万葉仮名(まんようがな)

2009年10月11日(日)更新


万葉集の原文は、漢字だらけ、というか漢字だけです。初めて見たときは、一体なんなんだこれは、と思いますよね。これは、万葉仮名(まんようがな)とよばれているものです。

万葉集では、歌を漢字の音や訓を使って表現しています。それらの中は元々の漢字の表わす意味とは関係のない使われ方をしているものも沢山あります。この万葉仮名が、後にひらがな・カタカナに発展していったと考えられます。

なお、万葉仮名は、古事記・日本書紀にも使われていますが、ここでは万葉集に載っているものを中心にリストしています。

たけち

万葉仮名(まんようがな)一覧

それぞれの万葉仮名は、一部を掲載しているだけです。すべててはありませんのでご注意ください。

万葉仮名

備考

阿、安、足、余、吾、網、嗚呼
伊、夷、以、異、移、射、五、馬声
宇、羽、有、卯、得、兎、菟
衣、依、愛、榎、荏、得
意、憶、於、応、於、飫、億、隠
可、何、加、架、香、蚊、鹿、日
き(甲)支、伎、岐、企、棄、寸、来、杵、服、刻
き(乙)貴、紀、記、奇、寄、忌、幾、木、樹、城
久、九、口、丘、苦、鳩、来、具、倶、供、求、救、孔、玖
け(甲)祁、家、計、係、価、結、鶏、異、来、盖
け(乙)気、既、毛、飼、食、消、飼、介、木
こ(甲)古、姑、枯、故、侯、孤、児、粉、籠、子、児、小
こ(乙)己、巨、去、居、忌、許、虚、興、木、樹
左、佐、沙、作、者、柴、紗、草、散、狭、猿、羅
子、之、芝、水、四、司、詞、斯、志、思、信、偲、寺、侍、時、歌、詩、師、紫、新、旨、指、次、此、死、事、准、磯、為、僧、石、礎、足、羊蹄、二二
寸、須、周、酒、州、珠、数、酢、栖、渚、巣、為、簀
世、西、斉、勢、施、背、脊、迫、瀬、栖、剤、細、是、制
そ(甲)宗、祖、素、蘇、十、麻、礒、追馬
そ(乙)所、則、曾、僧、増、憎、衣、背、苑、其、彼
太、多、他、丹、駄、田、手、立
知、智、陳、千、乳、血、茅、市、道
都、豆、通、追、川、津、管
堤、天、帝、底、手、代、直、而、価
と(甲)刀、土、斗、度、戸、利、速、砺、砥、外、門、聡
と(乙)止、等、登、澄、得、騰、十、鳥、常、跡、迹、飛、与
那、男、奈、南、寧、難、七、名、魚、菜、嘗、无、勿、莫、無、半
二、人、日、仁、爾、迩、尼、耳、柔、丹、荷、似、煮、煎、土、何
奴、努、怒、農、濃、沼、宿、寐
禰、尼、泥、年、根、宿、嶺
の(甲)努、怒、野
の(乙)乃、能、笑、荷、箆、野
八、方、芳、房、半、伴、倍、泊、波、婆、破、薄、播、幡、羽、早、者、速、葉、歯
ひ(甲)比、必、卑、賓、日、氷、負、飯、檜
ひ(乙)火、樋、干、乾
不、否、布、負、部、敷、経、歴、生、歴
へ(甲)平、反、返、弁、弊、陛、遍、覇、部、辺、重、隔、方、家
へ(乙)閉、倍、陪、拝、戸、経、瓦缶、瓮
ほ(甲)百、穂
ほ(乙)百、帆、太、穂
万、末、馬、麻、摩、磨、満、前、真、間、鬼、喚犬
み(甲)民、彌、美、三、水、見、視、御、参、看、監
み(乙)未、味、尾、微、身、実、箕
牟、武、無、模、務、謀、六、牛鳴
め(甲)売、馬、面、女、婦
め(乙)梅、米、迷、昧、目、眼、海藻
も(甲)毛、木、問、聞、藻、哭
も(乙)方、面、裙、藻、哭、喪、裳
也、移、夜、楊、耶、野、八、矢、屋
由、喩、遊、湯、弓
いぇ曳、延、要、遥、叡、兄、江、吉、枝
よ(甲)用、容、欲、夜
よ(乙)与、余、四、世、代、吉、呼
良、浪、郎、楽、羅、等
里、理、利、梨、隣、入、煎
留、流、類
礼、列、例、烈、連、村
ろ(甲)路、漏
ろ(乙)呂、侶、里
和、丸、輪
位、為、謂、井、猪、藍、藺
廻、恵、面、咲、坐、座
乎、呼、遠、鳥、怨、越、少、小、尾、麻、男、緒、雄、絃、男、緒、綬
奇、宜、我、蛾、何、河、賀、俄、餓
ぎ(甲)伎、祇、芸、岐、儀、蟻
ぎ(乙)疑、宜、義、擬
具、遇、隅、求、愚、虞
げ(甲)下、牙、雅、夏
げ(乙)義、気、宜、礙、削
ご(甲)吾、呉、胡、娯、後、籠、児、悟、誤
ご(乙)其、期、碁、語、御、馭、凝
社、射、謝、耶、奢、装、蔵
自、士、仕、司、時、尽、慈、耳、餌、児、弐、爾
受、授、殊、儒、簀
是、湍
ぞ(甲)
ぞ(乙)序、叙、賊、存、茹、鋤
陀、太、大、嚢
遅、治、地、恥、尼、泥、道、路
豆、頭、弩
代、田、泥、庭、伝、殿、而、涅、提、弟
ど(甲)土、度、渡、奴、怒
ど(乙)特、藤、騰、等、耐、抒、杼
伐、婆、磨、魔
び(甲)婢、鼻、弥
び(乙)備、肥、飛、乾、眉、媚
夫、扶、府、文、柔、歩、部、蜂音
弁、便、別、部
倍、毎
煩、菩、番、蕃

補足: 拗促音(ようそくおん)などについて

奈良時代には、「きゃ・きゅ・きょ、だっ・かっ」などの「拗促音(ようそくおん)」は無かったようです(まったく無かったかどうかはわかりません)。ちょっと、驚きですね。「たって」とか、「すわって」とかの音は、平安時代あたりから中国語の影響で、かなりはっきりとしてきたようです。

奈良時代には、ふぁ・ふぃ・ふぅ・ふぇ・ふぉという音があったようですが、これらの音は室町時代あたりからなくなってきて、今では、「は・ひ・ふ・へ・ほ」だけが残っています。