
雨(あめ)
空から降ってくる水滴ですが、さまざまな大きさの雨や量、温度、そして私たちの心の状態によって、雨にもいろいろな名前がついています。
雨(あめ)を詠んだ歌
雨を詠んだ歌は100首(ただし、雨の情景だけでなく、雨にたとえた歌も含んだ場合です)を超えます。よく表われるのは、雨・時雨(しぐれ)・春雨(はるさめ)・小雨(こさめ)などです。表現上、「雨な降りそね(雨よ、降らないで)」というのも5首ほどにでてきます。
1864: あしひきの山の際照らす桜花この春雨に散りゆかむかも
1869: 春雨に争ひかねて我が宿の桜の花は咲きそめにけり
1870: 春雨はいたくな降りそ桜花いまだ見なくに散らまく惜しも
1877: 春の雨にありけるものを立ち隠り妹が家道にこの日暮らしつ
1878: 今行きて聞くものにもが明日香川春雨降りてたぎつ瀬の音を
1915: 我が背子に恋ひてすべなみ春雨の降るわき知らず出でて来しかも
1916: 今さらに君はい行かじ春雨の心を人の知らずあらなくに
1917: 春雨に衣はいたく通らめや七日し降らば七日来じとや
1918: 梅の花散らす春雨いたく降る旅にや君が廬りせるらむ
1929: さのかたは実になりにしを今さらに春雨降りて花咲かめやも
1932: 春雨のやまず降る降る我が恋ふる人の目すらを相見せなくに
1933: 我妹子に恋ひつつ居れば春雨のそれも知るごとやまず降りつつ
1959: 雨晴れの雲にたぐひて霍公鳥春日をさしてこゆ鳴き渡る
1963: かくばかり雨の降らくに霍公鳥卯の花山になほか鳴くらむ
1970: 見わたせば向ひの野辺のなでしこの散らまく惜しも雨な降りそね
1971: 雨間明けて国見もせむを故郷の花橘は散りにけむかも
2052: この夕降りくる雨は彦星の早漕ぐ舟の櫂の散りかも
2097: 雁がねの来鳴かむ日まで見つつあらむこの萩原に雨な降りそね
2116: 白露に争ひかねて咲ける萩散らば惜しけむ雨な降りそね
2160: 庭草に村雨降りてこほろぎの鳴く声聞けば秋づきにけり
2169: 夕立ちの雨降るごとに春日野の尾花が上の白露思ほゆ
2180: 九月のしぐれの雨に濡れ通り春日の山は色づきにけり
2196: しぐれの雨間なくし降れば真木の葉も争ひかねて色づきにけり
2197: いちしろくしぐれの雨は降らなくに大城の山は色づきにけり
2217: 君が家の黄葉は早く散りにけりしぐれの雨に濡れにけらしも
2227: 思はぬにしぐれの雨は降りたれど天雲晴れて月夜さやけし
2234: 一日には千重しくしくに我が恋ふる妹があたりにしぐれ降れ見む
2235: 秋田刈る旅の廬りにしぐれ降り我が袖濡れぬ干す人なしに
2236: 玉たすき懸けぬ時なし我が恋はしぐれし降らば濡れつつも行かむ
2237: 黄葉を散らすしぐれの降るなへに夜さへぞ寒きひとりし寝れば
2262: 秋萩を散らす長雨の降るころはひとり起き居て恋ふる夜ぞ多き
2263: 九月のしぐれの雨の山霧のいぶせき我が胸誰を見ばやまむ
2308: 雨降ればたぎつ山川岩に触れ君が砕かむ心は持たじ
2456: ぬばたまの黒髪山の山菅に小雨降りしきしくしく思ほゆ
2457: 大野らに小雨降りしく木の下に時と寄り来ね我が思ふ人
2513: 鳴る神の少し響みてさし曇り雨も降らぬか君を留めむ
2681: 我が背子が使を待つと笠も着ず出でつつぞ見し雨の降らくに
2682: 韓衣君にうち着せ見まく欲り恋ひぞ暮らしし雨の降る日を
2683: 彼方の埴生の小屋に小雨降り床さへ濡れぬ身に添へ我妹
2684: 笠なしと人には言ひて雨障み留まりし君が姿し思ほゆ
2685: 妹が門行き過ぎかねつひさかたの雨も降らぬかそをよしにせむ
2840: いくばくも降らぬ雨ゆゑ我が背子が御名のここだく瀧もとどろに
3012: との曇り雨布留川のさざれ波間なくも君は思ほゆるかも
3032: 君があたり見つつも居らむ生駒山雲なたなびき雨は降るとも
3036: 思ひ出づる時はすべなみ佐保山に立つ雨霧の消ぬべく思ほゆ
3046: 楽浪の波越すあざに降る小雨間も置きて我が思はなくに
3121: 我が背子が使を待つと笠も着ず出でつつぞ見し雨の降らくに
3122: 心なき雨にもあるか人目守り乏しき妹に今日だに逢はむを
3124: 雨も降り夜も更けにけり今さらに君去なめやも紐解き設けな
3125: ひさかたの雨の降る日を我が門に蓑笠着ずて来る人や誰れ
3126: 巻向の穴師の山に雲居つつ雨は降れども濡れつつぞ来し
3213: 十月しぐれの雨に濡れつつか君が行くらむ宿か借るらむ
3214: 十月雨間も置かず降りにせばいづれの里の宿か借らまし
3268: みもろの神奈備山ゆとの曇り雨は降り来ぬ.......(長歌)
3293: み吉野の御金が岳に間なくぞ雨は降るといふ.......(長歌)
3310: 隠口の泊瀬の国にさよばひに我が来れば.......(長歌)
3561: 金門田を荒垣ま斎み日が照れば雨を待とのす君をと待とも
3697: 百船の泊つる対馬の浅茅山しぐれの雨にもみたひにけり
3782: 雨隠り物思ふ時に霍公鳥我が住む里に来鳴き響もす
3791: みどり子の若子髪にはたらちし母に抱かえ.......(長歌)
3819: 夕立の雨うち降れば春日野の尾花が末の白露思ほゆ
3837: ひさかたの雨も降らぬか蓮葉に溜まれる水の玉に似たる見む
3877: 紅に染めてし衣雨降りてにほひはすともうつろはめやも
3883: 弥彦おのれ神さび青雲のたなびく日すら小雨そほ降る
3889: 人魂のさ青なる君がただひとり逢へりし雨夜の葉非左し思ほゆ
3903: 春雨に萌えし柳か梅の花ともに後れぬ常の物かも
3916: 橘のにほへる香かも霍公鳥鳴く夜の雨にうつろひぬらむ
3969: 大君の任けのまにまにしなざかる越を治めに.......(長歌)
4011: 大君の遠の朝廷ぞみ雪降る越と名に追へる......(長歌)
4111: かけまくもあやに畏し天皇の神の大御代に.......(長歌)
4122: 天皇の敷きます国の天の下四方の道には.......(長歌)
4123: この見ゆる雲ほびこりてとの曇り雨も降らぬか心足らひに
4124: 我が欲りし雨は降り来ぬかくしあらば言挙げせずとも年は栄えむ
4138: 薮波の里に宿借り春雨に隠りつつむと妹に告げつや
4217: 卯の花を腐す長雨の始水に寄る木屑なす寄らむ子もがも
4259: 十月時雨の常か我が背子が宿の黄葉散りぬべく見ゆ
4442: 我が背子が宿のなでしこ日並べて雨は降れども色も変らず
4443: ひさかたの雨は降りしくなでしこがいや初花に恋しき我が背
