撮影(2010) by きょう

橘(たちばな)

ミカン科の常緑小高木です。橘(たちばな)は、ニッポンタチバナまたはミカンのこと、もしくはミカン類の総称と考えられています。

ニッポンタチバナは、日本産で、現在では愛知県以西でごくまれに見られるそうです。6月頃に小さくて白い花を咲かせ、冬に実をつけます。実はとてもすっぱいそうです。

古事記では、橘(たちばな)は非時香果(ときじくのみ)とされています。非時香果(ときじくのみ)とは、いつでも香りたかい果実、という意味です。この実には尊い生命力が宿ると信じられていたようです。

橘(たちばな)を詠んだ歌

橘(たちばな)を詠んだ歌は、万葉集には72首もあります。霍公鳥とセットの歌がたくさんあります。

0125: 橘の蔭踏む道の八衢に物をぞ思ふ妹に逢はずして

0179: 橘の嶋の宮には飽かぬかも佐田の岡辺に侍宿しに行く

0410: 橘を宿に植ゑ生ほし立ちて居て後に悔ゆとも験あらめやも

0411: 我妹子がやどの橘いと近く植ゑてし故にならずはやまじ

0423: つのさはふ磐余の道を朝さらず.......(長歌)

1009: 橘は実さへ花さへその葉さへ枝に霜降れどいや常葉の木

1027: 橘の本に道踏む八衢に物をぞ思ふ人に知らえず

1315: 橘の島にし居れば川遠みさらさず縫ひし我が下衣

1404: 鏡なす我が見し君を阿婆の野の花橘の玉に拾ひつ

1473: 橘の花散る里の霍公鳥片恋しつつ鳴く日しぞ多き

1478: 我が宿の花橘のいつしかも玉に貫くべくその実なりなむ

1481: 我が宿の花橘に霍公鳥今こそ鳴かめ友に逢へる時

1483: 我が背子が宿の橘花をよみ鳴く霍公鳥見にぞ我が来し

1486: 我が宿の花橘を霍公鳥来鳴かず地に散らしてむとか

1489: 我が宿の花橘は散り過ぎて玉に貫くべく実になりにけり

1492: 君が家の花橘はなりにけり花のある時に逢はましものを

1493: 我が宿の花橘を霍公鳥来鳴き響めて本に散らしつ

1502: 五月の花橘を君がため玉にこそ貫け散らまく惜しみ

1504: 暇なみ五月をすらに我妹子が花橘を見ずか過ぎなむ

1507: いかといかとある我が宿に百枝さし.......(長歌)

1508: 望ぐたち清き月夜に我妹子に見せむと思ひしやどの橘

1509: 妹が見て後も鳴かなむ霍公鳥花橘を地に散らしつ

1755: 鴬の卵の中に霍公鳥独り生れて己が父に.......(長歌)

1950: 霍公鳥花橘の枝に居て鳴き響もせば花は散りつつ

1954: 霍公鳥来居も鳴かぬか我がやどの花橘の地に落ちむ見む

1958: 橘の林を植ゑむ霍公鳥常に冬まで棲みわたるがね

1966: 風に散る花橘を袖に受けて君がみ跡と偲ひつるかも

1967: かぐはしき花橘を玉に貫き贈らむ妹はみつれてもあるか

1968: 霍公鳥来鳴き響もす橘の花散る庭を見む人や誰れ

1969: 我が宿の花橘は散りにけり悔しき時に逢へる君かも

1971: 雨間明けて国見もせむを故郷の花橘は散りにけむかも

1978: 橘の花散る里に通ひなば山霍公鳥響もさむかも

1980: 五月山花橘に霍公鳥隠らふ時に逢へる君かも

1987: 片縒りに糸をぞ我が縒る我が背子が花橘を貫かむと思ひて

1990: 我れこそば憎くもあらめ我がやどの花橘を見には来じとや

2251: 橘を守部の里の門田早稲刈る時過ぎぬ来じとすらしも

2489: 橘の本に我を立て下枝取りならむや君と問ひし子らはも

2750: 我妹子に逢はず久しもうましもの安倍橘の苔生すまでに

3239: 近江の海泊り八十あり八十島の島の崎々.......(長歌)

3307: しかれこそ年の八年を切り髪のよち子を過ぎ..........

3309: 物思はず道行く行くも青山をふりさけ見れば.......(長歌)

3496: 橘の古婆の放髪が思ふなむ心うつくしいで我れは行かな

3574: 小里なる花橘を引き攀ぢて折らむとすれどうら若みこそ

3779: 我が宿の花橘はいたづらに散りか過ぐらむ見る人なしに

3822: 橘の寺の長屋に我が率寝し童女放髪は髪上げつらむか

3823: 橘の照れる長屋に我が率ねし童女放髪に髪上げつらむか

3909: 橘は常花にもが霍公鳥住むと来鳴かば聞かぬ日なけむ

3912: 霍公鳥何の心ぞ橘の玉貫く月し来鳴き響むる

3916: 橘のにほへる香かも霍公鳥鳴く夜の雨にうつろひぬらむ

3918: 橘のにほへる園に霍公鳥鳴くと人告ぐ網ささましを

3920: 鶉鳴く古しと人は思へれど花橘のにほふこの宿

3984: 玉に貫く花橘をともしみしこの我が里に来鳴かずあるらし

3998: 我が宿の花橘を花ごめに玉にぞ我が貫く待たば苦しみ

4058: 橘のとをの橘八つ代にも我れは忘れじこの橘を

4059: 橘の下照る庭に殿建てて酒みづきいます我が大君かも

4060: 月待ちて家には行かむ我が插せる赤ら橘影に見えつつ

4063: 常世物この橘のいや照りにわご大君は今も見るごと

4064: 大君は常磐にまさむ橘の殿の橘ひた照りにして

4092: 霍公鳥いとねたけくは橘の花散る時に来鳴き響むる

4101: 珠洲の海人の沖つ御神にい渡りて.......(長歌)

4102: 白玉を包みて遣らばあやめぐさ花橘にあへも貫くがね

4111: かけまくもあやに畏し天皇の.......(長歌)

4112: 橘は花にも実にも見つれどもいや時じくになほし見が欲し

4166: 時ごとにいやめづらしく八千種に草木花咲き.......(長歌)

4169: 霍公鳥来鳴く五月に咲きにほふ.......(長歌)

4172: 霍公鳥来鳴き響めば草取らむ花橘を宿には植ゑずて

4180: 春過ぎて夏来向へばあしひきの.......(長歌)

4189: 天離る鄙としあればそこここも.......(長歌)

4207: ここにしてそがひに見ゆる我が背子が.......(長歌)

4266: あしひきの八つ峰の上の栂の木の.......(長歌)

4276: 島山に照れる橘うずに刺し仕へまつるは卿大夫たち

4341: 橘の美袁利の里に父を置きて道の長道は行きかてのかも

4371: 橘の下吹く風のかぐはしき筑波の山を恋ひずあらめかも

補足

更新日: 2017年06月04日(日)