万葉集: 橡(つるばみ)を詠んだ歌

2008年10月12日(日)更新


橡(つるばみ)は、ブナ科コナラ属の落葉高木のクヌギ(椚・櫟・橡)のことです。5月頃に花をつけ、秋に丸みのある大きなドングリをつけます。

ドングリの実を煮出して、鉄を媒染材として、紺黒色の染料として使ったそうです。これで染めた衣は、庶民のための質素なものだったとか。

撮影(1998) by きょう

クヌギの実 撮影(2008.10) by きょう

万葉集に六首あり、派手さはないけれど、しっかりとした恋を歌ったものです。写真はクヌギの実です。


1311: 橡の衣は人皆事なしと言ひし時より着欲しく思ほゆ

1314: 橡の解き洗ひ衣のあやしくもことに着欲しきこの夕かも

2965: 橡の袷の衣裏にせば我れ強ひめやも君が来まさぬ

2968: 橡の一重の衣うらもなくあるらむ子ゆゑ恋ひわたるかも

3009: 橡の衣解き洗ひ真土山本つ人にはなほしかずけり

4109: 紅はうつろふものぞ橡のなれにし来ぬになほしかめやも