに都太の細江に浦隠り居り

0958: 時つ風吹くべくなりぬ香椎潟潮干の浦に玉藻刈りてな

0979: 我が背子が着る衣薄し佐保風はいたくな吹きそ家に至るまで

1020: 大君の命畏みさし並ぶ国に出でます.......(長歌)

1021: 大君の命畏みさし並ぶ国に出でます.......(長歌)

1042: 一つ松幾代か経ぬる吹く風の音の清きは年深みかも

1065: 八千桙の神の御代より百舟の泊つる泊りと.......(長歌)

1117: 島廻すと磯に見し花風吹きて波は寄すとも採らずはやまじ

1157: 時つ風吹かまく知らず吾児の海の朝明の潮に玉藻刈りてな

1158: 住吉の沖つ白波風吹けば来寄する浜を見れば清しも

1161: 家離り旅にしあれば秋風の寒き夕に雁鳴き渡る

1198: あさりすと礒に棲む鶴明けされば浜風寒み己妻呼ぶも

1219: 若の浦に白波立ちて沖つ風寒き夕は大和し思ほゆ

1223: 海の底沖漕ぐ舟を辺に寄せむ風も吹かぬか波立てずして

1228: 風早の三穂の浦廻を漕ぐ舟の舟人騒く波立つらしも

1246: 志賀の海人の塩焼く煙風をいたみ立ちは上らず山にたなびく

1309: 風吹きて海は荒るとも明日と言はば久しくあるべし君がまにまに

1317: 海の底沈く白玉風吹きて海は荒るとも取らずはやまじ

1319: 大海の水底照らし沈く玉斎ひて採らむ風な吹きそね

1327: 秋風は継ぎてな吹きそ海の底沖なる玉を手に巻くまでに

1333: 佐保山をおほに見しかど今見れば山なつかしも風吹くなゆめ

1390: 近江の海波畏みと風まもり年はや経なむ漕ぐとはなしに

1391: 朝なぎに来寄る白波見まく欲り我れはすれども風こそ寄せね

1400: 島伝ふ足早の小舟風まもり年はや経なむ逢ふとはなしに

1401: 水霧らふ沖つ小島に風をいたみ舟寄せかねつ心は思へど

1437: 霞立つ春日の里の梅の花山のあらしに散りこすなゆめ

1445: 風交り雪は降るとも実にならぬ我家の梅を花に散らすな

1458: やどにある桜の花は今もかも松風早み地に散るらむ

1468: 霍公鳥声聞く小野の秋風に萩咲きぬれや声の乏しき

1521: 風雲は二つの岸に通へども我が遠妻の言ぞ通はぬ

1523: 秋風の吹きにし日よりいつしかと我が待ち恋ひし君ぞ来ませる

1535: 我が背子をいつぞ今かと待つなへに面やは見えむ秋の風吹く

1542: 我が岡の秋萩の花風をいたみ散るべくなりぬ見む人もがも

1555: 秋立ちて幾日もあらねばこの寝ぬる朝明の風は手本寒しも

1590: 十月時雨にあへる黄葉の吹かば散りなむ風のまにまに

1597: 秋の野に咲ける秋萩秋風に靡ける上に秋の露置けり

1606: 君待つと我が恋ひをれば我が宿の簾動かし秋の風吹く

1607: 風をだに恋ふるは羨し風をだに来むとし待たば何か嘆かむ

1617: 秋萩に置きたる露の風吹きて落つる涙は留めかねつも

1626: 秋風の寒きこのころ下に着む妹が形見とかつも偲はむ

1628: 我が宿の萩の下葉は秋風もいまだ吹かねばかくぞもみてる

1632: あしひきの山辺に居りて秋風の日に異に吹けば妹をしぞ思ふ

1647: 梅の花枝にか散ると見るまでに風に乱れて雪ぞ降り来る

1660: 梅の花散らすあらしの音のみに聞きし我妹を見らくしよしも

1673: 風莫の浜の白波いたづらにここに寄せ来る見る人なしに

1700: 秋風に山吹の瀬の鳴るなへに天雲翔る雁に逢へるかも

1715: 楽浪の比良山風の海吹けば釣りする海人の袖返る見ゆ

1747: 白雲の龍田の山の瀧の上の小椋の嶺に.......(長歌)

1748: 我が行きは七日は過ぎじ龍田彦ゆめこの花を風にな散らし

1751: 島山をい行き廻れる川沿ひの岡辺の道ゆ.......(長歌)

1757: 草枕旅の憂へを慰もることもありやと.......(長歌)

1764: 久方の天の川原に上つ瀬に玉橋渡し.......(長歌)

1836: 風交り雪は降りつつしかすがに霞たなびき春さりにけり

1838: 峰の上に降り置ける雪し風の共ここに散るらし春にはあれども

1851: 青柳の糸のくはしさ春風に乱れぬい間に見せむ子もがも

1856: 我がかざす柳の糸を吹き乱る風にか妹が梅の散るらむ

1966: 風に散る花橘を袖に受けて君がみ跡と偲ひつるかも

2013: 天の川水蔭草の秋風に靡かふ見れば時は来にけり

2016: ま日長く恋ふる心ゆ秋風に妹が音聞こゆ紐解き行かな

2041: 秋風の吹きただよはす白雲は織女の天つ領巾かも

2043: 秋風の清き夕に天の川舟漕ぎ渡る月人壮士

2046: 秋風に川波立ちぬしましくは八十の舟津にみ舟留めよ

2054: 風吹きて川波立ちぬ引き船に渡りも来ませ夜の更けぬ間に

2058: 年に装る我が舟漕がむ天の川風は吹くとも波立つなゆめ

2083: 秋風の吹きにし日より天の川瀬に出で立ちて待つと告げこそ

2089: 天地の初めの時ゆ天の川い向ひ居りて.......(長歌)

2092: 天地と別れし時ゆ久方の天つしるしと.......(長歌)

2096: 真葛原靡く秋風吹くごとに阿太の大野の萩の花散る

2102: この夕秋風吹きぬ白露に争ふ萩の明日咲かむ見む

2103: 秋風は涼しくなりぬ馬並めていざ野に行かな萩の花見に

2108: 秋風は疾く疾く吹き来萩の花散らまく惜しみ競ひ立たむ見む

2109: 我が宿の萩の末長し秋風の吹きなむ時に咲かむと思ひて

2121: 秋風は日に異に吹きぬ高円の野辺の秋萩散らまく惜しも

2125: 春日野の萩し散りなば朝東風の風にたぐひてここに散り来ね

2128: 秋風に大和へ越ゆる雁がねはいや遠ざかる雲隠りつつ

2134: 葦辺なる荻の葉さやぎ秋風の吹き来るなへに雁鳴き渡る

2136: 秋風に山飛び越ゆる雁がねの声遠ざかる雲隠るらし

2158: 秋風の寒く吹くなへ我が宿の浅茅が本にこほろぎ鳴くも

2175: このころの秋風寒し萩の花散らす白露置きにけらしも

2189: 露霜の寒き夕の秋風にもみちにけらし妻梨の木は

2193: 秋風の日に異に吹けば水茎の岡の木の葉も色づきにけり

2198: 風吹けば黄葉散りつつすくなくも吾の松原清くあらなくに

2204: 秋風の日に異に吹けば露を重み萩の下葉は色づきにけり

2205: 秋萩の下葉もみちぬあらたまの月の経ぬれば風をいたみかも

2230: 恋ひつつも稲葉かき別け家居れば乏しくもあらず秋の夕風

2231: 萩の花咲きたる野辺にひぐらしの鳴くなるなへに秋の風吹く

2232: 秋山の木の葉もいまだもみたねば今朝吹く風は霜も置きぬべく

2260: 我妹子は衣にあらなむ秋風の寒きこのころ下に着ましを

2261: 泊瀬風かく吹く宵はいつまでか衣片敷き我がひとり寝む

2298: 君に恋ひ萎えうらぶれ我が居れば秋風吹きて月かたぶきぬ

2301: よしゑやし恋ひじとすれど秋風の寒く吹く夜は君をしぞ思ふ

2338: 霰降りいたく風吹き寒き夜や旗野に今夜我が独り寝む

2350: あしひきの山のあらしは吹かねども君なき宵はかねて寒しも

2359: 息の緒に我れは思へど人目多みこそ吹く風にあらばしばしば逢ふべきものを

2364: 玉垂の小簾のすけきに入り通ひ来ねたらちねの母が問はさば風と申さむ

2459: 我が背子が浜行く風のいや早に言を早みかいや逢はずあらむ

2626: 古衣打棄つる人は秋風の立ちくる時に物思ふものぞ

2677: 佐保の内ゆあらしの風の吹きぬれば帰りは知らに嘆く夜ぞ多き

2678: はしきやし吹かぬ風ゆゑ玉櫛笥開けてさ寝にし我れぞ悔しき

2679: 窓越しに月おし照りてあしひきのあらし吹く夜は君をしぞ思ふ

2717: 朝東風にゐで越す波の外目にも逢はぬものゆゑ瀧もとどろに

2724: 秋風の千江の浦廻の木屑なす心は寄りぬ後は知らねど

2726: 風吹かぬ浦に波立ちなき名をも我れは負へるか逢ふとはなしに

2736: 風をいたみいたぶる波の間なく我が思ふ妹は相思ふらむか

2858: 妹に恋ひ寐ねぬ朝明に吹く風は妹にし触れば我れさへに触れ

3056: 妹が門行き過ぎかねて草結ぶ風吹き解くなまたかへり見む

3178: 国遠み思ひなわびそ風の共雲の行くごと言は通はむ

3201: 時つ風吹飯の浜に出で居つつ贖ふ命は妹がためこそ

3234: やすみしし我ご大君高照らす日の御子の.......(長歌)

3268: みもろの神奈備山ゆとの曇り雨は降り来ぬ.......(長歌)

3280: 我が背子は待てど来まさず天の原.......(長歌)

3301: 神風の伊勢の海の朝なぎに来寄る深海松.......(長歌)

3335: 玉桙の道行く人はあしひきの山行き野行き.......(長歌)

3338: あしひきの山道は行かむ風吹けば波の塞ふる海道は行かじ

3339: 玉桙の道に出で立ちあしひきの野行き山行き.......(長歌)

3380: 埼玉の津に居る船の風をいたみ綱は絶ゆとも言な絶えそね

3422: 伊香保風吹く日吹かぬ日ありと言へど我が恋のみし時なかりけり

3453: 風の音の遠き我妹が着せし衣手本のくだりまよひ来にけり

3509: 栲衾白山風の寝なへども子ろがおそきのあろこそえしも

3564: 古須気ろの浦吹く風のあどすすか愛しけ子ろを思ひ過ごさむ

3572: あど思へか阿自久麻山の弓絃葉のふふまる時に風吹かずかも

3586: 我がゆゑに思ひな痩せそ秋風の吹かむその月逢はむものゆゑ

3592: 海原に浮寝せむ夜は沖つ風いたくな吹きそ妹もあらなくに

3616: 沖つ風いたく吹きせば我妹子が嘆きの霧に飽かましものを

3625: 夕されば葦辺に騒き明け来れば沖になづさふ.......(長歌)

3646: 浦廻より漕ぎ来し船を風早み沖つみ浦に宿りするかも

3659: 秋風は日に異に吹きぬ我妹子はいつとか我れを斎ひ待つらむ

3661: 風の共寄せ来る波に漁りする海人娘子らが裳の裾濡れぬ

3666: 夕されば秋風寒し我妹子が解き洗ひ衣行きて早着む

3673: 風吹けば沖つ白波畏みと能許の亭にあまた夜ぞ寝る

3946: 霍公鳥鳴きて過ぎにし岡びから秋風吹きぬよしもあらなくに

3947: 今朝の朝明秋風寒し遠つ人雁が来鳴かむ時近みかも

3953: 雁がねは使ひに来むと騒くらむ秋風寒みその川の上に

4006: かき数ふ二上山に神さびて立てる栂の木.......(長歌)

4017: あゆの風いたく吹くらし奈呉の海人の釣する小船漕ぎ隠る見ゆ

4018: 港風寒く吹くらし奈呉の江に妻呼び交し鶴多に鳴く

4093: 阿尾の浦に寄する白波いや増しに立ちしき寄せ来東風をいたみかも

4106: 大汝少彦名の神代より言ひ継ぎけらく.......(長歌)

4145: 春まけてかく帰るとも秋風にもみたむ山を越え来ざらめや

4160: 天地の遠き初めよ世間は常なきものと.......(長歌)

4213: 東風をいたみ奈呉の浦廻に寄する波いや千重しきに恋ひわたるかも

4214: 天地の初めの時ゆうつそみの八十伴の男は.......(長歌)

4219: 我が宿の萩咲きにけり秋風の吹かむを待たばいと遠みかも

4245: そらみつ大和の国あをによし奈良の都ゆ.......(長歌)

4291: 我が宿のい笹群竹吹く風の音のかそけきこの夕かも

4295: 高円の尾花吹き越す秋風に紐解き開けな直ならずとも

4306: 初秋風涼しき夕解かむとぞ紐は結びし妹に逢はむため

4309: 秋風に靡く川辺のにこ草のにこよかにしも思ほゆるかも

4311: 秋風に今か今かと紐解きてうら待ち居るに月かたぶきぬ

4353: 家風は日に日に吹けど我妹子が家言持ちて来る人もなし

4371: 橘の下吹く風のかぐはしき筑波の山を恋ひずあらめかも

4452: 娘子らが玉裳裾引くこの庭に秋風吹きて花は散りつつ

4453: 秋風の吹き扱き敷ける花の庭清き月夜に見れど飽かぬかも

4514: 青海原風波靡き行くさ来さつつむことなく船は速けむ

4515: 秋風の末吹き靡く萩の花ともにかざさず相か別れむ

補足

更新日: 2017年11月12日(日)